【Covid-19 (Corona) Experience in NY & Japan】 Jan-May 2020
記事投稿日:2020/05/23最終更新日:2020/05/23
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目次
- (Jan) KyotoからNYへ
- (Feb) カリブ海ジャズ・クルーズに乗船、マディソンスクエアガーデンでのバスケの試合
- (Mar) ニューヨークにウィルスが...
- (Apr) NYから日本へ、日本から見るNY
- (May) 世界と日本のこれから
- 新型コロナウイルスに関するその他の記事
(Jan) KyotoからNYへ
中国から新型コロナウイルスが出たと言われた1月中旬、私が滞在していた京都では欧米アジアからの観光客が激減。観光メッカである円山公園を新年の墓参りの際に通るとマスクをしている中国人観光客は少なく、日本人の方がマスクをしていることに気がついた。
そんな中、NYへ戻る航空券を1月末にすでに予約していた私はかなり迷ったが、いつも使っているエアチャイナではなく、今回は全日空便だったのも手伝って予定通り1月末にNYへと飛行。飛行機の中では日本人はすでにマスクや手袋を装着してウィルスに備えていた。空港が危ないという情報を日本のニュースでも散々していたので空港では念入りに注意した。
ブルックリンの家に着くまでマスクを外さず手袋も装着していたが、NYの家族はその姿を見て笑っていた。マスクをする慣習がないアメリカ人にとって、私がテロリストのように見えたらしい。外出する際も私はマスクと手袋をしたかったが、一緒に歩くアメリカ人家族から頼むからやめてくれと何度も懇願されてマフラーやスカーフなどで口元をさりげなく覆っていた。
(Feb) カリブ海ジャズ・クルーズに乗船、マディソンスクエアガーデンでのバスケの試合
1月31日にフロリダへと移動、ミュージシャンらと一緒にジャズクルーズに乗り込んだ。1週間クルーズで音楽三昧。その際の記事は下記に別途記載されているのでそちらもご参照下さい。
>>>「THE JAZZ CRUISE 2020」ジャズクルーズでフロリダ&メキシコを巡る
クルーズ船のチェックインカウンターでは、アメリカ人はパスポートを見せるとすぐに鍵がもらえていたが、アジア人である私たちは念入りに様々な質問を受けた。14日以内に中国人と接したか、中国に最近立ち寄ったか、その他のアジアの国に寄ったかなどなど。日本は幸いこの時にはまだパンデミックではなかった。隣の中国系の乗客を見ると彼女もかなりの質問を受けていた。
クルーズの中で知らされるニュースは限られており、毎日がバケーションのようだったのでウィルスのことは忘れていた。しかしアメリカ領キーウェストに上陸した際にWiFiが使えたのでニュースを確認すると、日本の横浜港に寄港中のクルーズ船の話が大きく取りざたされていて驚いた。それでもアメリカ人にとってはまだ遠いアジアの国での出来事でしかなく、マスクをするのは嫌がられた。下船時に初めてそのニュースを聞いたミュージシャン友達らは少しこわばった顔をしていたが、無事に誰一人怪我も病気もすることなく戻ってこれたことに感謝した。
NYへ戻ると音楽仲間がNBAのチケットをくれた。八村選手が活躍中のワシントンのチームがNYのマディソンスクエアガーデンでニックスと試合を行うという。いつもお世話になっているラファイエットさんを誘った。満員のマディソンスクエアガーデンはかなり賑わっており、小さな席に隣り合わせ仲良く大声出しながら応援していた。この数週間後にはバスケの選手からも感染者がで出て、NBAの全試合がキャンセルとなった。
(Mar) ニューヨークにウィルスが...
