
公開日:
最終更新日:
【新型コロナウイルス|イギリス】ロックダウン緩和後のロンドンの様子(2020年6月8日現在)

前回こちらでロンドンからの情報をお届けしてから、ちょうど2か月が経ちました。
【新型コロナウイルス】イギリス・ロンドンの現状(2020年4月8日現在)
この間に、英国での新型コロナウィルスによる死者数はついに4万人を超え、アメリカに次いで世界第2位を記録するほどの事態となってしまいました。ロックダウンの開始が遅かった、テスト数が少なかった、など、政府の対応について批判の声はとどまるところを知りません。それでも、ここイギリスでもロックダウンが段階的に緩和されており、日々の生活に活気が戻ってきつつあります。今回は、そんなロンドンの街中の様子をご報告します。
目次
公共交通機関におけるマスク着用の義務化
2020年6月15日から、ロンドンの公共交通機関では、マスクの着用が必須となります。マスクをする習慣がないイギリスでは、当初から「科学的根拠に基づいて」マスク不要論が語られていたこともあり、今回のマスク義務化については著しい変化といえます。マスク着用時の不快感ということもありますが、マスクで顔の一部を隠す、イコール不信感をあおる、という考えも根強いため、これだけコロナウィルスの感染者が増えていても、マスクの定着には時間がかかったのです。
ロンドンのバスでは一時期、運転手の方の感染が増えてしまっていたため、バス前方のドアを封鎖し、乗車は後ろのドアからに限られていたこともありました。現在では前方ドアの使用が復活しましたが、今度は車内の密を避けるため、バスの車体の大きさに応じて、一度に乗れる乗客の数が制限されています。ダブルデッカーでは一度に最大20人まで、1階建ての小さなバスでは8人まで、といった具合で、乗車口のところに大きな文字で表示されています。
電車の駅でも、自動券売機のところや駅構内、ベンチなど、いたるところで社会的距離に関する表示が掲げられています。規制が緩和されている今でも、基本的には公共交通機関の利用はできるだけ避け、可能な限り、徒歩や自転車での移動を推奨、ということに変わりはありません。
<2メートルの社会的距離を保つことを示した、駅構内の案内板>
ソーシャル・ディスタンスを保った社会的活動の緩和
スーパーマーケットなど、生活必需品を扱う店舗での入店規制は引き続き行われています。店内の客の数を制限するため、入店時には必要に応じて店の外で並んで待たなければなりません。待っている間も社会的距離をきちんと保てるよう、地面に何かしらの印で分かりやすく表示しているお店が多いようです。店内にもこうした印がつけられていたり、通路は一方通行が推奨されていたり、またセルフレジも含めてレジ横にはプラスチックのしきりが設けられていたりと、さまざまな工夫がなされています。元々キャッシュレス化が進んでいる英国では、この状況下で、支払いはカードのみというお店が大半を占めているのにも不思議はありません。
生活必需品以外の商品を扱う店舗の再開は、6月15日が予定されています。教会などの信仰の場についても、イングランドでは同じく15日から限定的に開かれるとのことですが、全面的な再開は7月4日以降になる予定です。パブやレストラン、美容院などの営業再開も7月4日以降の予定とされています。
また、2メートルの社会的距離を保つことを原則として、同居する家族以外の人たちとも「会う」ことがすでに許可されています。とはいえ、社会的距離以外にもいくつかルールがあり、そのルールは英国内の各国で微妙に異なっています。例えば、こんな感じです。
- 一度に会える人数の合計:6人まで(イングランド/北アイルランド)、2家族で合計8人まで(スコットランド)、2家族までなら何人でも(ウェールズ)
- 場所:屋外ならどこでも(イングランド/北アイルランド)、屋外ならどこでも。ただし5マイル以内が理想(スコットランド/ウェールズ)
自宅の庭で会うのは屋外なのでOKだけれども、もし万が一、客人がトイレを使用する場合には使用後に触れた場所を徹底してふき取ること、など、細かいことまで指摘されています。また、ロンドンで多い長屋タイプの家屋では、一旦家の中を通らないと自宅ガーデンに出られないため、そういう場合は屋内に一度入るのも可、など、詳細なルールは英国政府のウェブサイトで確認できます。
こうしたルールもこれからまだ変わりそうなので、最新の情報に常に目を光らせていなければならなそうです。
渡英時の自己隔離その他の措置
最後に、6月8日から適応される、英国入国時の規定についてもお知らせしておきます。大事な点は以下の2点です。
- 英国到着前の48時間以内に指定のサイトへアクセスし,英国での滞在情報を登録すること
- 入国後は事前に申告した滞在先において14日間の自己隔離をすること
違反者には罰金が課せられます。詳細は在英国日本国大使館のウェブサイトをご参照ください。
