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【東京】毎月楽しめる!都内最大の水郷公園「水元公園」の12か月
都内最大の水郷公園として知られる都立水元公園は、春の桜並木、初夏の花菖蒲、晩秋のメタセコイアの紅葉などが有名です。実は広大な敷地の中には四季折々の見どころがあり、1月から12月まで毎月楽しめるんですよ。水元公園の月ごとの見どころを一気にご紹介します!
目次
- アクセス:金町駅から京成バスで
- 「小合溜(こあいだめ)」を中心とした広大な公園
- 1月の見どころ~バードウォッチングのシーズン、カワセミも飛ぶ
- 2月の見どころ~早咲きの梅や河津桜
- 3月の見どころ~薄紅のトンネルのような水元さくら堤
- 4月の見どころ~藤の花が小合溜の風に揺れる
- 5月の見どころ~水鏡に映るカキツバタ、新緑も見頃
- 6月の見どころ~都内最大規模の花菖蒲園
- 7月の見どころ~蓮の花にチョウトンボが舞う
- 8月の見どころ~オニバス、アサザ
- 9月の見どころ~ヒガンバナで真っ赤に染まる丘
- 10月の見どころ~紅葉が徐々に始まる...先陣を切るモミジバフウ
- 11月の見どころ~紅葉真っ盛り!真っ赤なラクウショウ
- 12月の見どころ~レンガ色に染まるメタセコイアの森
- まとめ
アクセス:金町駅から京成バスで
水元公園の最寄りの駅はJR常磐線・東京メトロ千代田線の金町駅および京成電鉄金町駅。JR金町駅北口から西水元三丁目行き(金62)のバスに約5分乗車するか、南口から戸ヶ崎操車場行き(金61)のバスに約7分乗車し、「水元公園」バス停で下車するのが便利です。徒歩7分ほどで水元公園のメインゲートに到着します。
3月1日~11月30日の間は、JR金町駅南口から「水元公園循環バス」金町駅行き(金63)が土・日・祝のみ運行します。「水元大橋・噴水広場」で降りると、目の前が公園のメインゲートです。
園内には3箇所の駐車場があり、駐車台数は311台。普通車の駐車料金は1時間まで200円、以後30分毎に100円がかかります。園内は広大で見どころが点在しているため、近隣地域の方は自転車での来園もおすすめです。
<水元公園のメインゲート>
<園内案内図。小合溜を中心に展開する水郷公園>
水元公園
- 住所:東京都葛飾区水元公園3-2(水元公園サービスセンター所在地)
- 開園時間:常時開園
- 入園料:無料
- 公式サイト:水元公園
「小合溜(こあいだめ)」を中心とした広大な公園
水元公園の敷地面積は96.3ha、東京ドーム約20個分にもなる広大な公園です。その中心となるのは小合溜(こあいだめ)という準用河川。江戸時代に作られた用水池で、園内にはここから水を引いた大小の水路が走っています。美しい水郷景観がこの公園の最大の特徴であり、園内のあちこちで水に強い樹木や水生植物が育ち、水辺に生息する多彩な鳥や昆虫を観察することができます。
広い園内は見どころが多く、水辺を歩くこともあるため、訪れる際には歩きやすい靴で行くことをおすすめします。
<青い水をたたえた小合溜に架かる「水元大橋」>
<小合溜の向こうに「メタセコイアの森」が広がる>
1月の見どころ~バードウォッチングに最適なシーズン、カワセミもいます!
