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【岩稜登山】山梨の「乾徳山」山頂から360度のパノラマと岩登り体験
こんにちは!「三度の飯と山が好き!!」がキャッチフレーズの倉山(くらさん)です。
春の花山シーズンも終盤を向え今年も夏山シーズが近くなって来ましたが、皆さんは夏山の準備を進めていますか?
夏山といえば、標高が高い日本アルプスや日本各地の百名山を思い浮かべると思いますが、世界文化遺産の「富士山」標高3,776mの登頂は、登山者にとって憧れですね。
私は、富士山登山は例年通り予定していますが、今年の夏に日本アルプスでは北アルプス後立山連峰の白馬五竜岳~鹿島槍ヶ岳~爺ヶ岳の縦走登山をまずは準備しています。
そんな5月下旬梅雨入り前の快晴の中、夏山縦走登山のメンバーで岩山の入門で知られている山梨県は奥秩父の山域「乾徳山(けんとくさん)」へテントを背負って1泊で岩稜歩きに拘り登って来た時の夏山準備合宿登山の様子をご紹介します。
<乾徳山(標高2,031m)山頂からの眺望>
目次
1. 乾徳山?どこにあるの?そこまでどうやって行くの??
乾徳山は山梨県山梨市の奥秩父の山域に属しています。通称ですが東アルプスの一部です。アクセスは電車でもマイカーでも便は良く、首都圏からなら日帰り登山も可能な場所にあります。
私たちは電車と路線バスを利用しましたのでそちらをご紹介しましょう。
●電車を利用の場合、八王子方面から高尾駅を経由しJR中央本線の塩山駅で下車します。塩山駅のバス停から「西沢渓谷」行きの山梨交通の路線バス(1番乗り場)に乗車し約30分、途中の乾徳山登山口バス停で下車すると登山口までは徒歩30分位の便利さです。
バスは曜日や季節によって運行が違いますのでお出掛けの際は、必ず運行状況をご確認ください。
●マイカー利用の場合、中央自動車道の勝沼インターチェンジを下りて国道20号線を経由して目的地の駐車場へ向かいます。広い駐車場ではありませんので、混雑が予想される土日祝日などは電車を利用された方が良いかもしれません。この日も9時頃には既に満車状態でした。
>>乾徳山のアクセスを紹介する山梨市観光協会の公式サイトはこちらから
2. 今回歩いた岩稜登山のルートを紹介致します
今回、乾徳山を登山先に選んだのは、夏に予定している鹿島槍ヶ岳に繋がる日本三大キレットの1つ「八峰(はちみね)キレット」の岩稜帯を無事に通過する為、改めて岩場の技術を確認する事が目的でした。
その為、日帰りも可能でしたが、せっかくここまで足を運んだのでもったいない精神もあり、あえてテント道具を背負って1泊し、岩稜帯を二度登るスケジュールの計2日間を過ごしました。
今回歩いた全行程です。歩行約11時間/14km ※印は標高
【1日目】
塩山駅バス停(8:30発)==<山梨交通バス/約30分660円>==乾徳山登山口バス停<ここから全て徒歩です>・・・登山口(10:00頃 ※820m)・・・錦晶水(水場)・・・国師ヶ原十字路・・・避難小屋の高原ヒュッテ(12:00頃 ※1,570m)・・・小屋前の広場にテントを設営し昼食休憩・・・扇平・・・月見岩・・・岩場、鎖場が連続します・・・髭剃岩・・・雷岩・・・胎内岩・・・山頂直下では高さ20mの巨大一枚岩の「鳳岩」を登りスリルを楽しむ!・・・乾徳山山頂(15:00頃 ※2,031m 360度のパノラマを満喫する)・・・<登りと同じ岩場を下山する>・・・テント場(16:30頃)
※食事:夕食と翌朝食はテントサイトで自炊。
