

夜光雲(やこううん)という現象を聞いたことがありますか?
夜光雲は、英語でNoctilucent Clouds (NLC)と呼ばれる、地平線近くの夜空に青白く神秘的に輝く、地球上で最も高いところに現れる雲のことです。語源はラテン語で、「夜に(nocti)」「光る(lucent)」を意味します。
イギリスでも緯度の高いスコットランドは、夏になると白夜のようになり、夜中近くまで暗くなりません。暗くなってもすぐに明るくなります。近年スコットランドでは、夏の夜空の風物詩のように夜光雲が楽しめるようになりました。
オーロラはスコットランドでは1年に数回しか出現しないため、旅行中にはなかなか見ることができません。一方で夜光雲は、天気が良ければ夏の間によく現れるため、スコットランドを夏に訪れた際に見ることのできる可能性が高い自然現象です。
夏にスコットランドを訪れたら、晴れた日は夜寝る前に空を見上げてみてください。 日本ではあまり見ることのできない美しい夜光雲に出会えるかもしれません。
目次
夜光雲とは?
夜光雲は、地上から高度約76~85kmの超高層大気(中間圏界面)と呼ばれる地球上で最も高い大気の層にできる氷の雲で、空と宇宙の境界に近い領域で起こる特殊な気象現象です。
夜光雲ができる仕組みと圧倒的な高度
普通の雲は、一番高いものでも高度10km程度だといわれているため、夜光雲は地球上で圧倒的に高いところに現れる雲となります。
夜光雲は、夏場に水蒸気が上昇気流に乗って超高層まで押し上げられ、地球の空と宇宙との境目に漂う微細な流星塵の粒子を核として水蒸気が凍りつくことで生じるとされます。
オーロラのように美しく光る理由は、 日没後や日の出前、地上が暗くなっても高度80km付近には太陽光が届き、マイナス130℃以下の極寒の環境で凍った水分(氷の粒)が光を反射するためです。
夜光雲の見える時期・時間帯・観察のコツ
見える時間は、日没直後や日の出前の、夕焼けや朝焼けが残る薄明るい時間帯です。具体的にはスコットランドでは真夜中近く、そして朝3時ごろによく見ることができます。
夜光雲がスコットランドで現れる期間は、6月と7月の2か月です。
見える方角はオーロラと似ていて、日没後は北から北西、日の出前は北から北東といわれていますが、日没後に北東まで広がって見えたこともあります。
また、オーロラと同じくスマートフォンのナイトモードできれいに写真を撮ることができます。
夜光雲は比較的新しい発見
夜光雲の発見と大規模な火山噴火との関係
夜光雲が初めて観測されたのは1885年のこと。イギリスのロバート・レスリー (Robert Leslie) 氏によって記録されたのが始まりといわれています。
その2年前となる1883年、インドネシアのクラカタウ火山で死者3万6,000人超とされる未曾有の大噴火が発生しました。噴出された多量の火山灰により、1885年にかけて世界各地で鮮やかな夕焼けが観測されるようになります。これをきっかけに「巨大な火山噴火が夜光雲の発生を促しているのではないか」という仮説が立てられました。
この仮説は長年にわたり未解明のままでしたが、約140年後の2024年、科学的な証明がなされることとなります。2022年に起きた「トンガ沖海底火山噴火」の2年後、夜光雲の発生が活発化した現象を東北大学や電気通信大学などの共同研究チームが捉え、大規模な火山噴火との深い関係性を世界で初めて実証したのです。
大規模な噴火が起こると、大量の水蒸気が上空約80kmの中間圏界面にまで到達します。その結果、氷の粒が形成されやすくなり、夜光雲の発生が活発化すると現在では分析されています。
ロケット打ち上げによって発生する夜光雲
夜光雲はまた、ロケットの打ち上げによっても発生することがあります。ロケットから出た大量のガスやチリが核となり、氷の粒となって夜光雲が発生すると考えられています。 2018年に鹿児島から小型ロケットが打ち上げられた際には、普段見ることのできない夜光雲が日本各地で撮影されました。
地球温暖化やCO2急増との関連性
近年になって、スコットランドなど、これまで発生すると考えられていなかった中緯度の地域でも夜光雲が観察できるようになったことから、夜光雲は地球温暖化との関連性が指摘されています。これは人間活動によりCO2やメタンガスなどの温室効果ガスの排出量が急増したことが原因と考えられています。
夜光雲は人間活動によってCO2の排出量が急増した18世紀後半の産業革命後に初めて観測されるようになった背景があることから、対流圏の大気中にCO2が増加すると中間圏の大気が冷え、夜光雲が発生しやすくなると考えられています。