冬木立が寒風に耐えている1月。でも水元公園は生命の力強さにあふれています。青い水をたたえた小合溜で、冬の風物詩のカモたちがにぎやかに過ごしているからです。
夏の間はシベリアなどで過ごし、越冬のために小合溜にやってくるカモたちは、ヒドリガモやキンクロハジロ、ホシハジロ、マガモなど。オスの頭が赤褐色で額の部分が白いヒドリガモは、特に目立ちます。夕方はヒドリガモが小合溜の南の角に集まることが多く、陸に上がって草をついばむ姿も人気があります。
<小合溜で群れるヒドリガモ>
樹木がすっかり葉を落とす1月は、他の鳥もみつけやすくなります。公園の中心部にある「噴水広場」から、遊歩道を北へ歩くと現れる「メタセコイアの森」の周辺の水路は、カワセミがしばしば現れるスポット。キラキラ輝く青い羽のカワセミが魚を狙ってすばやく水路に飛び込む姿は、見応えがあります。「青い宝石」「渓流の宝石」と呼ばれるのも納得の美しさです。
メタセコイアの森の近くに広がる湿地帯や、花菖蒲園のエリアにある睡蓮池では、真っ白なダイサギやコサギ、青灰色のアオサギが良く見られます。水生植物も冬枯れるこの時期は、捕食のために水辺を歩く大きなサギたちをじっくり眺めることができますよ。迫力です。野鳥をよりじっくり観察するために、小型の双眼鏡などを持参するのもおすすめです。
<水路の魚を狙うカワセミ>
<冬枯れた睡蓮池で狩りをするダイサギ>
2月の見どころ~早咲きの梅や河津桜
2月半ばになると園内では早咲きの梅が、後半には河津桜がほころび、ひと足早く春の気配が漂い始めます。まだ寒風が吹く中で可憐な花を咲かせる木々は、公園をあたたかく照らす灯のようです。
梅がひときわ見事に咲くのは、園内北部の「少年キャンプ場」がある水路沿い。紅梅と白梅の並木が美しく、周囲に華やかな香りを漂わせています。
河津桜が美しく咲くのはメタセコイアの森へ向かうポプラ並木のそば。濃いピンク色の可憐な花々は、背後に立つ冬枯れたメタセコイアの木々にもよく映えます。
<紅梅と白梅が並ぶ少年キャンプ場の水路沿い>
<河津桜が春を待つメタセコイアの森に映える>
3月の見どころ~薄紅のトンネルのような水元さくら堤
水元公園は都内有数の桜の名所。まず3月半ばに、ソメイヨシノよりも一週間ほど早く「噴水広場」に立つ「大寒桜」が咲き始めます。濃いピンク色が目立つこの大寒桜の下から、小合溜に架かる水元大橋を眺めると、橋の主塔と一緒に美しい花を写真に収めることができます。水元公園らしい光景が、スマホやカメラを持った来園客に人気です。
3月下旬には、公園の西側の外縁を走る「水元さくら堤」のソメイヨシノが見頃に咲きます。約500本の桜の木々が全長約3.5kmの堤にずらりと並ぶ様子は壮観。まるで薄紅色のトンネルのようです。堤の遊歩道からは、徒歩とサイクリングで美しい桜並木を間近に楽しむことができますよ。散策におすすめです。
<大寒桜と水元大橋の主塔>
<3.5kmの桜並木が続く水元さくら堤>
4月の見どころ~藤の花が小合溜の風に揺れる
4月中旬には水元大橋の南側に広がる花菖蒲園で、藤の花が見頃を迎えます。小合溜の岸辺に立つ半円状の藤棚では、紫と白の藤の花が競うように咲く様子が見事です。小合溜の青い水に似合う藤棚の周りは、藤の花のさわやかな甘い香りが一面に漂います。
八つ橋が架けられた菖蒲田の西側にも、大きな藤棚があります。こちらは紫色の藤の花が優美な花房を垂らしており、尖った葉を伸ばす花菖蒲の緑によく映えています。この藤棚には屋根のあるあずまやが付いており、藤の花の香りに包まれながら、軽食などを楽しむこともできますよ。
<藤棚が小合溜の水に映える>
<白い藤の花も見事>
5月の見どころ~水鏡に映るカキツバタ、新緑も見頃
水郷景観が特徴の水元公園では、四季折々に多彩な水生植物を見ることができます。5月には園内のあちこちでカキツバタの花が咲き誇り、青紫色の花が水鏡に映る様子がとても優雅。新緑にもよく映えます。
園内の南部に広がる「水辺散策池」では、水辺の数か所でカキツバタが群生しています。垂れ下がる大きな花びらは花菖蒲にも似ていますが、こちらは花びらの付け根の部分に白い筋が入るのが特徴。池沿いの遊歩道を東へ進むと「水辺のさと(保全区)」があり、そちらの「水生生物展示池」でも水面に姿を映すカキツバタの群生を見ることができます。この池ではより近い位置で花を眺められるため、カキツバタの特徴の白い筋をじっくり観察できますよ。なお、水辺のさとは月曜日が休園日なのでご注意ください。