https://www.uk.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00082.html
<公園内の公共のトレーニング器具。まだ使用不可>
新型コロナウイルスに関するその他の記事
- 新型コロナウイルスによる警戒事態下でスペインに暮らす日々(2020年5月28日現在)
- 新型コロナウイルスの影響は?バリ島の現状をお伝えします(2020年5月25日現在)
- 【新型コロナウイルス】メキシコ・カンクンのホテルが6月に営業再開!(2020年5月24日現在)
- 【イタリア|新型コロナ】ロックダウン緩和直後のホッとする3つのエピソード(2020年5月22日現在)
- 世界一の新型コロナ感染地ニューヨーク、外出禁止令下の生活(2020年5月20日現在)
- 【Covid-19 (Corona) Experience in NY & Japan】 Jan-May 2020
- 【オーストラリア】新型コロナウイルスをきっかけに生まれ始める変化(2020年5月現在)
- 【新型コロナウイルス】緊急事態宣言から40日 タイの現状(2020年5月15日現在)
- 【新型コロナウイルス】アイルランドの現地情報|ロックダウン解除計画(2020年5月12日現在)
- 中米の楽園コスタリカの新型コロナウイルス対策(2020年5月10日現在)
- 【新型コロナウイルス|カナダ】超便利!オンラインオーダーで食料品の買い出し(2020年5月5日現在)
- 首都にピューマ現る。南米チリでの新型コロナウイルスの現状(2020年5月4日現在)
- 【新型コロナウイルス現地報告】メキシコのプラヤデルカルメンから(2020年5月3日現在)
- 新型コロナウイルス感染拡大を受けた、ロサンゼルスの最新情報(2020年4月15日現在)
- 【新型コロナウイルス】タイ・チェンマイの人々は「正しく怖がり」かつ前向きな日々(2020年4月15日現在)
- 【新型コロナウイルス】外出禁止令が出ても快適なロシア・モスクワ生活(2020年4月14日現在)
- 南米エクアドルの新型コロナウイルスの状況と、日本に帰国するまで(2020年4月13日現在)
- 【新型コロナウイルス】タイの「首都閉鎖」はどんな状況?(2020年4月12日現在)
- マレーシアの新型コロナウイルス事情(2020年4月10日現在)
- 【新型コロナウイルス】ハワイ・ホノルルの現状!サーフィンはOK?(2020年4月8日現在)
- 【新型コロナウイルス】外出制限が続くフランスの日常(2020年4月8日現在)
- 【新型コロナウイルス】イギリス・ロンドンの現状(2020年4月8日現在)
- 【新型コロナウイルス】ロックダウン中のニュージーランド、現状を報告(2020年4月8日現在)
- 【中国・上海】新型コロナウイルス肺炎流行下での現状(2020年4月7日現在)
- 【新型コロナウイルス】オーストリア・ウィーンの現状(2020年4月7日現在)
- 【コロナ対策】イタリア中部フィレンツェの生活風景、頑張る小売店(2020年4月6日現在)
- 【新型コロナ】ロックダウン中のデンマーク、息抜きに郊外のお城に散歩してきました!(2020年4月5日現在)
- COVID-19 ロックダウン/善意と助け合いの国、ニュージーランドで(2020年4月4日現在)
- ブラジル「新型コロナウイルス」対策の現状|家での過ごし方リポート(2020年4月4日現在)
- 21日間のロックダウン「コロナキャピタル」インド・ムンバイの隔離生活は不便と感謝、驚きの日々(2020年4月3日現在)
- 【新型コロナ】ロックダウン下のギリシャ、アテネでの暮らし(2020年4月3日現在)
- 【新型コロナウイルス対策】国境封鎖で陸の孤島に!?コートジボワールの現状(2020年4月1日現在)
- コロナウイルス対策でロックダウン下のフランス・パリの現状(2020年3月30日現在)
- 南アフリカとコロナウイルス ― 21日間のロックダウン(2020年3月30日現在)
- 【新型コロナウイルス|パラオの現状】自然のパワーを見方に!どんな時も明るい南の国の人々(2020年3月29日現在)
- 【新型コロナウイルス】ドイツ・ベルリンの現状(2020年3月27日現在)
- 【ポーランド】新型コロナウイルスの影響で進むオンライン化(2020年3月26日現在)
- コロナが猛威を振るう状況下にあるソウルの近況(2020年3月25日現在)
- 新型コロナウイルスに対するJR各社(新幹線など)の対応まとめ(2020年3月18日現在)
- 新型コロナウイルスに対する各航空会社の対応まとめ28社分(2020年3月17日現在)
- モロッコの新型コロナウイルス事情(2020年2月20日現在)
Rankingイギリス記事ランキング
-
ハル・リーチ
- 音楽、映画・演劇・TV、サッカーなど、UKカルチャーをこよなく愛す。2001年よりロンドン在住。以来、会社員&ものかき業を継続中。