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北海道「よつ葉乳業」は酪農家の思いから生まれました
こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
北海道にある「よつ葉乳業」という会社をご存じですか?私の家では生協からバターを買っており、それが「よつ葉バター」であることは知っていたのですが、その会社がどんな会社であるかをほとんど知りませんでした。今回北海道にある十勝主管工場の見学をする機会を得て、実際に話を伺ってみて驚きました。私がどんなところに驚いたのか、お話したいと思います。
※2022年8月現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、工場見学は休止となっております。工場見学の実施状況については、よつ葉乳業の公式サイトにてご確認ください。
まず十勝主管工場のエントランスを入ったらこの写真に盛大に迎えられます。
この見学施設の名前は「おいしさまっすぐ館」っていうんです。なんか心意気みたいなものが感じられますね。うん、とっても北海道っぽい。
よつ葉乳業はどのように生まれたのか?
創業は昭和42年(1967年)この時代は牛乳、乳製品の製造、販売は大手メーカーに委ねられ、地元の酪農家の声が反映されることはほとんどありませんでした。生乳(せいにゅう=絞ったお乳)の価格も大手メーカー主導で決められ、酪農家たちは弱い立場に置かれていました。より良い牛乳、乳製品をお客様にお届けしたい、その為には酪農経営を安定させ、酪農家が自分たちの手で製造、販売まで行う必要がありました。こうして十勝管内の8つの農協が中心となり乳業会社を設立しました(十勝主管工場ガイドブックより)。牛を大切に育てている酪農家さんたちの思いが込められて出来た会社だったんですね。
十勝は酪農がとても盛んなところ
明治16年(1883年)依田勉三(よだべんぞう)を中心とする、静岡県で組織された開拓移民団「晩成社」が帯広に入植し、開拓が始まりました。その3年後、当縁(とうえん)村(現在の大樹(たいき)町で14頭の牛を買って飼育を始めたのが、十勝酪農のはじまりといわれているそうです。戦後牛乳、乳製品の消費は日本人の洋食化や高度経済成長により急速に拡大し、昭和40年には酪農家1戸あたり3頭だった乳牛が現在では約80頭に達しました。また乳牛1頭あたりの年間搾乳量も8,500kgを超え、日本の酪農は世界に肩を並べる生産性を誇っています(十勝主管工場ガイドブックより)。
牛乳が家庭に届くまで
牛乳は以下の流れで牧場から家庭まで届けられます。
①牧場→②搾乳→③冷却/貯蔵→④集乳→⑤計量→⑥受け入れ検査→⑦貯乳→⑧清浄化→⑨均質化→⑩殺菌→⑪充填/包装→⑫冷蔵→⑬製品検査→⑭出荷/配送→⑮販売→⑯家庭へ
一口に牛乳と言ってもこれだけ多くの過程を経て、ようやく私たちの手許へ届いていることを初めて知りました。やはり口に入るものは安全第一ですから、こことても大事なところですね。
さて美味しい牛乳となるには「良い土」「良い牧草」「健康な牛」の3つが必要だそうです。北海道、十勝はぴったりの風土なんですね。ちなみに乳牛は1日2回乳を搾ります。1回の搾乳にかかる時間が約2~3時間、1頭から約30リットル/日絞れるそうですが1日2回絞らないと牛は病気になってしまうそうです。乳を搾ることは牛さんにとっても良いことだったんですね。これも知りませんでした。
工場見学ではこれら製造過程の一部をガイドさんの説明を聞きながら見学することが出来ます。見学風景はこんな感じです。
よつ葉乳業ならではの特徴とは?
