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世界遺産級の魅力満載!紺碧のティティカカ湖とウロス島訪問
ペルー南部から隣国ボリビアにかけて広がる標高4,000m前後の広大な高原地帯アルティプラーノに位置する「Lago Titicaca/ティティカカ湖」は、マチュピチュ遺跡やナスカの地上絵と並ぶペルー屈指の観光地です。ユネスコの世界遺産には指定されていないものの、それらに勝るとも劣らない歴史的価値と観光資源を有する風光明媚な場所です。真っ青なアンデスの大空を水鏡のごとく映しとるティティカカ湖。その湖面が太陽の光を反射しキラキラと輝くさまは何とも言えず神秘的で、さすがはインカ創世神話の舞台だと誰もが納得することでしょう。
今回はペルー旅行で外せないおすすめの観光地プーノ州のティティカカ湖と、その湖に浮かぶウロス島をご紹介しましょう。
目次
ティティカカ湖へのアクセス
首都リマからティティカカ湖へは国内線を利用するのが一般的。まずはプーノ州の玄関口フリアカ市のインカ・マンコ・カパック空港へ向かい、そこからティティカカ湖畔に広がるプーノの町まで車で移動します。フリアカやプーノは標高3,800mを超えるため、到着後すぐに荷物をもってうろうろするのは高山病予防の観点からあまりお勧めできません。無駄に体力を消耗しないよう空港に待機するオフィシャルタクシーを利用するか、事前にツアー会社や宿泊予定のホテルに送迎を頼んでおきましょう。
防疫対策がしっかり施されたリマのホルヘ・チャベス空港。
2021年4月6日現在、ペルーの国内線を利用する際には
- 健康状態に関する宣誓供述書の提出
- 空港内と機内におけるマスクとフェースガード
の着用が義務づけられています。宣誓供述書の様式はペルー運輸通信省のサイトから無料でダウンロードできるので、忘れず準備してくださいね。また、14歳以下および65歳以上はフォーマットが違うので、家族で旅行する際はご注意ください。
ティティカカ湖で浮島を体験!
標高3,810m、汽船が航行できる湖としては世界最高所に位置する神秘の湖ティティカカ湖。
広さは約8,300平方キロメートルで、そのうち56%がペルー領、44%がボリビア領になっています。ティティカカ湖で一番人気のアクティビティが、"トトラ"で造られた浮島「ウロス島」を訪ねるツアー。日本語では「ウロス島」の名称が一般的なため島はひとつだと勘違いする方もいますが、正式な呼び名は「Las islas flotantes de los Uros(ウロ族の浮島群)」であり、100を超える大小の浮島にはそれぞれ名前がつけられています。
観光客を乗せた船が浮島に近づいてくると、島民が総勢で迎えてくれます。
ウロス島に暮らすウロ族(またはウル族)について、すこし説明しておきましょう。ペルー文化省が管理する先住民・原住民集落データベースによると、少なくとも紀元前1,200年くらいにはウロの祖先がこの地にいたという考古学的証拠があるのだそう。古代ウロ族が住んでいたペルーとボリビア、チリに広がるアルティプラーノ。
この地には紀元前後からティワナク文化が興隆、ティワナク文化消滅後はアイマラ王国が台頭し周辺地域を支配しました。アイマラ族に住処を追われたウロ族の一部は、ティティカカ湖の湖上へ逃れることで生き残りを図ったのだと言われています。時が過ぎ、アイマラ族の他インカ帝国を築いたケチュア族などとの混血が進んだ結果、純血のウロ族は消滅してしまいましたが、先祖から受け継いだ肌の色を誇りとする人びとによって、その文化は今でも脈々と続いています。
浮島の造り方は意外にシンプル
浮島の材料は、ティティカカ湖の浅瀬に育つカヤツリグサ科の植物トトラのみ。ウロの人々は、このトトラを使って湖の上に浮かぶ大地を創造してきました。先祖代々暮らしてきた浮島に新しいトトラを積み重ねることで"領土"を広げ、増加する人口を支えてきたのです。
