

ミュージカル映画の傑作『サウンド・オブ・ミュージック』。
「ドレミの歌」や「エーデルワイス」など、子どものころに口ずさんだあの名曲たちのふるさとザルツブルクに、この映画をテーマとした博物館がオープンしました。
映画で見た美しい街並みやアルプスの山々を巡ってみたい!と思っている方もいらっしゃるでしょう。
![]()
<サウンド・オブ・ミュージック博物館>
今回はそんな名所巡りの起点となる、「サウンド・オブ・ミュージック博物館」をご紹介します。
目次
映画『サウンド・オブ・ミュージック』の聖地ザルツブルク
1965年にジュリー・アンドリュース主演で公開された映画『サウンド・オブ・ミュージック』は、実在したトラップ一家の物語を基にしたミュージカル映画です。
この映画はザルツブルクを舞台としています。妻を亡くしたトラップ大佐の7人の子どもたちの家庭教師として、修道院からやってきたマリア。彼女は子どもたちに歌を教え、次第に大佐と恋に落ちて結婚します。
ストーリーの後半は、ナチス政権に反対した大佐が一家と共に故国を去り、亡命先で新しい人生を始めるという、ザルツブルクの絶景と美しい音楽に彩られた物語です。
![]()
<ザルツブルクの街並み>
ザルツブルクの街を歩けば、映画のロケ地と史実のトラップ一家、両方のゆかりの地が盛りだくさん。
市内には、「ドレミの歌」や「私のお気に入り」が撮影されたミラベル庭園やモーツァルト小橋、メンヒスベルクの丘などがありますし、主人公のマリアが暮らしていたノンベルク修道院などのロケ地を巡っているだけで、ザルツブルクの名所と絶景を堪能できてしまいます。
![]()
<レオポルズクロン城では、トラップ邸の庭園と池の撮影が行われた。背景にはホーエンザルツブルク城>
ザルツブルクを起点に日帰りで行ける、アルプスの湖水地方ザルツカンマーグートの各地にも、空撮が行われたサンクト・ギルゲンや結婚式が撮影されたモントゼー教会など、ゆかりの地がちりばめられ、世界中から『サウンド・オブ・ミュージック』ファンが訪れます。
サウンド・オブ・ミュージック博物館への行き方
映画公開から60年以上経っても世界中からロケ地巡りを楽しむ人々が訪れるなか、ザルツブルク郊外のヘルブルン庭園に今年9月、サウンド・オブ・ミュージック博物館が盛大にオープンしました。
![]()
<ヘルブルン宮殿>
ヘルブルン宮殿には、17世紀に造られた仕掛け噴水庭園を含む広い庭園があり、その一角には映画で長女リーズルが歌って踊る「もうすぐ17歳」やマリアと大佐の恋が芽生える「何かよいこと」の撮影が行われた、ガラス張りのパビリオン(東屋)があります。
![]()
<「もうすぐ17歳」のシーンの撮影が行われた東屋。撮影時にはレオポルズクロン城にあったが、1991年に現在の場所に移設された>
そのすぐそばに今回オープンしたのが、サウンド・オブ・ミュージック博物館です。
東屋と博物館という、『サウンド・オブ・ミュージック』の聖地を2つまとめて訪問できるのですから便利ですね。
![]()
<ヘルブルン宮殿から、この道をまっすぐ行けば、左が博物館、右が東屋です>
宮殿から遊歩道を少し歩いた左側に博物館が、右側の壁のすぐ後ろには東屋があります。東屋を探すときは、「パビリオン」もしくは「ガゼーボ(gazebo)」の案内に従ってくださいね。
ヘルブルン宮殿の噴水仕掛けは、大人も子どもも楽しめるアトラクションですので、ぜひこちらも併せて楽しんでみてください。
サウンド・オブ・ミュージック博物館の見どころ紹介!
サウンド・オブ・ミュージック博物館の内部は2階建てになっていて、映画、舞台版ミュージカル、史実のトラップ一家という3つのテーマに分かれています。
![]()
<東屋を再現した展示と、映画で使用された衣装>
映画に関する展示では、撮影に使用された子どもたち(長女リーズルと末娘グレーテル)の衣装や台本、撮影機材のほか、映画の中でトラップ大佐役のクリストファー・プラマーが子どもたちを呼ぶときに使っていた笛と、史実のトラップ大佐が使っていた笛が両方展示されています。
ちなみに、史実のトラップ大佐は映画のように厳格ではなく、広い庭に散らばって遊ぶ子どもたちを呼び集めるときに笛を使っていたそうですよ。
![]()
<トラップ大佐が実際に使っていた笛>
また、東屋でのダンスシーンのイマーシブ体験ができる展示もあり、映画のように嵐の中で恋の芽生えを歌い踊る、長女リーズルになったような気分を味わえます。実物の東屋の内部は立ち入り禁止ですので、このイマーシブ体験で、思う存分映画の中にいる気分を味わってみてくださいね。
![]()
<ミュージカルのポスターコレクション>
舞台版ミュージカルをテーマとした展示では、ザルツブルク州立劇場とマリオネット劇場での上演の様子を垣間見ることができるほか、オランダ人コレクターが人生をかけて収集し、寄贈した3,000点近くのCDやLP、ポスターやDVDなどが展示されています。
日本のものも多く、世界中でこの作品が愛されていることがよくわかりますね。
![]()
<史実のトラップ一家に関する展示。トラップ大佐の軍服も展示されている>
