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【新型コロナウイルス】緊急事態宣言から40日 タイの現状(2020年5月15日現在)

記事投稿日:2020/06/04最終更新日:2020/06/04

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日本はもちろん、世界中で流行している新型コロナウイルス。2020年3月11日にWHOが新型コロナウイルスの流行はパンデミック状態にあると発表してから、タイはコロナウイルスの感染拡大防止にどんな対応を行ってきたのか、そして現在はどんな状況にあるのか、これまでの経緯についてまとめたいと思います。

目次

タイの非常事態宣言と感染者対策

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タイではまず2020年3月22日に首都バンコクをはじめ、隣接した県で飲食店や集合施設に対する閉鎖命令が出ましたが、その4日後の3月26日、全土で緊急事態宣言が適用されました。この宣言の内容は下記の通りです。完全なロックダウンではないものの、かなり厳しい処置が取られ、これに反すると罰則が課されます。

  • ムエタイ競技場、酒場、飲食店など集合施設の閉鎖
  • 航空機、船舶、車両などの出入国地点を閉鎖
  • 買いだめ禁止
  • 集会の禁止
  • 虚偽や人を恐れさせる情報の流布を禁止
  • 4月のソンクラーン(タイ正月)にかかわる一切のイベント・行為を中止または延期
  • 学校は自宅学習やオンライン授業に切り替え

この時点で連日タイでは100人単位で感染者が増加していました。政府はなんとかこの現状を食い止めるべく、その後も感染症対策に伴う規制が追加されました。

夜間外出禁止令(4月2日)

22時から翌4時までの時間帯を対象とする夜間外出禁止令が発令されて4月3日から適用。現在も実施されています。

酒類販売禁止令(4月9日)

バンコク都知事が4月10日から20日まで酒類販売禁止を発表。その後期間が5月3日まで延長されました。現在もレストランやバーなどでの飲酒は禁止されています。これは感染防止の他に、治安悪化防止の意味もあります。

飲食店の休業命令で苦戦するレストラン業界

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3月22日から現在も一部の飲食店を除いて通常営業停止を強いられている飲食店業界。これにより飲食業界では死活問題が生じています。特に数年前からバンコクでは寿司バブルで、メニューのないおまかせのみを提供する高級寿司店が続々オープン。しかし今回の新型コロナウイルスの影響で、タイ政府が「なまものをなるべく食べないように」と発表。この発表で高級寿司店や多くの日本食レストランが大きな打撃を受けました。

そんな中、テイクアウトやデリバリーなどは可能なため、高級寿司屋は苦肉の策で日本直送の新鮮な魚介類を使った1個約1万円のお弁当を、また日系高級焼肉店では和牛焼肉セットなどを販売開始。普段テイクアウトやデリバリーを行なっていない高級レストランや予約の取りにくい店の味の料理を、自宅でレストランに行くよりリーズナブルな値段で味わえると多くの反響を呼んでいます。

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また、もともとタイはデリバリー大国。Grab(グラブ)やFood Panda(フードパンダ)と呼ばれる日本でいうUber Eats(ウーバーイーツ)のような大手スマホアプリがバンコクではいくつも存在し、多くのレストランと提携。いつでも気軽にレストランと同じ料理を味わえ、しかもデリバリー料金が安いことから、タイ人に限らずタイに住む外国人も普段からデリバリーを利用しています。そして、今回のコロナショックの影響で、テイクアウトやデリバリーを提供する店が増加。今までにないフードデリバリー競争が加熱しています。

そこで、飲食店間ではこの競争に打ち勝つべくさまざまなプロモーションでアピール。商品自体の値下げはもちろん、購入金額がある一定を超えるとデリバリーを無料やビール1本無料などは当たり前で、中にはたこ焼きの材料と一緒にたこ焼き器を無料で貸し出したり、鍋の材料と一緒に土鍋とコンロを貸し出すなど、至れり尽くせりのサービスを行っているレストランも少なくありません。しかし現在も続く夜間外出禁止令もあり、夜8時までには店を閉めせざるを得ない厳しい状況化の中やはり生き残れない飲食店も多く、閉店する店も増えてきています。

緊急事態宣言後の日常生活の変化

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新型コロナウイルスの影響で国全体がほぼロックダウン状態の街の様子はというと、一番顕著に現れていたのが日常ほぼ毎日慢性的に続いていた交通渋滞が一切なくなり、道路はガラガラ、電車もほぼ人が乗っていない状況で、店はスーパーマーケット以外は全て閉店、街にはほとんど人が歩いていません。

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スーパーマーケットなど開いている店舗では、レジに並ぶ列にはソーシャルディスタンスが取られています。

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普段は観光客が大勢集まり、一年中賑わっているバンコクもまるでゴーストタウン化してしまいましたが、実はタイは「王国」ということもあり、政府の権限も日本より強く、過去にクーデターなどが起こったこともあることから、今までも何度か緊急事態宣言や外出禁止令が出されています。そのため、タイ人はある種緊急事態宣言には慣れていて、みな国の発令には柔軟に対応し、とても協力的なのが印象的でした。

交通機関や役所などの感染予防対策とは

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バンコクの交通機関といえば、スカイトレインBTSや地下鉄MRTなどが主流ですが、それらの交通機関やイミグレーションオフィスなどの役所では徹底した感染予防対策が取られています。そのひとつの対策として、電車の座席や待合室の座席をひと間隔づつバツの印をつけ、隣同士で座らせないようにする方法。

