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【中国・上海】新型コロナウイルス肺炎流行下での現状(2020年4月7日現在)

記事投稿日:2020/04/11最終更新日:2020/04/14

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<流行ピーク間近、休業・休校措置がとられ、人も車もまばらな上海(2020年1月末)>

こんにちは、今回は新型コロナウイルス肺炎について中国・上海の状況をお伝えします。連日、日本でも多くの報道がされているように、現在新型コロナウイルス肺炎は、日本も含め世界的に猛威を振るっています。筆者が住む中国・上海は、最初に新型コロナウイルス肺炎の深刻な流行が発生した国です。筆者は中国で本格的な流行が始まる1月から現在(4月6日)に至るまで、中国に在住し続け、生活をおくってきました。

新規患者数が増加する一方だった時期もあった上海ですが、3月半ば頃から、上海での中国国内由来の新規患者数は0を続けています。上海市における中国国内由来の感染者数は339人です(4月6日現在)。上海は目下、武漢から出た病気流行の封じ込めには成功したとみられています。ただ、最近は中国国外から上海へ持ち込まれる症例が日々報告されており、上海における外国からの感染例は累計で197人にのぼっています(4月6日現在)。

現在、上海に入国する人は全員PCR検査と施設隔離が義務付けられています。管理は徹底しており、海外から持ち込まれた新型コロナウイルス肺炎が上海で市中感染を誘発するリスクは低いと見られているものの、上海は現在海外からの多くの中国航空便を受け入れている都市であること、上海以外の都市では海外由来の症例からの感染例があり、まだまだ予断を許さない状況です。

新型コロナウイルス肺炎流行から現在まで、筆者が経験した中国上海での生活についてレポートします。

目次

中国・上海在住者から見たこれまでの経緯

最初は大した事はないと捉えられていた

中国での新型コロナウイルス肺炎流行が上海でも話題に上るようになったのは1月初め頃のことと記憶しています。湖北省・武漢で原因不明の肺炎患者が増加しているという話でした。当初は武漢で何やら肺炎のような病気が流行っているけれど、ヒト-ヒト感染はせず深刻な病気ではない、という説でしたので、上海から700kmも離れた武漢の病気が上海に住む人々の生活に影響を及ぼす筈はないと私含め多くの人が考えていました。

迎えた中国で1年に一度の重要イベント・旧正月

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そして迎えた春節(旧暦の1月1日にあたり、今年は1月25日)。中国人にとっては1年で最も大事な、家族が集まる一大イベントです。学校や会社は休みになり、多くの人が家族と新年を迎えるために故郷に戻り、その帰省は「民族大移動」とも呼ばれます。筆者も夫の実家がある山東省へ子供を連れて帰省しました。山東省は南方に属す上海とは異なり、中国の北方に属します。春節大晦日には水餃子を食べるのが習わしです。

深刻さを増す情勢

年越しの為に帰省したものの、春節大晦日の武漢封鎖、湖北省封鎖のニュースがあったこと、夫の故郷でも患者が日に日に増えているニュースも出、お正月を祝うムードどころでなくなりました。これ以上事態が深刻になり上海へ移動できなくなることが心配になり、旧暦1月3日に一家で上海に戻りました。

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<数日で築かれたバリケード>

その時になると、街の中の雰囲気は1週間前に上海から夫の実家へ帰省した時とは一変。夫の実家の周囲はバリケードが築かれ、外部からの侵入者を制限する強化が伺えました。外を歩く人はほぼ100%マスク着用。空港ではマスク着用義務、入場時検温がありました。飛行機に搭乗の際、乗員乗客共にマスク着用でした。到着した上海の浦東空港でも検温ゲート通過が義務で長蛇の列ができていました。

上海の自宅へ帰宅後の生活

居民委員会への報告

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<移動の詳細を記す報告書フォーム>

旧正月が明けて早々に上海に戻った私たちですが、要請に応じ、到着後速やかに居住するマンションを管轄する居民委員会(日本の町内会的な自治組織)に対し、上海へ戻った日付、滞在期間、搭乗した交通機関の申請を行いました。私たちは強制的な隔離措置の対象ではありませんでしたが、私の住むマンションでは上海外から戻った住民は14日間の自主自宅隔離が推奨でした。

会社の休業延長、学校の休校延長、日々の買い出し以外のお店の休業

中国では旧正月の時期に流行が深刻化したので、元々多くの会社は正月休み、学校は冬休みでした。企業の春節休みの期間は1週間ほどでしたが、程なくして政府より会社の正月休みの延長がリリース。子供の習い事の休校、学校も冬休み延長が決まりました。街中では日用品や食品を取り扱うお店以外は休業措置となり、ショッピングモールも休業。事実上、日々の買い出し以外の外出先がなくなりました。

発生したスーパーの食材不足、マスク不足

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<スーパーの食材不足が起こる中、食材を豊富に取りそろえていた市場>