注:テントを張る場所は管理地ではないため幕営は無料です。チップ制の綺麗なトイレが避難小屋に有ります。
【2日目】
起床(3:30)・・・ゆっくり朝食・・・テント場(5:00発)・・・岩稜歩きの練習のため、1日目と同じ登山道で再び山頂を目指す・・・乾徳山山頂(6:10頃)・・・下山は別の迂回ルートを歩く・・・ ハシゴや荒れたガレ場の危険な急坂が連続します・・・テント場(7:30着)・・・テント道具をのんびり撤収・・・ 高原ヒュッテ(8:50発)・・・1日目と同じ道を下山する・・・登山口バス停(10:38発の市営バスで約15分)==花かげの湯バス停・・・花かげの湯(入浴と昼食休憩で約2時間半)==<タクシーが便利で約10分/1,800円)==JR塩山駅着
まるで通勤電車並みに登山客で混雑した満員電車で塩山駅に到着しました。
乾徳山は国立公園の1つです。バス停付近には綺麗なトイレもあります。
バス停から登山口まではアスファルトと林道の傾斜道を30分程歩きます。
危険!注意喚起の看板が。最近はどこの山でもよく見掛けますが、本当は熊のホームグランド。
新緑の五月色に染まった、濃い緑の森林浴が楽しめる樹林帯が続きます。いい季節に来ました。
来る前は、湧いているか心配だった「錦晶水」は、冷たくて美味しい水がじゃぶじゃぶと流れていました。
今夜のテントを張る、国師ヶ原の避難小屋「高原ヒュッテ」に到着。
幕営(テントを張る)管理地ではありませんが、ここはとても綺麗に整備されている高原です。ゴミも落ちていませんでした。山のマナーとルールが守られていることを感じました。
国師ヶ原より上は、登山道の様子がこれまでと変わり、徐々に岩場が増えてきます。この巨大石は「月見岩」。頂きに立ちましたが実は後ろから簡単に登れます笑。
「手洗石」と書いてありますが、遠慮したくなるような(笑)水溜まりです。
岩場や鎖場が徐々に増えてきて、テンションも上昇します。
「髭剃岩」 ひげは剃れませんでしたが、ぜひこの隙間に潜ってみてください。
「カミナリ岩」の鎖場ではかなりの高低差を感じます。
崩れ落ちそうな「胎内岩」を支えてみました。
いよいよ乾徳山一番のクライマックス!高さ20m、ほぼ垂直の巨大一枚岩の壁「鳳岩」を登り、スリルを楽しみます。
鳳岩を登り切ればそこは2,031mの乾徳山山頂。どうですかこの眺望!疲れなど吹き飛んでしまいます。
乾徳山は、尖った岩だらけの狭い山頂なので、ゆっくりはできませんが眺望は素晴らしいのひとことです。
下山での鎖場も気を抜くことなく、慎重に足を運びます(登りと同じルートを下ります)。
無事にテント場に戻って、お楽しみの夕食の準備中、鹿が近くまで寄って来ました。
怖がる様子も逃げ出すこともなく、お互いのびのびと自然体です。
深夜に見上げた満天の星。これも山泊りの醍醐味です。小さな星までびっしり見えましたが、スマホカメラではこれが限界かも知れません。
翌2日目も朝から快晴に恵まれました。軽快に二度目の登頂を目指してスタート!
流石に連日二度目となると「カミナリ岩」もスイスイと登れます。
高さ20mの「鳳岩」を登り切れば、再びパノラマが広がる山頂へ。
下山ルートは昨日と変えました。いきなり梯子を下ります(ちょっと想定外)。
大きな石や岩場が続き、スリル満点で岩稜合宿登山には最適な山でした。
思わず腰が引けそうな急なガレ場の連続で足にも腰にも刺激的です。滑らないようにしっかり確かめながら進みます。
無事にテント場に戻りました。避難小屋の高原ヒュッテを後に下山開始。
国師ヶ原からの下山道は整備されているので安心して歩けます。無事ゴール!
