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エジプトの遺跡の中でもとくに見ごたえがあり、3千年近く砂に埋もれていたため保存状態も良好です。何といっても圧巻なのが、入り口に並ぶ巨大なラムセス2世の像4体。左から順に青年期から老年期までが表現されています。この神殿を見るだけでも、ラムセス2世がただ強さや権力を誇示するだけでなく、人間味あふれる多面的な表情を持っていることが伺い知れるんです。偉大で愛すべきファラオの姿に触れられるのもアブシンベル神殿の特徴だと思います。
ラムセス像の上部にずらりと並んでいるマントヒヒの彫刻です。ヒヒには太陽に向かって踊るような習性があることから、古代エジプト人は太陽神への礼拝や喜びの表現と結びつけていました。このヒヒが24体並んでいて、1体が1時間を表し、24時間を象徴しているとも言われています。
ラムセス2正面中央にあるラー神の像です。実はこの像、ラー神が両手に「ウセル(権力を意味する尺)」と「マアト(真実を意味する 羽)」を持っています。「ウセルマアトラー」つまり、これ全体でラムセス2世の「即位名」を立体的に表現しているんです。ひとつの彫刻で名前を表してしまう遊び心とデザインセンスには感動させられますね。
Memo
即位名とは...
古代エジプトのファラオは、即位名や誕生名など複数の名前を持っていたとされています。
神殿内部に入ると「カデシュの戦い」とよばれる戦争を描いた大きなレリーフがあります。壁全体に「ラムセス2世がたった1人で、敵の戦車1,000台・兵士2,500人を倒した」という豪快な伝説が描かれているのですが、注目してほしいのはラムセス2世が乗る戦車の足元。ちょこんと小さな「ライオン」が描かれております。これは彼が連れていたライオンなんですが、自身をあまりに大きな存在として描いたがために、ライオンが子猫のように小さく描かれてしまっているのがかわいくて個人的に大好きなんです(笑)
古代エジプトでは通常、「誰がこの壁画を彫ったか」という職人の名前が残されることは滅多にありません。が、この「カデシュの戦い」にはピアイという名の彫刻師が描いたことが記されております。ぜひ見つけてみてください!
神殿内の至る所に記されているのがラムセス2世のカルトゥーシュ。即位名と誕生名が並んでいることが多いのですが、アチコチで見つけられると思いますよ。アブシンベル神殿だけでなく、カルナック神殿やルクソール神殿といった遺跡や大エジプト博物館内でもたくさん見られます。
カルトゥーシュとは...
古代エジプトでファラオ(王)の名前を囲んでいた楕円形の枠。王の存在を悪いものから守るための保護的な意味を持つもの。
入口で目を引くのが、向かって左側にガラガラと崩れ落ちているラムセス2世の頭部像です。アブ・シンベル神殿はアスワンハイダムの建設時に水没を防ぐため、丸ごと高台へ移築された歴史があります。その際、あえて「崩れ落ちたままの状態」を忠実に再現して移築されたております。そこには当時の考古学者や建築家たちの並々ならぬこだわりと思いが詰まっていると感じます。
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