上海へ戻って以降の隔離推奨期間中はとにかく不要不急の外出を控え、大人1人が1〜2日に1回程度買い出しの為に外出する以外は在宅。一時期、人々の買いだめから食材を中心に物不足が発生し、スーパーは午前中で野菜が棚から消え、お店には食材を求める長蛇の列が発生し、スーパーでの買い出しに苦労する...ということもありましたが、市内各所にある市場では食材は豊富にあり、食べるものに困る、という事態にはなりませんでした。

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<薬局入り口には「マスクなし」の貼り紙>

マスクについては深刻な品不足が発生し、朝の開店前に薬局にマスクを求める長蛇の列ができ、店が開くとすぐに完売するという状況が連日続きました。このころ、この様子が日本でも報道され、多くのマスクが官民合わせて日本から中国へ送られました。

上海ではその後上海市の措置で市内薬局でのマスク販売が完全予約販売制になり、居住するコミュニティの予約システムで約10日に一回、一世帯5枚のマスクが買えるようになりました。我が家には当面しのげる個人的なマスクのストックがあったものの、いつまたマスク不足になるかもしれないという心配から毎回マスクを予約し購入していました。

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<マスクを日本へ送った郵便の配送窓口>

現在ではネット販売でマスクが購入できるようになり、私も自分用に加え、ネット購入したマスク300個を日本の友人へ送付もしました。

中国の近年の急速な経済・社会のデジタル化と新型コロナウイルス肺炎の流行

どこへ行くにも必要なQRコード

現在上海では既にほとんどの企業で仕事再開となりましたが、地下鉄に乗る際、オフィスビルの入場の際には検温に加え移動履歴に基づくビッグデータから発行されるQRコードの提示が求められます。

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<筆者のQRコード>

上海外から移動して隔離期間が終了しているなど、外出して問題がない人は緑色のQRコード、上海外から上海入りして間もない人や入院中の方は黄色や赤のQRコードとなり、一目でわかる仕組みです。このQRコードはオフィスビルだけでなく、現在人が集まる公園、ショッピングモール、観光地、病院等でも使われます。私が住むマンションでも出入りの際にこのバーコード提示が必要です。

高度なキャッスレス&なんでも気軽にデリバリー出来る社会

上海は新型コロナの流行以前からキャッシュレス支払いと組み合わせたデリバリーが普及しており、夜にふとミルクティーが飲みたくなったらすぐにスマホに入っているデリバリーアプリで注文して飲める、というような生活スタイルが広く浸透していました。

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<マンションのエントランス前に設置されたデリバリーピックアップ用棚>

外出や人との接触を避ける上でも、新型コロナウイルス肺炎流行後、デリバリーの利用者は以前よりも多くなりました。当初は配達員は各部屋のドア口まで来ていましたが、その後自主的に戸口に置いて直接の接触を避けるように。更には配達員のマンションエリアの立ち入りが禁止され、1か所に集約されたマンションのメインゲート前に設けられた棚に置かれた食材を自分で取りに行くか、多少時間がかかるもののマンションの管理会社が届けるかどちらか選べるようになりました。

一方、ネットショッピングで買った品などの配送は原則として管理会社が行いますが、急ぎの場合は荷物配送システムに「お届け」表示が出た時点で倉庫へ取りにいけば荷物を早く受け取ることができます。

また、デリバリーに際しても、規定でデリバリー配送員をはじめ、食事や飲料は調理者、袋詰めした人の氏名と体温を明記して添付する必要があり、受け取る側も安心して口にできるようになっていました。

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上海市内の学校の再開は未定

筆者には小学生の子供がいます。4月7日現在、上海市内の教育機関は大学から幼稚園に至るまで休校となっており、登校再開の正式アナウンスはありません。娘の小学校は2月に入ってすぐに冬休みが始まり、本来であれば2月17日に始業のはずでした。

登校開始はできないものの、始業予定日に合わせ、小学校ではオンライン授業が開始されました。月曜日から金曜日まで午前3コマ、午後2~3コマの授業が実施されています。オンライン授業はケーブルTVとインターネットで全市統一の録画が配信され、PC、タブレット、スマートフォンで授業を受けられます。各コマ20分間の録画による授業の後、アプリ上で教科の先生からの解説や質疑応答をライブで受け、20分間休憩(多くが宿題にあてる)でまた次の授業...という流れです。国語、数学、英語の他、体育、音楽、美術の授業もネットで行います。

宿題はあるものの、登校していた時よりも宿題の量は減ったそうで、楽になったと娘は話しています。以前は宿題が終わらず、22時や23時にやっと寝られる、ということも多々あったため、今は18時には夕飯が食べられる状況で早くリラックス時間が来ている印象です。なので、娘は学校再開は勉強プレッシャーが高まるのでちょっと嫌な様子です笑。

筆者、マンションに居住する日本人住民対応ボランティアに

筆者が住むマンションは上海市内エリアにあり、日本人含め外国人の住民も多く暮らしています。上海ではマンションコミュニティの管理は居民委員会という、日本でいう町内会にもう少し公的な役割がついた組織が行います。

