第3回 なぜ文明は3000年も続いたのか?世界で最も有名な無名の王ツタンカーメン王〈全5回エジプト〉

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TUT ANKH AMUN謎めいた少年王ツタンカーメン

黄金のマスクの発見によって、世界中にその名を知られるようになったが、王として何をしたのか、どのような王であったのかはあまり知られていません。9歳という若さで即位し、19歳で急逝した「少年王」の姿に迫ります。

古代エジプト年表

ツタンカーメン王は
混乱した国を元に戻した
「修復者」だった!?

父王アクエンアテンが引き起こした大混乱。

アクエンアテン(アメンホテプ4世)は「アテン神」を唯一神とするという宗教改革を断行しました。これは、「王である自分が直接アテン神の声を聴いて国民に伝える」ことで、神官の介入を許さず王権を取り戻そうとするものでした。多数の神の声を預かるとされる神官に牛耳られていた政権を、王に戻すための一手だったのでしょう。

アクエンアテンの石像

民衆による猛烈な反発

王権復古を狙った改革でしたが、結果は大失敗に終わりました。古代エジプト人にとって、現世(今生きている世界)は「来世で幸せに暮らすための準備期間」に過ぎません。「現世で善行を積み、死後にオシリス神に認められて初めて来世で復活できる」と信じていた民にとって、そのオシリス神をも否定する王の宗教改革は「死後の救いがなくなること」を意味しました。そのため、国民から猛烈な反発を買い、この改革は一代で崩壊することになります。

謎めいた若き死

かつては「暗殺説」もありましたが、近年の科学調査では、足に大きな損傷があることが判明しています。王墓発掘時には130本を超える杖が副葬品として収められていることから、足の不自由さまたは杖が必要なほどの病弱さが死に起因している可能性が指摘されています。ツタンカーメンの体を収めていた人型棺からも杖を携えている様子がわかります。しかし真相はまだ判明しておらず、今もなお研究が続けられています。

ツタンカーメンの黄金のマスク
杖を携えたツタンカーメンの人型棺
※ツタンカーメンの死因は諸説あり、定説はありません。
わこナビ1

「アテン」から
「アメン」への改名

幼いツタンカーメンの出生時の名前は「トゥト・アンク・アテン」(アテン神の生ける似姿)でした。しかし、父王の宗教改革が失敗し、国を元の姿(多神教信仰)に戻すことになったため、名前の最後をアメン神に変えて「トゥト・アンク・アメン(TUT ANKH AMUN)」と改名しました。改名自体が宗教改革の失敗を表しているのです。私たちは「ツタンカーメン」と表記し、発声していますが、現地ではなかなか伝わりません。ぜひ「トゥト・アンク・アメン」と発声してみましょう!

アテン神を礼拝するアクエンアテンとネフェルティティの浮彫

「世界一有名なファラオ」が
生まれた
歴史的な大発見。

ツタンカーメンの王墓

若くしてこの世を去ったツタンカーメン。それだけに、記録にもほぼ残っていない「忘れられた王」でした。しかし、そのおかげで王墓の存在が知られることなく、盗掘を免れていました。1922年に英国の考古学者ハワード・カーターが王墓を発見したとき、ほぼ無傷の状態で財宝が見つかったことで、彼は「世界で最も有名なファラオ」として現代に蘇ったのです。

ツタンカーメンの王墓と、黄金の秘宝が眠る内部MAP
わこナビ2

今なお王墓に眠るミイラ

これまでに発掘されたミイラはすべて移送され、その多くがカイロの文明博物館に保管されていますが、ツタンカーメンのミイラは今も王墓に眠る唯一のミイラとして知られています。発掘されたツタンカーメンは幾重にも重ねられた石棺と体を覆う王棺によって守られていました。そしてミイラ化した王の体を直接守っていたのが包帯と黄金のマスクです。厳重に守られていただけに、現代の外気に触れることでミイラは大きく損傷し、また密着したマスクで守られていた顔もマスクを外したことで損傷したため、王墓から移送することができず、いまもなおルクソールの王家の谷に眠っているのです。

王家の谷の王墓に安置されたツタンカーメンのミイラ
大エジプト博物館

王墓から発掘された副葬品は大エジプト博物館で
見られます!

何重にも守られた棺

お墓の中で、ミイラは4重の「厨子(木製の外箱)」と3重の「棺」によってマトリョーシカのように厳重に守られていました。博物館ではこれらが段階的に小さくなっていく様子がわかるように工夫して展示されているため、当時の埋葬の緻密さを体感できます。

第ニの厨子
第ニの厨子
第一の厨子
第一の厨子
戦車
戦車

私がぜひ注目してほしいのは、
玉座の背もたれ。

ここに描かれているのは妻アンケセナーメンが夫ツタンカーメン王に優しく香油を塗布する日常の様子なんです。注目のポイントは、この2人がサンダルを半分ずつ履いている部分です。ツタンカーメンにも心を許せるパートナーがいたことがうかがえます。

ツタンカーメンの玉座の背もたれ
わこナビ3

黄金のマスクの
「裏側」に注目

前方のきらびやかな表情だけでなく、後頭部にはヒエログリフでびっしりと文章が刻まれており、ファラオが被る「ネメス頭巾」の構造も含めて後ろ姿も見応え抜群なんです。

黄金のマスクの裏側
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なぜ文明は3000年も続いたのか?

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第2回

男装の君主ハトシェプスト女王

なぜ文明は3000年も続いたのか?

ハトシェプスト女王葬祭殿

第4回  9月下旬公開

第5回  10月下旬公開

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