ほうとうって何?材料や作り方、山梨の有名店まで紹介

ほうとう

山梨県の誇るソウルフードの「ほうとう」。麺が見えづらいほどたくさん入った具材、アツアツの味噌だし、つるっとした麺。想像するとお腹が空いてきてしまいますね。

全国的に有名なほうとうですが、なぜこれが山梨県の料理なのでしょうか。そして「ほうとう」ってよく考えると不思議な名前...意外と知らないことが多いんです。

この記事では、そんなほうとうについて、その歴史から本場の有名店、おうちで作れるレシピまで、知っているようで知らなかったあれこれをまとめて紹介します。

目次

<1. ほうとうとは ~歴史が長く、語源は諸説あり~>

<2. ほうとうの具材 ~かぼちゃや人参、きのこ類など~>

<3. ほうとうの麺の調理法は?>

<4. 本場のほうとうはどこで食べられる?>

<5. ほうとうの作り方~基本となるレシピとは~>

<6. ほうとうはいつ食べる?~ほうとうに合った季節とは~>

<7. ほうとうがおいしい山梨のお店>

<8. ほうとうに合わせたいサイドメニュー>

<9. 山梨以外でほうとうを食べたい! 東京近郊のほうとうがおいしいお店>

1. ほうとうとは ~歴史が長く、語源は諸説あり~

ここでは、ほうとうの歴史について見ていきましょう。

ほうとうの歴史と語源

ほうとうは、奈良時代(またはそれ以前)に中国から禅僧が持ち込んだ「餺飥(はくたく)」の音が変化して、はくたく→はうたう→ほうとうになったと言われています。「餺飥(はくたく)」は、うどんの原型とも言える小麦粉の料理。ちなみに、うどんを漢字で書くと「饂飩(うどん)」ですから、たしかに「餺飥(はくたく)」と似ていますよね。

戦国時代、甲斐国(山梨県)の武将・武田信玄がこれを野戦食として取り入れ、材料を刀で切ったことから「宝刀」→「ほうとう」となった、という説もあります。

さらには、作るのに手間がかからないほうとうは、「空いた時間で"放蕩"できるから」ほうとうと呼ばれた、なんていう説も。

長い間、地域で愛されてきたほうとうには色々なエピソードがあります。ほうとうのお店では、「餺飥」の看板もあれば、「宝刀」と書いているところもあり、違いを見比べてみても面白そうです。

山梨県の地理条件とほうとうの関係

ほうとうの本場である山梨県は、山地が多くて平地が不足していることに加え、富士山麓という条件が重なり、溶岩質・火山灰質の土地であるため、全般に稲作に向いていない土地がほとんどです。

そのため、コメに変わって主食となりうる小麦の栽培がおこなわれるようになりました。さらに、うどんと違って、ほうとうは具材の量が多く、麺をそれほど使わずに済むといった利点もあります。

こうして、山梨県の地理的に不利な条件から生まれ、愛されてきたのがほうとうなのです。

2007年には農林水産省から「農山漁村の郷土料理百選」の1つにも選ばれました。>>郷土料理百選の詳細はこちら

2. ほうとうの具材 ~かぼちゃや人参、きのこ類など~

「ほうとうは具材が多い」ことが特徴、と書きましたが、実際にはどのような具材が入るのでしょうか。

ほうとうの具材については好みで良いとされていますが、まず筆頭具材と言えば「かぼちゃ」でしょう。「うまいもんだよ、かぼちゃのほうとう」なんて口上もあるほど、ほうとう=かぼちゃの関係は切っても切れません。

ただし、かぼちゃを入れなければほうとうと呼べない、というほど厳密ではないようです。ニンジン、白菜、ネギ類などの野菜全般、しめじ、シイタケなどのキノコ類、そして豚肉や鶏肉などの肉類など、お鍋の具材のようにお好きなものを入れていただきます。

変わった具材といえば、山梨県ではジビエ(狩猟で得た野生の鳥獣の肉)が豊富なので、現地のお店に行けば「鹿肉」「猪肉」などが入ったほうとうを目にすることも。さらに「海鮮」「あずき」「カレー」「キムチ」など、お店によってさまざまなバリエーションを展開しています。

海鮮ほうとう
<出典元:写真AC

ほうとうの良さは、主食と野菜を手軽にたくさん取れて、栄養抜群なところ。ぜひ色んな具材のほうとうを試してみてくださいね。

3. ほうとうの麺の調理法は?

