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首都にピューマ現る。南米チリでの新型コロナウイルスの現状(2020年5月4日現在)
今回は南米チリでの新型コロナウイルスの様子をお伝えします。筆者はふだん、チリで日本語を教えていますが、去年は副業でおにぎりや日本食を売り、お金を貯め、今年は1学期間休みをもらって日本やアジアを旅行する予定でした。アジア旅行はできましたが日本旅行はキャンセルとなり、今は日本の実家でニート暮らし...。5月末にチリに帰る予定でしたが、現在帰りの飛行機はキャンセルになっています。こんな時、遠く、直行便のない国に住むのは大変だなあと思います。
この記事を書くにあたり、チリにいる友人たちに電話をして状況を聞きました。
目次
南半球にやってきた新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの発症地である中国・武漢からは、地球の裏側にあるチリ。最初の影響は、中国製品が届かなくなった、ということだったようです。携帯の充電器やイヤホンなどを売る友人が、仕入れができなくなったと嘆いていたのが2月11日。
その後、3月になって、夏休み(1〜2月)を終えてヨーロッパやアメリカへバケーションに行っていた人たちから感染が始まりました。
3月16日の時点での感染者は156人でしたが、3月18日には国境封鎖、3月22日には全国で夜10時から翌朝5時までの外出禁止令が出され、夜間のレストランやバーの営業はできなくなりました。南北に2,000kmに及ぶチリでは地域によって感染の度合いも違うため、「義務的自宅待機措置」は地域ごとに出され、それが出ている地域はいわゆるロックダウン状態に。学校や大学は夏休みが終わって新年度を迎えたところで、もう一度休校やオンライン授業となりました。
チリの日本大使館からの情報によると、5月4日現在の感染者は2万人を超えています。首都圏での感染者が65%を占め、私が住むLosRios県では199人ですが、人口は約40万人しかいないので、感染率は日本よりずっと高い計算になります。しかし現在は県によって少しずつ外出規制が緩和しつつあるということです。
ロックダウンでピューマ現る
珍しいニュースがありました。なんとピューマが首都サンティアゴの住宅街に現れたのです。
>>>Capturan a un segundo puma salvaje en medio de la cuarentena de Santiago de Chile(RT)
ピューマは、普段は首都近くの山の中に住んでいるようですが、ロックダウンで静かすぎるため、街に降りてきたようです。何匹かが現れ、捕獲されて動物園の獣医さんにチェックを受け、山に帰されたとか。日本でも奈良公園の鹿が街に出てきたというニュースがありましたね。チリではそれがピューマでした。
私は南部の地方都市の田舎に住んでいますが、夜バスを降りる時などには、よく「ピューマに気を付けるんだよ」と言われていました。それは別れ際の習慣的挨拶なだけだと思っていたけど、ピューマって本当にいるんだ...。とびっくり。しかも自然破壊の進んだ首都サンティアゴでピューマが出るくらいですから、南部の田舎町でロックダウンになったら、どれだけピューマが出ることやら・・・。
ちなみにピューマは田舎の人たちには「León(レオン)」と呼ばれています。Leónはスペイン語でライオンですが、もちろんアフリカのライオンはいません。ここではピューマがライオンです。それだけカッコよく、しかし恐れられているということでしょうか。
田舎暮らしの強み
田舎で同じ森の中に住んでいる友達たちに電話をすると、「まあ、正直私たちの暮らしは何も変わらないよね」とのこと。
現金収入は、もともとオンラインの仕事で、いつも家にいる彼女たちは今、畑の野菜の収穫や、リンゴ拾い、きのこ探しに精を出しています。
街での買い物は極力避けて、隣に住んでいる友人たちの分も一緒に購入。こういう非常事態時には田舎生活は強いなあと思います。畑の食べ物、湧き水、薪(まき)があれば暮らしていける心強さ。私も日本に来ずにチリに居れば、日本語の授業はオンラインで教え、毎日田舎生活を満喫することができたのに、と思うとちょっと残念です。
チリは今、秋。秋は畑のキャベツでザワークラウトを作ったり、りんごを拾って、リンゴジュースやリンゴ酢を作ったり、森できのこを探して干したり、味噌を仕込んだりと、手作りオーガニック生活を満喫できる季節なのです。
新型コロナウイルスによるロックダウンの経験によって、自然の中で暮らすことの価値や安らぎを再認識させられた人は世界中にたくさんいるのではないでしょうか。
冬がやってくる
南半球にあるチリは北に行くほど暖かく、南に行くほど寒くなります。チリ南部の冬は日本の東北や日本海側のような感じで、天気が悪くて長いです。アンデス山脈の近くでなければ雪が降ることはめったにないけど、暴風雨で停電になり休校になる日もあります。
そんな南部の冬の楽しみといえば、家で友達や家族とぬくぬくすること。田舎の家には大抵、薪ストーブがあって、部屋を暖めてくれるだけでなく、オーブンでパンを焼いたり、料理をしたりできます。
コロナウイルスによる外出制限で、家にいるしかない毎日。食べることが大好きなチリの友人たちは、薪ストーブに火を入れて暖をとり料理やパン作りで毎日を楽しんでいるようです。
しかし、貧富の差が大きいチリ。貧しい人たちや街に住んでいる人たちにとっては、外出制限で収入がない中で冬がやってくるという厳しい状況です。田舎に住んでいれば、どこかから薪を拾ってくることができますが、街に住んでいれば薪は買わなければならず、お金がかかります。ガスや電気のストーブ代も高いため、寒さを我慢して暖房費を節約しなければなりません。家が寒いと風邪をひきやすく免疫力も下がってウイルスに感染しやすくなってしまいます。
一刻も早い新型コロナウイルス感染拡大の収束と、的確な政府の財政援助があり、みんなが無事に冬を乗り越えられることを心から祈ります。
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IZUKAWAUSO
- 日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。