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【日本百名山】5座目は命がけで登った阿蘇山(熊本県)
<TOP画像:熊本空港着陸前に航空機の機内から撮影>
こんにちは!たびこふれライターの中尾です。
熊本県の阿蘇山(あそさん)は誰でも一度は聞いたことがある山だと思います。九州のほぼ真ん中にあって桜島と同じく火山。常に火口からモクモクと噴煙が上がっているというイメージだと思います。僕も中学の修学旅行で行ったことがあり、当時は噴火口をのぞきこんだ記憶があります。しかし、僕も含めほとんどの方がイメージはここまでではないでしょうか...。僕はつい最近まで阿蘇山に登山できるとは思っていませんでした。
日本百名山でもある阿蘇山の最高峰・高岳(たかだけ)に登ってきましたので、阿蘇山がどんなところなのかをイメージしていただければ幸いです。
目次
日本百名山5座目 阿蘇山(高岳)
阿蘇山は阿蘇五岳(高岳・中岳・根子岳・烏帽子岳・杵島岳)と外輪山によって構成されています。したがって、阿蘇は典型的な二重式の火山となります。阿蘇山といえば、阿蘇五岳を中心にした東西にのびる連山を呼ぶことが多いですが、広い意味では外輪山や火口原をも含めた呼び名になるそうです(阿蘇市公式サイトより引用)。
登山概要
- 登山日:2023年3月19日
- 天候:快晴
- 日本百名山5座目 阿蘇山・高岳(熊本県)
- 標高:1,592m(高岳)
- 登山ルート:【登り】仙酔尾根ルート 【下り】すずめ岩迂回ルート
- 距離:【登り】約2km 【下り】約3km
- 所要時間:【登り】約120分 【下り】約120分 (僕は休憩を含み登り2時間35分、下り2時間でした)
- 公表されている難易度:【登り】中級者向け 【下り】初級者向け
- 僕が体験して感じた難易度:【登り】上級者向け 【下り】中級者向け
登山道の特徴
【登り】仙酔尾根ルートは急登のうえ、岩登りが含まれるので初級者は登らない方がいいと思います。
【下り】仙酔尾根ルートに比べ登り下りしやすいですが、途中道に迷いやすいので注意が必要です。
・服装:暖かかったので長袖トレーナーと半袖シャツ、登山用のズボン、登山靴を履いて登りました。岩がゴロゴロしているので靴底が固い登山靴をオススメします。
阿蘇登山届に記載されている注意事項
- 火山ガス(亜硫酸ガス)発生時は呼吸器系に疾患がある人は絶対に登山しない
- ガスの臭いを感じたら、水に濡らしたタオル等で口や鼻を覆う
- ガスが流れる方向に注意し、臭いが強い場合は、火口に近づかない
- 体調に異変があった場合には、火山ガスがこない場所に移動する
- ガスは空気より重いので、窪地を避け、尾根筋など高いところに避難する
- 根子岳、烏帽子岳、杵島岳にも風向きによりガスや降灰の影響があります
【登り】仙酔尾根ルート
仙酔尾根ルートの起点となる仙酔峡駐車場(標高約900m)です。100台くらい駐車でき料金は無料です。
これから登る阿蘇の主峰・高岳が正面(少し左側)に見えます。また登山道の仙酔尾根ルートも見えています。
【10:34出発】それでは登山開始です。花酔い橋を渡ります。この先の地獄のような恐怖をこの時は知る由がありません...。
花酔い橋を渡り、階段を少し登るといよいよ尾根登山が始まります。
ところどころ黄色のペンキで矢印が書かれています。
ダイナミックな尾根ルートですが、徐々に急登に変化します。
ちょうど正面、太陽の下あたりが高岳山頂です。とても長く感じます。
【11:32通過】半べそをかきながら中間点です。こんなはずじゃなかったと後悔し始めたのもこの頃です。
こんなところを両手両足でよじ登っていきます。後ろを振り返るなんて怖くてできません。滑落したら死ぬと思います...。引き返すにも僕の技量では下りられません。
仙酔尾根ルートは岩場の急登ですが、ロープ・鎖場はこの1ヶ所だけでした。
写真では分かりにくいですが、めちゃくちゃ急登です。
どこまで登ればいいのか分かりません...。落ちないように必死に登ります。
マーカーで矢印がしるされているので道に迷うことはないと思います。
ワンちゃんも嫌々下って行きました。どうやって下ったのだろう...。
【13:47】噴火口の尾根に出ました。
ここでやっと振り返りました...。広大なカルデラです。ここからはカルデラ北部を見渡すことができ、奥には九重連山が見えています。
動画でもご覧ください!
高岳の火口です。高岳は2万数千年前に誕生したと考えられています。半円形の平坦な窪地が火口で、東西750m、南北500mの広さがあります。火口に沿って登山道があり、火口を一周することができます。
高岳と対してそびえるのは東峰です。通称、天狗の舞台と呼ばれています。
正面が高岳山頂、右奥が中岳山頂です。中岳山頂の奥に噴煙を上げているのが、中岳の噴火口です。ここまで来ると楽勝です!
高岳山頂に向かう最後の急登です。急登と言っても、仙酔尾根ルートを登ってきたので、苦も無く登ることができました。
高岳山頂
【13:09到着】高岳山頂(1,592m)に到着しました。10:34に出発しましたので、2時間25分もかかってしまいました。
高岳山頂から見た中岳山頂と後方には中岳噴火口が見えます。
中岳山頂
【高岳山頂を13:12出発】風が強かったのと時間が押していたため、高岳山頂からすぐに中岳山頂へ向かいます。
大きな岩がゴツゴツした稜線を歩き中岳に向かいます。
この大きな岩はどうやって飛んできたのでしょう...。火山の怖さを感じます。
後ろを振り返ると、先ほど登ってきた仙酔尾根ルートが見えます。こんな急登を登ってきたんだ...。
まもなく中岳山頂に到着です。
途中の稜線上に火山性有毒ガスに注意の看板が...。
【中岳山頂に13:44到着】中岳山頂(1,506m)に到着しました。中岳火口に近いのでここでは長居は禁物です。高岳山頂から中岳山頂まで約30分です。
動画でもご覧ください!
