

タイ東北部・ウボンラーチャターニーの郊外に、思わず「何これ?どうやってできたの?」と声が出てしまう巨大な奇岩があります。その名も「サオチャリアン(Sao Chaliang)」。
タイ語で「サオ(เสา)」は「柱」、「チャリアン(เฉลียง)」は「突き出た・傾いた」、あるいは地元の言葉で「岩の柱」を意味しています。キノコのような形をした巨大な岩が山の中にそびえ立つ様子は圧巻で、自然の造形の不思議さにしばらく言葉を失ってしまいました。
観光地として知られてはいますが、何度行っても人がほとんどいない穴場スポット。楽しいアミューズメント系の観光地というより、歴史と自然の静けさを感じる場所です。
遺跡や古い文化に興味がある人には、特におすすめしたいスポットです。
目次
サオチャリアンってどんな場所?
サオチャリアンは、ウボンラーチャターニー市内から車で約1時間半の「パーテム国立公園」内にあります。1991年に国立公園に指定されたこの公園は、約340平方キロメートルの広大な自然エリアで、奇岩地帯や滝、3,000〜4,000年前の先史時代の岩壁画など、見どころが点在しています。
その中でもサオチャリアンは、キノコ型の巨大な奇岩が立ち並ぶエリアです。公園内の有名な岩壁画とも近い場所に位置しています。観光地として案内板も整備されていますが、訪れるたびに人がほとんどいません。絶景を独り占めできる、贅沢な穴場です。
自然が作った巨大キノコ岩
目の前に現れた瞬間、思わず足が止まります。巨大な岩が、まるでキノコのように根元の上に大きな笠を乗せた形でそびえ立っています。「誰かが置いたの?」「どうやってできたの?」と思わずにはいられない、不思議な光景です。
キノコ岩の正体は「差別侵食」
このキノコ岩は、長い年月をかけた「差別侵食」という自然現象によって生まれました。もともとはひとつの大きな砂岩の塊でした。砂岩は硬い層と柔らかい層が重なり合ってできており、雨や風にさらされ続けるうちに、柔らかい部分はどんどん削られていきます。
一方、硬い部分は削られにくく残り続けます。これが何千年、何万年と繰り返された結果、柔らかい下の部分だけが削れてほっそりとした根元になり、硬い上の部分が大きな笠として残りました。これがキノコ岩の正体です。
「重さを支えているから残る」自然のメカニズム
さらに興味深いのは、岩に重さがかかっている部分(根元)では砂の粒が互いにしっかりと固まり合い、侵食に強くなるという性質があることです。重さを支えていない周囲の部分は逆に削られやすくなります。つまり、キノコ岩は「重さを支えているから残る」という、岩そのものの性質が生み出した形なのです。
間近で実感する大迫力と静寂
実際に間近で見ると、その大きさに改めて圧倒されます。根元の細さと笠の大きさの絶妙なバランス。「本当に自然にできたの?」という驚きは、何度見ても消えません。周りには岩と森のような茂みが続き、静寂の中に立つキノコ岩の迫力はひとしおです。
岩のそばに残るお墓
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<「タム・ロン・ノイ(Tham Long Noi)」と呼ばれる小さな岩窟>
サオチャリアンから少し歩くと、「タム・ロン・ノイ(Tham Long Noi)」と呼ばれる小さな岩窟があります。ここでは、遺体を木棺に納め、岩の割れ目に安置する埋葬が行われていたことが確認されています。
これはメコン川流域に古くから伝わる埋葬文化の一例です。この地域の人々は岩や洞窟を神聖な場所と考え、洪水を避ける目的も兼ねて、大切な人をここに葬っていたと考えられています。
葬られていたのはラオス側の人々や子ども、そして地位の高い人物などです。パーテム国立公園がラオス国境のすぐそばに位置していることも、こうした歴史と深く関わっています。
さらにこの地には、「岩を運んだ巨人が葬られている」という言い伝えも残っています。これは実際の体の大きさを表しているというより、この場所を築き守ってきた特別な存在を象徴した表現と考えられています。
巨大なキノコ岩のそばに、そのような伝説が息づいているのもなんとも神秘的です。自然の不思議と人の歴史、そして古くからの伝承が重なり合うサオチャリアンは、単なる「奇岩スポット」にとどまらない深い魅力を持っています。
サオチャリアンのアクセス・基本情報
【ウボン市内からのアクセス】
ウボンラーチャターニー市内から車またはタクシーで約1時間30分〜1時間40分。公共交通機関で行くのは難しいため、レンタカーやタクシーの利用がおすすめです。
【バンコクからウボンラーチャターニーへのアクセス】
バンコクからウボンラーチャターニーへは、飛行機(約1時間)、夜行バス(約8〜9時間)、寝台列車でアクセスできます。飛行機はLCCも運航しており比較的リーズナブルです。夜行バスはバンコク北バスターミナル(モーチット)から運行しています。
サオチャリアン(Pha Taem National Park / パーテム国立公園内)
- 所在地:Pha Taem National Park, Khong Chiam District, Ubon Ratchathani
まとめ
日中はタイらしい強烈な日差しが照りつけますが、周辺には熱帯の花が咲き、植物が茂っていて、のんびり散策するのも気持ちがいい場所です。
ウボン市内から少し足を延ばす必要がありますが、近くまで来る機会があればぜひ立ち寄ってみてください。きっと、しばらく忘れられない旅の思い出になるはずです。
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はるな
- タイ最東部イサーンの村で子育てをしながら、旅と生活の境目にある物語を綴るライター。観光地よりも、人の暮らしや日常の風景に惹かれ、その土地に流れる時間を見つめてきました。暮らしの中から、ふと旅に出てみたくなるような瞬間を言葉にしています
































