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ガイドブックには載らない魅力。ボリビア『ウユニ塩湖』を駆ける

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記事投稿日:2018/10/09
最終更新日:2018/10/09

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ウユニ塩湖といえば、雨上がりに塩の大地にできた巨大な水たまりに、世界をそっくり映したような鏡張りができる世界有数の観光地なので、今更僕が説明するまでも無いだろう。

そのウユニ塩湖は、水のない乾季ならば自転車で走る事ができるので、今回はガイドブックには載らないウユニ塩湖の魅力を紹介。

  • 場所 ボリビア南部 
  • 距離 タウア~ウユニ
  • 走行期間 11/3~11/15

目次

塩湖に向かうための試練

ウユニ塩湖を観光する場合、ボリビアの首都ラパスから550km南にあるウユニの町からツアー会社で行くのが一般的だ。

しかし、自転車という自由に移動できる手段を持っているのに、町と塩湖の往復では面白みにかけるので、塩湖の北にある小さな集落タウアから塩湖の中央に位置するインカワシ島を経由してウユニの町に向かうコースを選定。

タウアに行くにはラパスとウユニを結ぶ国道30号線からサンティアゴ・デ・ウアリの先で右折し、荒野に延びる国道603号線でサリーナス デ・ガルシ= メンドサに向かい、そこから未舗装のでこぼこ道を50km進まなければならず、ボリビアならではの険しい道のりが待っている。

砂にタイヤをとられて何度も転び、岩だらけの道を数km押したりといくつかの試練を乗り越えると、ようやく憧れのウユニ塩湖が広がっている。

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いざ、ウユニ塩湖へ

塩湖入口のタウアに着くまでは、乾いた草原や砂漠を挟むように木が1本も生えていない赤茶色の山々が続く道だったが、タウアを出たとたん雪原にでも迷い込んだかのような、一面真っ白な世界に変わり、サングラス越しでも目がくらむほどまぶしく輝いている。

いくら車が走れる湖とは言え、そこには道路や標識などは無く、GPSなんてもちろん持っていないので、50km以上先にあるインカワシ島に向かって伸びているであろう車のタイヤ痕を頼りに走る必要がある。

タイヤ痕のある場所は日々の車の通行によって大地がならされ、表面が滑らかになって走りやすい。

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しかし、1歩奥に踏み込むとそこには塩湖の水が蒸発してできた塩の結晶が無数の六角形を作り、一面芸術作品のように幾何学模様が浮かんでいる。

塩の模様は高さ3cmほど。塩が固まってできたので固いのかと思えばそうでもなく、小さな結晶が積み重なっただけなので、踏むとサクッと子気味良い音をして簡単に崩れてしまう。

自転車でも乗り越える際に多少の振動はあるが、人や車の通った痕跡のない塩の紋様の上を進んでいくのは気持ちが良く、インカワシ島を目指しながら無駄にジグザグに走り悦に入る。

何せここには道路も信号もない、湖の上だ。ルールに縛られず好きかって走っても、誰にも文句は言われない。

湖の直径は約150km、その内ツアーで行く場所はインカワシ島を含め湖東部に集中しており、塩湖北部は地元民がごくたまに使うくらいで交通量はほとんどなく、見渡す限り人はいない。

そして、風が止んだ時は耳鳴りがするほどの静寂が訪れ、白い台地を独り占めし、十分に堪能することができるのだ。

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ウユニで嵐に襲われる

しかし、車が来ないおかげでのんきに走れたのもつかの間、ふと後ろを振り返った時タウアにあった5,000m峰の山が黒い雲に覆われている。

塩湖に向かう途中同じように黒い雲と茶色い霧のようなものに巻き込まれたことが2回あったが、それはこの地特有の砂嵐。地平線が茶色く染まっているなと思えば、不穏な風と共に徐々に茶色の空が近づき、太陽が隠れて暗くなりだした途端一瞬にして吹き飛ばされそうなほどの暴風と砂礫の嵐になり、タイミングが悪ければ命にかかわりそうなほど凶暴な天気となる。

