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いきなり団子って何? 語源や材料、作り方、熊本の有名店まで紹介
熊本県のソウルフードの1つでもある「いきなり団子」は、さつまいもを使った素朴なお菓子で、1度食べれば誰もが好きになってしまうような優しい味わい。日本全国、特徴ある郷土料理は数多いですが、「いきなり」から始まるネーミングのインパクトは相当なものです。
東京の熊本県アンテナショップで高い人気を誇るというのも頷ける、魅力あふれるお菓子「いきなり団子」。この記事では、そんないきなり団子の語源や材料、作り方から有名店まで、詳しく解説していきます。
目次
<4. いきなり団子の作り方~基本のレシピや添えるとおいしいものは?~>
1. 「いきなり団子」はどこのどんなお菓子?
<出典元:写真AC>
いきなり団子は、昔から熊本県の一般家庭で作られてきた、伝統ある郷土のお菓子です。メインの材料は、厚めの輪切りにしたさつまいも。それにあんこを重ねて、小麦粉などで練った皮でくるみ、蒸し上げています。
「団子」という名前から、あの串に刺さった丸い団子を想像するとちょっと意外に感じるかもしれませんが、見た目はどちらかといえば、大福に似ています。切ってみると、断面は黄色いさつまいもとあんこの色のバランスがとてもきれいなのです。
もともとはあんこすら入っていなかったという素朴なこのお菓子は、さつまいもがよく採れるこの地域でずっと愛されてきた、家庭の味。ぜひ出来立てを味わってみたい一品です。
2. 何が「いきなり」なの?~語源について~
いきなり団子を知らない人が聞いて一番びっくりするのは、やはりのこのネーミングではないでしょうか。
「いきなり団子」と聞くと、どこからか突然団子が飛んできたような印象を受けますね。実は、熊本地方で「いきなり」という言葉のニュアンスは、「突然、急に」の意味に加えて、「簡単、手軽、すぐに」という意味合いも含んでいます。
つまり、「突然の」来客があっても、「簡単、すぐに」作ってお出しできるお菓子。それがいきなり団子の名前の主な由来のひとつなのです。また、「いきなり=生き成り」で「生のいもを調理する」という意味も含まれているそうです。
さらに、熊本の一部の地域では、片付けることが苦手な人を「いきなりな人」ともいい、そこから派生して、「いきなり」とは「ざっとしている」ことに通じ、ざっと作ることのできるお菓子=いきなり団子となった、という説もあります。
このように、諸説あるいきなり団子ですが、いずれにしても「さっと作れる、ふだん使いの気軽なお菓子」ということがいえそうですね。
3. いきなり団子に使われるさつまいもの種類は?
<出典元:写真AC>
いきなり団子に使われるさつまいもの品種に決まりはありませんが、熊本県内のいきなり団子のお店では、ほとんどが九州産(熊本、宮崎、鹿児島)のさつまいもを使用しています。阿蘇の火山灰からなる大地は、さつまいもを栽培するのにぴったりの環境で、県内では多くのさつまいもが生産されています。
紅はるか、金時、高系14号などのメジャーな品種のほか、2012年から販売が始まった新世代のシルクスイートを使ったものもあります。シルクスイートは、名前の通り、絹のような滑らかな舌触りが特徴で、お菓子にはぴったりの品種といえるでしょう。お店によってそれぞれこだわりのさつまいもを使用しているので、食べ比べてみても楽しいですね。
2022年現在、世の中は「第4次焼き芋ブーム」といわれるほど、焼き芋やさつまいもスイーツが大変な人気です。理由として、ヘルシーで栄養豊富なさつまいもが食材として注目されていること、また、以前はホクホク系が主力だったさつまいもに、安納芋や紅はるか、シルクスイートなどのネットリ系の品種が増えてきて、美味しさのバリエーションが増えたことなどがあげられます。さつまいもスイーツにはこれからも目が離せません!
4. いきなり団子の作り方~基本のレシピや添えるとおいしいものは?~
家庭料理のいきなり団子は、材料も作り方もとってもシンプル。以下に基本的なレシピを掲載しますので、美味しいさつまいもが手に入ったらぜひチャレンジしてみてください。
材料(5個分)
- 白玉粉 50g
- 薄力粉 50g(粉は全量が薄力粉でも構いませんが、白玉粉を入れたほうが、よりモチモチとした食感になります)
- 塩 小さじ 1/3
- 水 60cc~70㏄(加減を見ながら調整)
- さつまいも(直径5センチ、厚さ1センチ程度) 5枚
- 粒あん 適量
作り方
- さつまいもを切り、水にさらす
- ボウルを用意して、白玉粉と水の半量を入れ、混ぜる
- 薄力粉と塩を加えてから、残りの水を少しずつ加え、耳たぶくらいの固さまでこねる
- 生地に固く絞ったフキンをかけ、20分間~30分間ほど休ませる
- 生地を5等分して、10センチ~12センチほどの円形に伸ばす
- さつまいもと粒あんをのせて、生地で包み込む
- 蒸し器で約20分間蒸して完成
冷蔵で4日~5日程度は日持ちします。
いきなり団子に添えるとおいしいものは?
