ウィーンの夜を教会巡りと音楽で彩る「教会の長い夜」イベント|オーストリア

音楽の都ウィーンで、教会巡りをしながらコンサートも楽しんでみたい!そんな一石二鳥の夕べを楽しめる夜が、1年に一度だけやってきます。

今回は、ウィーン市内で170以上、オーストリア全土で700以上の教会が門戸を開き、さまざまなイベントを楽しめる、年に一度の教会のお祭り「教会の長い夜」に参加してきたので、その様子をご紹介します。

普段は静かなウィーンの夜ですが、この日は教会巡りをする人で街角がにぎわいます。気になる教会でも気軽に入って、コンサートや内部見学に参加しつつ、自分のペースでウィーンの夜の街歩きを堪能できる、ちょっと特別な夜です。

そんな素敵な夕べ、「教会の長い夜」の楽しみ方といいとこどりのおすすめルートをご紹介します。

目次

ウイーンの教会の長い夜のペーター教会
<夜のペーター教会>

「教会の長い夜」とは?ウィーンの人気イベント紹介

毎年5月末か6月初めの金曜に開催される「教会の長い夜」では、18時ごろから24時まで、各教会でさまざまなイベントが行われ、誰でも無料で自由に参加できます。

イベント内容と規模

コンサートやガイドツアー、非公開エリアの限定公開、屋台やグルメなど、教会ごとにプログラムは多彩です。ウィーンだけでも10万人が参加するほどの大規模なイベントでもあります。

5月後半からは、各教会で全プログラムを掲載した冊子が配布されるため、事前に訪れたい教会を選ぶのに便利です。

また、公式サイトでは、教会ごと、時間ごと、イベントのカテゴリ別に検索できますので、いくつか本命の教会や聴きたいコンサートを決めておいて、あとは周辺をざっくり歩いて回るのがおすすめです。

効率よく楽しむためのポイント

予約やチケット購入は不要ですが、この日しか公開されないエリアのガイドツアーなど、人気のイベントは、当日整理券が配布されることがあります。

教会によっては22時ごろに早じまいする一方で、人気のある教会のコンサートは22時以降のほうが比較的空いています。やりたいことに合わせて予定を立ててみてください。

以前「たびこふれ」に執筆した、ウィーン旧市街の教会巡りの4つの記事へのリンクも貼っておくので、気になるものは読んでみてくださいね。

>>教会の長い夜の公式サイトはこちら

ウィーンで楽しむ限定公開の礼拝堂

今回は1つの礼拝堂の限定公開以外はあまり予定を決めず、普段と違う雰囲気の夜のウィーンの街歩きを楽しむというゆるい予定で、少し遅い22時前から参加しました。

ウィーンの街の中心シュテファン広場は、この時間には珍しく人でいっぱいでにぎわっていて、活気にあふれていました。

夜のウイーンの教会の長い夜のシュテファン広場にあつまる人たち
<シュテファン広場。大聖堂の赤い垂れ幕は、「教会の長い夜」のイベントの告知>

お目当ては、普段素通りしてしまう建物の中にある、ハイリゲンクロイツァーホーフの礼拝堂の限定公開。意外に中はきらびやかなバロック様式で、祈る人、写真を撮る人、彫刻の細部に注目する人など、教会好き、歴史好きのワクワクした雰囲気が伝わります。

ウィーン郊外にあるハイリゲンクロイツ修道院からこのイベントのためにやってきた修道士たちが、修道院直売所の売り子としてはちみつやお酒、ナッツ類などを販売していました。思わず足を止めてしまうような珍しい光景です。

夜のウイーンの教会の長い夜のハイリゲンクロイツァーホーフ礼拝堂
<小さいけれどきらびやかなハイリゲンクロイツァーホーフの礼拝堂>

次の教会に向かって歩いていると、普段は閉まっているウィーン大司教館の中庭への扉が開いていたので、のぞいてみました。中庭には椅子が並べられ、チョコやアイスが振る舞われていて(もらったら少額の寄付金を置いていくのがスマート)、イベントの合間に足を休められるスペースになっていました。

大司教館中庭に集まる人々、シュテファン大聖堂が見える
<大司教館中庭からシュテファン大聖堂の尖塔が見える>

街中なのに、急にタイムスリップしたような静けさです。

ウィーン教会コンサートをハシゴ体験

ここからは、私のお気に入りの教会音楽三昧ルートを、モデルコースとしてご紹介しながら一緒に歩いてみましょう。

ペーター教会 Peterskirche

ペーター教会の礼拝堂でカルテット演奏を聴く人々
<ペーター教会のカルテット演奏>

まずはシュテファン広場からグラーベンに入り、右手のペーター教会をのぞいてみます。ここは普段からコンサート会場となることが多い教会ですが、この時間帯は弦楽器カルテットの演奏会をしていました。