夜光雲の観測と形状
スコットランドを訪れたら、晴れた日の日没後に、北の地平線付近の低い位置を見てください。地平線近くの夕焼け空のオレンジ色の上に、鮮やかな青色、銀色、または白色に輝く、繊細で波打つような筋を描く雲が出ていれば、それが夜光雲です。
夜光雲は大気の動きや、氷の粒が成長する微粒子の分布によって刻々と変化するため、さまざまな形を観察できることも魅力の1つです。
主な形状について調べてみました。
<参考:Noctilucent Clouds by World Meteorological Organaizationl>
- ベール (Veil) :はっきりした構造を持たず、全体が透き通るようなベール状に広がる(薄く広がったシート状の形状)
- バンド (Band):平行または緩やかに交差する、細く長く伸びた糸を引いたような、リボンのような線が並ぶ(筋状・帯状の形状)
- ウェーヴ / ビローズ(Waves / Billows):砂浜の波紋(漣)のように、間隔の狭い短い筋が平行に並ぶ波状の形状
- ワール(Whirls):大きくループ状に曲がったり、ねじれたり、リング状の一部が見える渦巻き状の形状
- アモルファス(Amorphous):特別な構造やパターンを持たず、ちぎれたように孤立してぼんやりと漂う形状
- ノット (Knots):バンドやウェーブが交差し、交点だけがひときわ明るくコブ(結節点)のように輝く形状
- 網の目(Net-like):筋が網の目のように複雑に絡み合った形状。
私が夜光雲を最初に見たのは2025年の7月でした。2025年は1度でしたが、2026年は6度も観測できました。
毎回現れる夜光雲の形は違うので、楽しく観ることができます。
撮影した写真を上記の主な形状に当てはめようと努力したのですが、とても難しいと言うのが現実でした。 とはいえ、下記の写真と一緒に、主観で形状を書いてみました。
1. 2025年7月8日 1:40am ワールとウェーヴ
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<ワール>
2. 2026年6月10日 2:00am ベール
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<ベール>
3. 2026年6月29日 1:00am ワールと網の目
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<ワールと網の目>
4. 2026年7月3日 0:20am ベールとバンド
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<ベールとバンド>
5. 2026年7月9日 0:20am ノットとワール
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<ノットとワール>
6. 2026年7月10日 0:05am バントとべール
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<バンドとベール>
7. 2026年7月26日 11:20pm リボン、ワール、ノットなど
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<リボン、ワール、ノットなど>
7月26日の夜光雲は、広範囲に鮮やかにいろいろな形状が出てとても綺麗でした。
最後に
いかがでしたか?夏の夜に現れる、神秘的な青白く光る夜光雲は、さまざまな形状で見る人を楽しませてくれる美しい現象です。
スコットランドに夏に来たら、夜寝る前に北の空を見上げてみてください。
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Sachiko
- 名古屋市出身、海外滞在歴30年、38カ国490以上の都市を訪れました。多趣味で、アート系のクラッシック鑑賞、バレエ・ダンス鑑賞、美術鑑賞、アンティーク収集から、スポーツ系のテニス・ダイビング、グルメまで色々なことが好きですので、様々な視点で皆様に旅の楽しさがお伝えできればと思っています。猫2匹をインドネシアで拾い、スコットランドまで連れてきました。現在はスコットランドのエジンバラに在住。スコットランドの魅力を皆さんにお届けできればと思っています。
































