新型コロナウイルスによる警戒事態下でスペインに暮らす日々(2020年5月28日現在)

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<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com

一時はイタリアに次いでコロナウイルスの感染者数が世界No.2になったスペインでは、警戒事態宣言発令後、他国よりも厳しい外出制限が敷かれました。現在は段階的に規制緩和が続いている状態です。今回は警戒事態下でのスペインの生活についてお話したいと思います。

目次

バレンシアの火祭りが開催途中で中止に

ここバレンシアの3月と言えば火祭り。イタリアでは2月末にはすでにコロナウイルスで封鎖された自治体があり、スペインでも数十人の感染者が確認されていました。が、3月1日には開会式式典が執り行われ、連日の爆竹ショーにも大勢の人が集まっていました。その後感染者数は増加を続け、最終日に燃やすオブジェの設置が始まっていた3月10日に火祭り延期が決定(結局今年は中止に)。コトの重大さがやっと全市民に伝わります。ここで日本同様にトイレットペーパーの買い占めが始まり、その後すぐに食品の買い占めまで起こりました。12日にはその翌週からの教育機関の一斉休校がアナウンスされます。

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<中止決定後にマスクをつけた市役所広場のオブジェは、数日後に事前告知なく焼却された>

そして13日午後にサンチェス首相が警戒事態宣言を出したのですが、翌日0時以降の飲食店、映画館や劇場、文化施設、スポーツ施設は強制休業に。ほかの国では、散歩や運動は認められていたにも関わらず、スペインでは通勤、通院、生活必需品の買い物、犬の散歩以外の外出は禁止になります(後に通勤も、必要不可欠な職種だけに限定)。数日前までは火祭りだったバレンシアが一気に重苦しい空気に包みこまれました。

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<トイレットペーパーを買うには朝イチでの入店が必要だった時期も>

ロックダウン下でも明るく前向きなスペイン人

そんな中、全国的にはじまったのが毎晩8時の拍手タイム。ベランダに出て、感染の危険を冒して働く主に医療関係者に向けて拍手を送るのです。また、子どもたちが虹の絵を書いて外から見えるようにベランダや窓に飾ったり、ベランダで歌ったり楽器を演奏するなどの外に出られないなりの交流もあり、困難な状況でも明るく前向きなスペイン人を誇らしく思いました。これは世界的現象のようですが、家でパンや焼き菓子を作る人が増え、小麦粉やイーストが品薄になったことも。普段はお菓子つくりなんてしない私まで、今も週に2回ペースで何かしら作っています。

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<友人の娘さんが描いた虹の絵>

わが家では、休校中の子どもや数日間テレワークをした後に一時休職になった夫が常に家にいることになり、ひとり時間のなくなった私は週に1~2回スーパーに行くのが息抜きでした。スーパーや八百屋、肉屋などはどこも入店制限をし、入口でアルコール消毒ジェルの使用と使い捨て手袋をすることが義務付けられました。もちろん店頭で並ぶ時もレジでも、社会的距離を守らないといけません。

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<町はずれの八百屋の前で十分な社会的距離を保ち入店の順番を待つ人々>

6週間も家から出られなかった子ども達

こんな生活が6週間続いた4月26日。やっと13歳以下の子どもの外出が認められました。但し1日1回1時間、自宅から1km圏内で、保護者1名のみが付き添えるというルール付き。その後5月2日には、全市民の散歩か軽い運動のための外出が解禁に。13歳以下、14~70歳、70歳以上と介助が必要な人の3つの外出時間帯が設けられ(人口5,000人以下の自治体はいつでも)、散歩は自宅から1km以内、運動の場合は自治体内などのルールはあるものの、外の空気を楽しめるようになりました。私も珍しく朝のウォーキングに出かけ、外を自由に歩ける喜びをかみしめると同時に、あらためて自然のすばらしさを感じました。

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<ウォーキングで再認識した自分の町の美しさ>

スペイン政府の方針では、フェーズ0から3までの4段階を経て、元の生活に戻る計画です。5月11日からは、17自治州のうち条件をクリアした11の自治州とアフリカ大陸にあるセウタ・メリージャがフェーズ1に、マドリー州は0のまま、それ以外5つの州は一部が1になりました。

フェーズ0~3の段階を経て元の生活に

フェーズ1では、10人以内で集まることや400平方メートル以下の商店の条件付き営業、バルやレストランのテラス席のみの条件付き営業、図書館や美術館の入場制限付きでの開館、共有スペースを閉鎖した状態での宿泊施設の営業、10人以下の観光ツアー実施などが許可されますが、県外へ出ることはできません。私が住む町もフェーズ1になり、早速化粧品屋に行き、テラスでお茶を飲み、友達にも会いました。そんな当たり前のことができない2か月だったのです。これでゴーストタウンのようだった町に、一気に活気がよみがえりました。以前と違うのは、今まではいなかったマスク姿の人が大勢いること。現在、屋外で2m以上の社会的距離が保てない場合と店舗や公共交通機関などの屋内では、マスク使用が義務付けられています。

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<飲食店テラス席再開の朝、久々に広場に並んだテーブルとイス>

次のフェーズに上がるには、中央政府の認可が必要です。5月25日現在、それまで0だったバルセロナ市とマドリード州、カスティーリャ・イ・レオン州の一部が1になり、また、ムルシア州、カンタブリア州、アストゥリア州などあわせて人口の約半数となる47%が2に移行しました。

7月から外国人観光客を受け入れたい意向

フェーズ2では、飲食店店内で収容人数の3~5割、最大100人までがサービスを受けることができますが、カウンターは使えません。また、売り場面積に関係なく全商店が条件付きで営業可能に。同じく条件付きで結婚式を挙げることもできます。そのほか、高齢者介護施設の訪問、大学や訓練学校以外の教育機関、自動車学校の再開なども始まります。政府は、6月8日には全国がフェーズ3に移行している可能性が高いとみているそうですが、私はちょっと難しいのでは?と思っています。

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<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com

5月25日には、世界遺産のコルドバのメスキータやマラガのピカソ美術館などが再開しました。まだ正式発表はありませんが、スペイン政府は7月から外国人観光客を受け入れたいと話しています。日本の皆さまがスペインを訪れられるようになる日はもうすぐです!!

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田川敬子(Keiko Tagawa)

1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。

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