「ホテル選び」7つの視点とは? 年間100施設を訪れるライターが解説

ホテルのロビー

ホテル取材ライターの岩井ななです。私は現在、富山と東京の二拠点生活を送りながら、年間100以上のホテルを訪れ、そのうち30施設ほどに実際に宿泊する生活を続けています。夫と一緒に各地を巡り、彼はカメラで、私は言葉で、そのホテルの魅力を形にするのが私たちの日常です。

取材で訪れることもあれば、1人の旅行好きとして自ら選んで泊まることもあります。これだけ多くの宿に触れていると、友人から「どうやってそんなに素敵なホテルを見つけているの?」と聞かれる機会が増えました。

ホテル選びは、旅の満足度を左右する大切な要素です。でも、情報があふれる現代では、かえって「どこが自分に合っているのか」を見極めるのが難しくなっているのかもしれません。そこで今回は、私が普段から実践している「期待を超えた滞在を叶えるための、ホテル選びのチェックポイント」を、7つの視点でお話しさせていただきます。少し長くなりますが、皆さんの次の旅がもっと輝くお手伝いができれば嬉しいです。

目次

1. どんな体験が待っている? コンセプトからホテルを選ぶ

私がホテル選びで最も重視しているのは、その宿が掲げる「コンセプト」や「世界観」です。ホテルはただ眠るためだけの場所ではなく、日常から離れて新しい感性に触れる場所。だからこそ、その宿がどんな体験を届けようとしているのかを知ることは、滞在の満足度を左右する大きな鍵になります。

OMO5東京五反田

たとえば、星野リゾートの「OMO(おも)」というブランド。

ここは「テンションあがる『街ナカ』ホテル」という共通コンセプトがありますが、実は施設ごとにさらに細かいテーマが設定されています。 「OMO5東京五反田」ならグルメと夜景に特化していたり、それぞれの街の個性を活かした楽しみ方を提案してくれます。

事前に公式サイトでそのコンセプトを読んでおくと、現地に行った際に「あ、だからここにこのアートがあるんだ」「このサービスにはこんな意味があったんだ」と、説明されなくても肌で感じ取れるようになります。

ビジネスホテルはビジネスホテルでそれぞれに個性があります。例えば「スーパーホテル」は健康でサステナブルなライフスタイルを追求しており、オリジナルのオーガニックアメニティも用意しています。ドーミーインは、「快適に、シンプルに、"住むホテル"」がコンセプトです。

「どのような体験をしたいか」、ホテル選びではそれが1つの指針になります。ホテルをコンセプトで選べば、ただなんとなく過ごすよりも、ずっと多くの「何か」を持ち帰ることができる。それがホテル選びの醍醐味だと感じています。

2. 「公式サイト」で理想を描き、「SNS」で現実を確かめる

インターネットでの情報収集。皆さんはどのツールを使っていますか?私は、「公式サイト」と「Instagram」や「X(旧Twitter)」をセットでチェックすることを強くおすすめしています。

ホテル情報収集の使い分け

公式サイトは、いわばホテルの「最高の晴れ姿」です。

そこには宿が目指す理想の形、最も美しい瞬間が詰まっています。まずはここで、自分の感性に合う世界観かどうかを確認します。

しかし、ホテルは日々変化するもの。そこで次に活躍するのが「Instagram」です。

Instagramでは、まずはホテルの公式アカウントをチェックするのがメイン。公式サイトよりもリアルタイムな情報が「ストーリーズ」で発信されていたり、フィード投稿でアメニティや朝食といったホテルのサービスが、より細分化された形で紹介されていたりするからです。さらに、その公式アカウントに「タグ付け」されている一般の方の投稿もついでに覗いてみると、実際の滞在イメージがより膨らみます。

一方で、写真だけでは見えない「本音の口コミ」を知りたいときは、「X(旧Twitter)」も活用します。

Instagramは基本的に「素敵でキラキラした世界観」が共有される場所なので、不満やネガティブな感想を書く人はほとんどいません。それに対してXは、一般の方のリアルな口コミが最も見つけやすいツールです。何気なく感じたことがそのままポストされていることが多く、ときには「ちょっと惜しかった点」などの本音が落ちていることもあります。

