海外の安宿の探し方や魅力、泊まるときの注意点とは

安宿(HOTEL)

海外へ旅に出るとき、少しでも旅費を抑えたいなら、安宿に泊まるのがおすすめ。筆者もアジアやヨーロッパなど、世界各地で安宿に泊まってきました。

この記事では、海外の安宿の探し方から、その魅力、国ごとの安宿の特徴、泊まるときの注意点まで詳しく紹介。さらに、思わず安宿に泊まりたくなるかもしれない、とっておきの安宿でのエピソードも紹介します。料金が安いだけではない、安宿の楽しさを記事につめこんでみました!

目次

<1. 海外の安宿って、どんな宿?>

<2. 海外の安宿の探し方>

<3. 安宿はこんなところが魅力>

<4. 国ごとの安宿の特徴>

<5. 安宿に泊まるときの注意点>

<6. 安宿でのエピソード>

1. 海外の安宿って、どんな宿?

海外の安宿というと、どんな宿が当てはまるのでしょうか。地域によっても異なり、最近では安宿のタイプも多様になってきていますが、ここで安宿のひとつの例を紹介します。

一般的に安宿と言えるのは、ゲストハウスやホステル、モーテルといった宿。格安な料金で泊まれるホテルも、安宿のひとつと言えるでしょう。部屋のタイプは、2段ベッドなどが並んだ相部屋のドミトリーか、個室であっても比較的狭いことが特徴。バス・トイレが共用であることが多く、部屋にシャワーのみ備えているケースもよく見られます。歯ブラシやひげ剃りといったアメニティは用意されていないのが基本ですが、部屋にタオルのみ置いてあることやシャワールームにシャンプーやボディソープを備えていることはよくあります。

安宿の宿泊料金は地域によって様々ですが、ヨーロッパやアメリカ、韓国、香港などは1泊3,000円以下、東南アジアやインドなどは1泊1,000円以下がおおよその基準になります。ただし最近は物価高騰によって、安宿を取り巻く事情も変わってきています。最新の情報を手に入れて、より良い安宿を探すようにしましょう。

2. 海外の安宿の探し方

さて、海外で安宿に泊まりたいとき、どんな探し方があるのでしょうか? 主な3つの探し方を紹介します。

宿泊予約サイトで探す

最も一般的なのは、インターネットの宿泊予約サイトで安宿を探す方法。「ブッキングドットコム」や「アゴダ」、またゲストハウスやホステルに特化した「ホステルワールド」など、いろいろな安宿を比較しながら探すことができます。ユーザーによる評価や口コミを参考にでき、施設の写真なども確認できるので、安心感も抜群です。

ガイドブックで探す

昔からよく使われているのが、ガイドブックで安宿を探す方法。たとえば、人気のガイドブック『地球の歩き方』なら、価格帯ごとに宿泊施設が紹介されているので、格安な料金で泊まれる宿をすぐに見つけられます。現地取材に基づいて掲載されているため、一定の信頼感を持って宿泊することができるでしょう。

現地で直接探す

今も昔も旅情に溢れているのは、その土地の安宿街を歩き回って、泊まる宿を直接探す方法。最大のメリットは、実際に泊まる前に、自分の目で部屋を確認したり宿の雰囲気を把握したりできること。当たり外れは大きいものの、掘り出し物のような安宿を見つけられたときの喜びはひとしおです。

3. 安宿はこんなところが魅力

安宿の1番の魅力は、当然ながら「宿泊料金が安い」こと。でも安宿には、それだけではない魅力もあります。そこで、安宿の魅力を3つ紹介します。

人との出会いに恵まれやすい

共用スペースの多い安宿は、他の宿泊客との距離感が近く、ちょっとした会話が生まれたりそれがきっかけで仲良くなったり、人との出会いに恵まれやすいのが魅力。安宿に泊まることで、宿が単に身体を休めるだけではなく、旅の思い出が生まれる場所に変わっていくはず。料金は安くても、彩り豊かな出会いがあるのが安宿なのです。

多彩なタイプの宿に泊まれる

安宿というと、暗くて汚くてジメジメしていて......なんてイメージは過去のもの。最近では、お洒落なデザインの宿や清潔感に溢れた宿など、多彩なタイプの安宿が生まれています。中級クラスのホテルだと似たようなタイプのホテルばかりになりがちですが、安宿なら個性溢れる宿に泊まることができるはずです。