居民委員会が国外の住民への対応に追われている様子を見、筆者は日本人住民向けの説明資料の翻訳や日本人住民が困った際の問い合わせ対応の役を買って出ています。中国に住んで10年近くになる筆者、いつも中国の人に助けられて生活をしており、今回ささやかながらお手伝いができたことを嬉しく感じています。

珍事と言えば、筆者のマンションが外国人の住民も多く暮らすマンションとしてメディア取材を受けた際、筆者の日本語訳文に合わせて携帯番号がそのままネットニュースや映像として流れる事態になり大変びっくりしたものですが、幸いにしていたずら電話などはありませんでした。

上海の流行期を乗り越えた筆者が実践した、日常生活上の感染予防策

現在、市中での感染例が0となっている上海。流行の初めからピーク、そして収束まで上海で生活した筆者が実際日常生活でどのような感染防止対策を行っていたかご紹介します。上海市からの発表など、現地で報道される感染防止情報を基にしたものです。大前提として家を出たらマスク着用必須です。

外から帰宅したら徹底して手洗い・消毒

外から帰宅したら、子供たちが寄ってくるものの、抱っこしたい気持ちをグッとがまん。すぐにアルコール75%の消毒液スプレーかウェットティッシュで手とスマートフォンの表裏を消毒。その後更にしっかり手洗いをしてから子供との触れ合いや家事に取り掛かります。新規患者数が増加している期間は手洗いに引き続き洗顔もしていました。

外出しない・移動しない・集まらない

とにかく心がけたのは「外出しない・移動しない・集まらない」です。1月下旬に上海に戻って以降、子供たち含め、友人と会っていません。大人は出勤の必要があるため、やむを得ず外出しますが、プライベートな理由でマンション敷地外を出てレジャースポットやショッピングモールなどへ遊びに行くことはしていません。

外の共用物に極力注意

ウイルスは手から口へ入ります。公共の乗り物の手すり、ドアの手すり、エレベーターのボタンなど、誰でも触れることができるあらゆる物に注意を払い、なるべく触らないように。触るのであれば手袋やビニール袋を手にはめて触る。もしそれらの物がなく手で直接触れた場合は、帰宅後速やかに手指の消毒・手洗いを行います。

外で目や鼻、口に触れる際は注意

新型コロナウイルスは目や鼻などの粘膜からの感染可能性があるとも言われています。口や鼻は多くの場合マスクで覆われているので外で直接触ることは少ないのですが、目については外でかゆくなって触りたくなったときは要注意。ベストは手洗いですが、なければ消毒してからかくようにしてください。

外食時は人との間隔をあけマスクを極力つける

こちらでは職場へのランチは持ち込みが推奨されていますが、レストランや食堂など外食をする場合は、人との間隔を1m以上あけること、また食事をする間際までマスク着用。食事中は人と話さずに食べる。食べ終わったらすぐにマスクを着用すること、マスク着用後に人と会話してもよい、となっています。

筆者が今思っている事

世界的な感染拡大により、中国から日本への帰国も難しくなったものの・・・

外国からの持ち込み症例の増加から、現在中国は入国を厳格に規制しており、日本人に対してはノービザ15日間滞在の暫定停止、中国に合法的に滞在できる有効期間内のビザを所持していても、中国を出国した時点で無効措置となり、大部分の日本人は中国に入国できなくなりました。筆者が所持しているビザも中国を出れば無効になり、仕事をしている筆者はよほどの理由がない限り日本に帰国することが難しくなりました。

もっとも、今は世界各地で新型コロナウイルスが蔓延しており、世界のどこへ行っても感染リスクゼロで避難できる国はありません。一般市民にできることは、事態が収束するまで個々人がしっかりと感染予防に努めてこれ以上の流行拡大を避けることに尽きます。

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<外食自粛中のため、初めて自作した広東風土鍋炊き込みご飯の「煲仔饭(バオザイファン)」>

家にいる時間が長くなり、いつも以上に家族との時間が増え、この数か月で家族間の絆がより深まった実感があります。ちょっと手がかかる料理にチャレンジしたり、工作キットを購入して親子で挑戦したり、家の中の断捨離を始めたりと、これまで家でできなかったことをするまたとないチャンスでもあります。

一般市民ができることは個々人の感染予防に尽きる

上海の流行期の始まりはデマも飛び交い、不安でいっぱいでニュースを追い続け精神的にも疲労しました。しかし、一般市民にできることは感染予防に尽きること、感染予防策を一人一人が徹底する以上のことはないと気づきました。気づいた後は、新型コロナウイルスに関する最新情報を取り、適度に情報をアップデートさせ、あとは自分の時間にあてるようにしています。流行が収束したら・・・と思って一時期中断していた中国語のレッスンも再開しました。

この原稿を書きあげた日に、日本では緊急事態宣言が発令されました。日本の流行が一日も早く収まることを願っています。行きたい場所に、行きたいときに旅に出られる、会いたい人や景色に気軽に出会える日常が今となってはとても尊いものに感じます。いつか自由に旅ができる日が来ますように。この記事を読まれている読者さんもどうぞお気をつけてお過ごしください。この記事が何かのお役に立てれば幸いです。

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