ただし、スタッフ個人の対応や、その日の天気、来館者数(混雑具合)といった「日によって変わる可能性のある流動的な要素」については、口コミを気にしすぎないことも大切。それらはあくまで参考程度に留め、当日はフラットな気持ちでホテルへ向かうのが、心地よい滞在を楽しむためのコツです。

3. 写真はあくまでイメージ? 広さは「㎡(平米数)」で見る

ホテルの写真を見て「すごく広そう!」と思って予約したのに、お部屋に入ってみたら意外とコンパクトで、荷物を広げる場所にも困ってしまった......。そんな経験はありませんか?

これはホテルが悪いわけではなく、お部屋の全体像を伝えるために「広角レンズ」という、実際よりも広く見えるレンズで撮影されていることが多いからです。

ホテルの部屋のサイズ

そこで私が必ずチェックしているのが、お部屋情報の詳細にある「㎡(平方メートル)」という数字です。 写真の印象に惑わされず、数字という客観的な指標を見る癖をつけると、お部屋のサイズ感がリアルに想像できるようになります。

  • 〜22㎡: 1人で過ごすには十分。2人だと少しコンパクト。
  • 23〜29㎡: 一般的なビジネスホテルよりゆとりがあり、大きな荷物も広げやすい。
  • 30㎡以上: ソファセットがあるなど、お部屋での滞在そのものを楽しめる。

このように、自分なりの「心地よい広さの基準」を持っておくと、当日お部屋の扉を開けたときのギャップをなくすことができます。また、間取り図が公開されている場合は、動線もチェックしておくと、より快適な滞在が約束されます。

4. 施設(ハード)と接客(ソフト)のバランスが満足度を決める

満足度の高い滞在とは、「来たときの第一印象」を「帰るときの気持ち」が上回っている状態。来たときの「あ、すごい」という気持ちのまま、「すごい、すごいすごい」が続くと満足のいく滞在になると思います。

具体的には、「施設(ハード)と接客(ソフト)のバランスが良いこと」がポイントになります。たとえば、建物は立派なのに、スタッフが誰も見つからない、声をかけても表情が硬いというのはアンバランスです。逆もしかりで、接客が丁寧だけれど、建物の古さが目立ったり、ホコリが溜まっていたりだと、複雑な気持ちになってしまいます。

どちらも同じくらいレベルが高かったら、「満足のいく滞在だったな」と思いやすい。

接客面では、挨拶が一番のポイントです。経験上、良いホテルである確率が高いホテルは、挨拶をきちんとしてくれます。挨拶がそこまで重要視されないはずのビジネスホテルでも、ホテルによっては挨拶をきちんとしてくれますし、そういったホテルはその後の滞在でも親切にしてくれます。

案内するホテルのスタッフ

施設面では、ドリンクバーや軽食が置かれているスペースの、管理が行き届いているかどうかが気になるポイントです。無料で使えるところが最近増えてきましたが、ここがぐちゃぐちゃになっていると、目が行き届いていない証拠だなと映ってしまいがちです。

5. 最新のアメニティ事情! 今は「引き算」のおもてなし

近年、ホテルのアメニティ事情は劇的に変化しています。特に注目したいのが「サステナブル(持続可能性)」への取り組みです。 かつては「高級ホテルなら何でも揃っている」のが当たり前でしたが、今はあえて「置かない」、あるいは「素材を変える」選択をする宿が増えています。

木の歯ブラシやブラシ

例えば、以前ならお部屋に当たり前にあった基礎化粧品や歯ブラシなどの使い捨てプラスチック製品を最小限にし、「必要な分だけをフロントで受け取るスタイル」を導入したり、プラスチックの代わりに「木や竹など自然由来の素材」で作られたアメニティを設置したりする宿が増えています。ペットボトルの水の代わりに、各フロアのウォーターサーバーを利用するスタイルなども定番化してきました。

