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5つ星ホテルってどうすごい? ホテルの格付け基礎知識
旅が好きな人なら、5つ星ホテルへの宿泊を夢見ることも多いはず。でも5つ星ホテルって、どうすごいのか知っていますか?
この記事では、星を付与する審査の基準など、ホテルの格付けに関する基礎知識を紹介。さらに日本各地、そして世界各地の5つ星を獲得したホテルの中から、素敵なホテルをピックアップして取り上げます。ホテルの格付けを知ることで、魅力的なホテルを見つけられるようになるかもしれませんよ。
目次
<1. ホテルの格付けは一つではないどころか、たくさんある>
<2. 有名なのはフォーブス・トラベルガイドとミシュランガイド>
<3. 格付けの審査の基準は何? 5つ星ホテルってどうすごい?>
1. ホテルの格付けは一つではないどころか、たくさんある
実はホテルの格付けには、世界的な統一基準はありません。その国の文化や価値観によって評価軸が異なるため、国や民間機関、業界団体などが、それぞれの独自基準に基づいて審査し、等級を与えているのです。
そんなホテルの格付けの中でも、世界的に有名なのは、アメリカの「フォーブス・トラベルガイド」とフランスの「ミシュランガイド」です。このほか、アメリカではアメリカ自動車協会(AAA)によるダイヤモンド・アワード、フランスではフランス政府観光局による格付け、イギリスでは英国政府観光庁による格付けなどが知られています。
国や審査機関によって、様々な種類があるホテルの格付け。同じ5つ星ホテルでも、格付けが違えばその評価のレベルも違ってくるので、格付けを参考にする際は、その審査基準をチェックしてみるといいでしょう。
2. 有名なのはフォーブス・トラベルガイドとミシュランガイド
世界中のホテルを対象に星を付けている機関としては、フォーブス・トラベルガイドとミシュランガイドが双璧。どちらも長い歴史があり、その信頼性の高さから、多くの人に親しまれている格付けです。では、それぞれの特徴を見ていきましょう。
フォーブス・トラベルガイドによるホテルの格付け
アメリカで誕生したフォーブス・トラベルガイドは、権威ある5つ星の格付けシステムを世界で初めて導入したトラベルガイド。1958年の創設以来、旅行業界で最も総合的な評価を行っています。
その特徴は、最上級のサービスに精通する専門調査員が、900項目もの厳格な基準に基づいて、世界中のラグジュアリーホテル、レストラン、スパを審査・評価すること。審査項目の7割以上はサービスを基準にしていて、ホテルのスタッフとゲストとの感情的な繋がりを重視しています。覆面調査なことから、透明性の高い評価であることも信頼の理由。審査項目は毎年改訂され、継続的に優れたサービスと施設を提供しているホテルに年間称号が与えられます。
ミシュランガイドによるホテルの格付け
フランスのタイヤメーカーによって発行されたミシュランガイドは、世界各国のレストランやホテルを格付けするトラベルガイド。1900年に自動車旅行者のためのガイドブックとして誕生し、1926年には評判の高い料理を提供するホテルに星を付けるシステムがスタート。現在に至るまで厳しい審査基準による格付けが行われています。
ミシュランガイドによる格付けもまた、専門調査員による覆面調査が特徴。一般のお客様としてサービスを受けることで、客観的で透明性の高い評価が可能になっています。最終的な評価は、調査員の報告書だけでなく、ミシュランガイドの読者意見なども加味されて決定。その評価は毎年見直され、星の付与も更新されています。
3. 格付けの審査の基準は何? 5つ星ホテルってどうすごい?
<出典元:写真AC>
5つ星ホテルは、旅人にとって憧れの存在。その格付けの審査は、どのような基準で行われているのでしょうか?
フォーブス・トラベルガイドの場合、主な評価基準は「サービス」と「施設の質」です。さらにサービスについては、礼儀正しさ、思慮深さ、個別の対応を重視して審査されます。つまり、快適なサービスや親切で丁寧なホスピタリティを提供しているかどうかについて、細かく審査しているのです。そして、サービスの一貫性についても詳細に審査。たとえば同じホテルでも、「平日にビジネス旅行でホテルを訪れた女性客」という設定から、「週末にハネムーンでホテルを利用したカップル」という設定に置き換えて調査員を送り、ホテルが一貫して最上級のサービスを提供しているかを見極めています。
すなわち5つ星ホテルとは、快適な客室を提供し、レストランやスパといった施設が充実しているだけでなく、心からの「おもてなし」に溢れたホテルのこと。まさに、最高の「旅」をプレゼントしてくれるホテルこそ、5つ星ホテルなのです。
4. 日本独自で代表的なホテルの格付けは存在しない?