これにより適度なソーシャルディスタンスが取られるので、利用客も安心して利用できます。また、役所建物や駅構内では必ずマスク着用が義務付けされ、マスクを持っていない人には適性の値段で販売ないし、無料で配られています。

また、夜間外出禁止令が出ている間は20時以降運行を停止、24時間営業のコンビニエンスストアも夜間は閉鎖するなどの徹底した対応がとられています。

国境に関しては、4月7日からタイに向けた航空機の飛行を原則禁止する措置が取られており、他国で出稼ぎをしているタイ人などを帰国させる際には国が用意した施設で14日間検疫を行うことになっています。そして先日の発表で、国内線の運行については一部の航空会社が5月1日から再開されており、国際線の運航は7月1日に一部再開することになっています。

感染拡大防止対策実施後の結果は

タイ全土で3月26日から緊急事態宣言が発令されてから、40日以上が経過した5月半ば現在では、感染者数はほぼゼロ。総死者数は現時点で56名とかなり数字を抑え込むことに成功しています。かと言って、まだまだ油断できない状況下であるため、政府としては状況を見ながら緩和する方針で、まずはフェーズ1として、5月1日から下記の6項目が緩和されました。

  • 1. 市場、マーケット:生鮮市場、ナイトマーケット、水上マーケット、歩行者天国、等
  • 2. 飲食店(ショッピングモール、スーパーマーケット内の店舗は除く)、屋台、露店
  • 3. 商店、卸売店:スーパー、コンビニ等を含めた、「物を販売する店舗」
  • 4. スポーツ、レクリエーション施設:公園、競技場等。団体で行う競技、勝負を競う競技は除外
  • 5. 理美容室:カット、シャンプー、ブローのみ
  • 6. その他:ペットのグルーミングサロン、ペットホテル

そして5月15日の発表では数日以内に下記の項目が追加され、結果によっては再度閉鎖する可能性もあるとのことです。

  • 1. 日常生活に必要な業種
    • a. オフィスビル内のレストラン、フードコート、ドリンクショップ
    • b. 百貨店、ショッピングセンター、コミュニティモール(フィットネス、映画館、ボーリング場、御守り販売所は除く)
    • c. 小売業、卸売業
    • d. ネイルサロン、美容院(カラー、パーマ等、2時間以内)
  • 2. ヘルスケア、運動関連の業種
    • a. 医療・美容・痩身クリニック
    • b. 団体で競技するスポーツの屋外競技場(無観客)
    • c. フラワーガーデン、博物館、ギャラリー(団体ではなく個人で入園)
    • d. タイマッサージ(フットマッサージのみ)
  • 3. その他
    • a. テレビ会議システムを利用した組織内外の会議
    • b. CM・動画の撮影、グラビア撮影(現場には5人以下に限定)

また、夜間外出禁止の時間帯変更:23時~4時へ変更も視野に入れて考えているそうです。いずれにせよ、日々の感染者数の数字を見ながら、第2波が起こらないように、徐々に緩和されていくという形です。

厳しい非常事態宣言化で現れた社会問題について

日本とは異なり、タイではかなり厳しい非常事態宣言が出されたおかげで新型コロナウイルスの感染者を抑制できている一方、多くのビジネスが閉鎖している状況で数千万単位の失業者が出てしまうという事態が起こってしまいました。

タイは貧富の差が激しいため、少ない日銭を稼ぐ人たちは生活どころかその日食べるお金にも困ってしまい自殺者が続出。中にはSNSで自殺を予告後に自らの命を経った若いタイ人女性やお金に困って強盗を働き、警察の説得にも応じずにその場で自殺するケースなどもニュースで連日報じられています。

ちなみにSNS予告で自殺した女性の家族や婚約者は夜間外出禁止令があったため、すぐに駆けつけることができずに助けることはできませんでした。彼女のように人生に絶望する人が相次ぎ、一時期は新型コロナウイルス感染者数よりも、自殺者の数の方が多い日が続く深刻な社会問題となっています。

新型コロナウイルスと共存する未来とは

5月1日からフェーズ1で少し緩和されたタイでは一部の飲食店を除き、パーテーションを置いたり、机を離して座るなどのソーシャルディスタンスを置くことを条件に営業が開始されています。街には少しずつ人が増え、交通渋滞も増えてきて、活気も少し戻ってきました。

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わたし自身も先日40日ぶりに主人と一緒にレストランで食事をしましたが、外食が出来ることの喜びは言葉では表しきれませんでした。また、店内で出来立ての温かい料理を食べられることがこれほど美味しさに繋がると感じられたのは、今まで意識していなかったことです。以前だったらとてつもなく些細なことですが、今まで当たり前だったことが当たり前でなくなった今、改めて日常の平穏な暮らしがどれだけ幸せなことだったかを実感した瞬間でもあります。わたしが思うにきっとこの小さな幸せの実感が明るい未来への第一歩です。

新型コロナウイルスの影響で多くの自由を奪われました。まだまだ未知の部分が多く、この先の未来が見えない状態で不安は少しも緩和されません。でも少しずつ戻りつつある日常を見つめていくと、新型コロナウイルスと共存して生きていく新しい未来は人類の新しい生活の形を作り上げる大きなきっかけになります。いつの時代も新しいことへの不安は募りますが、ポジティブに考えれば、これをきっかけに世界中の人がこれからの人生のあり方を見直す良い時期なのかもしれません。

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