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パルマに行ったら絶対食べたい!プロシュット・ディ・パルマとパルミジャーノ・レッジャーノが楽しめるレストラン
パルマと聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのが「生ハムとチーズ」なのではないでしょうか。ワイン作りに適した地域があるのと同じように、生ハムやチーズを作るにも適した環境があります。パルマは古くからその環境が生ハム作り、チーズ作りに適していたといえるでしょう。
この記事では、有名な生ハム「プロシュット・ディ・パルマ」と、高品質なチーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」の概要に触れつつ、それらを堪能できるパルマのおすすめレストランをご紹介します。
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- こだわり尽くしの製法を守る「プロシュット・ディ・パルマ」とは
- チーズの王様「パルミジャーノ・レッジャーノ」とは
- パルマで生ハムとチーズを味わえる絶品ランチをレポート!
- お土産もチーズと生ハムをたっぷり
こだわり尽くしの製法を守る「プロシュット・ディ・パルマ」とは
そもそも生ハムの起源をさかのぼると、なんと紀元前にまで到達してしまいます。当時から家畜として飼われていた豚を保存食として食べられるようにするため、塩漬けにしたのが生ハムのはじまりだといわれています。
イタリアだけではなく、世界各地で肉を長期にわたって保存する方法が考案され、独自の歴史をたどってきました。
そうして名実ともに有名になったのがイタリアの「プロシュット・ディ・パルマ」、スペインの「ハモン・セラーノ」、そして中国の「金華ハム」です。それぞれに作り方や味の違いはありますが、どれも共通していえることは"保存食として始まった"ということ。
「プロシュット・ディ・パルマ」の「プロシュット」というのは、もともとラテン語で「とても乾いた」という言葉を語源としています。ちなみにスペインの「ハモン・セラーノ」は「山のハム」、「金華ハム」は中国表記だと「金華火腿」(きんかかたい)と書き、金華地区で作られるハムということです。
これらは「世界三大ハム」と呼ばれていて、価格も味も超一流と言われています。
「プロシュット・ディ・パルマ」の製造方法はこだわり尽くし。まず、原材料として使用される豚肉は認定された養豚所で育てられた白豚で、品種もランドレース種、デュレック種、ラージホワイト種と決められています。
食べる餌も決まっていて、「パルミジャーノ・レッジャーノ」を作るときにできるミネラルをたっぷり含んだ乳清(ホエー)を与えられていることが必須。規定の方法で健康に育てられた由緒正しい豚だけが「プロシュット・ディ・パルマ」になるのです。
生ハムが生産される工場のエリアも細かく指定されています。パルマハム協会に認定された生産者の工場は、エミリア街道から5km以上南で海抜は900m以下、エンザ川とスティロネ川の間になければいけないのです。
その条件に合うもっとも有名な町がランギラーノ。パルマハムの聖地とまで言われるそのエリアには200近い生産工場が集まっています。もちろん、生産工場がそのエリアに入っているからといってすぐに「プロシュット・ディ・パルマ」の認定を受けられるわけではありません。厳しい審査を受けて合格した生ハムは「プロシュット・ディ・パルマ」の称号を意味する王冠のマークをつけられます。
作る工程においても、塩漬け専門職人、ラード塗り専門職人、など様々な職人の技が生ハム作りに生きています。ちなみに、ラードを塗るのは女性の職人が多いそうです。女性の繊細な手の方がうまく塗れるからとのこと。そんなところまでこだわりを持って作られているとは驚きました。
チーズの王様「パルミジャーノ・レッジャーノ」とは
続いて、パルマのおいしいものを語る上でもうひとつ欠かすことができないものが「パルミジャーノ・レッジャーノ」です。"チーズの王様"とも呼ばれていて、製造方法が800年前からほとんど変わっていないことでも知られています。
熟成期間は最低でも1年間。旨み成分であるアミノ酸がたっぷり溢れてきている味わい深いチーズです。そのままでももちろんおいしいですが、料理に使うことも多く汎用性の高いチーズなのでワイン好きの方、料理好きの方へのお土産にもぴったりです。
覚えておきたいのが、肉類、ハム類を日本へ持込むことは不可(※)ですが、チーズはOK。本場の「パルミジャーノ・レッジャーノ」を持って帰りたいという方は真空パックをお願いするといいですね。
イタリア語で真空パックは「Sottovuoto」といいます。真空パックお願いします、と言いたいときには「Sottovuoto,per favore(ソットヴォート、ペルファヴォーレ)」でOKです。市場やお店の中には真空パックの機械を持っていないところもあるので、購入前にまずは真空パックができるかどうかの確認も忘れずに。
パルマで生ハムとチーズを味わえる絶品ランチをレポート!
さて、「プロシュット・ディ・パルマ」と「パルミジャーノ・レッジャーノ」の概要を解説したところで、実際に食べてみたい!と思われませんでしたか?