水に浸かったトトラは20~30年で朽ちてしまうため定期的なメンテナンスが必要ですが、子供の成長に合わせて土地を拡大したり、独立する場合には土台ごと切り分けて分譲できるというメリットがあります。
また、浮島の土台は湖の底に固定されていないので、雨季に湖の水位が上昇しても島が水没することはありません。十数年前には40島ほどだったウロの浮島が、いつのまにか100島を超えているのには驚きましたが、このことからも浮島造りが容易なことがよくわかります。
観光客に模型を使って浮島の構造やその造り方を説明する島の男性。
ふわふわの浮島に腰を下ろし、島民の説明を聞く観光客たち。彼らが試食しているのは、浮島の土台や家屋の建材に使われているトトラです。
トトラの茎の白い部分はとても瑞々しく、シャキシャキとした歯ごたえが特徴。ヨウ素(ヨード)を多く含むことから、甲状腺腫の予防や痛み止めとして利用されるのだとか。うろの人々は海から遠く離れた高地に暮らすウロの人々はため、ヨウ素不足に陥りがちです。建築素材になるだけでなく身体にもいいという万能植物トトラ。高地の湖上という厳しい環境に暮らす人々が授かった大自然からの贈り物ですね。
ウロス島訪問の思い出に、色鮮やかな刺繍を施したタペストリーや絨毯、トトラ製の小物などはいかがでしょう?値段交渉は可能ですが、ウロの人々にとっての数少ない外貨獲得の手段なのであまり値切らないようにしてくださいね。
その日訪れた観光客の出身国にちなんだ歌を披露してくれるウロの女性たち。日本人観光客である私には「チューリップの花」や「さくらさくら」を日本語で歌ってくれました。
こんな小さな子供まで、一生懸命歌ってくれます。可愛らしいですね!
Las islas flotantes de los Uros/ウロ族の浮島群(ウロス島)
プーノ市の観光桟橋からモーターボートで30分ほど。
※ツアー所要時間:約3時間
インカの織物の島タキーレ島もお忘れなく
プーノでの滞在時間に余裕がある方は、ぜひ他の島も訪ねてみましょう。織物の島として有名な「Isla de Taquile(タキーレ島)」は、ウロス島に次ぐ人気の孤島です。ケチュア族の人々が暮らすこの島の斜面は、インカならではの見事なアンデネス(段々畑)に覆われています。
タキーレ島から望むティティカカ湖は絶景!
タキーレの人たちはみな手先が器用!島を散策していると、糸を紡ぎながら歩く女性や、仲間とおしゃべりしながら編み物をする男性をよく見かけます。タキーレでは赤は既婚を、白は未婚を表す色とされ、男性が被っているニット帽や女性の衣装などから既婚か未婚か一目で分かるそうです。
タキーレの女性たちが折る繊細な織物の数々。インカ時代から受け継がれて来たその高度な織りの技術が世界的に認められ、2005年にはユネスコの世界無形文化遺産にも登録されました。
昨年3月のロックダウン以来、ティティカカ湖関連の観光サービスは完全にストップしてしまいました。以前の賑わいを何とか取り戻したい、一人でも多くの旅行者に安全で快適な旅を楽しんでもらいたいという思いから、地元の旅行代理店やホテル・レストランを始め、ティティカカ湖観光にかかわるすべての人々が一丸となって防疫対策に取り組んだ結果、2021年3月13日から1年ぶりに観光を再開することができました。
現在は国内の旅行者が中心ですが、今後新型コロナウイルスのワクチン接種が進めば外国人観光客も戻ってくることでしょう。皆さんにもぜひこの素晴らしい風景を楽しんでいただきたいと思います。
Isla de Taquile/タキーレ島
ウロス島とセットになったツアーで訪れるのが一般的。
※ツアー所要時間:約8時間
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。