生ハムここに極まれり。美食の殿堂パルマで"幻の生ハム"クラテッロを食す。

美食の街、パルマ。生ハムで有名なこの街で"幻の逸品"と言われる生ハム「クラテッロ」とは? その概要を紹介すると共に、生産地にあるリストランテや、合わせて知っておきたいおすすめの食べ方についてもご紹介しています。

※写真はイメージです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づき掲載しています。
参考:クリエイティブ・コモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)

※編集部註:2020年12月、加筆修正いたしました。掲載している写真出典は初出時(2015年11月)のものです。

目次

1. パルマで作られる幻の逸品「クラテッロ」を訪ねて

はじめに、パルマという都市についての概要を解説しましょう。

パルマの成り立ちは非常に古く、紀元前2世紀にはローマの植民地として存在していたという基礎自治体(コムーネ)です。場所は北部イタリアのエミリア=ロマーニャ州にあたります。

ルネサンス期にはコレッジョやパルミジャニーノといった名画家が活躍し、ブルボン家やナポレオンの妃マリー・ルイーズ(マリア・ルイーザ)の支配下に置かれたパルマの街並みは芸術色が豊かで、どこかフランスらしさも薫るエレガンスな趣があります。

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<写真はイメージです。[DSCF4415]Photo by Brian Adamson[CC BY 2.0]

とは言え、この都市で最も有名なのは、生ハムをはじめとした数々の美食でしょう。パルマを歩けば、各種絶品の生ハム、ソーセージ、サラミなど、グルメな食材をいとも簡単に手に入れられるグロサリーショップがあちこちに現れます。ここで暮らすパルマ市民が羨ましくなるほど。

その中でも、今回は世界に名だたる生ハムの王「クラテッロ」と、それをいただくのにおすすめのスポットについてご紹介します。

2. パルマの有名生ハムは2つある

salsamenteria de parma
<出典:Flickrより>

パルマで生産される有名な生ハムは、大きく分けて2つあります

一つは、「プロシュット・ディ・パルマ」。豚の足首~ももにかけての肉を熟成させた生ハムで、この名称を名乗ることができるのは、パルマにおける一部の町で作られたもののみ。エミリア街道から5km以上南で海抜は900m以下、エンザ川とスティロネ川の間にある工場が生産したものでなければならず、その中でもランギラーノという町は「パルマハムの聖地」と呼ばれています。

もう一つが、この記事でご紹介する"生ハムの王"「クラテッロ」です。こちらはポー川と呼ばれる河川沿いのエリアで生産されるもので、豚の尻肉を用いて作られます。パルマから車で1時間ほど行ったポー川南にある8つの村、その中でもジベッロ村が、クラテッロの有名な産地です。

プロシュット・ディ・パルマが、ランギラーノをはじめとする風通しの良い気候で作られるのに対して、クラテッロは湿度が高い気候条件で作られます。そのため、クラテッロの味わいは"しっとり、肉の甘みが広がる"という特徴があります。

贅を極めた究極の生ハムとして、クラテッロはまさに"生ハムの王"と呼べるほどの風格があるのです。

参考:ジベッロ村Googleマップ

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3. 貴族の館で供される、至高のクラテッロ

さて、そんなクラテッロを食すのであれば、生産地であるポー川沿いで試してみたいもの。そこでご紹介するのが、「アンティカ・コルテ・パラヴィチーナ(Antica Corte Pallavicina)」です。

こちらは、のどかな田園風景の中にある、14世紀頃からある貴族の館。現在はオーベルジュ(宿泊もできるレストラン営業をメインとした施設)として営業しており、宿泊はもちろんリストランテ(レストラン)で、絶品のクラテッロやパルマならではのグルメを食すことができます。

クラテッロを熟成させる地下貯蔵室

Antica Corte Pallavicina
出典:Flickrより

アンティカ・コルテ・パラヴィチーナの広い敷地内には、クラテッロの貯蔵庫があります。仄暗い地下室には隙間なくクラテッロの原木が吊り下げられ、その様子はまるで聖域。

ここのクラテッロは古い種の黒豚を使っており、一般的な白豚よりも脂がのって芳醇な味わいなのだとか。

Salumi cellar
出典:Flickrより

また、クラテッロ作りには絶妙な湿気が不可欠。ここ、ポー川流域に毎年発生する霧こそが、美味しさの決め手なのです。さらに貯蔵室では、湿気と香り付けのため時折床に赤ワインを撒くのだそう。

その美味のほどは、出典写真のように原木へぶら下げられた有名リストランテによる、売約済みの札を見れば明らかです。

参考:Antica Corte Pallavicina公式サイト(イタリア語、外部サイトに移動します)

4. クラテッロと一緒に、チーズとバルサミコ酢もぜひ

asiago dop e aceto balsamico tradizionale di modena
出典:Flickrより

クラテッロを食べるときに添えるのはバター。これは、ジベッロ村で伝わる昔ながらの食べ方なのだそうです。

また、クラテッロを含むパルマの生ハムと合わせて楽しみたいのが、これまたパルマ発祥のチーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」。一かけら口に入れるだけでたちまち広がる、芳醇で魅惑的な香りは本場で体験してこそ。パルマが含まれるエミリア・ロマーニャ州名産のバルサミコ酢も、ここでぜひトライするべきでしょう。

特に、20年以上熟成された長期間熟成のバルサミコ酢は、酸味と甘み、そして独特のコクによるバランスが絶妙。料理の仕上げだけでなく、フルーツやドルチェにだってマッチしてしまいます。 この地域ならではの贅沢な前菜は、「パルミジャーノ・レッジャーノのバルサミコ酢がけ」。もちろん、生ハムにかけても深みのある味わいが楽しめます。

美食の宝庫であるパルマは、当然ワインだって豊富に揃います。特に、ハムやサラミに合うのは断然ランブルスコ。こちらもエミリア・ロマーニャ州で作られる、赤のスパークリングワインです。パルマのワイナリーでボトルを調達し、本場のパルマハムやチーズをつまみに、即席の晩餐なんていかがでしょう?

パルマ-クラテッロ-02-Photo by verdi85 -Enoteca Fontana, Parma[CC BY 2.0].jpeg
<写真はイメージです。Photo by verdi85 | Enoteca Fontana, Parma[CC BY 2.0]

"生ハムの王"クラテッロを中心に、パルミジャーノ・レッジャーノ、バルサミコ酢といった名脇役も揃う美食の殿堂パルマ。グルメなこの町は魅惑的なアドレスだらけです。

さあ、食い倒れを覚悟して、いざ旅へ出ましょう。

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