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【新型コロナウイルス】外出禁止令が出ても快適なロシア・モスクワ生活(2020年4月14日現在)
<雪のない時期は日常的に散水車が走っていますが、現在は消毒液をよく入れて散水しています>
新型コロナウイルスの影響で外出禁止令が出ているモスクワの現状につきまして、ロシア人の夫と共にロシアに在住する私チェブラーシカがお伝えします。
目次
ロシアの状況
コロナウイルスの感染が中国で始まった1月下旬、プーチン大統領は、すぐに中国との国境を閉じ、団体旅行を中止しました。日本でコロナウイルスの感染者が増えているころ、ロシアの感染者は2人のままでした。観光名所、ホテル、レストラン、旅行会社、お土産屋さんと中国人の観光客がいなくなってからは、街の様子がすっかり変わりました。2月20日には、中国人の個人旅行も禁止し、ビザを発給しなくなりました。
ロシアは、感染者が少ない時でも、容赦なく国境を閉めました。それは、一貫して、経済より人命を大切にするという考えがあったからです。
3月6日にイタリア旅行から帰国したロシア人が感染し、そこから、徐々に感染者が増えていきました。
3月16日からは、学校が自由登校となり、いつもは1週間の春休みを3週間に延長し、学校も休みになりました。
3月18日からはすべての外国人の入国を禁止しました。ここでも決断が早く容赦はありませんでした。数分おきに夜中でも飛行機が飛んでいた我が家の上空は、現在静かになりました。
さらに、3月26日にプーチン大統領は、全ロシア国民に向けて、3月28日から4月5日までを非労働期間にすると演説。しかし、この1週間の間も感染者の数は増え続け、あっという間に3,000人以上となり、4月1日にはロシアの感染者の数は、日本の感染者の数を上回りました。4月2日に改めて演説を行い、非労働期間は、4月30日まで延長となりました。特に、モスクワの感染者が突出していて、モスクワの感染者だけで日本の感染者数を上回っているくらいです。
ロシア国内の各都市の感染者の人数は、こちらから見ることができます。
>>>Карта распространения коронавируса в России и мире(ロシアおよび世界におけるコロナウイルスの分布の地図)
プーチン大統領は、まだまだ感染者が増えると予想していて、コロナウイルス専用の病院をモスクワだけでなく、他の都市にもどんどん建設しています。
食品工場で掃除の仕事をしている義母の話によると、コロナウイルスが流行り始めてからは、ドアの取っ手や壁を徹底的にアルコールで消毒し、職員の感染も恐れ、毎日体温を測るようになったようです。食品工場で働いているため、4月30日まで休むことができず、4月6日からは、1週間に2回、仕事へ行くことになりました。いつもは地下鉄の始発で出かけていましたが、外出制限が出ている時期なので、会社の車が家まで迎えに来てくれることになりました。義母は社長とかではなく、ただの従業員です。それでも、ここまで手厚くしています。
3月中旬から夫の会社でも検温が始まりましたが、まもなくリモートワークに切り替わり、今は毎朝体温報告をして、ずっとリモートワークです。
小学1年生の姪は、4月6日からは、毎日ロシア語と数学を1時間ずつ合計2時間の学習が始まりました。文学という教科は自分で学習するようですが、ロシア語と数学に関しては、毎日授業を受けることができます。モスクワ市内でも学校によって取り組みが変わるようで、姪の友達の他の学校では、3月23日からオンライン授業を始めた学校もあるようです。16日から自由登校となり、早い学校では1週間後の23日からオンライン授業を始めたことになります。音楽学校の楽器のレッスンなどもオンラインでどんどん授業が行われています。
学校独自だけでなく、ヤンデックス(ロシアのYahoo!みたいなもの)のオンライン授業も毎日9時から4時間ずつ5年生から11年生まで見ることができます。特に利用者の規制もないため、私も興味がある科目を見ています。日本からもリアルタイムでは難しくてもビデオで見ることができます。
