世界遺産 ティワナク遺跡

世界で最も高い場所に栄えた高度な文化のひとつ、「Tiwanaku(ティワナク)」。

その見事な石造建築や加工技術は、のちのインカ帝国に受け継がれたといわれています。紀元前200年ごろ、アンデスの標高約4,000mに広がる高原地帯"アルティプラーノ"に起こったティワナク文化は、その後1400年もの長きにわたり繁栄しました。

未だ多くの謎に包まれるティワナク文化。その宗教的・政治的中心地として栄えた都市遺構が、ティティカカ湖の南に位置する「Sitio Arqueológico de Tiwanaku(ティワナク遺跡)」です。ティワナク遺跡は、2000年『ティワナク:ティワナク文化の宗教的・政治的中心地』として、ユネスコの世界遺産に登録されました。

目次

世界遺産「ティワナク遺跡」へは、ツアーまたはローカルバスで

ラ・パスから西へ約60km(ルートによっては75km)の地点にあるティワナク遺跡へは、ラ・パス市内から出るツアーに参加するほか、ローカルバスで行くこともできます。

ローカルバスの発着場所はCementerio General de La Paz(ラ・パス総合墓地)の北側、Terminal Cementerio(セメンテリオ・ターミナル)に接するCalle Aliaga(アリアガ通り)にあります。ティワナク行きのバス会社は1社しかないので、周辺の人に尋ねればすぐ教えてくれるでしょう。

Trans Tours Tiwanaku

アリアガ通りにあるバス会社Trans Tours Tiwanaku(トランス・トゥールス・ティワナク)の事務所とミニバン。

運賃はBs.15~25で、バスの大きさや利用者の人数によって変わります。バスは人数が集まったら出発するスタイルですが、ティワナク遺跡までの往復時間や見学、昼食などの時間を考慮すると、朝一の便に乗るのが賢明。ちなみにこの日は朝9:00過ぎに事務所に到着、出発したのは9:50ごろでした。

ティワナク遺跡

片道約1時間30分で、ティワナク遺跡に到着。道路標識には「Tiahuanaco 3870m」とあります。高山病に気をつけつつ、水分補給をしながらゆっくり歩きましょう。

帰りも同じバスに乗って帰ることになるので、集合時間や待ち合わせ場所はしっかり確認しておくこと。心配な人は運転手の名前やミニバンのナンバーを控えておくといいかもしれません。

ティワナク遺跡

窓口でティワナク遺跡の入場チケットを購入、ボリビア人はBs.15、外国人はなんとBs.100!途上国の観光地でローカルプライスと観光客価格が異なるのはよくあることですが、これだけの差があるとさすがにちょっと驚きます。

ティワナク遺跡地図

チケットには遺跡の地図と各ポイントの名称が書かれているので、これを参考に見学するといいでしょう。

世界遺産「ティワナク遺跡」

ティワナク遺跡

面積約4平方km、最大5万人が暮らしたといわれるティワナク遺跡。遺跡内には神殿があったとされるピラミッドや祭祀儀礼が行われたと考えられている半地下式神殿などの石造建築物が残っています。

ティワナク遺跡

早速ティワナク遺跡へ行ってみましょう!入り口にはチケットコントロールと荷物の一時保管所があります。リュックサックなど大きな荷物は持ち込み不可となっており、ここで預けなければなりません。カメラや財布などの貴重品は必ず携行してくださいね。

アカパナのピラミッドとカンタタリータ

Pirámide de Akapana(アカパナのピラミッド)

アカパナのピラミッド

7段の基壇からなるピラミッドで、高さは17m。崩壊が激しくピラミッドというよりただの丘といった感じです。複雑な構造をした水路跡や生贄として捧げられたと思しき頭部が欠損した人骨が発見されています。

アカパナのピラミッド

神殿があったと考えらえているアカパナの頂上からは、ティワナク遺跡を一望することができます。

kantatallita(カンタタリータ)

カンタタリータ

アカパナのピラミッドの東に位置し、アイマラ語で"夜明けの光"という意味のカンタタリータ。半地下構造になっており、周辺には平らに加工された巨石が転がっています。写真は、祭祀場の模型と思われる巨大な一枚岩。階段が3か所あり、その奥には3つの四角いくぼみが2列に並んでいます。

カンタタリータ

カンタタリータにはかつて石門があり、その上には見事なまぐさ石(古代建築において、2つの支柱の上に水平に渡されたブロックのこと。リンテルともいう)が置かれていたことが、古い文献によって明らかになっています。この彫刻はその石門を表しているのかもしれませんね。

半地下神殿とカラササヤ

Templete Semisubterráneo(半地下神殿)

半地下神殿

東西約28m、南北約26mの長方形をした「Templete Semisubterráneo(半地下神殿)」は、ティワナクで最も古く、かつ優れた建築物のひとつといわれています。四方の壁には巨石が不規則にはめ込まれており、中央には3つのモノリート(石碑)が立っています。

半地下神殿

壁には、石灰岩や溶結凝灰岩を加工した人面石が175個もはめ込まれています。この人面石は、それぞれが異なる民族を表しているという説もあるそうですよ。

Kalasasaya(カラササヤ)

Kalasasaya

半地下式の方形広場から望む「Kalasasaya(カラササヤ)」。門の間から見えるのが「Monolito Ponce(モノリート・ポンセ)」です。

Puerta del Sol(太陽の門)

太陽の門

カラササヤに置かれている「Puerta del Sol(太陽の門)」。10t以上もある一枚岩をくり抜いて作られたこの石門は、何かの重要な建物の入り口だったと考えられていますが、もともとどこにあったのかは分かっていません。

