

古来より山深くに分け入り、クマなどの狩猟を生業としてきたマタギと呼ばれる人たち。そのマタギの本家と呼ばれるのが秋田県の阿仁地区であり、マタギの里と呼ばれています。そしてその山深いマタギの里、阿仁には「くまくま園」という熊だけの動物園があるのです。全国各地で熊の出没が相次いでいますが、実際に熊の生態を見に行ってみましょう。
目次
クマと共に生きてきたマタギ発祥の地・阿仁
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近年、クマが山ではなく人間の生活圏に多く現れ、山間部のみならず都市部でもその姿が見られるようになり、連日ニュースになるなど問題となっています。気候変動や個体数の増加などさまざまな要因が指摘されていますが、本来人とクマは異なる生活圏で生きています。
しかし、昔からクマの生活圏へと足を踏み入れて生きる人間もいたのです。それがマタギと呼ばれる人たち。その歴史はなんと平安時代にまでさかのぼると言われており、単なる猟師ではなく独自の山岳信仰や生命倫理観などを持ち合わせた組織でもあるのです。
そんなマタギは主に北海道や東北の山間部を中心に存在していますが、マタギ発祥の地とされる地区が秋田の山深いところにあります。それが旧阿仁町、現在の北秋田市阿仁地区です。阿仁地区までは秋田市中心部から車で2時間弱かかります。都市部からも距離があり、一年のうち半年近く雪に閉ざされるようなエリアであり、それゆえに山と向き合って生きなくてはならないような環境でもあったといえます。
ここから旅マタギとして他の土地へと渡り、そこでマタギの技術などを伝えたという例も少なくないそうです。
かつては200人以上いたというマタギも今は30人程度といわれており、過疎化と高齢化の波がマタギの世界にも押し寄せているのですが、現在は移住者や若者たちがマタギの文化や技を受け継いでいこうとする動きもあるそうです。
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阿仁・マタギの里の入口にある道の駅は「道の駅あに・マタギの里」と、やはりマタギを大きくアピール。入口付近には木彫りの像が並んでいます。
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入口付近ばかりでなく、敷地内には結構な数の木彫りの像が並んでいます。こうした木彫りの像には、なんとなくアイヌ的な雰囲気も感じましたが、マタギとアイヌの共通点が多いという研究者も少なくないようです。
熊を山の神からの授かりものと捉え、命をいただく際に祈りを捧げたり、マタギが用いる独特なマタギ言葉(山言葉とも)はアイヌ語の影響が強いといわれています。実際にアイヌ語と同じ意味の単語も使われているのです。
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そしてアイヌとマタギといえば、漫画「ゴールデンカムイ」のこの登場人物!谷垣源次郎は秋田県阿仁出身の元・阿仁マタギという設定であり、山や野生動物にも詳しいのです。無骨そうな外見とは裏腹にネタも満載で愛されるキャラクターであり、阿仁マタギの名を広めるのに一役買ったといっても過言ではありませんね。
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そしてこちらの道の駅はマタギの里らしい物販も充実しています。熊肉や鹿肉など、いかにもマタギの里らしいジビエが多数販売されています。
道の駅からさらに山の方へと進んでいくとその名も「阿仁マタギ駅」という駅もありますので行ってみましょう。全国的な知名度はあまりないかもしれませんが、秋田県の内陸部を走る秋田内陸縦貫鉄道の駅です。
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改めてよく見ると、すごい名前の駅です。駅名に「マタギ」なんて名称が入っているのはこの駅くらいなものです。こんな名前の駅があったら「え、何この駅?」とついつい寄ってしまいそうです。
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無人駅ゆえに駅舎自体は実に簡素なものです。ローカル線らしい味のある待合室内も、ついつい覗いてみたくなるような味わいがあります。そして観光地あるあるの思い出ノートも置かれています。
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そして木彫りのマタギ像や、伝説のマタギも駅に着いた人を出迎えてくれるほどの歓迎ぶりです。まさにマタギの里らしい駅です。
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そして駅のホームから見える景色は確かに熊の1匹や2匹が視界を横切ってもおかしくないような山深い場所ですね。
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阿仁マタギ駅から近くに温泉とマタギ資料館があるようです。しかし、クマ牧場が非常に気になりますのでそちらへと伺ってみましょう。現在はくまくま園という名で呼ばれているようです。
阿仁マタギ駅の基本情報