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塩湖上であれば飛ばされる砂が無いので、砂のつぶてによる攻撃は無いが、遮るものがない場所で台風のような強風に吹かれた日には、自転車ごと吹き飛ばされてしまう可能性もある。

これはまずいと、走行するのは早々に止めて車にひかれないよう、メインルートから1km横にそれた場所にテントを張ることにした。

しかし、荷を外しだしたタイミングで嫌な風が吹き出し、テントの設営を開始したところには暴風圏に入ったため、テントのポールを建てることもままならない状態に。

これ以上は風がある間はどうしようも出来ないので、ポールをテントに通すのは諦め、テント内に荷物を詰め込んだ後は、まるで風呂敷のような姿になったテントにくるまる。

タイミングが悪いことに、数日前にキャンプ中に砂嵐に襲われたせいでテントのファスナーが壊れて入口が閉まらないので、暴風で激しく揺れるテント内で雨風が入り込まないよう、入口をぎゅっと握りしめながら嵐が過ぎ去るのを必死に耐えていた。

1時間ほどたっただろうか、握力は限界に達し狭い空間で体を縮めてうずくまっていたせいで体中が痛みだしたころ、ようやく風が弱くなる。

次いつまた嵐が来るかわからないので今のうちにテントを張り直し、テント本体はチャックが壊れているので雨風に耐えられるようフライシートも張ろうとしたのだが、地面はアスファルトのように固く堆積した塩のプレートの為、ペグが刺さらず、途中でペグを打ち付ける金づちの方が折れてしまった。ペグを刺すのを諦め、おもりを紐で縛って固定させる。

これでようやく足を延ばして横になることができ、多少の風程度なら問題なく朝を迎えることができるだろう。

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幻の島へ

翌朝風は弱まり青空も戻り絶好の自転車日和となったので、朝食をすました後20km先のインカワシ島に向かう。

インカワシ島は地面と空気の温度差からできる浮島現象により、有名アニメ映画の島のように地平線上に浮かび、近くには山や木が無いので距離感がつかめず、走っても走っても近づいている感覚は無く、逃げ水のように永遠と近づけないような気さえしてくる。

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「目の前に見えるのはじつは蜃気楼で作られた幻で、インカワシ島は別の所にあるのでは?」とも思えたが1時間ほどで島に到着。

サボテンだらけの島を観光した後、塩で作られたテーブルで昼食をとり、今度は進路を東へととる。

島から東はツアーの四駆が無数に走っているため、車を避けるようにメインルートを外れて、昨日同様に塩のアートの上をサクサクと音を立てて鼻歌交じりに自転車を走らす。

ウユニ塩湖の贅沢な楽しみ方

急いで走ればこの日のうちにウユニの町に着くこともできたが、それではもったいないので、もう1泊しようと早めにテントを張り景色を眺めたり、写真撮影したりとのんびりとした時間を過ごす。

塩湖の表面をよく見ると、時折岩盤が剥がれていることがあり、岩盤の表面は雨風で汚れて茶色くなっているが、ひっくり返すと直径数mmの台形型の綺麗な塩の結晶が取れるので、夕飯は塩湖でとれた塩の結晶で特製スパイスカレーを作り、食後はコーヒーを飲みながら星空を眺める。

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真昼の強い日差しを浴びた大地は目が眩むほど白く、塩の大地として非常にインパクトに残る景色となるが、朝夕の優しい光が差す時間帯はその白さも柔らかく温かみのある色へと変貌し、空が赤く染まる頃は大地も朱に染まり、月が浮かべば淡くうっすらと青に染まる。

日中だけ走ると最初こそその広大さに感動するが、景色に変化が無さ過ぎて途中飽きてしまうのだが、1日滞在することで様々な顔を見せてくれるウユニ塩湖の魅力にどっぷりはまり、世界中から観光客が来るのは伊達ではないと実感させられた。

時間と共に変化する塩湖と、遮るものが無く全天に広がる満天の星空を、心行くまで静かに観賞すること。

これぞキャンプならではの贅沢な時間であり、人力旅の特権と言える景色と時間であった。

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