モスクワの赤の広場で行われる本祭り

こんにちは。日本語、ロシア語問わず、モスクワで本を読んでいるチェブラーシカです。日本語の本は日本大使館で借りることができ、ロシア語の本は、モスクワ市の公共図書館で借りることができます。

モスクワの6月。気温は20度を少し超えたくらいで、湿度が低く、日が長く、1年で一番いい時期です。

6月6日のプーシキンの誕生日の前後の数日間にわたって、赤の広場で本祭りが行われます。在露邦人の認知度も低いのか、イベントで見かけることはありませんが、無料で楽しめるイベントなので、紹介します。

目次

本祭りとは

2015年に始まった本祭り。2025年は、11回目を迎えました。2025年は、6月4日から7日まで行われました。

本祭り会場入り口

日本では、書店がつぶれているようですが、ロシアでは、本屋さんがつぶれることはなく、赤の広場が数日間本屋さんになります。入り口で荷物検査がありますが、入場が無料なのも嬉しいです。

日本では、全国区で同じ本が売られますが、ロシアは、国土が広すぎます。そのため、その地域だけで、全国的に売られていない本もたくさんあります。
本祭りでは、そういう地域限定の本も集結して売られるので、見ているだけでもものすごく楽しいイベントです。

どんなことができるの

2017年からモスクワに住んで、2018年にこのイベントのことを知りました。しかし、2018年は、他の用事があったので行くことができず、2019年に初めて出かけてみました。

ロシア全土の本が売られている会場内

ロシア全土の本が売られていて、地域によっては、民族衣装を着た売り子さんがいたりします。その地域へ行ってみたい場合は、本の話だけでなく、その地域の話をするなど交流できるのも楽しいです。

当初買う予定がなかった本でも、たまたま居合わせた人が見ているのを横から見ていて、素晴らしい本を知ることができたという場合もあるし、売り子さんがすすめてくれた本がいい本だったという場合もあります。

何より嬉しいのが、日本のように本の定価が決まっていないので、本祭りの時は、半額くらいの値段で売られている本に出会えることもあることです。

2020年は、コロナ禍で外出するには、QRコードが必要でした。そのため、私は、出かけることができませんでしたが、パンデミックの最中でも開催されたほどの人気のあるイベントです。

コロナ禍を挟んで、2023年、2024年、2025年と毎年出かけています。

この3年間は、本祭りの開会式と、その後行われる音楽会を聴きに行っています。この開会式を私の知り合いの出版社の人がしきっているので、織姫と彦星のように1年に1回本祭りの日に会うのが恒例になりつつあります。

開会式では、プーチン大統領ご本人は来ませんが、クレムリンの補佐官が挨拶文を読み上げます。2024年は、ゴリコワ副首相が挨拶に来て、2025年は、イスタンブールで停戦会議を終え、帰国したばかりのメディンスキー大統領補佐官が読み上げました。

その後、音楽会が行われます。2023年は、ピアニストのボリス・ベレゾフスキーさんの教え子の10代の若者のピアノ演奏でした。

大人顔負けの素晴らしい演奏で、聴きごたえがありました。赤の広場で鳴り響くヤマハのピアノ。ラフマニノフやプロコフィエフなどの演奏でした。ここで演奏した若者の一人は、今年の秋日本でのコンサートの予定があります。数年後にはピアニストとして、世界中で演奏する人もいると思います。

2024年は、プーシキン生誕225年の年だったので、プーシキンの詩にスヴィリードフが音楽をつけた合唱曲が演奏されました。

プーシキンのロシア語の響きがあるステージ

プーシキンのロシア語の響きと、スヴィリードフのロシアらしい旋律が赤の広場に鳴り響き、感動しました。屋外なので、雷雨が心配でしたが、雨雲も吹き飛ばすくらいの迫力でした。

そして、2025年は、イーゴリ公の物語が出版されてから225年なので、アレクサンドル・ウラジーミロヴィチ・チャイコフスキーという現代の作曲家が作曲した『イーゴリの戦没物語』の演奏がオーケストラと朗読によって行われました。