- 所在地(住所):秋田県北秋田市阿仁中村
秋田の「くまくま園」へ!マタギの里で熊を観察
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さて、阿仁マタギ駅から約10分、山の上の方へと車を走らせるとやがて見えてくるのがくまくま園です。思ったより小さめの施設ですが、受付の建物で入園料を払ってさっそく入っていきましょう。くまくま園の入園料は高校生以上の大人が700円、小中学生は200円、幼児は無料となっています。
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なお受付ではツキノワグマのおやつを売っていますので、ここは必ず買っておきましょう。小さな袋で200円なのですが結構な量が入っています。なお小中学生にはおやつが1つサービスでついてきます。
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園内の配置図はこのようになっています。熊が見られるエリアは中くまのゾーン、大くまのゾーン、小くまのゾーン、仔くまのゾーン、そしてひぐま舎の6つのゾーンに分かれています。とはいえ、すべて視界に入っている感じにはなります。
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ちなみにおやつは持ち込んだものをあげてはいけませんのでご注意。受付で販売されているものだけにしましょう。よく見ると「マタギの里 熊牧場 阿仁」とも書かれていますね。入口にはくまくま園の看板もありましたが、なぜこのようなダブルネーム状態になっているのかはまた後ほど触れていきます。
このくまくま園で飼育されている熊はツキノワグマとヒグマの2種類です。そもそも日本に生息している熊はこの2種類なので、日本の熊を網羅することができます。
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なおツキノワグマのエサはトウモロコシを潰したものや、大豆や小麦などの植物性のものを与えているようです。よくニュースでどんぐりが不作の年に熊が人里へ降りてくるというような話を聞きましたが、基本的には植物を主に食べるようですね。
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とはいえツキノワグマはれっきとした猛獣です。万が一檻へ転落した際は救出不可能という警告もされていますので、フェンスに登ったりするなどのおふざけは厳禁です。
さて先ほど園内マップにもありましたように、くまくま園はゾーニングされたくまの飼育展示となっていますが、「中くま」とはツキノワグマのメスで4歳から30歳以下の成獣、体長120~180cm、体重が90~140kgのサイズの熊を指しています。そして「大くま」はツキノワグマのオスで同じく4歳から30歳以下の成獣で、体長150~220cm、体重が120~200kgのサイズの熊を指しているようです。どうやらツキノワグマはオスの方が体格がいいみたいですね。
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こちらは中くまゾーンの熊たちの様子。熊はそれほど活発に動き回る動物ではないようです。あまりサービス精神があるようには見えず、隙があれば岩陰に隠れて出てこようとしない熊も多いようでした。
こちらは大くまゾーンの熊たち。もう完全に岩陰に隠れて出てきません。やっぱり熊ってプーさんみたいにダラダラ過ごしているような生き物なのかと思ったりしました。
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さらにこちらは小くまゾーンの熊たち。可愛らしく元気な様子が見られました。ちなみに「小くま」は1~3歳までのまだ子供の熊たちです。
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そしてさらに小さな熊を見ることもできるのです。こぐまの保育園と書かれた広場に行けば、今年生まれた生後間もない熊を見ることができます。しかし、その小熊を見ることができるのは、こぐまの遊遊タイムとして設定された小熊の見学会の時間だけなのです。なお時間は11:00~11:30、14:00~14:30の1日2回だけとなります。せっかく行くのであればこの時間を狙って訪れるようにしましょう。
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つぶらな瞳の小熊は生後半年ほどの個体で体重は6kgほどだそう。しかしこの熊があと数カ月で体重45kgくらいまで急成長していくそうです。なおこの小熊はこのくまくま園で生まれた熊だそうですが、野生が失われているわけではなく、先ほどの画像でも飼育員さんとボール遊びをしているように見えましたが、実は腕を噛んでやろうと試しているそうです。ボールがあるとうまく噛めないので遊んでいるように見えていましたが、油断をすると背後を取るような動きもしていたのでやはり相手は野生動物、そして人に危害を及ぼす恐れのある大きな獣であることを再認識しました。
ひぐま舎でヒグマを観察!くまくま園のルーツとは?
