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【新型コロナウイルス】イギリス・ロンドンの現状(2020年4月8日現在)
3月23日(月)から始まったイギリスの「ロックダウン(都市封鎖)」。早いもので、もうすぐ3週目の終わりを迎えようとしています。2020年4月8日時点の英国内における新型コロナウイルス感染者数は60,733人、残念ながら亡くなってしまった方の合計は7,097人となっています。いつの間にこんなに広がってしまったのかと驚くばかりですが、感染者数や死者数の増加率については、ほぼ予測通りの推移が見られているようです。
今回は、ロンドンに在住する私ハル・リーチが、イギリス・ロンドンの現状について報告します。
目次
イギリスにおける感染拡大防止措置の詳細
合言葉は「Stay at home」。余程の理由がない限りは自宅にとどまることが原則となっていますが、以下の場合については外出が許可されています。
- 必要最低限の買い物(食料品や薬、その他の生活必需品など)。できる限り回数は控える
- 1日1回の運動のための外出
- 医療目的
- 必要な場合に限る通勤。在宅勤務が不可能な場合のみ
基本は、用が無ければ家から出るな、公共交通機関を利用するな、ということです。外出をする場合には、2メートルのソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を保つよう指示が出ています。また公園や公共の場所などでは、同居人を除いて、3人以上の集まりは禁止されています。ヨーロッパの他のいくつかの国とは異なり、外出に際して許可書や身分証明書の所持などは必要ありません。
心の健康を守るために、ということもあり、1日1回の運動目的の外出として公園などへ散歩に出かける人は今でも結構います。住宅街では道で人とすれ違うこともそんなに多くはなく、すれ違う際には自然とお互いに距離を取り、時にはちょっとした言葉や微笑みを交わしながら通り過ぎるといった具合です。
公園では遊具のあるエリアの立ち入りは禁止されています。体操やジョギングをする人、ボール遊びをする親子連れ、ベンチで本を読む人などがいますが、それぞれ距離はきちんと守っているようです。
ここ数週間で急に春めいて陽気も良くなったことから、場所によっては日光浴をする人などが警官から退去を求められたり、閉鎖された公園があったりという話も聞くようになりました。観光地や景勝地もしかり、です。
街中の様子
一時期、ロンドンでも買い占めが社会問題となりました。スーパーマーケットでは、トイレットペーパーやその他の紙製品、パスタ、米、肉や野菜の棚がこぞって空っぽになっている風景が繰り返しメディアで流されていました。それがまた更なる買い占めを生むという悪循環に陥っていましたが、今では落ち着いています。
<カフェイン抜きの紅茶のみが少し残された、空っぽの紅茶コーナー。3月半ば撮影>
大手スーパーでは、開店後最初の1時間は医療従事者または高齢者など社会的弱者の方専用といったルールを設け、より必要としている人が優先的に買い物ができるようになっています。店内の買い物客の数を規制するため、入店時には列に並んで入場規制を行っていたり、社会的距離を保つべく、店内の床には2メートル間隔でテープが貼られていたり、といった工夫も施されています。
食料品を扱う店や、ドラッグストアなどは営業を続けていますが、一部のテイクアウェイ(持ち帰り)商品を扱う店舗を除く、レストランやカフェ、パブなどの飲食店は休業しています。服飾店その他のリテール(小売)についても、現在はオンライン販売のみで、店舗の営業は行っていません。銀行や郵便局などは営業していますが、営業時間の短縮などの措置が取られています。
新学期の見通しが立たない学校
イギリス全土で、いずれの学校も3月23日より基本的には休校となっています。ただし、医療従事者や公共サービスの職員など、生活の基盤を支える労働者の子供たちが引き続き学校に通えるような措置は各地で取られています。
4月の2週目に入り、現在はいずれにせよ春休み(イースター休暇)の時期なのですが、通常であればイースター休暇の後に始まる夏学期の開始の目途は、4月8日現在では立っていません。
息子が通う小学校では、学校のウェブサイトに掲載されている学習教材をダウンロードし、自宅学習に用いるようにとの指示が出されています。算数は普段から使っているオンラインの教材を使ったりしています。
体育(P.E)に関しては、フィットネスコーチのJoe Wicks氏が一躍時の人となっています。ロックダウンの開始以降、Wicks氏は週日の朝9時からロンドンの自宅のリビングを舞台にYouTubeで子供向けエクササイズのライブ配信を行っているのですが、これが各地の学校から推奨され、世界的にもメディアで大きく取り上げられ、大人気なのです。
木曜日夜8時の新しい習慣
3月末より、イギリスに新しい習慣が生まれました。日々、新型コロナウイルスとの戦いに身をささげている医療や介護の従事者の人々への感謝を伝えるべく、毎週木曜日の夜8時、家の前や窓、バルコニーから一斉に拍手をささげるというキャンペーンです。拍手どころか、皆さん鍋やフライパンをたたき、口笛を吹きならし、かなり賑やかな光景が繰り広げられています。ご近所さんたちどうしで声をかけあったり、なかなか感動的な場面となっています。英国王室の王子たちが、可愛らしく拍手をしている動画をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
また、今、イギリスの多くの家々の窓には、子供たちの描いた虹の画が掲げられています。これも、NHS(国民保健サービス)の職員たちへ敬意を表した活動です。今は友達同士で遊ぶこともできない状況ですが、こうしたところで子供たちの想いもひとつに繋がっています。
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ハル・リーチ
- 音楽、映画・演劇・TV、サッカーなど、UKカルチャーをこよなく愛す。2001年よりロンドン在住。以来、会社員&ものかき業を継続中。