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【西多摩・秋川】がおすすめ「東京にまだこんな素敵な場所があったなんて・・・」
こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
ある日のことです。
「西多摩エリアの"秋川"を見に来ませんか?いいところですよ~」と西多摩プロデューサーの㈱ジャパニズム代表の野口さんに誘われました。
「ん?ア・キ・カ・ワ? あぁ、あの夏場に川辺でキャンプとか、バーベキューとかやるところですよね?ふ~む・・・」正直、気のりしないまま背中を押されるように「まっとりあえず行ってみるか」と2020年1月24日~25日の1泊2日で秋川へ取材に行ってきました。
そして取材を終えた今、どうだったかというと、2日間ほとんど私は口をあんぐり開けている状態でした。「首都圏からこれほど近い場所に、こんな場所がまだ残っていたなんて・・・」横で秋川を紹介してくれた野口さんが「そうでしょう~」と終始ニヤニヤしていました。
あなたは"秋川"ときいてどんなイメージが湧きますか?
関東在住の方ならほとんどの方が"秋川渓谷"をイメージされるのではないでしょうか?逆に言うと、それ以外には何も浮かばない。。。という感じでは。
私もそのひとりでした。
日帰り登山のメッカ"奥多摩"がある多摩川沿い地域の南部に位置するのが"秋川"地域です。多摩川と秋川沿いの土地を総称して"西多摩"と呼んでいます。北は埼玉県の秩父山系、南は神奈川県の丹沢山系という山に囲まれた自然豊かな場所で東京都と山梨県の県境にあたります。
秋川沿いは地名で言うとあきる野市、檜原(ひのはら)村、日の出町。JRで言うと中央線の立川駅から五日市線が走っており終点は武蔵五日市駅。
この記事であなたにも"秋川"を疑似体験していただきたいと思います。読み終わった後、きっとあなたも秋川の虜になっていることでしょう。
では参りましょうか!
※1分でサクっと読みたい方は、こちらのダイジェスト動画をご覧ください >>【ショート動画】知らなかった!西多摩・秋川がこんなに素敵なところだったって。。。
目次
- 秋川のココがすごい その1 観光スポット編
- 秋川のココがすごい その2 寺社編
- 秋川のココがすごい その3 グルメ編
- 秋川のココがすごい その4 宿泊編
- 秋川のココがすごい その5 おみやげ編
- 西多摩・秋川を取材した感想
秋川のココがすごい その1 観光スポット編
小林家住宅(重要文化財)
武蔵五日市駅から西へ約20km(車で約30分)の小高い山の上にあるのが重要文化財でもある小林家住宅。
「ではまず、これに乗ってください。」と言われたのがこちら
な、なんだこれは!
事前に「小林家にはモノレールを使って行きます。」と聞いてはいましたが実際見て「ええ~っこれで登るの~?」
では実際の動画をご覧ください。
確かにモノレールなんです。いわゆるアプト式と言われる、レールの下にある歯車を噛み合わせて急こう配を登るタイプの鉄道。ヘルメットと安全ベルトの装着は必須です。最大斜度はなんと45度。スキージャンプで有名なあの札幌大倉山ジャンプ台の最大斜度は35度だそうです。
モノレールって言ってもこれって急な傾斜地のみかん畑で収穫に使われているトロッコみたいなアレです。初めて乗りましたが一番傾斜がきつい所では体はほとんど垂直状態です。
「降りる時はどうするんですか?」「もちろんこのモノレールで降りますよ。さすがに前向きは怖いので後ろ向きで降りますがね(笑)」「・・・ハハハ(汗)」でも実際に乗ってみると怖いというより面白かったです。