牛乳は自然から生まれたものなので、とうぜん不純物やゴミも含まれています。それを完全に排除しなければ私たちにとって安心な飲み物にはなりません。その中のひとつが製造工程の⑩殺菌です。一般的な加熱殺菌は130度で2秒殺菌することが多いそうですが、よつ葉乳業では120度で2秒殺菌するものと72度で15秒殺菌するものがあります。高温で長時間殺菌するのが衛生面から見れば良いのでしょうが、そうすると風味が損なわれてしまうなどのデメリットもあります。よつ葉乳業が他社よりも低温の殺菌を可能にした背景には、十勝管内からそれだけ新鮮な生乳が毎日集められているからだそうです。
乳牛の餌は大きく分けて2種類あります。ひとつは「粗飼料」と言われる乾牧草やサイレージ(草やとうもろこしを発酵させたもの)で、もうひとつは濃厚飼料といわれる大豆、麦などで、それを複数混ぜ合わせたものを「配合飼料」と呼びます。飼料はできるだけ粗飼料の比率が多い方が良いそうです。よつ葉乳業で集められる生乳を搾乳する乳牛は配合飼料も使いますが、比率を下げて粗飼料を多く与えている乳牛が多いそうです。
また「パンにおいしいカップバター」など、手間と時間はかかるけれども昔ながらの作り方で製造している商品もあります。なぜパンに美味しいのかというと、ホイップして空気を混ぜ込むことにより、口当たりが軽くふわっとまろやかになるからだそうです。
搾乳から家庭に届くまでの期間は3~4日です。他社では効率化を重視しそれよりもっと短い期間で製造発送する会社もあるそうですが、よつ葉乳業では衛生安全面を重視し、しっかりした体制で牛乳を作っているそうです。
農家から工場へ、そして家庭への流れがジオラマで表現されています。
よつ葉乳業の製品群です。たくさん作られていますね。
よつ葉乳業は意外にも(失礼!)業務用で日本全国の4分の1のシェアがあるそうです。例えば脱脂粉乳などが大手乳業会社、お菓子製造会社、各スーパーに卸されています。私たちが知らないうちによつ葉乳業の製品に出会っているかも、ということですね。
よつ葉乳業オンラインショップ内部は工場というよりは研究所のような雰囲気です。
単なる見学だけではなくこんな面白い体験も人気
さて工場見学の中で面白い体験が出来るものを見つけました。まずひとつ目はこちらです。
牛の乳を搾った経験はありますか?ここでは、牛のおっぱいの模型を実際に触ってみることが出来ます。子供たちに大人気だそうです。(私たち大人も楽しんで(?)触りました)
続いてこちら
工場内は厳格に衛生管理されています。スタッフが工場内に入る時は専用の服、帽子、靴を身につけ、さらにエアシャワーで埃を吹き飛ばしてから入ります。ここではそのエアシャワーを体験する(2秒)ことが出来ます。こちらも見学者に大人気。
さらにこちら、牧草のトンネルです。
本当に遊び心満載の工場見学です。このトンネルを通ると何かの音が聞こえます。その音とは・・・?それは見学してからのお楽しみ。
ここ数年「バター不足問題」がニュースを賑わしています。なぜそういうことが起こるかというと原料の生乳が不足していることが原因のひとつですが、それは言い換えれば酪農家が急激に廃業しているからだそうです。特に本州の酪農家の減少率が大きいそうです。後継ぎ問題とか色々な事情はあるのでしょうが、私たちが安全で美味しい牛乳やバターを摂取し続けられる為には酪農家が激減しているという状態は喜ばしいことではありませんね。
世の中には多くの食べ物がありますが、生き物の命を奪うことなく食べることができるのは「ミルク」と「蜜」と「果実」と言われているそうです。牛乳は多くの栄養素がバランスよく含まれ、日本人に不足しがちといわれているカルシウムもたくさん含まれています。地球に優しく生物に優しい牛乳は私たちにとってなくてはならない食品ですね。
牛乳は冬、甘く美味しいそうです。なぜなら夏場は暑く牛も喉が渇く為、水を飲みます。そうすると生乳が薄まるそうです。私も初めて知りました。牛乳って生きてるんですね~。
今回のよつ葉乳業十勝主管工場を見学したことにより、牛乳、乳製品がこれだけ厳格に衛生品質管理されて私たちの元に届いていることがわかりました。自然の恵みを商品化していただいている関係者の皆さん、酪農家の皆さんには改めて感謝したいと思いました。
よつ葉乳業の乳製品はオンラインショップで買うこともできますのでぜひご覧ください。
やっぱり乳製品といえば北海道が似合うなあと改めて感じました。
今回はとかち帯広空港に降り立ったのですが、そこからの風景がこれですから。
やっぱり北海道って素敵な場所でした。皆さんもぜひ北海道へお出かけください。
よつ葉乳業 十勝主管工場見学の情報はこちら
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。