>>>Яндекс.Уроки(ヤンデックス・チュートリアルズ)
ロシア正教の教会も政府が自粛を求めるまでは、開いていました。それでも、感染者が増え始めたころから、礼拝に訪れる信者の数は少なくなりつつあったようです。非労働週間になってからは、教会での礼拝も禁止され、こちらもオンラインで礼拝が行われています。4月19日に、パスハ(復活祭)というロシア正教で大事な行事がありますが、1週間前からモスクワ市内の墓地はすべて閉鎖となり、人が集まらないようにしています。
非労働期間の過ごし方
モスクワ市の感染者はロシア国内の都市の中でも突出して多く、4月2日の時点で日本全体の感染者の数を上回りました。
モスクワ市は、プーチン大統領の命令とは別に、さらに厳しい外出禁止の条件が出ています。4月15日からは、仕事、病院、外出する場合は、デジタルパスというものを持って出かけないとなりません。それを持っていないと罰金となります。近所のスーパーへ行く場合は、このパスを持っていなくても行くことが可能です。
非労働期間と言っても、スーパーなど最低限生活に必要なお店が開いているので、買い占めも起こらず、冷静に買い物をしている人が多いです。また、物流も滞っていないため、市民は安心して暮らしています。20階建て以上のアパートが建ち並ぶ街ですが、品物は十分にあります。
<スーパーの棚には品物がしっかりあります>
<20階建て以上のアパートが建ち並んでいます。手前の低い建物は小中高校です>
市民が自宅にとどまっているかどうかも、スマートフォンのGPS機能を使って監視が始まりました。ヤンデックスにアクセスできるスマートフォンを持っている人しか数値をカウントされないため、100%正確な数値とは言えませんが、大まかな数値は分かります。ちなみに、ロシア国内でスマートフォンを持っている人は55%なので、信ぴょう性は低いです。参考程度に見てください。
>>>Индекс самоизоляции(自主隔離指数)
公園などもすべて封鎖され、アパート前のベンチや公園もこのような感じで赤いテープが貼られています。
<公園の遊具もテープが貼ってあり、遊べないようになっています>
さて、自宅での過ごし方ですが、普段からオンラインシステムが進んでいるロシアなので、劇場はすぐにオンラインでのコンサートを開始しました。自宅にいて無料でコンサートを楽しめるということで、私はかなり観ました。
ボリショイ劇場の配信は、時差があるにも関わらず世界中からリアルタイムで観ていて、チャットで多言語が飛び交っていました。このビデオを見ることによって、事態が収束して海外旅行ができるようになったら、生でボリショイ劇場のショーを見たいと夢をもった人もいると思います。ボリショイ劇場について話を聞いていたけれども、ビデオ映像を見て、益々見たくなったという人もいると思います。そして、アクセス数が増えれば劇場の収益にも繋がると思うので、こういう取り組みはいいなと思いました。
劇場だけでなく、美術館もオンラインで見られるところが結構あります。主なところをいくつか紹介します。
クレムリン
クレムリンの武器庫や教会内部のオンラインツアーのページです。クレムリンのホームページはロシア語のみではなく、英語と中国語に対応していますが、ロシア語ページのみにこのオンラインツアーの情報が出ているので、ロシア語のページから入ってください。Google翻訳をかけながら見ると、教会内部や武器庫の展示物の説明を日本語訳で見ることができます。まだ行ったことがない人は、ずいぶん詳しく予習することができます。行ったことがある人は、写真の整理をするときに使えたり、復習をしたりもできます。私も新たに発見したことがあり、クレムリンがオープンしたらまた行きたいと思っています。
トレチャコフ美術館
トレチャコフ美術館所蔵の作品をオンラインで見られます。生で見るのとは全然違いますが、次の旅行先をロシアにしようと思っている方は、予習をすることができます。もちろん、ロシアへ行ったことがある方は、復習を兼ねて絵を見てください。
https://www.tretyakovgallery.ru/en/collection/
チャイコフスキーコンサートホール