3月中旬にドイツに寄ってから日本に戻る予定だった為、ルフトハンザ航空のチケットを持っていたが、3月に入ってからヨーロッパを経由する便がキャンセルされ始め、私のチケットも勝手に日時が変更されるようになった。
何度も変更が重なり、直接電話をするとNYからヨーロッパ行きの便全てがキャンセルされたと知らされた。同系列のユナイテッド航空に航空便を変更してもらった。日本がコロナで大変だというニュースをアメリカのニュースでも騒いでいたので3月末の便を予約した。
日本での怖い状況をニュースで見るたびに実家にいる高齢の親が心配になり、早めの便で帰国しようと思ったが、NYの家族は心配してくれつつも、今この段階で日本へ帰ると反対に危ないと言われてNYに留まることに。
するとNYでの感染者数がいきなり急増。いきなり休校も決まり、子供達は公園にも行くことが禁止され、ロックダウンが始まった。子供達のオンライン授業はもう準備が整っていたかのようにすぐに行われた。毎日宿題や課題が多く出され、子供達は外で遊んでいる場合ではなくなった。親も一緒にオンラインで授業を手伝う。勉強嫌いだった私の友達らは子供達の課題のヘルプするのに一生懸命、子供と一緒に勉強していた。
街中から人が消えた。マスクはまだ手に入らずでマフラーやスカーフで顔を覆う人が増えた。行きつけのダイナーのギリシャ移民のおばちゃんが困った顔をしていた。「明日からレストランはデリバリーだけなんだよ〜そんなの死んじゃう!皆んなの顔を見たくてこの商売を何十年もやってきたのに本当になんて世の中なんだ!でも元気な顔を見るためには今私たちが頑張らないとね」「おばちゃんに会えなくなって悲しむ人多いね。今日は最後の晩餐!デリバリーも頼むから会いに来てね」と声を掛けるが、おばちゃん自身がデリバリーすることは決してない。おばちゃんと強いハグをかわし涙目になりながら元気で再会することを誓った。なんだか戦争にでる気分だった。元気で生き延びていたらまた会いましょうという言葉を口にする日が来るとは思わなかった。
ジャズピアニストのラファイエット・ハリスさんが3月始めに私の誕生日会を家で開いてくれた、来る予定だったミュージシャンや友達の半分が当日体調不良でキャンセル。後ほど聞くとそのうちの数名が新型コロナに罹っていたという。もし無理をしてパーティーに来てくれていたなら「三密」状態でパンデミックを起こしかねなかった。NYではそれほど早い時期から実は一般市民の間でウィルスは横行していた。
この頃にはすでにアジア人への差別はひどくなっていた。私自身も地下鉄に乗った瞬間に前に座っていた女性がスカーフで口元を覆うのを見た。友達の中には除菌スプレーをかけられたり罵声を浴びせられたりした人も居た。
買い物は普通にスーパーなどで出来たし、野菜や果物などは値段が高騰することもなく購入できた。ただ、保存食であるパスタや米類はすぐになくなり、豆乳なども手に入らなかった。何故かトイレットペーパーは早い段階からすでに手に入りにくく、マスクは1月の段階で薬局に買い求めにいっても既に手に入らない状況だった。道で違法に売ってるマスクは1枚$15と言われた(私は日本の100均で30枚入りのマスクを買ってきていたので、マスクが重要であることをやっと理解してくれたアメリカの家族にはプレゼントできた)。
(Apr) NYから日本へ、日本から見るNY
意を決して日本へ戻ろうと思っていた矢先、日本政府が3月25日以降アメリカからの日本への入国を制限すると発表。実はルフトハンザ航空から変更したユナイテッド航空は、ハブ空港が隣町ニューアーク空港でうちから2時間以上かかる。また、公共交通機関の利用も禁止されていたため、変更料金を再度払い全日空便に変更していたのが幸いだった。
JFK空港までは友達の車で移動、空港では出国チャンスを掴んだ乗客が多くおり、チェックインにも時間がかかった。半分くらいが日本人の駐在員のご家族で、その他アジアの自分の国へ帰る為に成田経由する人もたくさんいた。日本人よりもその他アジア系の人の方がマスク、防護服、手袋、ヘアキャップなどで完全武装だった。