ほうとう 麺
<出典元:写真AC

一般的に麺類(うどんなど)は粉に塩を加えて作るため、麺を湯がいて塩を抜く必要があるのですが、ほうとうの麺は作るときに塩をほとんど入れません。そのため、完成した生めんを直接スープに入れることができるという特徴があります。

さらに、ほうとうのめんには打って伸ばした後はすぐに切るという特徴もあります。すると「グルテン」が形成されるヒマがなく、コシがほとんど生まれません。そのため、ほうとうは一般的なうどんよりも食感が柔らかいものになります。ほうとうの麺の幅は約1センチで平たく、見た目はきしめんのようです。煮込むことによって、この麺はさらに膨れます。

このようにして、「柔らかい麺を、打ち粉がついたまま直接スープに入れて煮込む」ことによって、ほうとうの特色であるトロトロ感が生まれます。さらに、具材にかぼちゃやイモが使われて煮崩れると、このとろみはさらに増します。とろみがつくことでほうとうは冷めにくくなり、最後まで温かく食べられるという利点もあるのです。

4. 本場のほうとうはどこで食べられる?

ほうとうを本場で食べたいと思ったら、やはり山梨県。県内では、甲府市、甲州市、富士吉田市(富士五湖周辺)、身延市など、至るところでほうとうの専門店が見つかります。

また、山梨県内であれば、レストランや道の駅、サービスエリアなどでもメニューにほうとうが置いてあるところがありますので、ちょっと立ち寄るついででも、気軽にほうとうを食べることができます。

5. ほうとうの作り方~基本となるレシピとは~

近くでほうとうを食べられるお店がない場合は、自宅で作ってみるのはいかがでしょうか。

ほうとうの麺はスーパーなどで売られていることもありますし、インターネットのお取り寄せも充実しています。

また、ほうとうの麺づくりの工程はシンプルで、麺類の中でも作るのがとても手軽なほう。以下に簡単なレシピを紹介しますので、せっかくなら、麺から自分で作ってしまうというのもおすすめです。気軽にチャレンジしてみましょう!

ほうとう 基本のレシピ

材料(2人分)

  • 薄力粉 160g
  • 強力粉 40g
  • ぬるめのお湯 80~100cc

具材

  • かぼちゃ、じゃがいも、白菜、ねぎなど、お好きな根菜・葉物野菜
  • しめじ、しいたけ、えのきなど、お好きなキノコ類
  • 鶏肉、豚肉など、お好きな肉類

スープ

  • だし汁 適量 (だし汁は煮干しでとることが多いようです)
  • 味噌 適量

手順

  1. 小麦粉を大きめのボウルに入れ、ぬるま湯を足しながら指先でこねる。耳たぶより少し硬めになるくらいに、水の量を調節する
  2. 生地がまとまったら、濡れたふきんをかけて20分ほど置いておく
  3. 生地を2つに分け、1つずつ打ち粉を振った台の上で、めん棒で3~4㎜くらいの厚さに伸ばす
  4. 生地を重ねてたたみ、1㎝くらいの幅に切る(これで麺は完成です)
  5. 鍋にだし汁を入れ、固い野菜から入れて煮込む
  6. 麺と味噌の半分を入れて、さらに煮込む
  7. 最後に残りの味噌を入れて味を調える

いかがでしょうか。具材は家にある材料で十分ですので、ぜひ作ってみてください。

6. ほうとうはいつ食べる?~ほうとうに合った季節とは~

ほうとうの定番具材であるかぼちゃは「冬至に食べると風邪をひかない」などの言い伝えもあり、アツアツのほうとうは、やはり寒い時期が合う、というイメージがあるかもしれません。

しかし、実は山梨県では、年間を通じていつでもほうとうが食されています。いまやかぼちゃは季節を問わずいつでも入手できますし、他の野菜も冷蔵庫にあるものをなんでも入れることができます。手軽に栄養価が高くバランスの良い食事ができ、子どもからお年寄りまで受け入れられるオールマイティーなメニューが、ほうとうなのです。