<水辺散策池のカキツバタ。花びらの付け根の白い線に注目>
<水生生物展示池のカキツバタの一群。印象派の絵のよう>
6月の見どころ~都内最大規模の花菖蒲園
水元公園は都内最大級の花菖蒲の名所として知られています。水元大橋の南に広がる「花菖蒲園」は約100種・14,000株の花菖蒲が育っており、6月初旬には1~15号まで区分けされている菖蒲田が、紫や白、ピンクの花菖蒲でいっぱいになります。
13・14・15号田はとりわけ人気の高いエリア。水が張られた菖蒲田には長い八つ橋が架けられており、繊細な色や模様を持つ花菖蒲をすぐ近くで眺めることができます。スマホやカメラで花をアップで撮影することができますよ。折れ曲がる橋の上をゆっくり歩きながら、花菖蒲を眺める時間はなんとも風流です。
花が特に密集して咲く7号田も人気があります。まるで紫色のタペストリーのような眺めが印象的。花菖蒲園の開花期は、6月下旬頃まで続きます。
<小合溜に沿って広がる花菖蒲園の2号田>
<色鮮やかな花菖蒲園が競うように咲き誇る>
<八つ橋が架かる15号田は花菖蒲の撮影に最適>
7月の見どころ~ハスの花にチョウトンボが舞う
夏の水元公園は、園内の南東部のエリアにあるいくつもの池が見どころ。多彩な水生植物や昆虫が見られるシーズンです。「水辺の生きもの館」の奥に広がる「ハス池」では、東西に長く伸びる池の水面を多数のハスの花が彩っています。40cmほどの丸い葉の上に、長い茎を伸ばして咲き誇るピンクの花が迫力!コンクリートの橋が2か所に架かっており、ハスの花托も真上から眺めやすいのが嬉しいポイントです。
ハスの花が咲くのは4日間。早朝に咲き始めて昼にはつぼみの状態に戻る、という過程を3日繰り返し、4日目には花びらを開き切って散っていきます。ふっくらした花姿を見るには、午前中の早い時間に訪れるのがおすすめです。
<園内南東部のハス池で咲き誇るピンクの花々>
こちらの池では、東京都(区部)では準絶滅危惧種に指定されている「チョウトンボ」がよく見られます。キラキラ輝く青紫色の羽を持つチョウトンボが飛ぶ様子は、一見の価値がありますよ。一般的なトンボのように直線的な飛び方をせず、チョウのようにヒラヒラ飛ぶことからその名が付いたそうです。他のトンボとは一線を画す、透明ではない羽もまるでチョウのよう。その名も納得の美しさです。
<ハス池のつぼみにとまるチョウトンボ>
8月の見どころ~貴重な水生植物、オニバスとアサザが池を彩る
ハス池の奥には「オニバス池」と「ごんぱち池」が並んでおり、どちらも7月初旬~9月初旬に限定公開されています。オニバス池には絶滅危惧種の水生植物オニバスが、ごんぱち池には準絶滅危惧種のアサザが、水面の上に鮮やかな花を咲かせているのです。
オニバス池の公開時間は9:00~14:30。直径1.5~2mにもなる丸い葉の上に、紫色のオニバスの花があちこちで顔を出しています。この巨大な葉にトゲが生えていることから名前に「オニ」が付けられたそうですよ。小さめながらも鮮やかなオニバスの花にも、萼や花筒にトゲトゲが付いています。
<トゲが付いた巨大な葉が広がるオニバス池>
<鮮やかな紫色のオニバスの花>
ごんぱち池のアサザの公開時間は9:00~10:00。午前中に咲き、昼にはしぼんでしまう半日花のため、公開時間はたったの1時間です。ご注意くださいね。ごんぱち池は都内で唯一のアサザの自生地として、大切にされています。明るい黄色のアサザの花は3~4cmと小さいサイズですが、花弁のふちにフリンジのような切れ込みが入る可憐な花です。
なおオニバス池、ごんぱち池ともに月曜日は休園です。どちらの池もたいへん日当たりが良いため、帽子や日傘などの暑さ対策をお忘れなく。
<都内で唯一の自生地、ごんぱち池のアサザ>
9月の見どころ~ヒガンバナで真っ赤に染まる丘
水元大橋の南に広がる「花菖蒲園」は、9月下旬にはヒガンバナの名所になることで知られています。野外ステージが立つ広場の奥に「ヒガンバナの丘」があり、なだらかな斜面を真っ赤なヒガンバナが覆いつくすのです。まるでレッドカーペットを広げたような鮮やかな眺めに目を奪われます。
