【イタリア|新型コロナ】ロックダウン緩和直後のホッとする3つのエピソード(2020年5月22日現在)

この春から夏にかけて、段階的にロックダウンを解除していく方針のイタリアでは、まず、5月頭に行われた第1規制緩和を皮切りに、この5月18日、第2回規制緩和に踏み切りました。

まだ住んでいる州からは外出禁止、でも市外は行き来できるようになりました。そして、大半の商業店舗営業再開、特にエステや美容院、レストランやバールなどの飲食店が約2ヶ月ぶりに再スタートしました。

今回は、そのような時期を迎えるイタリア各地で起こった心和むエピソードを、イタリアに住む私まつこが、いくつかお届けいたします。

目次

1. 規制緩和明けの一番コーヒー

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<マスクバールマン>

不思議にもイタリア国内数カ所で同時に起こった現象です。

数ヶ月前まで毎日朝食に通っていた行きつけのバール。今回の規制緩和でやっとそのシャッターを開けました。久々にイタリアンコーヒー、エスプレッソをバールマンに入れてもらい、感極まりないと言わんばかりの地元の人が多かったようです。

家コーヒーとは違う、バールマンがマシーンで入れてくれるカッフェを飲むのが好きという人がとても多い、それだけエスプレッソを愛する人たちばかりの国なのです。

不思議な事件が起こったのは、お会計の時。

バールで立ち飲みをするならコーヒーの代金はおよそ1ユーロ程度。ところが、バールを応援したいと強く要望した客が、なんと50ユーロを払ったというエピソードが話題となりました。これがイタリアの南と北でほぼ時を同じくして起こりました。67日ぶりの営業再開日の朝一番です。

「お釣りはとっておいてくれ、辛酸を舐めるようだった休業期間明けに、これくらいのことはさせてもらいたい。僕はこのコロナ状況下、公務員として働いているおかげで給料が入る身なんだ。僕の受け取る給料は、君が明日支払う税金から賄われているんだよ。」

そんな台詞を残して立ち去る客、南イタリアはシチリアのストーリー。各新聞社が報道しましたが、誰が主人公であったのかは明かされることはありませんでした。

同様のストーリーは他にもナポリに近いカゼルタという地域で、数人の客がそれぞれのカッフェ一杯に50ユーロを置いていきましたし、イタリアの北部、ヴェネツィアからそれほど遠くない町、ヴィチェンツァでもやはり常連客が、飲食業界の困難を個人的に応援しようと、同じような心温まるジェスチャーを取ったそうです。こちらの人物も正体がばれるのを良しとしませんでした。

2. Covid 集中治療室の閉鎖を祝うフィレンツェ

写真 2カレッジ病院.jpeg
<病院カレッジ5月20日>

イタリア中部、フィレンツェではコロナ感染者を抱えていた病院が4軒あります。

うち2箇所の病院が集中治療室を閉鎖することに!

最も有名なフィレンツェのカレッジ総合病院では、医者や看護婦たちがそのニュースを知らせる写真を撮りました。そのイメージは瞬時にして家族や友人の携帯を巡り、またフィレンツェ市内外をソーシャルを通して駆け巡りました。

同病院では集中治療室を抱える病棟が3棟、コロナ初期感染者を収容する病棟が4棟あります。3月の感染ピーク時期には44のベット数を抱えていたのが、今では16に減らされ待機状態に。今週に入りそのベットを利用する患者はゼロに至りました。

感染者数がピークを迎えたのは3月末で163人。4月の初旬あたり同病院内の集中治療室には40人の患者が収容されていました。その後、統計グラフのカーブは少しづつ下り坂を示し、5月17日から感染者数はゼロの日を3日ほど記録、その後ゼロの数字は続かないものの状況は穏やかで、フィレンツェはこれまでの頑張りの成果を実感しました。

規制緩和体制に入るこれからの時期、この成果を台無しにしないための努力は必然であるものの、一戦戦い終えた医療スタッフのマスクに隠れた笑顔に、多くの人が束の間の安堵のため息を漏らしました。

3. コロナ時代の結婚式

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<マスク挙式>

フィレンツェ郊外のとある小さな町では、コロナ規制下に挙式を挙げたカップルがいました。

家族や友人が参加できない少々寂しいウエディングとなりましたが、二人は考えに考えた末、元々予定した通り挙式に臨んだのでした。

イタリアで結婚式を挙げるには二通り方法があります。一つは教会での結婚式。もう一つは市役所で執り行われるセレモニーです。ただ書類届で終了ではなく、市長もしくは代理議員の執り行う法的に有効な結婚の儀式に臨むのです。通常その厳粛なセレモニーには立会人をはじめ、大勢の家族や友人が参加します。無事に式を終えると、今度は披露宴。通常ホテルや郊外の美しい貴族の館や農場宿泊施設(アグリツーリズモ)などで盛大に行われます。ここでも大勢の参加者と一日お祝いをします。

「2人だけの結婚式はとても寂しいです。もともと素敵なアグリツーリズモでの挙式を準備万端整えていました。」

「すでにドレスは準備されていたし、実は二人目の子の誕生を控えている今、予定通り挙式を実行するのがいいねと判断しました。さもなければ、2回目のお産後はもうサイズ的にドレスが入らないと思うから。」

こうして、勇気と決意とマスクの武装で臨んだ二人だけの挙式となったのでした。二人の傍にはそれぞれの立会人が一人づつ、そして市長が彼らの前に立ち、静かに厳かに指輪交換が行われたのでした。新郎新婦のマスクにはメッセージが書き込んでありました。

「新郎にキスは厳禁」 「新婦にキスは厳禁」

このような状況下にあってもユーモアを忘れない、素敵な笑顔のカップルです。二人の子供との披露宴を、近くて遠い将来に夢見ながら、無事に結婚式が終了しました。

写真 4挙式マスク アップ.jpeg

感動の余韻 終わりに

イタリアで生活しているとよく出会う出来事の根幹をなしているものに、「困っている人を助ける精神」、「人と人の共感・心の交流」、「人生に色味を与えるユーモア」が挙げられます。イタリア人がブーツの国で自然と育んできた彼らの強みであり、心の豊さでしょうか。人として生きていくためのエッセンスを、スマートにユーモアを込めてさり気なく伝えてくれます。

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まつこ

イタリアのフィレンツェ観光ガイド、通訳として既に四半世紀。イタリア人夫とハーフ達を相手にまだまだ子育て奮闘中。食事の美味しい、自然豊かな、太陽光の心地よいイタリアが大好きです。

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