オーケストラでは、ロシアの民族楽器のバラライカやドゥムラーも使われる

オーケストラでは、ロシアの民族楽器のバラライカやドゥムラーも使われ、ロシアの古代の歴史を感じる壮大な音楽と朗読を赤の広場で聴きました。

朗読者は、チェブラーシカの実写版でゲーナを演じた人で、会場は立ち見の人が溢れるほど人気でした。過去3年間で一番の集客数でした。

本祭りの初日の12時から行われる開会式と演奏会は、おすすめです。もちろん、無料です。

また、アニメーションの神様と言われているユーリー・ノルシュテインさんが、毎年会場でサインをしてくださいます。日本だと、宮崎駿さんが会場にいてサインをするようなイメージです。

ノルシュテインさんのポスターや本を買うと、「○○さんへ」と相手の名前と日付を書いて下さいます。

ノルシュテインさんは人気でサインをしているところ

ノルシュテインさんは人気で毎年、サインを求める人で長蛇の列になり、メディアの取材もひっきりなしに行われています。

それぞれのブースで各地域の本、子供向けの本、画集、漫画やコミックなどが売られています。隅から隅までじっくり見ると、かなり時間がかかりますが、モスクワでは手に入りにくい本もあるので、ロシア語が分かる人は、売り子さんと会話をしながら楽しめると思います。

また、モスクワ市内にある大型書店もいくつか出店しています。しかも、本祭りの時は、実店舗の値段より25%引きになっているので、欲しい本があれば、お得に買うことができます。

6月上旬はロシアの子どもたちは夏休みになっているので、親子連れで来る人もいます。

プーシキンのパネルの前で、妹たちに説明する姉の姿

プーシキンのパネルの前で、妹たちに説明する姉の姿を目撃したことがあり、こういう和やかな風景を見られるのもこのイベントならではだと思いました。

子供向けの絵本もたくさん売られています。私のロシア語力からすると、絵本で充分なので、絵本コーナーもよく見ます。すると、売り子さんが「お子さんは何歳?」と訊いてきます。

「えっとー、自分用を探しています。」というのが恥ずかしいのですが、絵本の絵がきれいなものもあるので、ロシア語が分からなくても、絵に一目ぼれで買うというのも観光客の場合はありだと思います。

数日間行われますが、最終日に行くと、品切れになっている本もあります。初日の10時のオープンから開会式が始まる12時までに本売場を見るのをおすすめします。

この時間帯だと、人もまだ少なく、各売り場をじっくり見ることができます。そして、12時から13時まで演奏会を聴き、再び、本売場を見ると、その頃は、もう人がたくさんいて、各ブースに近づくのに時間がかかる場合もあります。

また、各地から運んでくる本の数に限りがあるので、気に入ってどうしても欲しいものは早目に購入するのをおすすめします。

赤の広場には、比較的きれいな無料のトイレがあるので、トイレの心配もありません。

無料で水も配られている

無料で水も配られています。10時から22時まで講演会や音楽会などのイベントも行われます。

子供たちなら、マスタークラスなどのイベント会場

子供たちなら、マスタークラスなどのイベントが行われているので、ホームページや案内所でプログラムを確認して、1日中楽しむことができます。

お腹がすいたら、グム百貨店の3階にある食堂やフードコートで食べるといいです。

グム百貨店の1階の通路でも本祭りのイベントを開催中

グム百貨店の1階の通路でも本祭りのイベントを開催中で、こちらでは、主に古本が売られています。ソビエト時代の本など掘り出しものを見つけられる場合があります。ちなみに、私は今年、ソビエト時代に出版された本を買うことができました。

本祭りのホームページを見ると「VK」とあります。Facebookのロシア版みたいなものです。そこをクリックすると、過去に行われた本祭りのコンサートや講演会などのイベントのビデオを見ることができます。

赤の広場

  • 所在地:Red Square, Moscow, ロシア 109012

まとめ

だだっ広い赤の広場を見たかったのに、本祭りをしていて、テントやステージが邪魔と思うかもしれませんが、6月の上旬にしか味わえないイベントなので、この時期にモスクワを訪れた場合は、気持ちを切り替えて、楽しんでください。

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チェブラーシカ

高校3年生の時に好きになったロシア。音楽、文学、歴史、美術、バレエ、料理、ロシア人気質などに興味をもちました。でも、ロシア語を専門に学んだことはありません。ロシアが好きでいろいろ知るうちに、2016年12月にロシア人男性と結婚し、2017年4月からロシアに住むことになりました。普通のガイドブックには載っていない情報をお届けします。

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