3. 雑談と山のワンポイントアドバイス
今回ご紹介しました「乾徳山」の岩稜帯の様子は写真で伝わりましたでしょうか?樹林帯あり、高原あり、岩場ありと変化に富んだ乾徳山。冒険好きな方にはぜひおすすめしたい岩稜入門に最適な山です。
もう少しお伝えしたく動画の撮影も行いましたのでぜひご覧ください。
自称、高所恐怖症の編集局シンジーノさんが鳳岩をスイスイと登ります。
この2日間の岩稜歩きでは、混雑する時間帯を上手く回避する事ができたので、鎖場で待つ時間も殆どなく、また快晴に恵まれたのでスケジュール通りの行動で歩くことができました。
楽しみにしていた山頂からのパノラマは想像以上で、残雪の頂き南アルプスの主峰の山々を始め秩父の山々、あんなに多く積もっていた雪が急激に溶けている富士山の雄姿がはっきり目に焼きつきました。
山頂から動画も撮影しましたのでぜひご覧ください。
私たちの岩稜合宿登山は無事に終了しましたが、もし雨天だったらこのようには行きません。雨の日の岩はとても滑ります。寒さも増しますので腕や指先の感覚、体力も消耗しますのでおすすめしません。
また、ヘルメットの着用も大切です。自分は滑落しない自信があっても貰い事故が発生する事があります。岩場などでピンポン玉位の石が転がり落ちて来て当たり所が悪ければ大けがに繋がります。
出発前には、天気予報をしっかり見て、岩稜登山実施の可否の判断でお出掛けください。
ところで最近、山のマナーについて思うことがあります。
急なできごとに備えて「避難小屋」が整備されている山がありますが、どうも利用者のマナーの悪さを見掛けます。
限られたスペースを譲り合う精神がなく陣取って動かない。食事をするのは良いのですが仲間通しで大声でしゃべりながら宴会気分の状態(小屋の外でお楽しみください)。深夜早朝にごそごそ荷物を纏める音がうるさいなど、営業山小屋や旅館と勘違いしているかの様な行動をしている方がいます。
ここ乾徳山にも、山梨市が管理する、立派で綺麗な避難小屋「高原ヒュッテ」がありますが、あくまでも緊急時の共有場所であることを認識してご利用いただきたいと思います。
さて、下山後の楽しみと云えばやはり温泉とご当地の料理は欠かせませんね。
今回は山梨市営の「花かげの湯」に立ち寄り隣接の食事処「はくさい」で昼食をいただきました。お湯はぬるりとしたアルカリ性泉質であまり熱くなく、ゆっくり浸かれる温泉でした。
食事処の名物料理は人気が高く、週末でお客様も多く、注文してから料理提供まで50分ほど待ちましたが、とても満足する料理でした。
>>花かげの湯を紹介する「やまなし観光推進機構」の公式サイトはこちらから
どうですか~。これが人気のボリュームたっぷりの一本アナゴ天ぷらをのせた上天ぷら丼。都内のお店なら4,000円はしそうな内容ですが、ここではその半分以下の破格値で超お得です。
こんなにも素晴らしい岩稜登山。機会があったら私と一緒に登ってみませんか?
登山の紹介はまだまだ続く...
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倉山(くらさん)
- 2013年富士山が世界文化遺産登録の夏、50歳を迎えるこの年に富士山登頂を人生の思い出にしようと体力作りに近郊の山を歩き始めました。最初は息切れ筋肉痛や転倒など情けない状態でしたが、大自然に抱かれる心地よさに魅了されてしまい今では低山から日本アルプスまで登山なしではいられない生活になりました。仲間でお弁当持ってく歩く山が楽しくて大好きです。単独行でストイックに歩く山も好きです。素晴らしい景色、美味しい空気、そして大自然のありがたさを仲間の皆さまに感じて頂きたいと思う毎日です。目の疲れもストレスも景色を見ると癒されます。体調がとても良くなり食事が美味しくなります。きっと良いことが待っている山歩きを私と一緒に始めてみませんか。