JFK空港の店はほとんど閉まっていた。手荷物チェックの際、空港で働いている人の半分はマスクや手袋なしでぺちゃくちゃ喋りながら仕事を淡々とこなしていた。私もできるだけの武装でかなり怖がりながら飛行機での時間を過ごした。一人が咳をすると周りの人たちがぎょろっと見るという異様な16時間。やっと到着した成田では検疫審査も入国も何もなくスムーズに乗り継ぎ便へ。成田空港はかなり混み合っていた。多くの外国人がハブとして利用していたのがわかった。ヨーロッパ、アジア、アラブ系様々な人種が群れをなしてうじゃうじゃ居た。マスクなどしてる人はアジア人以外ほぼいなかった。
伊丹行きの便はかなりガラガラだったが待合室の椅子はかなりの混み具合だった。25日以降はこの国内線乗継も同日にはできないと聞いて本当に焦った。伊丹でも荷物受け取りの際に同じNY便で帰ってきた人たちは、バスで地元まで戻ると言っていた。公共交通機関の使用を控えるようにと言われていたが、ゆるいと感じだ。
日本に帰ってからは14日間、自宅でも自分の部屋から全くでることなく自主隔離。これが結構案外、普段のモノ書き生活とそう変わらないことに気がつき案外それほどストレスもなく、すぐ終了。その間にNYでの感染者数と死亡者数が急増した。NY滞在時からずっと見ていたクオモ知事のインタビューを、日本でも毎日欠かさず見ていた。
NYではお世話になったミュージシャンやそのご家族のご不幸が続きまくっていた。一番ピーク時は毎日1〜2人は知り合いが亡くなっていた。もう二度と会うことができない人たちがこんなに一気に増えたことに驚きショックだった。また何もできない自分と、日本でユルい考えの人たちに囲まれて過ごしている自分にも腹が立った。何か日本人に私でも伝えられることがあるのではないか、と身近な人には何かしらの会話やメッセージを送るようになった。何かあってから後悔をしたくない、と思ったからだ。
NYの友達から、夜中に静まり返ったブルックリンの街中を救急車が通る音を聞いただけでその晩は怖くなって眠れなかった、という話を聞いた。
日本でも4月半ばに緊急事態宣言が出された。やっと全国的に休校となり実家の高齢者世代である親元へ遊びに来ていた孫が幼稚園や学校で感染する心配も減り私は安堵した。海外生活経験者である私の友達で子供がいる人たちは休校を強く望んでいた。子供を介して高齢者に迷惑をかけるというのがよく分かっていたからだ。直接知事や市長に毎日命がけで訴え、掛け合っていた友達の勇敢な姿を見て私はかなり嬉しかった。こういう命の大切さ、家族の大切さを分かっている日本人が居ることが今後の新しい日本を引っ張っていく原動力になるのではないか、と。母は強し、母なる大地とはよく言ったモノでお母さんパワーが水面下でかなり力を発揮していた。
日本政府がやっと出した政策、アベノマスク。これは各住所に2枚布マスクを配布するというもの。1ヶ月経った今でもうちには届いてない。うちの市では給付金も6月半ばからの配布だと言われた。私は観光系の仕事を失った一人。海外エージェントと仕事しているフリーランスはこういうときに補償がない。アメリカに住んでるミュージシャン達は失業手当や補償金をアプライして承認されれば7月末までは安泰だと聞いた。NY在住日本人ミュージシャンの友達は当初、日本帰国をすごく望んでいたが補償がアメリカの方が手厚いことがわかるとNYに残ってよかったと言っていた。その代償も精神的にも大きかっただろうが、ルイ・アームストロング協会からは一人$1,000(=約11万円)与えられ、政府からも一人$1,200〜(=約13万円~)のチェックがすぐに手元に送られてきていた。また失業保険ならぬコロナ基金もあり週$600(=約6万5千円)ほどもらえるらしい。
