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【ボリビア】おしゃれなパラソルストリートと魔女通りが同居するカオスな魅力がいっぱい!ラ・パス
標高3,500mに位置し、世界最高所の首都といわれるボリビアの「La Paz(ラ・パス)」。憲法上の首都はスクレですが、行政・立法府がラ・パスに集結していることから事実上の首都としての地位を確立しています。
大統領宮殿を始め歴史的建造物が数多く残る旧市街と、高層ビルが建ち並ぶ新市街が広がるラ・パスの街は、そこに住まう人たちもまた個性的。ビジネススーツに颯爽と身を包んだ現代的な若者と、長い三つ編みに山高帽をかぶり、ポジェラと呼ばれる裾が広がったロングスカートを履いた先住民アイマラの女性があらゆるシーンで混在する風景に、「ボリビア多民族国家」という国号の意味がよく表れています。
それでは、カオス的な魅力がたまらないラ・パスの街を歩いてみましょう。
目次
まずはムリリョ広場とハエン通りへ
ラ・パスの街はすり鉢状になっており、その最も低い地点をメインストリートのサンタ・クルス通り(途中から7月16日通り、アルセ通りと名前が変わります)が南北に走っています。サンタ・クルス通りから東側に少し坂を上ると、旧市街の中心であるムリリョ広場に到着します。
ボリビア独立の英雄ペドロ・ドミンゴ・ムリリョの名を冠した「Plaza Murillo(ムリリョ広場)」。時計台が付いた写真左手の黄色い建物は国会議事堂、右手にあるピンク色の建物は大統領宮殿です。広場の中央にはムリリョの像が立っており、市民の憩いの場になっています。
平日だったにもかかわらず、大勢の家族連れが遊びに来ていました。
大統領宮殿を守る衛兵たち。ボリビアの大統領宮殿は公道に面しており、その周囲に鉄門などがないため衛兵は市民が行きかう歩道に立っています。彼らの仕事を邪魔しないよう、許可を取ってから撮影させてもらいました。
ムリリョ広場の北に、博物館が並ぶハエン通りがあります。ここには「Museo Costumbrista Juan de Vargas(フアン・デ・バルガス博物館)」を始め、「Museo del Litoral(リトラル博物館)」、「Museo de Metales Preciosos(貴金属博物館/黄金博物館とも)」、そして「Museo Casa Pedro Domingo Murillo(ペドロ・ドミンゴ・ムリリョの家博物館)」があり、この4館はフアン・デ・バルガス博物館で販売されている共通券で見学することができます。
ペドロ・ドミンゴ・ムリリョの家博物館にて。どの博物館も館内撮影は禁止で、写真はパティオなどの屋外スペースのみになります。
ハエン通りを下ったところにあるカラフルなペイントのこの建物は、アートギャラリーを併設した文化施設だそう。アンデス世界を表現した扉の彫刻も素敵ですね。
ハエン通りとその付近には防犯カメラがいくつも設置され、安心して観光できそうな雰囲気でした。
サン・フランシスコ教会からサガルナガ通りへ
坂道を下って、またサンタ・クルス通りへと戻りましょう。そこで最も目を引くのが、「Basílica de San Francisco(サン・フランシスコ教会)」です。
カトリックの聖人サン・フランシスコ・デ・アシスに捧げられたラ・パス初の教会で、1549年(1548年説も)に着工、1581年に完成しました。しかし17世紀初頭の大雪で建物は崩壊、現在の教会は1758年に再建されたものです。
露天商や大道芸人が集まる教会前の広場はとても賑やかで、週末には青空コンサートも行われます。待ち合わせに便利ですがこの辺りはスリも多いので、身の回りのものには十分気を付けてください。
サン・フランシスコ教会の脇に延びるCalle Sagárnaga(サガルナガ通り)は、観光客なら必ず立ち寄るであろうボリビアらしさ満載の小道。細い坂道の両側には民芸品や楽器店、レストランやホテルなどがひしめき合っています。旅行代理店も多いので、ラ・パス観光に迷ったらぜひここへ。きっと面白いプランを探すことができますよ。
サガルナガ通りを西へ2ブロック上がっていくと、Calle Linares(リナレス通り)と交差します。その交差点の左手を見上げると、そこにはパステルカラーのトンネルが!いくつものパラソルが吊るされたこの一角は、別名"パラソルストリート"と呼ばれています。
これは2012年にポルトガルのアゲダで始まったパラソルアート「アンブレラ・スカイ・プロジェクト」の流れを汲むもの。コロナ時代にリナレス通り周辺の店はすべて閉鎖され、人っ子一人通らない寂しい小路になってしまいました。
そこで、ボリビアを代表するアルパカニット企業L.A.Mが「パラソルアートでかつての賑わいを取り戻そう!」と声を上げ、アンブレラ・スカイ・プロジェクトに参加。最初はたった16本だったパラソルも、今では80本になりました。アルパカ毛で作ったぽんぽん飾りがぶら下がっているのも、ボリビアらしくていいですね。
>>関連記事:【ポルトガル】空を彩るカラフルな、アンブレラ・スカイ・プロジェクトって?