安宿だから見えてくる景色がある

高級ホテルに泊まることで見られる景色があるように、安宿だからこそ初めて見えてくる景色もあります。たとえば安宿街に泊まってみれば、よりローカルな街の景色やその土地で暮らす人たちの生活を近しく見ることができます。地元の人に近い視点で旅できるのは、安宿の魅力と言えるでしょう。

4. 国ごとの安宿の特徴

安宿と一口に言っても、地域によってその特徴は異なります。そこで、日本人旅行者に人気の4つの地域の安宿について、その特徴を紹介します。

韓国の安宿

韓国の安宿

韓国で安宿として人気なのが、どこの都市にもあるモーテル。実は韓国では誰でも気軽に泊まれる宿として一般的で、格安でありながら清潔なことから、旅行者にも多く利用されています。また、お風呂やサウナがある韓国式スーパー銭湯「チムジルバン」も、安宿代わりとして人気。多くは24時間営業で睡眠室を備えているため、ふらっと宿泊していくことができます。

香港の安宿

香港の安宿

世界の都市の中でも、宿泊料金の基準が高い香港。そんな香港の安宿は、九龍などの雑居ビルの中に多くあります。なかでも有名なのは、尖沙咀(チムサーチョイ)に建つ重慶大厦(チョンキンマンション)。沢木耕太郎氏の『深夜特急』にも登場する雑居ビルで、今も上層階ではいくつもの安宿が営業を続けています。香港のディープな世界を垣間見たい旅人にもおすすめです。

東南アジアの安宿

東南アジアの安宿

どこの都市にもゲストハウスやホステルが多く、安宿の宝庫と言えるのが東南アジア。タイではバンコクのカオサン通り、ベトナムではホーチミンのデタム通りやブイビエン通り、カンボジアではシェムリアップなど、バックパッカーが集まる安宿街が形成されているのが特徴です。東南アジアでは、現地で好みの安宿を直接探してみるのも面白いでしょう。

ヨーロッパの安宿

ヨーロッパの安宿

物価の高いヨーロッパでは、宿泊料金も高くなりがち。そんなヨーロッパで安宿として親しまれているのが、ユースホステルです。ドイツで誕生したユースホステルは、ヨーロッパ各国にも多くあり、誰でも気軽に泊まることができます。有料の会員になることで、さらに格安の料金で泊まれるので、ユースホステルを巡りながら旅するのもおすすめです。

5. 安宿に泊まるときの注意点

魅力に溢れた安宿ですが、もちろん泊まるときは注意点もあります。ここでは、とくに大切な注意点を3つ紹介します。

貴重品類はしっかり管理しよう

通常のホテルに比べ、防犯設備が緩いことが多い安宿。ドミトリーはもちろん、個室であっても貴重品類はしっかり管理しましょう。とくに宿を離れるとき、パスポートや現金、クレジットカードといった貴重品類を部屋にそのまま放置していくのは危険。宿にロッカーやボックスがあれば預けるか、荷物と一緒に南京錠やワイヤーロックで施錠しておくのがいいでしょう。

他の宿泊客に迷惑をかけないようにしよう

共用スペースの多い安宿では、他の宿泊客に迷惑をかけないようにするのが基本マナー。夜遅く宿に帰ってきたときや朝早くチェックアウトするときなど、眠っている宿泊客を起こしてしまわないよう、静かに行動するようにしましょう。共用のキッチンやシャワー、トイレなども、綺麗に使用することで、お互いに気持ちよく過ごすことができます。

設備やセキュリティを確認してから宿を決めよう

安宿に泊まるといっても、料金の安さだけで宿を決めてしまうのは考え物。旅がより楽しいものになるよう、宿の設備やセキュリティを確認し、口コミなどもチェックしてから決めるのがおすすめです。とくに女性の場合、男女共用のドミトリーよりも、女性専用のドミトリーや個室を選ぶことで、より安心して滞在を楽しめるでしょう。