太陽の門

門の上部中央にはビラコチャ神が、その両側には鳥の姿をした神話的な人物と走る人のレリーフが彫られています。門の大きさが想像以上に小さくて拍子抜けしてしまいますが、このレリーフは見る価値あり!インカ創造神話にも登場するビラコチャ神が祀られていることに、ティワナクとインカの深い結びつきを感じます。

Monolito Ponce(モノリート・ポンセ)

カラササヤ

春分と秋分の日にモノリート・ポンセが見つめる東側の門の間から太陽が昇るカラササヤ。季節の移り変わりや太陽の動きを正確に把握できることなどから、天体観測を行う天文神殿であったと考えられています。

モノリート・ポンセ

なんと!ポンセ周辺にはロープが張られており、石像の正面を見ることができません。あれだけ入場料を取っておきながらこれはちょっと・・・ショックです。

モノリート・ポンセ

こちらは2006年に撮影した画像です。火成岩を彫って造られたポンセの高さは3m。四角い目とT字型に接合された鼻と眉を持ち、頬には2粒の涙が、全身には翼をもつ男やコンドル、鳥、幾何学模様が刻まれています。両手には飾りのついた杯、または笏のようなものを握っていますが、右手の指が外側を向くなど、不自然な形をしているのが印象的です。

Monolito Fraile(モノリート・フライレ)

モノリート・フライレ

砂岩でできた高さ3mの石造で、こちらもポンセと同じく、右手の指がおかしな方向を向いていますね。恐らくこの指の形にも何か意味があるのでしょう。フライレの腰に描かれた模様はカニではなく、植物をデフォルメしたものという説もあります。

プトゥニ神殿と月の門

Templo Putuni(プトゥニ神殿)

プトゥニ神殿

カラササヤの西側にある「Templo Putuni(プトゥニ神殿)」は、中庭を囲むように埋葬室があることから「石棺の宮殿」とも呼ばれています。ティワナク内の建物としては比較的新しいため設計技術も洗練されており、床が湿気を帯びるとスライドする石の引き戸もあるそう。とはいえこれだけ破壊された状態では、一般観光客がその仕組みを理解するのはちょっと難しいですね。

プトゥニ神殿

プトゥニ神殿にある地下水路跡。

Puerta de la Luna(月の門)

月の門

遺跡の北西にある高さ2.23m、厚さ23cmの門で、火成岩の一枚岩で作られています。太陽の門には鳥のレリーフがありましたが、月の門にはピューマの頭や魚の口が描かれています。

セラミック博物館と石器博物館

遺跡の見学を終えたらセラミック博物館と石器博物館へ行ってみましょう。両博物館とも内部は撮影禁止、入場料は遺跡チケットに含まれています。

Museo Cerámica(セラミック博物館)

セラミック博物館

遺跡のすぐ正面にあり、ティワナク遺跡から出土した陶磁器や人骨など約3,500点を収蔵・展示する博物館。オレンジがかった黄土色を基調とするティワナク文化の陶磁器には、黒や白、オレンジ、黄色などの色使いで人物像が描かれています。また、ティワナクが祭祀場であったことを示す「ケロ」と呼ばれる杯もたくさん見つかっています。

Museo Lítico(石器博物館)

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この博物館最大の見どころは、1932年に考古学者ウェンデル・ベネットが半地下神殿で発見した高さ7.3mの「Monolito Bennett(モノリート・ベネット)」でしょう。火成岩の一枚岩で造られており、アンデスにおける大地の女神パチャママ、もしくは神格化された重要人物(女性)を模したのではと考えられています。

忘れてはいけない「プマプンク」

遺跡と博物館を見学し軽食を取ったらもう15時、集合時間になってしまいました。乗客を乗せたミニバンは遺跡を出発、そこから車で5分ほどの「Puma Punku(プマプンク)」に立ち寄りました。

Puma Punku(プマプンク)

プマプンク

"ピューマの門"を意味するプマプンクは、3つの基壇をもつピラミッド状の寺院跡。敷地の広さは南北約210m、東西約132mで、高度な加工技術で成形し彫刻を施した石板が多数あり、この場所の重要性を窺わせます。

プマプンク

兵どもが夢の跡。ティワナク遺跡で最も贅を尽くした造りであったというプマプンクも、現在はこの通り荒れ放題です。アカパナのピラミッドとこのプマプンクの間には、建物の壁や基礎、水路や井戸、集合住宅、テラスといった人工物が多数埋まっていることが、地中レーダーを用いた調査で判明しています。

スペイン人の手で徹底的に破壊された上、ボリビア政府の強硬ともいえる復元作業により本来とは異なる姿になってしまったというティワナク遺跡。しかし、標高約4,000mの高地に高度な石造建築技術を持つ古代文化が栄えていたことはまぎれもない事実であり、この場所を訪れる価値は十分にあります。

ガイド付きツアーもよし、自分でのんびり見て回るもよし。ラ・パスを訪れたら、アンデスに君臨した古代の巨石文化に想いを馳せてみてください。

Sitio Arqueológico de Tiwanaku/ティワナク遺跡

  • 住所:Final Av. Manco Kapac s/n Sitio Arqueológico de Tiwanaku, La Paz
  • 交通:ラ・パス市内からローカルバスで約1時間30分。
  • 営業時間:9:00~16:00/無休
  • 入場料:Bs.100
  • 公式サイト:ティワナク遺跡

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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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