入り口付近は人垣ができていますが、少し入ると座ってゆっくり聞くこともできます。クーポラの天井画も美しく、音楽が空から降ってくるようです。

ずっとここで座って聞いていたいくらいですが、次の目的地ホーフブルク(王宮)のブルクカペレ(王宮礼拝堂)へと進みます。移動中に思わず、王宮内の通路で女性コーラス隊の素晴らしい歌声を聞くことができ、クーポラの音響のすばらしさにため息が出ます。

ペーター教会 Peterskirche

  • 所在地:Peterspl., 1010 Wien
  • 開館時間:8:00~19:00
  • 休館日:無し
  • 公式サイト:ペーター教会

王宮礼拝堂(ブルクカペレ)Burgkapelle

ブルクカペレ礼拝堂で聖職者たちによるラテン語の祈りに参加する人々
<ブルクカペレでの聖職者たちによるラテン語の祈り>

ブルクカペレでは早い時間帯はウィーン少年合唱団やOBのコンサートもやっていますが、遅い時間になると人も減り、気軽に入れるようになります。

私が行ったときには、厳かなラテン語の夜の祈りの調べを聞くことができました。着席して、ラテン語の文章を目で追う参加者もいて、皆思い思いに教会で過ごす時間を大事にしています。

王宮礼拝堂(ブルクカペレ)Burgkapelle

  • 所在地:Hofburg - Schweizerhof, 1010 Wien
  • 開館時間:10:00~14:00、金曜は11:00~13:00
  • 休館日:水・木・土・日曜
  • 公式サイト:王宮礼拝堂

アウグスティーナ教会

ホーフブルクの裏口からヨーゼフ広場に出ると、ハプスブルク家の結婚式が行われたアウグスティーナ教会に出ます。ここは普段は薄暗く厳かな雰囲気ですが、なにやら入り口付近がにぎやかです。

アウグスティーナ教会の礼拝堂でゴスペルコンサート演奏会
<アウグスティーナ教会でのゴスペルコンサート>

中に入ってみると、大盛り上がりのゴスペルコンサートの真っ最中。さっきまで静けさの中でラテン語の祈りを聞いていたのに、ここは大規模なコーラスに、男女の迫力あるソロ。観客もスタンディングに手拍子のノリノリのライブのような雰囲気で、聖職者の皆さんも楽しげな様子でした。

ひとしきり音楽を楽しむと、レクチャーやパーティーをしているプロテスタントの教会を横目に、シュテファン大聖堂に向かいます。

アウグスティーナ教会

シュテファン大聖堂で迎える夜のフィナーレ

ウィーン最大にして最重要な教会シュテファン大聖堂。ここでは通常、22~23時の間に、その年にちなんだ有名音楽家の壮大なミサ曲が演奏されます。数年前には、無料でふらっと聞くにはもったいないほどの素晴らしいブルックナーのミサ曲を聴いたこともあります。

シュテファン大聖堂の開かれた扉の聖堂で合唱団、演奏を聴く人々
<シュテファン大聖堂の「開かれた扉」。主祭壇の右手では、合唱団とオルガニストが演奏している>

23時過ぎに到着すると、パイプオルガンと前衛的なコーラスのコンサートを行っていました。普段は閉まっている鉄柵や有料エリアも開放され、自由に祭壇前まで進むことができるのも、このイベントの日だけ。まさに「開かれた教会」を体現しています。

この時間はもう比較的空いているので、ベンチに座ってゆっくりと音楽を楽しむこともできますし、祭壇近くからコーラス隊やオルガニストを見ることもできます。そもそもこの時間にシュテファン大聖堂に入ることができること自体が珍しいので、夜の大聖堂を堪能するチャンスです。

23時半ごろまでここでゆっくりと音楽を聴いてから、地下鉄に乗って帰宅しました。途中で見かけた聖アンナ教会では、静けさの中で参加者がひたすら祈る「沈黙の礼拝」を行っていて、「教会の長い夜」の奥の深さを感じました。

シュテファン大聖堂 Stephansdom

  • 所在地:Stephansplatz 3, 1010 Wien
  • 開館時間:6:00~22:00(日祝 7:00~)、見学 9:00~11:30、13:00~16:30(日祝 13:00~16:30)
  • 休館日:無し
  • 公式サイト:シュテファン大聖堂

まとめ:ウィーンの教会文化を満喫

「教会の長い夜」のイベント、いかがだったでしょうか。ウィーンの街が様変わりし、町全体がお祭り会場のようになる雰囲気は格別です。お祭りといっても、どこか厳かで聖職者に質問をしたり、多様な教会音楽を楽しんだり、普段とは少し違う体験ができます。

もしこの時期にウィーンにいらっしゃったら、ぜひ気軽に参加して、ウィーンの教会文化の深さを堪能してみてください。

教会の長い夜開催予定日:2027年6月4日、2028年6月9日、2029年6月8日

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。ふらっと街歩きしては、隠れた歴史や文化を発掘するのが楽しい毎日です。15年以上住んでもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事、現地調査、輸出入業などを通じてお届けしています。3児のバイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。「御影実」のペンネームでも執筆しています。

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