さらに上階では、史実のトラップ家に関する展示が充実しています。映画はトラップ家の実体験を基にしてはいますが、子どもたちの名前や年齢が変更されていたり、時系列や亡命先、人物関係など、史実どおりではない部分も多くあります。
例えば、実際はマリアと大佐が結婚した後に2人の子どもが生まれ、3人目を妊娠中にオーストリアを出国(イタリア等を経由)し、1938年にアメリカに向かっている...など。
この展示室では、マリアやトラップ大佐の着ていた服のほか、マリアのブローチや旅行鞄も展示され、亡命の際の記録なども見ることができます。映画以上に大所帯で、命からがら出国した大家族の苦労がしのばれますね。
![]()
<コーラス隊としての活躍に関する展示。本物のトラップ一家の歌声や映像に触れることもできます>
次の展示室では、トラップ一家のコーラス隊としての才能を開花させ、一家と共に亡命したヴァースナー神父の所有物や後にトラップ・ファミリー・シンガーズと改名し、アメリカで有名になった一家に関する資料が、クリスマスの雰囲気を再現しながら展示されています。
展示室を出た廊下にある一家の末裔についての展示も必見です。トラップ一家は終の棲家に、故郷オーストリアと似た風景のアメリカ、バーモント州を選びました。
マリアと大佐の孫にあたるクリスティーナ・フォン・トラップが現在も暮らし、運営に携わるホテル「トラップ・ロッジ」の紹介のほか、現在も歌手として活躍する次男ヴェルナー(映画のクルト)の娘エリーザベト・フォン・トラップの歌うCDなども展示されていて、今でも続くトラップ一家のきずなも感じさせます。
オープニングセレモニー
サウンド・オブ・ミュージック博物館のオープニングイベントには、世界中から多くの映画関係者や一家の末裔がザルツブルクに集合し、連日レセプションや記者会見が開かれました。私もこのイベントに参加させてもらったので、その様子も少しレポートしておきます。
まず初日には、映画のトラップ邸の庭のロケ地となったレオポルズクロン城で、関係者を集めた和やかなレセプションが開かれました。
映画の子役のうち4人(フリードリヒ役、クルト役、マルタ役、グレーテル役)やマリアと大佐の孫クリスティーナ・フォン・トラップのほか、世界中に散らばる末裔たちが集まり、まるで同窓会のようなカクテルパーティーとなりました。
![]()
<ザルツブルク州立劇場で行われたオープニングセレモニーの様子。トラップ一家の末裔や映画の出演者も多数招待されていた>
翌日もマリオネット劇場でレセプションが開かれた後、博物館オープニング当日には「ドレミの歌」などのミュージカル場面を挟みながら、州立劇場で大々的に記者会見が開かれました。主演ジュリー・アンドリュースからの手紙が読まれるという、素敵なサプライズもありました。
私自身も多くの末裔の方々や子役を務めた方々と直接話す機会をいただき、この映画の大ファンとして夢のような時間となりました。映画公開から60年以上経っても、世界中から『サウンド・オブ・ミュージック』関係者と作品を愛する人たちが集まり、こんなイベントが開催されるなんて本当に素敵ですね。
まとめ
ザルツブルクに新しくできたサウンド・オブ・ミュージック博物館は、世界中のファンにとって、待望の博物館です。映画と史実の両方を知ることができ、オリジナルの展示物もたっぷり。おまけに、同じ敷地内にロケ地となった東屋だけでなく、噴水アトラクションもあるわけですから、一石三鳥!
![]()
ザルツブルクの中心地からは、バス1本、20分で行くことができ、東屋と博物館と噴水庭園を見ても半日程度です。敷地内には気持ちのいい広い庭園や美味しいレストランもありますので、ゆったり過ごしたい方にもぴったりです。
ぜひ、ザルツブルクから少しだけ足を延ばして、ヘルブルン庭園にあるサウンド・オブ・ミュージック博物館を訪れてみてくださいね。
サウンド・オブ・ミュージック博物館
- 所在地:Fürstenweg 35, 5020 Salzburg(ヘルブルン庭園内)
- 開館時間:9:30~18:30
- 閉館日:無し(冬季休業以外)
- 公式サイト:サウンド・オブ・ミュージック博物館
※開館時間 3・4・10・11月 ~17:30迄、7・8月 ~19:00迄(公式サイト要確認)
※11月~3月下旬迄 冬期休業(2027年11月2日~3月19日迄 休業)
関連記事

「オーストリア」に興味わいてきた?あなたにおすすめの『オーストリア』旅行はこちら
※外部サイトに遷移しますRelated postこの記事に関連する記事
Rankingオーストリア記事ランキング
-

ひょろ
- オーストリア、ウィーン在住。ふらっと街歩きしては、隠れた歴史や文化を発掘するのが楽しい毎日です。15年以上住んでもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事、現地調査、輸出入業などを通じてお届けしています。3児のバイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。「御影実」のペンネームでも執筆しています。
































