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オーストリア・ウィーン名物、チョコレートケーキの王様「ザッハトルテ」を食べ比べてみる

記事投稿日:2018/10/26最終更新日:2018/10/26

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カフェ文化花咲く古都ウィーン。そんな中でも、ハプスブルク家御用達の看板を掲げるカフェ・コンディトライ・デメルと、チョコレートケーキの王様ザッハの名を冠したカフェ・ザッハは、ウィーンのカフェ界の双璧と言えるでしょう。

以前、ウィーンで絶対食べたい!カフェ・ザッハのザッハトルテウィーンの皇室御用達カフェ「デメル」で上流階級気分を満喫の記事で、2つのカフェの見どころや楽しみ方をご紹介しましたが、今回は大きな論争にもなった、この両カフェの看板ケーキについてご紹介します。

目次

ザッハ・トルテを食べ比べてみる

さっそく、ウィーン銘菓ザッハトルテを、カフェ・ザッハとデメルで食べ比べてみましょう。

まず、注文方法から異なります。カフェ・ザッハでは、日本と同じく、着席後にメニューからケーキと飲み物を注文するだけですが、デメルでは、伝統的なウィーンのカフェの注文方法を取ります。席を選んだあと、ショーケース(1階と2階にそれぞれあります)のところで欲しいケーキを選び、紙に書いてもらいます。席に戻り、飲み物の注文を取りに来た人にメモを渡し、やっと注文が完了します。少し手間ですが、ケーキを見て指さしで選べるので、言葉ができなくても安心ですね。

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<デメルのショーケースに並んだザッハトルテ>

カフェ・ザッハのザッハトルテの特徴は、コーティングチョコとチョコレート生地の間だけでなく、スポンジ生地の中層にもアプリコットジャムが挟んであることです。また、上に載っているチョコレートのプレートの形が丸いですね。

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<カフェ・ザッハのザッハトルテ>

デメルのザッハトルテは、ジャムの層はスポンジ生地の上層のみで、中層には挟まっていません。また、チョコプレートは三角で、砂糖なしホイップクリームが追加料金となりますので、希望する場合は注文時にmit Schlagobers(ミット・シュラーグオーバース)と伝えましょう

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<デメルのザッハトルテ>

食べ比べてみると、味や印象の違いがはっきりと感じられます。ボリュームと味のインパクトがあり、一切れで満腹感を味わえるがザッハのザッハトルテ。しっかりとしたチョコレートの甘さに、二層のアプリコットの酸味がしっかり効いて、かなりパンチがありますが、ホイップクリームが全体の印象をマイルドにします。

一方デメルのザッハトルテは、味が上品で甘すぎず、チョコレートケーキとしてきれいにまとまっています。ホイップクリームはなくても単体として楽しむことができますが、ケーキとクリームは一緒に食べた方がバランスは良いと思います。

味は好みもありますが、個人的には、ザッハのザッハトルテの方がインパクトと満腹感があり、どちらか1つだけ食べるのであれば、こちらがお勧めです。一方、甘いものが苦手な方、優しい味のものが好きな方は、デメルの方がお勧めです。

また、さすが皇室御用達菓子店だけあり、デメルは他のケーキもどれも豪華で美味しいので、ザッハに行ったらザッハトルテ、デメルに行ったらもう1つの看板ケーキ「アンナトルテ」など、他のケーキを食べてみるのもお勧めです。

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<デメルの店内のショーケース>

アプリコットジャムは一層?二層?

食べ比べてみると、アプリコットジャムの層の数と、チョコプレートが大きな違いだと気が付きましたが、この2つは、「ザッハトルテ戦争」と呼ばれる、本家元祖争いと大きな関わりがあります。

元々、以前の記事にあるように、ザッハ家がカフェ・ザッハで出していたザッハトルテですが、カフェ&ホテルザッハが経営難を経て経営者が変わった時に、ザッハ家三代目エドゥアルト・ザッハが商標権と共にデメルに移ったのが、本家元祖論争の始まりです。

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<ホテル・ザッハの前に停められた、ザッハトルテのラッピングカー>

ザッハの新経営者は、1938年にザッハトルテの専売権を主張しましたが、その後第二次世界大戦を経て、舞台は法廷へ。1954年に訴訟は再開し、1963年になってやっと両社は和解しました。

この「甘い戦争」の証人として、両方のカフェの常連だった作家のフリードリヒ・トアベルクが法廷に呼ばれ、ケーキのどの部分にジャムが挟んであったかを証言させられました。彼は、「ザッハ家が経営者だったころのザッハトルテは、中層のアプリコットジャムがなかった」と証言しました。すなわち、ザッハ家が作っていたジャム一層のザッハトルテは、デメルに引き継がれ、現在カフェ・ザッハで売っているものは、新しい経営者の手で二層となっていて、オリジナルとは別物であることを意味してます。

しかし、最終的な和解では、この証言は無視され、「オリジナル・ザッハ・トルテ」の称号を付けることができるのはカフェ・ザッハのみで、デメルは「エドゥアルト・ザッハ・トルテ」もしくは「デメルのザッハトルテ」と名乗ることとなりました。

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<デメルのザッハトルテのプレートには「エドゥアルト・ザッハ・トルテ クリストフ・デメルと息子たちの製品」と、ザッハ家とデメル家両方の名が記されています>

結論が玉虫色となったため、「ザッハトルテ」という名前はこの2店だけでなく、ウィーン中の店が使っても構わないということになり、現在では、「オリジナル」はザッハのみであるものの、他のカフェでも「ザッハトルテ」が定番メニューとしてショーケースに並んでいます。ザッハとデメル以外でも、ザッハトルテの食べ比べができるのは、うれしいことかもしれませんね。

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<ホーフブルク(王宮)のカフェのザッハトルテ>

持ち帰り方

ザッハトルテをお土産にしたり、ホテルでゆっくり食べたい場合は、ザッハ、デメル両店で、2種類の持ち帰り方が可能です。

まず、一切れだけ持ち帰ってホテルで食べる場合。ショーケースのところでzum mitnehmen(ツム・ミットネーメン)というと、箱に入れてくれます。ホールで持ち帰る場合には、それぞれの店舗の他にも、空港での購入が可能です。どちらの場合にも、ホイップクリームは付きませんが、必ず食べる前に砂糖抜きで泡立てて一緒に食べるのがお勧めです。

また、日持ちは常温で2週間。できたてより、味がしみこむほど美味しいと言われています。

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<カフェ・ザッハの持ち帰り用ホールのザッハトルテは、豪華な木の箱に入っています>

まとめ

ザッハトルテを巡る「オリジナル」争いと食べ比べ、いかがだったでしょうか?たかがケーキで裁判までしなくても、、と思うかもしれませんが、それだけウィーン人にとって、ケーキやカフェの存在は大きく、売り上げや観光産業にとっても大きな影響を与えるということなのかもしれません。

ウィーンに来られたら、ザッハとデメル両方のザッハトルテを食べ比べてみて、どちらが口に合うか、そしてどちらがオリジナルにふさわしいか、裁判官になったつもりで考えてみるのも面白いかもしれませんね。

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記事投稿日:2018/10/26最終更新日:2018/10/26

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