約400mをゆっくり登るので(登り約15分、下りは少し早くて10分くらい)周りの風景を楽しみながら進めます。ちなみにヘルメットを被る意味は木の間をすり抜けて行くので木の枝などが落ちてきた時に備えてと言うことらしいです。決して危険という意味ではなく。。。
そしてモノレールで登った頂上にあるのが小林家住宅です。
小林家の建つ場所の標高は750メートル。檜原村は古くから炭焼きが盛んで、この小林家は木炭の作業や運搬をやり、自然と共生しながら生活していた方のお住まいだったそうです。
小林家の脇にある展望台からは深い峡谷が切れ込んでおり、その向かい側には尾根続きの山並みが見えます。この場所に茅葺(かやぶき)の家屋がでんと構え、煙が立ち登れば「日本昔ばなしの世界」そのものです。山々の尾根は道として繋がっており昔は頻繁に行き来していたらしいです。
5月頃、山つつじの季節には小林家住宅の裏庭がピンク色に染まるそうです。
<写真提供:(株)ジャパニズム>
取材日は1月。しかも標高750mですから「少し寒いなぁ」と思っていたら家の中の窯に火をつけていただきました。が、夏でも窯に火を焚くそうです。なぜって?煙が家の中を燻すことにより、防虫、防腐の効果があるからだそうです。
屋根の左右に2か所排気窓があり、煙は屋内に籠ることなく排気窓から外に出されます。炭焼きの煙が立ち上る、そんな風景がとても似合う山里の家。早朝や夕暮れの時間帯が特に雰囲気がよさそうでした。
払沢(ほっさわ)の滝
東京で唯一の「日本の滝百選」。落差約60mの4段からなる滝。水しぶきと渓流のせせらぎに包まれ、マイナスイオンが充満しているのが感じられました。滝の水が流れる姿が僧侶の払子(ほっす)が垂れたように見えたから昔は払子の滝と呼ばれていたそうです。
駐車場から渓流沿いにやや登りの散策路を約20分歩きます。
この滝の水は現在も周辺住民の飲み水になっているほど清らかに透きとおった水でした。
散策路はウッドチップが敷き詰められてふかふか。柔らかくて膝に優しい、歩きやすい道でした。
散策路の途中に昔の郵便局の建物を利用した建物(現在は売店)がありました。
またこんなSNS映えするオブジェも。
ではマイナスイオン溢れる払沢の滝を動画でご覧ください。
この辺りはほとんどが山岳地帯なので滝があちこちに観られます。
裏山ベース
JR武蔵五日市駅前に位置する自転車をレンタルできるのがこちら「裏山ベース」です。ショップやカフェも経営されており、軽食も取ることができます。
秋川は自転車を活用することでさらに町と自然を堪能することができます。
電動アシスト付き自転車もあります。(今回このタイプを借りましたのでのぼり坂もスイスイでした。)
森林をすりぬける爽やかで清らかな風に吹かれ、川のせせらぎ、鳥のさえずりを聞き、深呼吸することで心はほぐされ、癒されていくのがわかります。
紅葉の時期にはこんな自然の中をサイクリングできるんですって!く~っ、気持ち良さそう~
<写真提供:(株)ジャパニズム>
<写真提供:(株)ジャパニズム>
戦国時代に建てられたまるで京都か鎌倉にいるのかと錯覚するような古刹に立ち寄り、地元で人気のお肉屋さんでは、希少な秋川牛を使ったメンチカツやコロッケをほおばる至福のひととき。「人生でこれ以外になにが必要だというのか。。。」なんてつい詩人になってしまいそうです(笑)
希少の秋川牛を使用したメンチ180円。
渓谷を渡る橋も冬はやや寒々とした感じですが・・・
<写真提供:(株)ジャパニズム>
季節によって秋川はさまざまな顔を見せてくれます。
瀬音(せおと)の湯