ラ・パスの強い日差しがパラソルを貫き、石畳に柔らかな影を落としています。アンデスらしからぬおしゃれな雰囲気で、地元カップルも記念撮影に余念がありません。今では市内イチオシのインスタスポットになっており、SNSでもステキな写真がたくさんシェアされています。
パラソルのトンネルを抜けた右手にある「Museo de la Coca(コカ博物館)」は、瀟洒な古いお屋敷を利用した小さな博物館。木造バルコニーやアンティークなオブジェを配した入り口は、リナレス通りのごちゃごちゃした雰囲気と一線を画しています。
コカ博物館は2階奥にあり、奥にはカフェもありました。
パネルや展示物には英語とスペイン語の表記があり、植物としてのコカの説明からその効能、ボリビアにおけるコカの歴史やボリビア伝統行事との結びつきを始め、コカ栽培農家の実態やコカからコカインを作る方法、コカを巡るテロや戦争について幅広く網羅しています。あのコカ・コーラとコカの葉の関連などにも触れており、なかなか見ごたえのある博物館でした。館内は撮影禁止なので、入り口で受付の人に撮影してもらいました。
Museo de la Coca
- 住所:Linares 906, La Paz
- 公式サイト:コカ博物館
アイマラ文化に触れる"魔女通り"へ
リナレス通りには"パラソルストリート"というステキな別名のほかに、もうひとつ驚きの呼び名もあります。それが"魔女通り"。リナレス通りとCalle Santa Cruz(サンタ・クルス通り)との交差点付近に呪術に使う薬草や道具、捧げものを扱う店が集まっていることからそう呼ばれています。
土産物店の店頭を飾っていた色鮮やかなニットや土産物は姿を消し、軒にはリャマの子供のミイラがぶら下がっています。もこもこの毛が付いたままなので、ぬいぐるみと勘違いしてしまいそう!
リャマのほかに、クイのミイラもたくさん。これらのミイラは寒さや病気で自然死した個体であり、儀式のために殺したわけではないのでご安心ください。
ボリビアに多く暮らす先住民アイマラ族の人々は大地の女神パチャママ信仰が厚く、進学や就職、結婚、家の新築など人生の転換期にはパチャママに祈りを捧げます。家や車のミニチュアや教科書(学業関係)などを描いたプレートなど、捧げものの種類はいろいろですが、特に家を新築する際や田畑を広げるなど土地にまつわる時は、リャマがよいのだそう。リャマの獣毛や脂肪でもいいそうですが、ここぞという時はやはりミイラに限るのだとか。リャマのミイラは家内安全や子孫繁栄、五穀豊穣を叶えるカギなんですね。
歴史にあふれ、古くからの伝統を守りつつも新しいことにチャレンジしているボリビアのラ・パスは、のんびり時間をかけて散策したい魅力いっぱいの街です。
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。