水元大橋に近い「花菖蒲園」の入口には、白いヒガンバナが帯のようにずらりと並んでいます。小合溜沿いの菖蒲田のふちに咲くため、大きな白い花が青い水景色に映えるのも魅力です。
<ヒガンバナの丘>
<花菖蒲園の入口を彩る白いヒガンバナ>
10月の見どころ~紅葉が徐々に始まる...先陣を切るモミジバフウ
秋らしいさわやかな日が訪れると、真っ先に色付く園内の木は「モミジバフウ」。高さ20mにもなる木々が、ポプラ並木の近くにある第一駐車場にずらりと並んでいるのです。10月中~下旬から紅葉が始まり、カエデのような手のひら状の葉が緑からオレンジ、赤、紫、とグラデーション状に変化していく様子を楽しめます。
三列に並ぶ駐車スペースに沿って、背の高いモミジバフウの木がいち早く紅葉する様子は遠目にも目立ち、密かに人気のスポットです。ご覧になる際には車の邪魔にならないよう、充分にご注意くださいね。なお、噴水広場から遊歩道を北へ進むと、左側にも大きなモミジバフウの木が立っていますよ。
<いち早く色付き始める第一駐車場のモミジバフウの並木>
<噴水広場近くのモミジバフウ>
11月の見どころ~紅葉真っ盛り!真っ赤なラクウショウ
11月中旬になると水元公園の紅葉も本番。ポプラ並木と小合溜の間にある「ラクウショウの森」が真っ赤に色付き、圧巻の景色を見せます。高さ20m以上にもなるラクウショウの別名は「ヌマスギ」。原産地の北米では沼地や湿地に自生する針葉樹です。水元公園では小合溜の青い水に真っ赤な高木が映え、はっとするほど印象的な眺めになっています。
水元大橋の南側にある花菖蒲園にも、水辺に背の高いラクウショウの木々が並んでいます。燃えるように赤く染まった木が、水面に姿を映す様子が鮮烈です。
<ポプラ並木と向かい合うラクウショウの森。真っ赤!>
<花菖蒲園側の岸辺に立つラクウショウ>
12月の見どころ~レンガ色に染まるメタセコイアの森
12月上旬になると、水元公園の名物メタセコイアが紅葉します。「噴水広場」から遊歩道を北へ歩いていくと、水路に架かる橋の先に、見事な円錐形の巨木が並ぶ「メタセコイアの森」が広がっています。
高さ20m以上にもなるメタセコイアの木々が、一斉に紅葉する様子は圧巻。ちなみにメタセコイアの紅葉は、赤色ではなく「レンガ色」と称されます。内側から輝くようなあたたかみのある色は、遠くから見ても迫力満点。森の中に入り、背の高いメタセコイアを見上げると、レンガ色の葉の隙間から木漏れ日がのぞく幻想的な光景を楽しめます。
<レンガ色に染まるメタセコイアの森>
<高い木の葉の隙間から、レンガ色の光が差す森の中>
メタセコイアの森の先には、蛇行する川のような水路が広がる「せせらぎ広場」が広がります。こちらの水辺に立ち、南に広がるメタセコイアの森を眺めるのもおすすめ。レンガ色に色付いたメタセコイアの森が水鏡に映り、鮮やかな紅葉を2倍楽しむことができます。池に架かる小さな橋は、メタセコイアと水路を背景に記念撮影ができる人気スポットです。
せせらぎ広場の北側や園内北部の「水生植物園」の小島にもメタセコイアの一群が立っています。こちらは足を運ぶ人も少なく、水に映るレンガ色の木々をじっくり眺められます。
<せせらぎ広場から見たメタセコイアの森>
まとめ
水元公園は四季折々に見どころがある壮大なスケールの公園です。以下の点をお心に留めながら、足を運んでみてくださいね。
注意点
- 水元公園は小合溜を中心とした水郷公園で、敷地面積は96.3haと広大です。園内は見どころが多く、水辺を歩くこともあるため、歩きやすい靴がおすすめ
- 「オニバス池」と「ごんぱち池」は夏季のみの期間限定公開です。公式サイトで事前に日程をご確認ください
- 「水辺のさと」「オニバス池」「ごんぱち池」は月曜日が休園日です(月曜日が祝日の場合は火曜日休園)
それでは、ダイナミックな水郷景観をたのしむ素敵な散策を!
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朝茶
- ライター/英和・和英翻訳者。出版社に11年勤務後、2009年にシンガポールに転居。東南アジアの文化と料理にハマる。2013年に帰国した後は日本文化に改めて関心を深め、今はとにかく国内各地を旅したいです!