地元でも人気の立ち寄り温泉。宿泊施設も併設されていてハイキングや山登り客の立ち寄り湯としても愛されています。今回は時間の関係でお風呂には入りませんでしたが、風呂あがりにデッキチェアに寝転んで、庭を眺めるこのテラスがおすすめのようです。
せっかくなので足湯だけ浸かりました。熱めのお湯であったまりました~
お食事処や産直野菜の直売店もあり、家族や友達同志で、そしてひとりでも1日楽しめそうです。
秋川のココがすごい その2 寺社編
龍珠院
通称「花のお寺」と呼ばれる四季折々を花の額縁で彩られたお寺。傾斜地に立ち、まるでアルプススタンドが花が埋め尽くされているイメージです。映える写真スポット。この冬の時期は残念ながら花は見られませんでしたが、桜、新緑、紅葉の時は、それはそれは美しいそうです。
取材時(1月)には渋~い様子でしたが・・・
<写真提供:(株)ジャパニズム>
桜の時期はこれだけ鮮やかに花たちが咲き誇ります。
<写真提供:(株)ジャパニズム>
さすが「お花の寺!」紅葉の時期には・・・
<写真提供:(株)ジャパニズム>
広徳寺
まるで京都にいるかのような趣のあるお寺です。個人的にはどことなく銀閣寺に似ているように感じましたがいかがでしょうか。
大きな2本の銀杏を通して見る山門が風情あり、写真映えスポットでもあります。いかにも禅寺らしいシンプルで骨のある姿。
この広徳寺のベストは秋の銀杏シーズンです。
<写真提供:(株)ジャパニズム>
<写真提供:(株)ジャパニズム>
随分雰囲気が違いますね。広徳寺は町より少し高いところに位置しており、駐車場からの町の眺めも素晴らしかったです。
玉傳寺(ぎょくでんじ)
土地の約90%が山岳地帯である檜原村にあって、その中では比較的耕作地の多い地区「人里("へんぼり"と読むそうです:読めないですよね~)」。その人里にある臨済宗・建長寺派の禅寺「玉傳寺(ぎょくでんじ)」は、"寺カフェ 岫雲(しゅううん)"としても有名です。
お寺はやや高台にあり、境内から見渡せる山里の風景が見事。風雅な枯山水の庭と合わせ見ながら抹茶とお菓子をいただけます。
本堂のゆったりした縁側は広縁(ひろえん)と呼ばれ、京都にある室町時代のお寺を参考に造られたそうで、お茶はこの広縁でいただけます。
抹茶は宇治産で苦みが少なくまろやか。菓子は住職の奥さまの手作りですって。甘さ控えめで絹のような舌ざわりの上品なお味でした。
紅葉の時期には大広間からライトアップされた夜のもみじを見ながらのお茶会も催されるそうです。
<写真提供:(株)ジャパニズム>
<写真提供:(株)ジャパニズム>
鹿野(ろくや)大仏 (寶光寺(ほうこうじ))
2018年建立と新しい大仏さんで、青銅の着座大仏としては日本第二位。着座で総高18m 像高約12mであの鎌倉の大仏よりも大きいのです。町を見下ろす高台にあり、参拝料は300円です。
すべての人々の平和と安定を願って建てられた大仏だそうです。
ここで驚いたのは大仏さまの大きさだけでなく、参拝前に手と口をゆすぐ"手水(ちょうず)"です。
感応式自動で現代的というか・・・高速道路のサービスエリアにある給茶機みたいで正直やや味気ない(笑)。
秋川のココがすごい その3 グルメ編
黒茶屋
秋川沿いの風光明媚な"岩瀬峡"の近くに、約250年前に建てられた庄屋造りの家屋を利用して造られた料理屋です。
この建物は昔繭から糸を紡ぐ製糸工場だったそうです。緑深い敷地の中に東屋、水車などが情趣を醸し出します。この記事で連発して恐縮ですが、まるで京都か鎌倉にいるよう・・・
母屋に入るとお部屋までの廊下もしっとりと落ち着いています。
こちらで頂いたのがランチ「雪笹」3,900円(平日15時まで)