中岳山頂から砂千里ヶ原を望みます。こちらは「皿山迂回ルート(中級者向け)」と呼ばれるルートで、阿蘇山上ターミナルが登山口になっています。仙酔尾根ルートと反対側から登ります。比較的登りやすいルートですが、距離が長いのと、砂千里ヶ浜を巻きながら通るので、風向きによっては砂・灰を浴びることになるので、僕はこちらのルートは使いませんでした。
【下り】すずめ岩迂回ルート
【中岳山頂を13:48出発】下りは仙酔尾根ルートはとても僕の技量では下山できないと判断し、すずめ岩迂回ルートを下ることにしました。本来の下山ルートは、中岳山頂から中岳噴火口を望む展望台を経由して、仙酔峡駐車場へ下るルートでしたが、噴火警戒レベル2(火口から半径約2km圏内に立入禁止)になったため、通行できない状況が続いていました。2021年5月より「すずめ岩迂回ルート」が開通し、通行が可能になりました。
※ただし、噴火警戒レベルが3に引き上げられたらこちらの迂回ルートも通行できなくなります。常に火山情報の情報収集が必要です
【13:51通過】すずめ岩迂回ルートへの分岐点です。ここから仙酔峡駐車場まで下りになります。
入ってはいけないところには立入禁止のロープが張られています。
途中、真横から仙酔尾根ルートから見ました。最初から最後まで急登が続くルートだと分かります。
すずめ岩迂回ルートで唯一のロープ設置場所です。手足の置き場所をしっかり確認しながら進みましょう。
阿蘇山は活火山のため、草木が生えていません。なので、眺望は抜群に良いです!
途中、しっかり看板があるのですが...。
この先看板がなく、岩に黄色ペイントも見当たらず、自分勝手に右へ下って行くものだと思い込み...。道に迷いました(視界はあるのに迷いました)。この先、谷になっていてストンと落ちています。迷った時は元に戻るという鉄則を破り、僕は谷に下りて、岩壁を登って登山道へ戻りました。やってはいけないことですね。岩壁登りが怖かった...。
このあたりまで下ると迂回ルートから通常の登山道に戻ります。登山道は岩畳に整備されています。正面に見える塔はかつての仙酔峡ロープウェイの残骸です。2010年5月まで運行していたそうです。
仙酔峡駐車場が見えてきました。
ここは仙酔峡ロープウェイに沿って登山道が整備されています。ゴツゴツした岩畳なので、つまづき転倒に注意が必要です。
まもなく到着!
【仙酔峡駐車場に15:12到着】中岳から1時間24分で下山しました。道迷いがなければ1時間強で下れると思います。駐車場付近からパノラマ撮影。迫力ある岩峰です。
【注意】登山道入口脇にトイレがあるのですが、閉鎖されていました...。
【注意】トイレは仙酔峡インフォメーションセンターの横に仮設トイレが2つあるだけです。清潔ではありません...。
仙酔峡インフォメーションセンターの建物です。登山届の記帳・提出台が外にあります。中は無人、何もありません。
阿蘇山登山の感想
最近、僕個人的に感じていること
ガイドブック、ネット、動画配信サイトに出ている情報は、初級者にとって鵜呑みにできない情報だと思います。
ガイドブックを製作・執筆される山を熟知した方にとっては、初級者レベルに扱われますが、僕のような初級者レベルから見ると、とても初級者レベルのコースではないと思うことがよくあります。特に山は、季節や天候に左右されます。なので、初級者レベルというものはないと思います。また、登山系動画制作者さんの動画を拝見して「これくらいなら自分でも登れる」と思い、今回、仙酔尾根ルートに登りましたが、とても動画で観たコースではありませんでした。やはり編集の段階で、"良い場所"を厳選して、デメリットである"悪い場所"を極力カットしているからだと思います(動画の時間も30分程度に編集するので仕方ないと思いますが)。僕の場合、登り始めから動画のイメージが違うなと感じ、これは危険と判断した時にはもう下ることができない場所(自分の技量では)に到達していました。ガイドブック、ネット、動画配信サイトの情報は参考程度にして、下調べをしっかりしてから山に向かうべきだなと反省しました。
タイトルに命がけと付けた理由
仙酔尾根ルートが自分にとってとても危険だったこと。
結論
仙酔尾根ルートの初級者の登山・下山は絶対にやめましょう。(天候に関わらず)
- 阿蘇山は活火山です。事前に火山情報の収集をしっかりしましょう
- すずめ岩迂回ルートも道迷いに注意しましょう
- 途中、トイレはありません。携帯トイレを持参してください
- 途中、売店もありません。飲料、非常食は必ず携行してください
登山情報公式サイト
>>「ライター・中尾の『日本百名山』登山レポート(これまでに登った日本百名山)」はこちらから
※当記事は2023年3月19日に登山した時のものです。最新情報や火山情報は、現地のSNSで事前に調べておくことをおすすめします
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中尾勝
- 旅が大好き!国内海外を問わず飛び回っていますが、海外へは2011年に渡航して以来、出国していません。今は原点に戻り国内を旅しながら日本の良さを体感中。