「せっかくのホテルステイなのにアメニティが物足りない」と当日驚かないためにも、その宿がどのようなスタンスで運営されているのかを事前に知っておくことが大切です。

その代わり、お部屋での時間を豊かにする「コーヒーマシン」や「寝具」は驚くほど進化しています。 今や多くの宿で、ボタン一つでプロが淹れたような味を楽しめるマシンが導入されています。寝具は、昔は硬すぎたり柔らかすぎたりで寝づらいこともありましたが、最近はどこでも快適に寝られるようになりました。自分に合った枕を選べる「枕バー」があるビジネスホテルも増えましたね。

大手のチェーンは一定レベルが担保されていて安心感がある一方、個人の宿だからこそ感動することもあります。私自身、小豆島の宿で出会ったイタリア製の枕があまりに心地よくて、その場で調べて自宅用に即購入してしまったこともあるほどです。

6.ホテル代がつらい? 公式サイトやエリアずらしで対策

「良いホテルに泊まりたいけれど、最近の宿泊料金の高騰が気になる」という声もよく耳にします。そんなときに役立つのが、予約の工夫です。

まず、基本は「公式サイト」をチェックすること。最近のホテルは、予約サイトへの手数料を抑えるために、公式サイトからの予約を「ベストレート(最安値保証)」としているケースが非常に多いです。

一方で、各種宿泊予約サイト(OTA)の存在も見逃せません。 予約サイト各社では、ユーザーの会員ステータス(利用実績)に応じてポイント還元率が上がったり、レイトチェックアウトや、お部屋にワイン1本のサービス、ホテルのオリジナルグッズ、あるいは女性専用アメニティの贈呈といった独自の特典をつけて、公式サイトからの予約と差別化を図るパターンもよく見られます。

そのため、「公式サイトの最安値」と「予約サイトでの会員限定の独自サービス」を天秤にかけ、今の自分にとってどちらが魅力的かを比較することが大切です。

ホテル予約のコツ

さらにもう1つの裏技は、「人気の駅から1〜2駅ずらしてみる」こと。 東京で言えば、池袋や新宿などの主要駅から少し離れるだけで、設備は最新なのに宿泊料金がぐっと抑えられている、コストパフォーマンスの高いホテルが見つかることがよくあります。

もしスケジュールに余裕があるなら、「前日や当日の予約」も1つの手。 空室を埋めるために、驚くような特別価格で提供されていることがあります。また、「お部屋おまかせプラン」は、運が良ければお値段以上の広めのお部屋にアップグレードされるラッキーが待っていることも。そんな、ちょっとした冒険心を旅に加えるのも楽しいものです。

7.宿泊当日はその場の空気を受け入れて楽しむ

これまでたくさんのチェックポイントをお話ししてきましたが、最後に一つお伝えしたいことがあります。それは、「下調べは入念に、でも当日はそれを忘れて楽しむ」ということです。

情報はあくまで、自分の滞在を心地よくするための「準備」にすぎません。たとえ写真と少し違っても、天気が期待通りでなくても、そのとき、その場所でしか味わえない空気を受け入れる心の余裕が、旅を一生の思い出に変えてくれます。

ホテル選びに正解はありません。大切なのは、「今の自分が、どんな気分で過ごしたいか」を自分自身に問いかけること。 皆さんの次の旅が、新しい自分に出会えるような、温かで素晴らしい滞在になることを心から願っています。

プロフィール:岩井なな

ホテルの一室で笑顔の筆者

富山と東京の二拠点生活を送りながら、集英社「non-no Web」や「エッセンシャル・トラベル」「FUN! JAPAN」など、多数のライフスタイル・旅メディアで執筆。年間100以上のホテルを訪れるホテル取材ライターでもあり、施設のコンセプトや最新トレンドを独自の視点で発信している。夫とともに旅を楽しみ、SNSでは温かみのある写真と等身大の言葉が支持されている。

岩井ななのアカウント:InstagramXYouTube

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岩井なな

北陸在住の取材ライターです。美術館や図書館などのインテリジェンスなスポットを中心に、北陸の魅力をお伝えします!アパレル業界出身で、プライベートではファッションとコーヒーが好き。オシャレホテルに泊まるのが最高の癒しです。

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