それでも真夏にはちょっと...という時には、ぜひ「おざら」というメニューを試してみてください。これは、冷やしたほうとうの麺をつけ汁につけて頂く、いわば「つけ麺風ほうとう」です。一般的に味噌味の多いほうとうですが、おざらは醤油ベースが基本。その違いもまた面白いかもしれません。

おざら
<出典元:写真AC

7. ほうとうがおいしい山梨のお店

山梨にはほうとうがおいしいお店がたくさんありますが、ここでは地元の方から観光客まで、幅広く人気があり、はずれのないお店を紹介します。

甲州ほうとう 小作(こさく)

山梨でほうとうと言えば「小作」といわれるほどの有名店で、山梨県に8店舗、長野県に1店舗を展開しています。店舗は外観も内装もどっしりと落ち着いた古民家風で、入り口前に水車を構えているところもあり、情緒満点。

メニューはほうとうだけで10種類以上あり、一番人気はやはり「かぼちゃのほうとう」。甘さとしょっぱさが混じった温かいほうとうは、子どもからお年寄りまで大人気。

さらに「猪肉」「鹿肉」「熊肉」など珍しいジビエのほうとうや、「あずき」「辛口カルビ」のほうとうなど、工夫を凝らしたメニューが並び、何度行っても新しい味が楽しめます。麺、味噌、だしに至るまですべてオリジナルで開発している創業40年の名店の味、ぜひ現地で試してみてください。

ほうとう不動

河口湖の近辺に4店舗を展開するほうとう不動。こちらのほうとうメニューは、「不動ほうとう」の1品のみ。サイドメニューを合わせても、全部で6品というシンプルさに、ほうとうへの自信がうかがえます。不動ほうとうは、自家製麺に加えて、かぼちゃや山菜など、富士山麓の畑の恵みをたっぷり。さらに秘伝の薬味をぱらりとかけて頂きましょう。

4店舗のうち3店舗は、木のぬくもりが感じられる民芸調の店内ですが、もっとも新しい「東恋路店」はふんわりとした白い外観の建物とカフェのような内装で、従来のほうとう店のイメージが覆されるかもしれません。数々の賞も受賞した現代的な建築美と郷土料理のほうとうという、ちょっと変わったコラボを体験してみてはいかがでしょうか。

  • 住所:南都留郡富士河口湖町河口707(河口湖北本店)
  • HP:ほうとう不動

郷土料理 和十郎

山中湖畔の純和風郷土料理店の和十郎。おすすめは、稀少な「甲州地鶏」を使用したほうとう。肉質のしっかりした地鶏は、かみしめるほどに味わいが深く、ほうとう麺との相性は抜群です。

その他、海鮮ほうとうや、カレーやトマトを使ったアレンジほうとうなど、ほうとうの種類も豊富で、色々試してみたくなります。また、天ざるなどのそば料理やごはんもの、さらに各種単品料理も豊富なので、ランチ、ディナーともに、使い勝手の良いお店です。

店内はお座敷席を中心に100席以上あり、ゆったりとくつろげる仕様。特に、テーブル席の大きな窓からは山中湖とヨットハーバーを一望できますので、山中湖畔の旅の想い出にぜひお立ち寄りください。

天下茶屋

昭和9年創業の老舗、天下茶屋は富士山と河口湖を望む絶景の食事処として、不便な立地にも関わらず、全国から訪ねるお客が絶えない有名店です。店舗の外観と内装は昭和の趣きをそのまま残しており、本物のレトロなたたずまいに、つい長居してしまいたくなるほど。

自慢のほうとうは、ほうとう鍋ときのこほうとう鍋の2種類で、地元の野菜、味噌、自家製麺を使ったボリューム満点で素朴な味が大人気です。井伏鱒二や太宰治などの文豪が愛した店としても知られており、特に太宰治はこの天下茶屋での滞在記を小説「富嶽百景」にまとめるほどの惚れこみようでした。お店の2階は太宰治文学記念室も併設されていますので、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