<出典元:写真AC>
そのまま食べてももちろん美味しいいきなり団子ですが、出来立てに添えたいのはバニラアイスクリーム。アツアツのいきなり団子と冷たいアイスクリームのバランスが絶品です。
いきなり団子を少し冷まして、常温で食べるならば、ホイップクリームを添えるのもおすすめ。一見、和風スイーツのいきなり団子ですが、さつまいももあんこも、ホイップやアイスクリームとの相性が抜群。ぜひお試しください。
5. いきなり団子が買える熊本のお店
いきなり団子の本場、熊本県では、いきなり団子が買えるお店がたくさんあります。以下におすすめの店舗を紹介しますので、熊本に行かれた際には、ぜひ立ち寄って出来立ての味を楽しんでください。
長寿庵
JR熊本駅から徒歩10分の便利な立地に「長寿庵」の工場があります。その横には店舗が併設されており、出来立てのいきなり団子を食べることができます。
さつまいもの名産地、熊本県大津の契約農家から取り寄せた「高系14号」というさつまいもで作る長寿庵のいきなり団子は、あんこが少なめ。さつまいもの味と甘さに自信がある証拠です。皮に沖縄の黒糖を使用したものや、あんにムラサキ芋を使用したものなどがありますので、食べ比べをしてみてはいかがでしょうか。
- 住所:熊本市西区春日7-19-15
- 公式サイト:長寿庵
華まる堂
いも、あんこ、生地の分量が絶妙で、まさに「三位一体」の味わいを提供する「華まる堂」のいきなり団子。熊本県産のさつまいもと北海道産の小豆で作ったあんこが、こだわりの配合比率で練られた皮に優しく包まれています。ムラサキ芋あん、白あん、桜あんなどバリエーション豊かな味わいを試すのも、楽しみのひとつです。
- 住所:熊本市中央区桜町3-3
- 公式サイト:華まる堂
はやしのいきなり団子
熊本県有数の観光地、水前寺公園の参道にあるのが「はやしのいきなり団子」。水前寺公園を案内するガイドさんの口コミから全国にその名が広がったという実力店です。注文は電話かファックスのみにも関わらず、全国からオーダーが入ります。地元の契約農家から仕入れたさつまいもと、国産のアンコで作る王道の美味しさ。品質を確保するため、はやしのいきなり団子は、この店舗のみで販売されています。水前寺公園に来たらぜひ忘れずに立ち寄ってください。
- 住所:熊本市中央区水前寺公園7-2
くま純
くま純のいきなり団子は、熊本県産のさつまいもを中心に、宮崎や鹿児島など、季節ごとに一番美味しいさつまいもを仕入れて作られています。大きめにカットされたさつまいもは食べ応えバツグン。北海道産の小豆で作られたあんこは甘さ控えめで、さつまいもとのバランスも絶妙です。さつまいもに加えて栗まで入った贅沢な「いもくり団子」や、あんこにムラサキイモを使い、黒豆を包んだ「黒豆むらさき」などの変わり種も試してみたい人気の一品です。
- 住所:熊本市中央区新町2-14-4
- 公式サイト:くま純
肥後屋
一般的ないきなり団子は、さつまいもとあんこの二層ですが、肥後屋はさつまいもであんこをサンドするという三層構造! これは甘さが偏らないようにという肥後屋のこだわりなのだそう。九州産の厳選されたさつまいもの甘さが、ちょっと厚めの皮のほんのりとした塩味とマッチして、いくらでも食べられそう。小豆あん、いんげんの白あん、ムラサキ芋あん、栗入りと、バリエーションも豊富です。
- 住所:熊本市北区楡木3-11-51
- 公式サイト:肥後屋
6. 熊本以外でいきなり団子を食べるには
<出典元:写真AC>
初めて「いきなり団子」の名前を聞いた人も、ここまで読んですっかりその魅力に取りつかれてしまったのではないでしょうか。できれば現地で出来立てを食べたいものですが、「熊本は遠すぎる!」という人のために、熊本以外でいきなり団子を食べる方法を紹介します。
アンテナショップなどで買って食べる
熊本県のアンテナショップといえば、東京の銀座熊本館です。ここではいつでも冷凍のいきなり団子を買うことができ、蒸し直せば、出来立てのような味が楽しめます。いきなり団子は、銀座熊本館の人気ナンバーワン商品なのだそう。人気のほどがうかがえますね。
また、各デパートなどの九州物産展でもいきなり団子は取り扱われることが多いので、見かけたらぜひ買いに行ってみてください。
通販でいきなり団子を買って食べる
通販なら、いつでも手軽に地元の味を取り寄せることができます。前項で紹介した、長寿庵、華まる堂、くま純、肥後屋など、いずれも冷凍でお取り寄せが可能です。冷凍庫に保存しておけば、いつでもいきなり団子を味わうことができますね。
自分で作って食べる
いきなり団子は家庭料理で作り方は簡単、材料もシンプルなので、自分で作ってしまうのもおすすめです。来客があった際に、「これは、急なお客さまでもすぐに出せるようにという意味のいきなり団子という、熊本のお菓子なんですよ」とその由来を説明しながら出して差し上げたら、きっとお客さまもビックリ、大変喜ばれるのではないでしょうか。
いきなり団子は簡単なレシピなので、ちょっとコツをつかんでしまえば、それこそ「いきなり」作ることができてしまいそうです。
熊本県発祥の素朴なお菓子であるいきなり団子。その由来や作り方について知っていれば、より楽しく、美味しく食べられることでしょう。熊本へ観光に行かれた際には、ぜひ現地で食べてみてください。誰にでも喜ばれる味なので、お土産にもおすすめです。
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