木の箱2段で供された前菜です。
そして木の蓋を開けると・・・
すべてがレベルの高いお味でしたが、特にここ黒茶屋名物でもある勾玉(まがたま)豆腐が美味しかったです(下段箱の左上)。これまで食べたことのない、コクのあるクリームチーズのような舌触りの逸品です。勾玉豆腐はおみやげで購入することも出来ます。
メインは2択で私は山女魚(ヤマメ)の唐揚げをいただきました。
もうひとつのメインは鶏肉の朴葉焼。
お椀は白味噌で粕汁のようなコクがありました。
茶碗蒸しです。
揚げ物(てんぷら)はジャガイモの大葉巻き(上)、干し柿(左下)、ふきのとう(右下)です。干し柿の天ぷらは生まれて初めて食べました。うまく言葉で表現できませんが、また食べたい味でした。
食事も2択。よもぎうどん、または自然薯のとろろ飯です。
デザートは柚子ゼリーとおやき(餡)
ゆずゼリーはゆずの味と香りが華やかに効いていて柑橘類好きにはたまりません。おやきも香ばしく餡の甘さもひつこくなく上品な味でした。
ランチからこんな贅沢していいんでしょうか。。。
黒茶屋は大切な人とゆったりと落ち着いたひとときを過ごしたい時にぴったりの大人のお食事処です。敷地内の庭園は散策できますので、食前食後にも、素敵な空間に身を置くことができます。最初から最後まで風雅に包まれた昼食でした。
燈々庵(とうとうあん)
黒茶屋の姉妹店で黒茶屋が山里の茶屋イメージなのに対し、燈々庵は懐石料理のお店です。
江戸時代から17代の永きにわたり続いてきた旧家の邸宅敷地内にあった土蔵を改装して作られた食処とギャラリーで、立地は町の中なのですが、そうとは思えない静かでおちついた雰囲気です。こちらは建物のみ見学しました。
こちらは特別な日におしゃれして訪れたいお店ですね。
やまざき酒舗
サイクリングの途中でランチに立ち寄ったやまざき酒舗。秋川沿いにあり、季節にはホタルが見られるそうです。
自家栽培の野菜を使った大皿葉っぱ料理が名物です。元々は酒屋さんで、ご主人が無農薬で丹精込めて作られたお野菜を煮物に調理して地酒「喜正」を中心にお酒と楽しめるお店です(写真は4人前)。
見てください、この野菜の煮物。ごちそうでしょう?きんぴらごぼう、ほうれん草の白和え、里いも、じゃがいも、大根、こんにゃく。そのどれもが美味しいのです。ホント驚きました。そしてここやまざき酒舗の大人気メニューがこちら。
特製スープです。はまぐり、エビ、ホタテ、マッシュルームが入った熱々のスープでこれでメインになるほど豪華なスープです。あまりの美味しさにパイ生地を開けたところを写真に撮るのを忘れてしまいました。お食事は肉か魚の2択で私はカジキマグロを注文しました。
このメニューは山里コース2,900円です。
店内は肩肘張らない気軽な雰囲気。私は個人的に、今回の取材の食事の中ではここやまざき酒舗の素材と味つけが一番気に入りました。
地元お肉屋さん「松村精肉店」の秋川牛メンチ
秋川には秋川牛というブランドがあります。秋川牛、聞いたことない?はい、私も初めて聞きました。実は秋川牛の生産者はおひとりだけだそうです。ほぼすべて地元で消費され、東京23区には出回らないそうです。その秋川牛を提供しているのがあきる野市で創業70年の老舗 松村精肉店さんです。
サイクリングの途中で立ち寄りました。ここでぜひ食べて欲しいのが、秋川牛を使ったメンチです。
地元のお肉屋さんって感じですよね~。秋川牛を使ったメニューはメンチ(180円)とコロッケ(130円)。
イチオシの秋川牛メンチをいただきました。
「う、うまい!」なんだこの甘味とジューシーさは!秋川に行ったらあなたにもぜひ食べてもらいたい!ほんとウマいです!
