散策が楽しくなる♪イタリア食材の宝庫メルカート(市場)と旬野菜を解説

メルカート 市場

<トップ画像撮影:La luce del Sud>

イタリアの食卓を支える「メルカート(市場)」。イタリア人にとって欠かせない存在であり、お料理好きな旅行者や、食いしん坊な旅行者も楽しめる観光スポットにもなっています。

この記事では、メルカートの概要やお店に並ぶ旬の野菜についてご紹介。散策やレストランで注文する時にも役立ちますよ!

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イタリアの市場「メルカート」事情

メルカート 市場 魚
<撮影:La luce del Sud>

イタリアの町を歩いていると、必ずといっていいほど「メルカート(Mercato)」が開かれています。野菜や果物中心のこぢんまりしたメルカートから、お土産にもなりそうなオリーブオイルやリキュール、衣類まで幅広く揃う大規模なものまで、品揃えやバリエーション、規模はさまざま。

また、ローマやフィレンツェなどの都市部では、観光客向けにお土産の品揃えも豊富です。一方、ナポリやパレルモなど海が近い都市では、新鮮な魚介類が充実しているなど、地理によっても品揃えが大きく変わってきます。

私が住んでいる南イタリア・ナポリ近郊はモッツァレラチーズの名産地。そのため、町のメルカートには酪農家さんがその日の朝に作ったばかりの新鮮なモッツァレラチーズが並んでいることも。その土地ごとの違いや、特産品を見たり味わえたりできるのもメルカートの面白いところです。

メルカートから見た"地元産"を大切にする「地産地消」の考え方

メルカート 野菜
<撮影:La luce del Sud>

まず、「地産地消」という言葉は"地域生産・地域消費"の略語で、その土地で採れたものをその土地で消費するという意味です。

イタリアが国として統一されたのは1861年(イタリア王国の成立)と、現在(2019年)から158年前のこと。それまでは各地域が小国として分かれていたため、今でも地域ごとに異なる食文化や方言、風習が大切に残されています。

そのため地元で収穫されたものを地元で食べるということは、イタリアの歴史と共に育ってきた大切な考え方であり、習慣でもあるのです。メルカートを散策すると、その土地ならではの野菜や果物、特産品が売られていることに気付くことでしょう。

たとえば、北イタリアで売られている野菜が、南イタリアでは全く違う名前(方言)で呼ばれていたり、栽培される地域によって形や大きさが違っていたり、そうした違いも個性として大切にされています。

▼関連記事:【夏〜初秋編】ヴェネチアのグルメが集うリアルト市場に並ぶ食材

イタリアの季節野菜を春夏秋冬でご紹介

ここからは、メルカートに並ぶ旬のイタリア野菜を、四季ごとにご紹介します。日本でもイタリアの食材はかなり普及してきましたが、本場イタリアのメルカートには日本では珍しいイタリア野菜が並んでいます。

名前やどんな料理に使われるのかを知っておけば、メルカート散策やレストランでの注文にも役立ちますよ。

イタリアの春野菜

まずは、春の訪れを感じさせてくれる野菜からご紹介しましょう。幅広い食べられ方をしている野菜が代表的です。

フィノッキオ(Finocchio)

フィノッキオ
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC0)

一見玉ねぎのような見た目のフィノッキオ。日本では「フェンネル」や「ウイキョウ」と呼ばれているハーブの、鱗茎にあたるものです。

原産は地中海沿岸とされ、イタリアでは古くから食べられてきた馴染みのある野菜です。癖の少ないセロリのような味と食感で、サラダとして生で食べられたり、フリット(揚げ物)やスープにしたりと、幅広いメニューに使われています。

アスパラーゴ(Asparago)

アスパラーゴ
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC0)

日本でもお馴染みのアスパラガス。その季節にしか旬野菜がメルカートに並ばないイタリアでは、春を代表する野菜の一つとなっています。春頃の家庭やレストランでは、バリエーション豊かなアスパラ料理が並びますよ。

主な食べ方としては、茹でたアスパラにオリーブと塩胡椒・レモンでシンプルに味わうもの、グリルしたアスパラに半熟の目玉焼きとパルミジャーノをかけたものなどが定番メニューとして登場します。

※編集部註:ヴェネチアを州都とするヴェネト州は、白いアスパラガス「バッサーノ・デル・グラッパ(Bassano del Grappa)」が名産品です。

▼関連記事:春先のヴェネトの名産、白アスパラガスと殻付き茹でタマゴ

イタリアの夏野菜

続いては夏野菜。日本でも身近な野菜たちが旬ですが、やはり本場の作り方では味わいが異なります。

ポモドーロ(Pomodoro)

ポモドーロ
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC0)