ところで、日本が主体となっていて、誰もが知るような共通の格付けは、今のところ存在しません。旅行会社がツアー参加者の評価や添乗員のレポートを基にホテルをグレード分けしたり、旅行雑誌が独自の基準でランキングを作ったりすることはあるものの、広く浸透する格付けにはなっていないのです。そのため、ホテル自らが5つ星と同等のラグジュアリーホテルであることを表記する例も多いほか、シティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルといったタイプ別の分類が一般的になっています。
5. 日本の5つ星ホテルはここ
2022年版のフォーブス・トラベルガイドで5つ星を獲得した世界のホテルは323軒。そのうち日本国内から選ばれたのは、12軒のホテルです。今回はその中から、4軒のホテルを紹介します。
マンダリン・オリエンタル東京(東京都)
アジアをルーツにしたグローバルブランド、マンダリン・オリエンタル日本初のホテルとして、2005年に東京・日本橋に開業。日本で唯一、8年連続「ホテル」と「スパ」の両部門で5つ星を獲得したホテルです。
日本の自然である「森と水」をモチーフに、和の趣を取り入れたデザインが上品な空間を演出。全179室の客室は、38階建ての日本橋三井タワーの高層階にあります。その驚くほどの広さと最先端のラグジュアリーはもちろん、窓からは東京スカイツリーや新宿副都心など東京の街並みを一望。5つ星のスパでは、東京の絶景を眺めながら極上のリラクゼーションを堪能できます。
- 住所:東京都中央区日本橋室町2-1-1
- 公式サイト:マンダリン・オリエンタル東京
ザ・リッツ・カールトン東京(東京都)
<出典元:写真AC>
東京で最高の高さを誇る、六本木のミッドタウン・タワー。その最上層9フロアを占める5つ星ホテルが、ザ・リッツ・カールトン東京です。
全247室の客室は、和洋折衷のデザイン、大理石のバスルーム、豪華な設備が特徴。その大きな窓からは、東京ベイエリアから国立競技場、そして富士山まで、極上の景色を楽しめます。4つのくつろぎ空間を備えた53階のクラブラウンジでは、専属のコンシェルジュが最高峰のおもてなしを提供。日本料理やフレンチのダイニングのほか、癒しの空間であるスパの評価も高く、東京の中心で穏やかな時間を過ごせるホテルです。
- 住所: 東京都港区赤坂9-7-1
- 公式サイト:ザ・リッツ・カールトン東京
HOTEL THE MITSUI KYOTO(京都府)
京都の中心、二条城の前に位置するのが、2020年に開業したHOTEL THE MITSUI KYOTO。2022年、日本で初めて、開業初年度の審査で5つ星を獲得したホテルです。
ホテルが広がるのは、250年以上にわたって存在した三井総領家の邸宅の跡地。そのエントランスでは、現代の名工によって再生された「梶井宮門」がゲストを迎えます。日本庭園を囲むようにイタリアンや日本料理のレストランが配置され、庭と建物が美しく調和した空間を構成。日本の茶室を現代的に解釈して作り上げられた全161室の客室、そして地下に湧く温泉を楽しめるスパと、京都の滞在を極上に演出してくれるホテルとなっています。
- 住所:京都府京都市中京区二条油小路町284
- 公式サイト:HOTEL THE MITSUI KYOTO
ハレクラニ沖縄(沖縄県)
<出典元:写真AC>
ハワイで100年以上の歴史を持つホテルブランド・ハレクラニ。その2つめのホテルとして開業したハレクラニ沖縄は、沖縄県で初めて、そして日本のリゾートホテルで初めて5つ星を獲得したホテルです。
ホテルがあるのは、沖縄海岸国定公園として守られてきた恩納村(おんなそん)の海辺。360室の客室すべてがオーシャンビューで、沖縄の自然を満喫できるリラックス空間。オーキッドマークをモザイクタイルで描き出した美しいプール、沖縄の食材を使った料理を味わえるレストランも評判です。ちなみにハレクラニとは、ハワイの言葉で「天国にふさわしい館」という意味。まさに天国にいるような、心地良い滞在を楽しめるホテルとなっています。