同時にNYでは市民に布マスク5枚入りで無料で配られていた。アベノマスクならぬデブラジオマスクだ。公園や学校前などでもらえ、警察官らも2mのソーシャルディスタンスを注意する前にこのマスクを配り始めていた。抗体検査を受けられる機関も増え、5月に入ってからはローカルのクリニックでも簡単に予約などなくてもすぐに検査してもらえる体制だ。ラファイエットさんも抗体検査をローカルクリニック前を通った際に思い立ってその場で検査。検査結果は4日間くらいで出るらしく、ポジティブの人だけ直接連絡が来ると言っていた。5日目にオンラインで検査結果を調べると自分の検査ナンバーを入力すれば詳細が出てきた。
(May) 世界と日本のこれからと稲荷神社
日本ではオリンピック開催がネックだったのか、防げるものも防げず国民がパニックに陥り国政の信頼度が落ちただけでなく諸々の問題点も浮き彫りになってきた。テレビなどのメディアとの関係性も見え始め固定電話をまだ家に引いてる世代への世論調査とライン世代への世論調査では大きく数字が違うだろう。
新型ウィルスに関する都市伝説や陰謀論もたくさん巷に出ており私自身もかなり翻弄された。ただ、一つ言えることは人間はどこまでいっても人間であり自然界で生かせてもらっているだけの存在。自然摂理をひっくり返し欲望に溺れた人間への罪は大きい。
このタイミングでたまたま無料視聴できる映画「コイサンマン」を見た。80年代に大流行りした「ブッシュマン」のことだ。まさに、ここが原点なんじゃないかと思った。先進国ではゴミだとされるものがその存在すら知らない人にとっては一つの未確認物。神様が送ってきた悪なるもの。コカコーラのビンが先進国を象徴している気がした。同時にドキュメンタリー映画「Planet of the Humans」もゴールデンウィーク前から無料視聴できるようになっていた。まさに、今ある世界を物語っている気がした。
ゴールデンウィーク中の5月4日に自粛延期が発表された日本では、外出は越境せず3密でなければ許すと首相が発表。天気な日には多くの人が道に溢れ出した。
観光地でない神社には人は普段から居なかったので近場の神社へお参りに。案外ここが伏見稲荷の奥社だと知る人は少ない。京都の山科にある2つの稲荷に参った。一つは薬や医学に精通した花山稲荷、もう一つはアメリカ富豪と結婚したモルガンお雪さんが参っていた玉の輿に乗れるという折上稲荷。どちらも近場でありながら一度も中へ参ったことはなかった。
「新型コロナウイルスが早く収束してより良い世界になりますように」
誰も居ない境内でそうお祈りするとスッと何かが抜けた気がした。
もやもやしていたモノが抜けて「形したものを信じるのではなく形のないモノがこれからは注目」という何だか不思議なお告げのようなメッセージが聞こえた気がした。
日本ではマスクが足りないとなると手縫いであらゆる職人さんや主婦の方がマスクを作り医療関係者に届けた。私も家にあったものでマスクを作ってNYへ郵送した(国際便が限られた今では1ヶ月経ってもまだNYへは届いてない)。
アメリカでも給食やレストランなどで使えなくなった食物を貧困層で食べ物がもらえず困っている人たちに配布した。人は助け合って生きている。ウィルスによって忘れていた大切なモノが何か気付かされた人も多いのではないだろうか。
新型コロナウイルスに関するその他の記事
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- この記事を書いた人
D’RICA - 京都生まれ&育ち、世界中をバックパッカー周遊。ロンドン6 年、NY10年ほど滞在、日本のコアな伝統文化や神社仏閣を訪問しながらも世界の音楽や芸術関連中心に新聞、雑誌などで執筆。ジャーナリストとしてだけでなく写真家、YouTuber、NY州不動産ブローカー、音楽プロデューサー、イベンター、ヒーラーなどマルチに活躍中。
記事投稿日:2020/05/23最終更新日:2020/05/23
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