イタリア料理に欠かせない食材といえば、真っ赤なトマト! イタリアではポモドーロと呼ばれるのですが、これは"金のリンゴ"を意味します(※)。

その種類は100を超えるとも言われ、サラダ用、ソース用などと用途別に使われています。甘さや水分の多さ、大きさや硬さまでたくさんの種類があり、イタリアのマンマも料理によってポモドーロを使い分けているんですよ。

もし、レストランでポモドーロを使ったお料理を食べるなら、パスタの王道「パスタ・アル・ポモドーロ(Pasta al Pomodoro)」を。日本でもお馴染みのシンプルなトマトソースパスタですが、シンプルな分作り手によってガラッと味が変わります。

※参考:カゴメ株式会社-トマトの語源と各国での呼び名(外部サイトに遷移します)

▼関連記事:イタリアはトマトの種類がいっぱい!フィレンツェ中央市場で買える絶品トマトたち

ズッキーニ(Zucchino/Zucchina)

ズッキーニ
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC0)

日本のスーパーでも良く見かけるようになったズッキーニ。イタリアでも一般的によく使われている定番野菜です。イタリア語でカボチャは「ズッカ(Zucca)」と呼ばれ、"小さなカボチャ"を意味する「ズッキーノ(Zucchino)」または「ズッキーナ(Zucchina)」が名前の由来になっています。

グリルやマリネで食べられるほか、夏の定番メニューである「カポナータ」には、ズッキーニや、トマト、ナスなどの夏野菜が欠かせません。

イタリアの秋野菜

収穫の秋は滋味深い食材が並びます。どちらもイタリアならではの食べ方でお楽しみください。

ラディッキオ(Radicchio)

ラディッキオ
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC0)

赤紫色の見た目が印象的なラディッキオ。チコリーなどと同じ仲間で、独特の苦みが特徴です。ラディッキオには様々な種類があり、丸い形のラディッキオは最もポピュラーなタイプ。秋から冬にかけて旬となる野菜です。

冬が旬となる、細い葉が集まったタルディーヴォという種類は、北イタリア・ヴェネト地方で栽培され、ラディッキオの中でも手間ひまかけて栽培されるイタリアの高級野菜です。生のままサラダにしたり、グリルやソテーにしたりして食べられています。

▼関連記事:ヴェネトの冬はこんな野菜を楽しむ。トレヴィーゾ産「ラディッキオ・タルディーヴォ種」

スピナーチ(Spinaci)

スピナーチ
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC0)

スピナーチは、ほうれん草のこと。イタリアのスピナーチは日本の"ちぢみほうれん草"に近く、葉が小ぶりで肉厚、甘味があるのが特徴です。

スピナーチはパスタ(パスタに練り込むことも)や付け合わせ、スープに入れるなど幅広く使われています。チーズとの相性も良いので、チーズたっぷりのスピナーチ・パイやパスタなどもよく食べられていますよ。

▼関連記事:ボローニャ空港のカフェテリア「AUTO GRILL」はこんなところ

イタリアの冬野菜

冬の野菜は、暖かい料理に使われたり瓶詰保存されたりして食べられています。

カルチョーフィ(Carciofi)

カルチョーフィ
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC0)

英語名ではアーティチョークとも呼ばれる、イタリアの冬の食卓に欠かせない野菜です。日本ではあまり馴染みのない野菜ですが、イタリアでは秋~冬になるとメルカートに山積みされる定番の食材です(註:春先まで並ぶ地域もあります)。

どこを食べるのか分かりづらい不思議な見た目ですが、外側の花弁のような固い部分を取り除き、つぼみになる中の柔らかい部分を食べます。

このように、カルチョーフィはやや特殊な野菜ですが人気は高く、グリルからフライ、リゾットなどたくさんのメニューがあります。スーパーなどでは、オイルの瓶詰が売っているので、お土産にもおすすめ!

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カーヴォロ(Cavolo)

カーヴォロ
<写真はカーヴォロ・ヴェルザのイメージです。Photo by Pixabay(CC0)

カーヴォロは、日本でいうキャベツのような野菜。細長い形のカーヴォロ・ネーロ(Cavolo nero 黒キャベツ)や、丸い形のカーヴォロ・ヴェルザ(Cavolo verza ちりめんキャベツ)などの種類があります。

どちらも濃い緑色で、葉が縮れていて分厚いのが特徴。煮崩れしにくいので、冬の煮込み料理に欠かせません。寒い時期には、カーヴォロや豆類を煮込んだスープが定番メニューとして登場します。

食いしん坊にとってメルカートは天国!?ぜひ、現地の食を堪能してみてください。

上記で紹介したのは、イタリアで食べられる野菜のほんの一部。さらに、メルカートには野菜以外もたくさんの食材が並んでいます。

買って食べるもよし、レストランで食べるもよし。イタリアならではの食を楽しんでみてくださいね!

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人々の生活スタイルや風景に魅せられ、イタリアへ。現在は南イタリア・アマルフィ海岸にある小さな町に住んでいます。個人旅行のアテンド・各種視察のコーディネートや通訳をしています。

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