秋川のココがすごい その4 宿泊編
兜家旅館(かぶとや)
JR武蔵五日市駅から西へ約25km。秋川の上流に位置し、奥多摩三山(大岳山、御前山、三頭山)のひとつ三頭山(みとうさん)の麓、渓流沿いに佇む歴史ある屋敷を改装した宿。築200年を超える兜家造りの母屋を持つ旅館で現当主の岡部さんは19代目(兜造りとは養蚕に適した建築様式で、温度管理しやすく夏暑くないのが特徴)。
鬼平犯科帳を思いだしてしまうのは私だけ・・・?
本館と新館があり、囲炉裏付きで二間続きの客室もあります。山菜、川魚、猪などの山の幸を供し、囲炉裏端での炭火焼き料理が楽しめるデラックスプランも。川のせせらぎ、鳥のさえずり、木のぬくもり、山里の静寂。建物だけでなくそういう贅沢が味わえることこそが兜家旅館の魅力といえるでしょう。
こちらがフロントです。
渓流を見おろせる部屋。
囲炉裏のある部屋
宿入りしたら先ずはお抹茶でおもてなし。
建物は築200年ですが、トイレなど設備は機能的です。
ではいよいよ山里の囲炉裏端で至福の夕宴をいただきます。
山菜が並び、秋川の銘酒「喜正(きしょう)」が冴えわたります。
メインは野趣あふれる炭火焼(肉、山女魚、野菜)です。
時を忘れて夜更けまで語り合った夕宴。あくる日の朝食はこちらです。
朝とは思えないほどの品数でしょう?山菜を中心に湯豆腐と、胃に優しいごちそうでした。
兜家旅館に泊まってみた感想ですが、古民家を改装して旅館にした建物は最近増えていますが、ここは"本物"です。玄関をくぐって目に入る重厚感のある柱、梁、階段、廊下は歴史の深さを感じさせ、そこに漂う空気の圧倒的な存在感。古さをことさらにアピールするのではなく、機能的な面(トイレ、浴室、床暖房など)もバランスよく備わっています。
兜家旅館は客室16室(収容70名)で、大浴場は24時間入浴可能です。
19代目当主の岡部さんは古いものを守るだけでなく新しいものも積極的に取り入れる性格で、ドローンで兜家、檜原村の映像を撮り、WEBで公開されています。
秋川のココがすごい その5 おみやげ編
石川酒造
福生の銘酒「多満自慢」を醸す酒蔵。創業は1863年で当初は「八重桜」「八重梅」の銘柄で酒を造っていましたが、精白技術が向上し、より良い酒の新銘柄として「多満自慢」が登場したのは1933年(昭和8年)です。
「多摩自慢」ではなく「多満自慢」にしたのは、多くの人たちの心を満たしたいという願いから名づけられたそうです。日本酒の他に地ビール「多摩の恵」も醸造しています。3年前に若き杜氏(とうじ)に替わり、さらにアグレッシブに挑戦し続けている蔵です。
石川酒造では酒蔵見学、試飲、販売、レストランなど門戸を開いていますので、秋川を訪れた時にはぜひ立ち寄りたいスポットです。
燗酒派の私はこちらをおみやげに買いました。
まろやかでコクがありながらキレがよい、ふくよかな味でした。
近藤醸造
東京都内唯一の醤油工場で、創業して100年を超える醸造元。厳選した大豆と小麦100%を使用し、保存料や着色料を使わず、伝統に培われた素朴な風味を持つ醤油を造りつづけています。創業者の近藤五郎兵衛氏の"五"を取ってキッコーゴの商標としたそうです。地元で人気のやや濃いめの醤油。醸造所には直売店もあり、醤油、めんつゆやせんべい、チョコレートなどの商品を購入することができます。
丸大豆しょう油とめんつゆ(各360ml)のセット671円。
手作りこんにゃくのお店 井上食品
昔ながらの「バッタ練り製法(バッタンバッタンという音がする昔ながらの練り機を使うことから)」で、じっくり時間をかけながら丹念に手作りしている素朴なこんにゃくが人気です。