- 住所:沖縄県国頭郡恩納村名嘉真1967-1
- 公式サイト:ハレクラニ沖縄
6. 世界の5つ星ホテルはここ
続いては、日本人に人気の海外旅行先にある4軒の5つ星ホテルを紹介します。いずれも、2022年版のフォーブス・トラベルガイドで5つ星を獲得したホテルです。
ザ・ペニンシュラ香港(香港)
<出典元:写真AC>
香港・九龍の尖沙咀(チムサーチョイ)に位置するザ・ペニンシュラ香港は、1928年開業、「東洋の貴婦人」と称えられるホテル。長く香港のランドマークとして親しまれ、古き良き香港の香りと最先端のテクノロジーが融合したホテルです。
ビクトリア・ハーバーと香港島の風景を一望する客室、広東料理をはじめとする名店の数々、そして人気のラウンジ「ザ・ロビー」で味わう英国式のアフタヌーンティーと、香港でしか過ごせない時間を旅人に与えてくれます。
ブルジュ・アル・アラブ(アラブ首長国連邦・ドバイ)
<出典元:写真AC>
ブルジュ・アル・アラブは、ドバイのペルシア湾に浮かぶ人工島に建つ超高級ホテル。5つ星を超える「7つ星」とも称えられ、世界中のVIPに愛されています。
アラブ伝統の帆船をイメージしたホテルは、高さ321m、客室のすべてがスイートルームです。贅沢に金を使った内装、フロアごとに配置された専属バトラー、潜水艦の航海を模した水族館レストラン、南国の日差しが降り注ぐプールサイドラウンジなど、至れり尽くせりの時間を過ごせます。
オテル・ドゥ・クリヨン(フランス・パリ)
オテル・ドゥ・クリヨンがあるのは、フランス革命の舞台となった、パリ・コンコルド広場の前。ホテルの建物は、18世紀のフランス建築の傑作と称される歴史的な宮殿です。
リノベーションを経て、2017年にリニューアルオープンし、アンティークとモダンが融合したホテルとして生まれ変わりました。最上階のテラスからは、エッフェル塔やグラン・パレを一望でき、パリの旅を忘れられないものにしてくれます。
フォーシーズンズ・リゾート・ラナイ(アメリカ・ハワイ)
「ハワイ最後の楽園」と称えられる、自然豊かなラナイ島。その沿岸に佇む隠れ家のようなホテルが、フォーシーズンズ・リゾート・ラナイです。
ホテルはプライベート感に溢れ、美しいビーチを望む客室と緑に満ちた庭園を望む客室があります。ラグーンスタイルのプール、贅沢な癒しのスパ、創作和食を味わえるレストランのほか、乗馬やシュノーケリングなどアクティビティも充実した、ハワイを心ゆくまで満喫できるホテルです。
7. 格付けと口コミ評価の違いとは
<出典元:写真AC>
ホテルを選ぶときの指標には、国や審査機関による格付けだけでなく、一般の宿泊客による口コミ評価もあります。客観的な基準に基づいて公平に評価される格付けと異なり、宿泊客が主観的に評価する口コミでは基準が人によって違うのが特徴。ただし口コミでは、ポジティブな評価だけでなく、ネガティブな評価も参考にできるので、客室の清潔さや従業員の対応の質など、より細かく把握することができます。宿泊料金と照らし合わせて評価されることが多いため、コスパを重視してホテルを探すときにも役に立つでしょう。
客観的な格付けと主観的な口コミ。それぞれの良さを上手く活用して、素敵なホテルを探すのがおすすめです。
ホテルに○つ星と付いているとき、それがどこの格付けによる星なのか、そしてどうすごいのかまで確認してみると面白いはず。上位の格付けホテルに泊まった際は、実際にどうだったかも自分なりに評価してみるといいでしょう。ホテルの格付けを上手に活用して、最高の旅の思い出を作れるホテルを探してみてくださいね。
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手塚 大貴
- 沢木耕太郎氏の『深夜特急』がきっかけで、アジアやヨーロッパ、南米など世界各地をひとり旅。オリンピックやサッカーワールドカップなど、スポーツ観戦の旅も好き。実は世界遺産検定マイスター。旅エッセイやコラムも得意としています。