ここからは、パルマのレストランでランチをした際のレポートをお届けしたいと思います。今回は、パルマ在住のお友達が教えてくれた「LA CUCINA DEL MAESTRO」のテラス席でのランチです。
この「MAESTRO(巨匠)」は、作曲家ヴェルディのこと。パルマに縁のあるヴェルディモチーフがあちらこちらに発見できます(※)。こちらのレストランのメニューにも楽譜がデザインされていて、クラシックファンにはたまらない演出がたっぷり。
※註:ヴェルディはパルマ出身とされています。
メニューにはもちろん「プロシュット・ディ・パルマ」も「パルミジャーノ・レッジャーノ」も並んでいます。今回はフェンネル(ウイキョウ)入りのサラミとハムの盛り合わせ、おつまみに「Torta fritta」と「パルミジャーノ・レッジャーノ」をオーダーしました。
この「Torta fritta(トルタ・フリッタ)」はラヴィオリの皮の部分を揚げたもので、揚げ餃子のような風貌ですが中には何もはいっていません。プーッとふくらんだ生地がサクサクしていて、ほどよい塩気とのバランスも抜群のおいしさ。
揚げたてで運ばれてきたのですが、サラミやハムと一緒に食べると一口サイズであることも手伝って、パクパク食べてしまいます。
本場の「プロシュット・ディ・パルマ」を現地で堪能する瞬間がやってきました。ほのかな塩気の中に甘みを感じます。凝縮された豚のおいしさ、滑らかな舌触り、日本であらかじめスライスされてスーパーで売っているものとは別物とすら思える豊かな風味がします。
ちなみに、こちらは30ヶ月(2年半)熟成のものだそうです。新鮮で切り立てということも重要なのでしょうね。トルタ・フリッタとのコンビネーションも夢心地です。
「パルミジャーノ・レッジャーノ」はオレンジのジャムと共に登場。ジャムとチーズの相性のよさは想像を絶するほど。いくらでも食べられそう......と感じます。口に入れたときの断面がシャリっとする感覚は、超ハードタイプのチーズだからこそ味わえる至福の瞬間です。削って料理に使うのもいいですが、おいしいチーズが手に入るなら塊でいただくのが贅沢な食べ方。
手間と時間をかけられて大切に作られたチーズや生ハムを生産地にきわめて近いところでいただく幸せ。イタリアに行ったらぜひとも体験したいことの一つですね。
メインディッシュには、中に詰め物をしたパスタ「Tortelli(トルテッリ)」を選択しました。数種類メニューに並んでいたのでものすごく悩んでいましたが、同行してくれていたイタリアンダンディが「半分ずつにしてあげて」と交渉してくれました。そういうわけで登場したのがこちら。
黄色の方は「Tortelli di zucca alla parmigiana」でかぼちゃが生地に練りこんであり、削ったパルミジャーノ・レッジャーノがソース代わりのアクセントになっています。
<Tortelli di zucca alla parmigiana>
緑色の方は「Tortelli verdi」でクラテッロのラグーが入っています。クラテッロというのも、パルマの名物のうちのひとつ。豚のお尻の部分を使った生ハムを「クラテッロ」と呼びます。ラグーは肉の煮込み料理全般を指す名称。モチモチした食感が口の中で楽しめます。絶妙の茹で加減です。
<Tortelli verdi>
もともとラヴィオリやトルテッリといった水餃子的なものが好きなので、この日のランチは大満足!
LA CUCINA DEL MAESTRO 基本情報
住所:Via Farini, 19 43100 Parma
営業時間:9:00 ~0:00
公式サイト:http://www.lacucinadelmaestro.com/lacucinadelmaestro/
お土産もチーズと生ハムをたっぷり
せっかくパルマまで来たのですからお土産を買わなくては!と地元の人におすすめしてもらったハム屋さん「LA PROSCUITTERIA」で買い物を。
この日は、フィレンツェに戻ってから友達の家で開催される持ち寄りホームパーティーに呼んでもらっていたので、手土産に生ハムを買って帰ることにしました。
チーズもこんなに種類が多くてあれこれ目移りしてしまいますが、チーズは私が別の種類を友達にリクエストしていたので、担当している生ハムだけを買って帰ります。
それにしても、生ハムは何ヶ月熟成かによってお値段も味もずいぶん違うようです。迷っていたら試食もさせてくれて、一番旨みを強く感じた24ヶ月熟成というものをスライスしてもらいました。
おいしいものも沢山食べて、いいお土産も見つけられて大満足......のはずが、帰りの電車が急に止まってしまい、なんと真夏の暑い時間に2時間の車内足止め。脂の部分が溶けてしまうのではないか心配でしたが、どうにか電車も動き出しました。
集合時間には遅れてしまいましたが、パルマから買って行った生ハムはフィレンツェのイタリア人にも大好評だったので良しとしたいと思います。
撮影:yukaco
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yukaco
- 17歳のときに初めてフィレンツェ、ヴェネチアへ行ってからすっかりイタリア贔屓に。定期的にイタリアへ旅行。
食、ファッション、アートが得意分野。興味があればどこへでも行くフットワークの軽さでハードスケジュールな取材も敢行。
イタリアの中で一番好きな場所はミラノ・スカラ座。好きな食べ物はラヴィオリ。