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チリ南部1200km、チャリダーの聖地『アウストラル街道』を駆ける

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記事投稿日:2018/07/05
最終更新日:2018/07/05

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目次

自転車大好き!通称チャリダー

普段みなさんが旅している時に見て思い出に残る光景は、風光明媚な景色や有名な観光地であったり世界遺産の建物だったりしますよね。目的の場所から次の目的地への移動はバスや飛行機を使い、読書や寝ている間に新しい街に着くことも。そんな町から町へと自転車に家財道具一式を積んで走り、観光地よりも走りながら見れる景色が大好きな自転車乗り、通称チャリダー達がどんな景色を見て何を感じているのかを紹介したいと思います。

チャリダーの聖地『アウストラル街道』

今回は南米の太平洋側に細長く伸びるチリの南部にある、チャリダーの聖地と呼ばれる『アウストラル街道』をご紹介します。

僕が走ったのは 2018年2月10日~3月20日にかけてで、この時は街道の北部が土砂災害の影響で一部不通になっていたため、プエルトモントから南西部にあるチロエ島を経由して、チロエ島南部のケジョンからアウストラル街道のあるプエルト・バルマセダへと渡ります。

  • 場所:チリ南部
  • 距離:1,200km
  • 出発地点:Puerto Montt(プエルトモント)
  • 到着地点:Villa O'Higgins(ビジャオヒギンス)
    ※本来はチロエ島経由せず、チャイテンを経由するコース

世界遺産と海鮮の街で英気を養う

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プエルトモントとチロエ島は海鮮が有名で、市場に行くと日本以外では見たことないウニやホヤ、フジツボが売られ、セビーチェ(中南米の海岸地区で食べられる魚介のマリネ、特にペルーのセビーチェが絶品)にして売られているので、その場で食べることができる。

久しぶりにウニを食べたが、塩気が強くウニ特有の濃厚なうまみとコクは感じられないので、生で食べずに調理向きかもしれない。

ここではムール貝やアサリが特に安く、アサリは1kg180円、ムール貝にいたっては1kgで90円と、破格の安さなので市場に行って貝を購入して海鮮三昧の日々が続く。

食べ方はいたってシンプル。鍋でニンニクを炒めた後、洗ったムール貝と白ワインをいれて蒸すだけ。シンプルだか身がぷっくらとしたムール貝は、噛むごとに濃縮されたうま味のエキスが口の中一杯に広がり、ほのかに香るニンニクの香りがさらに食欲をそそり、バケツ一杯のムール貝を一人で食べても飽きないほどのうまさだ。

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また、島東部に点在する18世紀から19世紀にかけて造られた古い教会群は世界遺産に登録されており、教会を見つけては立ち寄って見学していた。その中でもお勧めなのは、カストにあるサンフランシスコ教会で、古い木造建築の教会に入ると年季の入った柱や床はワックスをかけたような光沢があり、ヴォールト(身廊の天井部分)の曲線は優雅で美しく、木の持つ滑らかさや柔らかさが教会全体を包み、日本の木造建築の中にいるような温かみのある居心地のいい空間だった。

いざ、アウストラル街道へ

フェリーで対岸に渡りいよいよアウストラル街道への挑戦が本格的に始まる。プエルト・バルマセダからラ・フンタまでは川沿いに緩い砂利の坂が続き、道の両脇には手を広げたよりも大きい葉を持つラワンブキのような植物が生えており、南極ブナの幹には、異様に長い顎を持つグランチリクワガタが群れを成している。チリ南部は寒冷地のイメージがあったが、思っていたよりも温かいのかもしれない。75km走ってラ・フンタに着くと、砂利道からアスファルトの歩道に変わり、道幅も広くなる。

自転車での水問題

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アウストラル街道にはいくつか観光の拠点となる町があるが、町と町との距離が300kmほど離れており、僕が自転車で一日に走る距離は80km前後なので、補給できない区間の食料と水を大量に持つ必要がある。

食料だけなら米、パスタ、野菜と缶詰などを5kgほど積めば1週間もたせることができるが、水となると自転車に詰めるのは最大15リットルほど。飲み水と食事等に使うのに一日4リットルは欲しいので、15リットルでは4日分しか持たない計算だ。15リットル積めることは積めるが、15kg荷物を増やすとなると非常に重たく漕ぐのが大変になるので、できるだけ荷物は軽くしながらも、生活に困らないギリギリの量を積むというのがチャリダー達の課題であり、永遠の宿命になっている。

しかし、ここアウストラル街道では水の心配は必要ない。なぜなら山脈に沿って道が伸びているので、道路沿いの至る所に綺麗な清流が流れており、小さな滝も無数にあるので、安全でおいしい水がくみ放題なのだ。

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心配がいらないのは水だけではない。ここには小川だけでなく太い川も流れていて、大抵そういう所には河原へと続く横道が伸びており、河原に降りると開けたスペースがあるため、そこでテントを張れば寝床の心配も必要ない。おまけに、河原なら焚き火もし放題なので、毎日好きな音楽を聴きながら焚き火をするといった、ロマンチックな夜を過ごしていた。

大自然に囲まれた道

道は時折アスファルトから未舗装の道になる事があるが、漕いで進むことが出来る程度の荒れ方なので、あまり苦になることはない。むしろ大自然に囲まれた道なので、アスファルトよりも土の道の方が景色に似合っていて、僻地(へきち)感満載の道となる。

走った時期は夏の終わりの3月なのだが、そびえる山々の山頂は万年雪の雪化粧をまとい、時折大きな氷河を湛える山も見ることができる。溶けた氷河から直接流れてくる川は、温泉のもとでも入れたかのように白く白濁し、飲み水に適さないが、雪解け水や、大地に染み込み時間をかけて濾過(ろか)され湧きだした水が集まってできた川はどこまでも透明で、晴れた日は釣りをしたりお風呂がわりに水浴びをし、パンツ一丁になって河原で日光浴をする日々が続く。

ただ水温は非常に冷たく、入って数分もしないで歯の根が合わなくなるので、長風呂は注意が必要だ。そして、街道後半は天気も悪く気温も下がったため、川風呂は命にかかわりそうになるので諦めてしまった。

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街道は国境の町オヒギンスまで続いているが、途中道がない箇所が1か所あり、そこは国営の無料フェリーが運航しているので安心して対岸に渡ることができる。

そして終点オヒギンスからは再びフェリーに乗り、その先は車やバイクの通れない荒れた道が続く、世界一過酷な国境越えと呼ばれる道が続いているのだが、それは又いずれの機会に。

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地形的に非常に雨の多い地区だが、町をひとたび抜けるとどこまでも続く深い森と、透き通る清流や蒼く輝く湖、青い空と雪山を背景にコンドルが悠々と舞う自然豊かな道で、奥に行くほど人は減り秘境感も満載。

アウストラル街道は美しい自然を堪能しながら走る事ができる、非常に走りごたえのある道だった。

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