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ウィーンの皇室御用達カフェ「デメル」で上流階級気分を満喫

記事投稿日:2018/03/29最終更新日:2018/03/29

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ウィーンの二大老舗カフェといえば、ザッハトルテで有名なカフェ・ザッハと、王宮御用達コンディトライ、デメル(Demel)です。

この二つのカフェは、どちらもハプスブルク家や貴族との関係も深く、ケーキも有名です。ウィーンを訪れる方は、ザッハとデメルを食べ比べる方も多いのではないでしょうか?

今回はそんな、カフェ・デメルの歴史とケーキの魅力をご紹介します。

※なお、Demelは現地の発音では「デーメル」が近いですが、当記事では日本支店の表記に従い「デメル」としています。

デメルの歴史

1786年、モーツァルトがウィーンで活躍していた頃、現在のデメルからほど近い王宮の横には、旧ブルク劇場がありました。この楽屋口のすぐ横に、Ludwig Dehneが作ったケーキ屋さんが、デメルの始まりと言われています。

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<ホーフブルク(王宮)が面するミヒャエル広場。この写真の右半分に、当時は劇場が建っていました>

この店は、王宮と劇場のすぐそばという地の利を得て、ハプスブルク家御用達ケーキ店になり、人気を博します。

その後、ケーキ職人だったChristoph Demelが店を継ぎ、当時のウィーンの上流階級が顧客となります。美貌の皇妃エリザベートの好んだスミレの砂糖漬けは、現在でも店頭に並んでいますし、女優のカタリナ・シュラットや、宰相メッテルニヒの孫で社交界の花形だったパウリ―ネ・フォン・メッテルニヒも、ここのお菓子を好んだと言われています。

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<現在のデメルの店構え>

ウィーンの都市改造に伴い、劇場が取り壊されて王宮の一部が改築されたため、1887年に今の場所に移ります。

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<落ち着いた内装の店内>

1919年にハプスブルク帝国が終焉を迎えた時、デメルを取り仕切っていたのは、クリストフの未亡人のアンナ・デメルでした。当時禁止されていた貴族の称号や、皇室御用達の呼称の使用も続け、昔ながらの経営を続けます。彼女の名前を通したアンナトルテは、名物ケーキの一つです。カフェ・ザッハと同じく、デメルも女主人が、揺れ動く時代のかじ取りをしていたわけですね。

次の代のクララ・デメルは、貴族の末裔の芸術家と結婚し、デメルの美的センスはぐっと上がります。ウィーン工房などの世紀末デザインを取り入れたパッケージは今なお愛され、デメルのショーウィンドーはウィーンの名物にもなっています。

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<クラシックなかわいい包装のお菓子。上段は皇妃エリザベートの好物、スミレの砂糖漬け>

女性経営者の歴史が長いデメルで働く女性店員は、伝統的に修道女に似た黒の衣装を着て、貴族を接客するのにふさわしい、上品なドイツ語を話したと言われています。

デメルの店内とケーキ

それでは、そんな伝統あるデメルに足を踏み入れてみましょう。コンディトライらしく、入ってすぐ左に大きなケーキのショーケースがあります。

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<内装は有名な建築家が手掛けたネオロココ様式。重厚さと豪華さが漂います>

カフェスペースは1階奥と2階にありますが、2階の方が明るくて広々としているのでお勧めです。

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<落ち着いた2階のカフェスペース>

デメルでは、伝統的なウィーンのカフェの注文方法をとっています。飲み物の注文はテーブルで、ケーキの注文はショーケースで、と覚えておきましょう。2階にも小さいショーケースがありますので、ここで気に入ったケーキを注文し、メモに書いてもらいます。そのメモを持ってテーブルにつき、飲み物と一緒にケーキを注文する、というシステムになっています。

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<2階のショーケース。ひときわ高い台に乗っているのが、名物アンナトルテ>

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<職人がケーキを手作りしている様子を、ガラス越しに見ることができる>

お支払いの後は、入り口のショップものぞいてみましょう。かわいい包装にも心惹かれますよ。チョコレートやクッキーなどのお持ち帰り用のお土産や、皇妃エリザベートの愛したスミレの砂糖漬け(kandierte Veilchen)もあります。

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<チョコでできたイースターエッグ>

まとめ

女主人が経営を支え、貴族や上流階級に愛された、ウィーンの老舗カフェ、デメル。その豪華な内装と、美味しいケーキと、かわいいお土産は、今でも多くのケーキ好きを惹きつけます。

観光の合間のちょっとした休憩に足を踏み入れて、世紀末のウィーン上流階級気分を味わてみてはいかがでしょうか?

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記事投稿日:2018/03/29最終更新日:2018/03/29

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