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さて、ここまで見てきた熊の種類はツキノワグマでした。ここ、くまくま園ではもう一種類、ヒグマも見ることができます。ヒグマは「ひぐま舎」の建物内へと行けば見ることができます。
ひぐま舎は、このくまくま園でも比較的新しい建物になっています。やはりより危険なヒグマを扱うだけあって、建物も堅牢な造りをしているように思えます。
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ひぐま舎では2階部分からスタートし、みはらしデッキから広々した屋外広場でのびのびと過ごすヒグマを見ることができます。
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また順路に沿って1階へ降りれば、くまトンネルがあります。このくまトンネルは周囲に覗き窓があるので、うまく熊がトンネルに入ってくれれば至近距離で熊の生態を観察することができます。
またくまトンネルに熊が入ってくれなくても、1階部分はくま通りと名づけられたガラス張りの通路になっており、ヒグマと目線を合わせられる位置で見学することもできます。
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また2階には少しですがパネル展示やヒグマの紹介などがあったりするのですが、1つだけどうしても見過ごせないものがありました。
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それが、くまくま園の誕生にまつわる話です。マタギの野生動物に対する考え方は前述の通りで、山の神様からの授かりものとするなど命を大事に扱ってきました。それゆえに、猟で母熊を亡くしてしまった小熊など、行き場を失った熊たちのために熊のいえをマタギの里の中に作ったのです。
これが1990年のことで阿仁熊牧場の起こりとなっていますが、ここではあくまでツキノワグマの飼育となっていました。その後、ヒグマの飼育を始めた理由はある大きな事件がきっかけとなっていたのです。
そして2012年、同じ秋田県の鹿角市にあった秋田八幡平クマ牧場にて大きな事故が起こります。なんと冬季閉鎖中だったクマ牧場から6匹ものヒグマが脱走、2名の飼育員が襲われて命を落としてしまったのです。
脱走したヒグマはすべて射殺されましたが、杜撰な管理体制が問題となった秋田八幡平クマ牧場は閉鎖となってしまいました。そして脱走せずに残ったヒグマたちも多数いたのですが、当初は殺処分が検討されていたものの観光に影響するということで受け入れ先を探していたところ、手を挙げたのが阿仁熊牧場だったのです。
そしてヒグマを受け入れるために新たな建屋も作り、名前も「くまくま園」に改めてリニューアルオープンしたのが現在の姿ということです。
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とにかくヒグマはデカい!漫画「ゴールデンカムイ」でもヒグマは圧倒的な存在として描かれていましたが、それはまごうことなき真実。
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ヒグマだけは実際に間近で見ると、これはどうにもならない、という感覚を抱いてしまいます。幸いヒグマは北海道にしか住んでいないため、本州以南ではヒグマによる影響はありませんが、ツキノワグマでも間近で見ればその迫力に圧倒されます。
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現在は全国各地で熊の出没情報が相次ぎ、中には人に危害を与えるような熊も少なくありません。実際に間近で熊を感じてみて、クマへの対策について考えるきっかけにしてみるのもよいでしょう。もちろん、かわいい小熊を観察するのもおすすめです。
なおくまくま園は通年営業ではありません。熊の冬眠に合わせて冬の時期は営業していませんのでご注意ください。通常は4月下旬ごろから11月上旬ごろまでの開園となります。公式HPなども参考にして、足を運んでみてください。
くまくま園の基本情報
- 所在地(住所):秋田県北秋田市阿仁打当字陳場1-39
- 駐車場:あり(無料)
- アクセス:車で秋田自動車道「五城目」ICから約1時間30分、秋田自動車道「鷹巣」ICから約1時間
- 公式サイト:くまくま園
まとめ
漫画、アニメや実写版映画などで人気が出た「ゴールデンカムイ」の影響もあり、マタギという存在に興味を持つ人が増えたのは確かでしょう。そんなマタギ発祥の地、秋田県の阿仁地区は一言では言い表せないほど山奥にあります。しかし、そんな過酷な環境が生み出したマタギという人たちに思いを馳せるにはピッタリです。ぜひ一度訪ねてみてください。
※記載の情報は2026年8月現在のものです。最新情報は公式サイトをご覧ください。

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- 最北端、最南端などの端っこスポットや、日本一〇〇なスポットなど、どちらかというとニッチな観光スポットやB級スポットが好きです。
