今、世の中に流通しているこんにゃくの多くが芋の精製粉から造られているそうです。ここ井上食品では自社の畑でこんにゃく芋を栽培し、こんにゃく芋(国産)から作ることにこだわっているそうです(芋の精製粉を使用している製品もあります)。静かな山の中にあり、寺カフェの玉傳寺の向かいにあります。工場に直売所もあり、時間によっては製造過程を見学することもできます。さっそくお家で食べてみたところ、空気の入り具合がよいのか舌ざわりが絶妙で、スーパーで売っている工業製品みたいなこんにゃくではなく、素朴で歯ごたえのある"こんにゃくらしいこんにゃく"でした。特に煮物に合うそうですよ。「檜原村のこんにゃく」っていうのがまたいいですよね。
西多摩・秋川を取材した感想
正直期待していなかった秋川というエリア。取材した素材のすべてが私の想像を超え、良い意味で期待を裏切ってくれた素晴らしいモノ/コトがそこにありました。秋川と言えばココ!というインパクトの強い観光ポイントがあるわけではありませんが、そのひとつひとつが"ホンモノの価値"を持っていると感じました。最近あちこちで見られるような「●●映えする~」と瞬間的に流行し、その翌年には忘れられてしまうような薄っぺらい観光ではなく、何年もずっと旅人の心を捉えて離さないしみじみとした魅力。そんな要素が秋川には詰まっていました。
この記事で紹介した食事、旅館は安くはありません。ただ、大量生産、大量消費という世界とは無縁で、逆にいえば当たり前のものを当たり前にひとつづつしっかり作り、適正価格で販売しているという姿勢は、今ほとんどの業界が行き過ぎた価格競争に疲弊している、日本という国へのひとつの問題提起かもしれません。今回体験したものはすべて「この内容なら当然(価格に見合ったもの)だな」と感じるものでした。
なぜ秋川はこれだけのものを持っていてこれまで有名でなかったのか?
秋川は昔から豊かな土地で、自分たちだけで生活(需要供給)が完結できていたようです。観光に頼らなくても事足りていたから積極的に観光誘致もしてこなかった。あまり出しゃばりたくないという秋川の人たちの気質もあり、それで良しとしていたのかもしれません。今は秋川も日本の他の町と相違わず少子高齢化、林業の衰退で過疎が深刻な問題になっており、ようやく外の人たちにも秋川の魅力を知ってもらいたいという機運になり始めているようです。
この秋川という自然豊かな場所は外国人にも人気が出始めていて、訪れた外国の方からは絶賛されているそうです。外国人観光客の間で話題になる前に、私たち日本人がこの場所の素晴らしさを知っておきたい、そう思いました。そういう意味で秋川は日本が本来持つ魅力を古代(縄文時代から人が住んでいたらしい)から現在まで脈々と受け継いできた土地だと言えると思います。
訪れるシーズンとしては華やぐ桜、紅葉シーズンがベストでしょうが、(株)ジャパニズム代表の野口さん曰く「私のイチオシは"新緑の季節"ですね、秋川の緑は柔らかいんですよ」だそうです。
<写真提供:(株)ジャパニズム>
秋川の魅力をシンプルにリストアップしてみると次の8つでしょうか。
「川」「山」「谷」「橋」「花」「寺」「滝」「食」
この8つに「意外に近い」と「ベストシーズンでもそれほど混んでいない」(一部の週末を除いて)を加えて「西多摩・秋川の魅力10選」決まりですね!
最後に、秋川エリアで"一番SNS映えする場所"として人気のスポットをご紹介しましょう。玉傳寺や手作りこんにゃくの井上食品さんのある人里(へんぼり)にあるバス停です。しだれ桜のシーズンには多くのカメラを持った人がやってくるそうですよ。
<写真提供:(株)ジャパニズム>
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。