6. 安宿でのエピソード

世界各地を旅する中で、いろいろな安宿に泊まってきた筆者にも、安宿をめぐる思い出がたくさんあります。そこで、安宿だからこそ見られた風景やできた経験など、安宿でのエピソードを4つ紹介します。

安宿での出会いが導いてくれたソウルの市場

初めての海外一人旅で、韓国・ソウルの安宿に泊まったときのこと。宿の共用スペースで朝ごはんを食べていると、隣の席で食事をしていた中年の日本人女性に声を掛けられました。そして、今日これからどこを観光しようか考えていることを話すと、女性は教えてくれたのです。

「中部市場に行ってみるといいですよ。感動しますよ。」

中部市場

その日、実際に中部市場へ足を運んでみると、そこにはガイドブックに載っていない、ローカルな活気に溢れたソウルの市場が広がっていました。興奮して歩き回りながら、ふと感慨深くなったことを覚えています。もしあの安宿に泊まっていなければ、あの女性に教えてもらうこともなく、この秘密の市場へ辿り着くこともなかったんだ、と。

安宿だから見られた、最高の香港の夜景

高級ホテルでしか見られない景色があるように、安宿でしか見られない景色もある。そのことに気づかせてくれたのが、香港の雑居ビル・重慶大厦の安宿でした。1泊2,200円ほどの部屋に入ると、そこは固い簡易ベッドが2台あるだけの狭い部屋。まあ当然か......と思いながら、小さな窓のカーテンを開けたとき、思わず息を呑みました。

ネイザンロードの夜景

その窓の向こうに広がっていたのは、輝くばかりのネイザンロードの夜景だったのです。路上に突き出した色とりどりのネオン看板、その下を走り抜ける2階建てバス、歩道を行き交う香港の人々とその喧騒......。そこにあったのは、100万ドルの夜景に勝るとも劣らない、最高の香港の夜景でした。

もう永遠に泊まることのできない、ペナン島の安宿

ずっと忘れることのできない安宿のひとつが、マレーシア・ペナン島で泊まった安ホテルです。1泊1,900円ほど、そこは100年以上の歴史があるコロニアルホテルでした。部屋は古めかしいものの、吹き抜けのある明るい中庭、そしてブルーの色ガラスが輝く美しい廊下と、まるで隠された宝石のようなホテルでした。

ペナン島の安ホテル

それから10年以上が経った今、そのペナン島の安ホテルは、ちょっと豪華な4つ星ホテルに生まれ変わっています。新しくリノべージョンされたホテルも魅力的ですが、あの格安の料金と古めかしさがあったからこそ、ホテルは不思議な輝きに満ちていた気もします。まさに、もう永遠に泊まることのできない、夢のようだった安宿のひとつです。

ユーラシア最果ての地で泊まった、おばあさんの住む家

旅先で泊まる安宿とは、仮の「家」のようなもの。それを実感したのが、ユーラシア大陸の果ての果て、ポルトガル・サグレスを訪れたときです。バスを降りると、南国の日に焼けたおばあさんに誘われるまま、民泊をすることに。1泊2,500円ほど、そこは老夫婦が暮らす、ポルトガルの田舎の民家でした。

ポルトガルの田舎の民家

その夜、美しい星空の下、おばあさんの宿へと続く道を歩きながら、まるで自分の家へと帰るような気持ちに包まれました。普通のホテルに泊まっていたら、こういう幻想は抱けなかったかもしれない。人生でたった1度、その夜だけは、ユーラシアの最果てにあるおばあさんの宿が、「自分の家」になったのです。

安宿とは、ただ宿泊料金が安いだけでなく、旅をより豊かなものに変えてくれることもあるもの。安宿に泊まることで、思わぬ人との出会いに恵まれたり、忘れられない思い出を作れたりすることもあります。安宿に泊まってみたいという方も、安宿でなければ懐が厳しいという方も、この記事を参考にしてみてください。そして、素敵な安宿に泊まりに、旅へ出てみましょう。

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手塚 大貴

沢木耕太郎氏の『深夜特急』がきっかけで、アジアやヨーロッパ、南米など世界各地をひとり旅。オリンピックやサッカーワールドカップなど、スポーツ観戦の旅も好き。実は世界遺産検定マイスター。旅エッセイやコラムも得意としています。

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