  • 住所:南都留郡富士河口湖町河口2739
  • HP:天下茶屋

海鮮ほうとう専門店 ほうとう研究所

ほうとう=「昔ながらの味を受け継ぐ郷土料理」というイメージで行くと、このお店ではちょっと意表をつかれるかもしれません。

ここのほうとうのメインの食材はかに・サケ・いくら・エビなど人気の魚介類。お店のすぐ横で作られるほうとう麺に、魚介の濃厚なだしと味噌がからまる味わいは、他にはない特筆ものの味わいです。お好みでバターのトッピングもおすすめ。メニューにはオーソドックスな野菜中心のほうとうもありますので、ぜひお好みで選んでみてください。

お店は外観も内装も、木のぬくもりたっぷりのログハウス風で、見た目にも楽しく落ち着ける雰囲気。研究所というだけあって、月替わりで違う味も楽しめるお店です。新感覚のほうとうが食べてみたい山梨県リピーターの方にぜひおすすめです。

8. ほうとうに合わせたいサイドメニュー

山梨県はほうとう以外にも、豊富な食材を生かしたグルメが盛りだくさん。せっかく山梨まで出かけたならば、ほうとうと一緒に、こんな山梨グルメを楽しんでみてはいかがでしょうか。

鶏のもつ煮

鶏のもつ煮
<出典元:写真AC

山梨県の中でも、甲府市でよく食べられるB級グルメといえば、鳥のもつ煮。名前の通り、鳥のもつを甘辛いたれで煮込んだ料理で、お酒にもごはんにもピッタリ。2010年にB-1グランプリを獲得して一躍全国区の人気となった、名物料理です。

あわびの煮貝

お隣の静岡県で採れたあわびを、保存がきくようにしょうゆベースの煮汁につけこんで運んだところ、山梨あたりでちょうど良いくらいに味が染みたということが発祥になった料理。海のない山梨県では珍しい、魚介の名物料理です。

馬刺し

馬刺し
<出典元:写真AC

昔から、山間部で摂れるタンパク質として貴重だった馬肉。脂肪分やコレステロールが少ない馬肉は、ほうとうと合わせると栄養ばっちりです!

9. 山梨以外でほうとうを食べたい! 東京近郊のほうとうがおいしいお店

ここまでお読み頂いて、「ほうとうが食べたい!」という思いが高まってきているのではないでしょうか。とはいえ、山梨県までなかなか行く時間がないという方もいるでしょう。ここでは、東京近郊でほうとうが食べられるお店を紹介しますので、ぜひ訪れてみてください。

ほうとう天地

23区内で初となるほうとう専門店が、2021年12月に新規オープン!上品で洗練された古民家風の外観と店内は、一瞬東京ということを忘れてしまうようなたたずまい。赤坂という一等地にありながら、お値段もリーズナブルで本場に近いほうとうを食べられると、開店早々話題のお店です。ワインやそれに合うおつまみなども用意されており、色々なシーンで活用できる貴重な一軒となりそうです。

  • 住所:港区赤坂4丁目3-3 Rbm 赤坂レジデンス壱番館 2階

居酒屋 甲州屋

山梨県といえば、実はワインと日本酒の名産地でもあります。ここ、甲州屋はそんな山梨県のお酒が揃う人気の居酒屋で、食事メニューのメインがほうとうです。消化の良い麺と野菜を煮込んだほうとうは、胃にも優しく、お酒の締めにぴったり。その他、鳥もつ煮をはじめとしたサイドメニューも取り揃っていますので、東京で山梨グルメを味わいたい!と思ったら最初に候補にしたいお店です。

  • 住所:新宿区神楽坂3-2

佐五兵衛

東京の奥座敷、あきる野市のほうとう店。五日市ほうとう、と称されていますが、その流れは山梨県から伝わってきたものです。28席の比較的小さな店内ですが、そのほうとうの種類はなんと23種類! 五日市ほうとう、とつくメニューには、すべて野趣あふれる猪豚が具材として入っています。

この他、山梨県との県境にも近い多摩エリア(あきる野、青梅、東村山)にはほうとうも食べられるうどん店などが点在していますので、探してみてはいかがでしょうか。

手軽で美味しく、さらに栄養価も抜群という庶民の味方、ほうとう。本場の山梨県には、老舗から新スポットまで、さまざまなお店があります。現地へ観光に出かけられた際には、ぜひお気に入りのお店を見つけてみてくださいね。

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