チャイコフスキーコンサートホールのコンサートのビデオはいつでも見られます。ライブ映像を見ることもできますが、モスクワと日本の時差は6時間あり、モスクワでコンサートが始まる19時は日本だと夜中の1時です。リアルタイムで見るのは難しいと思うので、ビデオでコンサートを鑑賞してください。メールアドレスを登録する必要がありますが、無料で見られます。コロナウイルスが流行る以前のビデオもたくさんあるので、クラシックファンであれば楽しめると思います。
モスクワ市内の博物館
モスクワ市内の博物館の所蔵品もオンラインで見ることができます。残念ながらこちらのページはロシア語のみですが、Google翻訳などを利用して見てください。
この他にも文学に関する講演会などもオンラインで見ることができ、自宅にいながら、音楽や美術に触れることができるので、外出禁止の最中でも快適に過ごせています。
<20階建て以上のアパートが建ち並んでいますが、緑も多いので圧迫感がありません。各建物の入り口とエレベーターは、毎朝消毒をしています>
ペレストロイカとソビエト崩壊を経験した私の家族の備え
義母と夫は、ペレストロイカとソビエト崩壊を経験しています。日本やヨーロッパの状況を見て、少しスーパーで買い物をしておいた方がいいと私が焦っていても、2人はそんな必要はないとのんびりしていました。というのもその昔、品物がなくなる前に買いだめをしたようですが、虫が食って結局買いだめした品物を捨てることになったようです。その経験があるのと、どんな時でもスーパーは開くということが法律に明記されているようで、2人は落ち着いていました。私がスーパーなどへ行ってロシア人の買い物風景を見ても、皆さん本当に冷静に買い物をしていて、近所のスーパーでは買い占めなどが起こっていません。
また、ロシアの冬は寒く、昔は野菜がとれなかったので、夏の間にダーチャ(別荘)で作った野菜を収穫し、それを保存食にする習慣があります。キュウリ、トマト、パプリカをピクルスにしたり、ズッキーニなどの瓶詰を作ったりします。我が家は、硬くて葉がぎっしり詰まった秋のキャベツを買ってきて、キャベツの漬物を11月からずっと作っていました。材料は、ニンジンとキャベツと塩で出来ます。
<自家製のキャベツの漬物。一番大きい瓶は3Lです>
この冬は、このキャベツがなくなることなく毎日食べることができたので、こういう外出が制限される中でも常に野菜があるというのは助かりました。ロシアと日本で湿度が違うため、同じような作り方をして成功するかどうかは分かりませんが、日本にも梅干や漬物の文化があるので、やはり昔からの食生活は理にかなっていると思いました。
穀物もお米だけでなく、きび、麦、そばの実、小麦粉など、保存がきくものが充実しているので、毎朝おかゆにして食べたり、スープに入れたりなどしています。
<我が家で常備しているもの。エンドウ豆を乾燥させたもの、お米、きび、そばの実、麦など>
ほっこりする話
だんだんロシアでの感染者が増えてきていた3月22日に、ロシアはイタリアへ軍の派遣をしました。イタリアでは桁違いに感染者が増えている時期のニュースでした。ロシアと言えば、2014年のクリミア併合後、ヨーロッパなどの経済制裁により、経済はボロボロになっています。それなのに、ヨーロッパが困っていれば助けます。
さらに3月31日には、アメリカが医療器具不足になっているということで、医療器具を乗せた飛行機もニューヨークへ飛びました。3月31日といえば、ロシアの1日の感染者が500人を超えた日で、今後も感染者がどんどん増える時期の出来事です。そしてアメリカと言えば、クリミア併合後の経済制裁を率先して行った国です。それでもアメリカが困っているとなれば助けます。これがロシア人の心です。
コロナウイルスが終息したら、ロシアの食事、文化、ロシア人の心を味わいにぜひロシアへいらしてください。
<ガイドブックにはこのような写真は載っていないと思いますが、郊外のアパートはこんな感じです。各家で壁紙、シャンデリアなどの内装にこだわって部屋を作るので、中に入ると素敵な家が多いです>
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