

秋田県横手市増田町は、りんごの産地として知られる土地です。四季を通じてりんご畑が広がるこのエリアで、実は「りんごの実」ではなく「りんごの枝と葉」を使ったものづくりが行われていることを、ご存知でしょうか。
今回訪れたのは、地元の女性グループ「プリティアップル」が主宰するりんご染め体験。会場は、かつて小学校だった建物です。そこから増田の内蔵をめぐり、最後は古民家でひと息つく。廃校の教室から始まる、増田をたっぷり味わう1日を紹介します。
目次
りんごの実ではなく、枝と葉が布を染める
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会場となったのは、増田町亀田地区にある「亀田地区交流センター」。かつて亀田小学校だった建物で、2階の調理室が「プリティアップル」の工房になっています。
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染めに使うのは、りんごの実ではなく、剪定で切り落とされた枝と葉。
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実ではなく枝葉を使うということは、今回お話を聞くまで知りませんでした。枝葉を煮出してつくる染液は、りんごジュースのような淡い色をしていて、そこから生地に移る色は、オレンジがかった黄色です。
メンバーの中には、実際にりんご農家を営む方も数人いるそう。剪定で出た『不要になるはずだったもの』が、こうして布の色になっていく。無駄のなさと土地らしさを感じました。
りんご染めの工程
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今回は、ハンカチを1枚染めさせていただきました。まず、ビー玉やおはじき、板、割り箸などを使って布に模様をつけます。輪ゴムや紐で布を絞ることで、染まる部分と染まらない部分ができます。
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次に、りんごの枝葉を煮出してつくった染液に布を浸し、しばらく置いたあと、お湯で色止めをします。
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その後、布を洗って乾かし、最後にアイロンをかけて仕上げます。色の濃淡は、乾燥させてアイロンをかけるまではっきりと見えてこないそうです。
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私はビー玉を布で包み、輪ゴムで留めて丸い模様をつくるつもりでしたが、絞りが足りず、できあがりはひし形に近い形になりました。同じ道具を使っても、絞り方ひとつで仕上がりが変わることを、実際に手を動かして知りました。
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プリティアップルでは、毎年テーマを決めて染めものに取り組んでいるそうで、今年のお題は「ブラウス」。道具の当て方や布の絞り方ひとつで色の入り方が変わるため、同じものは一つとしてできあがりません。
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長年活動を続けているメンバーの方々も、作業をしながら「こうしたほうがいいかな」「これでどうだろう」と話し合ったり、互いにアドバイスし合ったりする場面がありました。経験を積んでいても、仕上がりを完全に決めきれるわけではないようです。
りんご染めのはじまり
プリティアップルの活動が始まったのは2011年。この年、増田は記録的な大雪に見舞われ、多くのりんごの枝が折れ、りんご農家は大きな被害を受けたそうです。
当時「増田地区生活研究グループ」として活動していたメンバーが、この折れた枝を何かに活かせないかと考えたことから、りんご染めの構想が生まれました。
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<調理室の窓から見えるりんご園>
草木染めの技術を学ぶため、京都や東京へも足を運び、2年ほどかけて技術を習得。2013年に「プリティアップル」として活動をスタートし、今では横手のお土産としても親しまれる存在になっています。被害を前向きな取り組みに変えてきた歩みが、この穏やかな色の奥にあると思うと、見え方が少し変わってきます。
プリティアップル(亀田地区交流センター)
- 所在地:秋田県横手市増田町亀田半助村北70 亀田地区交流センター
- 電話:090-6851-3889
- 期間:3〜12月
- 体験プラン:シルクスカーフ4,500円〜
- 公式Instagram:プリティアップル
「まちの駅 福蔵」で内蔵めぐりと干し餅
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染め体験のあとは、増田の町並みを歩いて「まちの駅 福蔵」へ。増田町は明治から昭和にかけて栄えた商家が軒を連ねるエリアで、通りからは見えない奥に「内蔵」と呼ばれる立派な蔵が隠されています。
福蔵では、内蔵を無料で見学することができ、囲炉裏や漆塗りの柱など、当時のつくりをじっくり眺めることができました。
店の名物は、東北の農村部で保存食として受け継がれてきた「干し餅」。
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福蔵では、干し餅を一度米油で揚げた「あげ干し餅」が人気で、塩味をはじめ黒砂糖味、砂糖しょうゆ味などが揃います。増田ならではのお土産として、旅の記念に持ち帰るのにぴったりの一品です。
まちの駅 福蔵
- 所在地:秋田県横手市増田町増田中町94
- 電話:0182-45-4190
- 営業時間:9:00〜17:00
- 定休日:不定休
- 公式Instagram:まちの駅 福蔵
まとめ
大雪で折れたりんごの枝を染めものに活かし、雪に強くつくられた蔵で暮らしの道具や食べものを守る。
増田の廃校と内蔵をめぐる1日からは、雪国ならではの工夫が随所に見えてきました。
りんご染めの布に浮かぶ淡い色にも土地の知恵が重なっているように感じました。
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ふきのとう編集室
- 秋田県在住のフリーライター。田舎のくらしや人とのつながり、土地のごはんや文化を、やわらかな視点で切り取った記事を執筆しています。“人に会いに行きたくなる”、そんな旅のきっかけを届けられたらうれしいです。






























