

モーツァルトの生まれ故郷、ザルツブルク。音楽と歴史的な街並みが融合した『世界遺産の町』です。
ザルツブルクを訪れたら、コンサートに行ってみたい、モーツァルトが演奏した教会や宮殿で音楽を聴いてみたいと思っても、予約してまで聴くのは少し敷居が高く感じられるかもしれません。
今回は、気軽に当日券でも立派な教会建築で荘厳な響きを堪能できる、ザルツブルク大聖堂でのパイプオルガンコンサートをご紹介します。
目次
「塩の城」ザルツブルクと大司教の歴史
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<7つのパイプオルガンを擁するザルツブルク大聖堂>
近隣で採掘される岩塩の交易で栄え、「塩の城」と呼ばれたザルツブルクは、オーストリアの他の地域とは異なる固有の歴史があります。
今でこそザルツブルクはオーストリアの一部ですが、1815年まではカトリックの高位聖職者である大司教が統治する、1つの「国」でした。大司教は宗教的な指導者というだけでなく、侯爵の地位を持ち、王のように政治的にザルツブルクと周辺地域を統治する権限を持っていました。
そんな「王」にも匹敵する大司教のおひざ元のザルツブルク大聖堂は、その富と権威を見せつける荘厳なバロック様式の建築となっています。
ザルツブルク大聖堂
774年に完成したザルツブルク大聖堂は、完成以来何度も火災に見舞われ、今の姿となったのは1628年のことです。アルプス以北で作られた初のバロック初期の様式の教会で、天井を見上げると、特徴的な立体的な白いクーポラとだまし絵が、荘厳な雰囲気を作り上げます。
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<ザルツブルク大聖堂の天井画>
大聖堂に入ってすぐ左には、重厚感のある丸い石の洗礼盤が置いてありますが、これは、ザルツブルクで生まれたモーツァルトの洗礼に使われたものです。
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<モーツァルトの洗礼盤>
大人になったモーツァルトは宮廷音楽家としてこの大聖堂のパイプオルガンを演奏していましたし、その後継者は著名な音楽家ヨーゼフ・ハイドンの弟のミヒャエル・ハイドンが務めました。大司教を中心に、教会音楽が非常に栄えた町だったことがよくわかりますね。
正午のパイプオルガンコンサート
このザルツブルク大聖堂では、毎日正午から30分間のパイプオルガンコンサートが開催されています(日曜祝日を除く)。通常の入場料(教会維持費)が5ユーロのところ、コンサートは入場料込みで9ユーロですので、音楽を堪能できるうえに、ゆっくり教会内部の見学もできてしまいます。ネットでの事前予約も可能ですが、その場で当日券を購入できるのが便利です。
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<主祭壇の両側にあるパイプオルガン>
ザルツブルク大聖堂には7基のパイプオルガンがあり、パイプの数は合計8,000本近くあるそうです。楽廊にある大オルガンはヨーロッパ最大規模で、そのパイプの数は4,000本以上。どのように演奏するか考えたら、気が遠くなりそうですね。
正午のオルガンコンサートでは、それぞれのオルガンが紹介され、順に演奏を聴くことができます。私が行った日は、バッハやヘンデルの教会音楽が合計5曲演奏され、それぞれのオルガンの音色を聴き比べることができました。
演奏の合間には、英語とドイツ語で、演奏される音楽の解説だけでなく、パイプオルガンの種類やザルツブルクの音楽家のエピソードなどの説明があり、大聖堂の歴史や音楽について知ることもできます。
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<大聖堂後方の楽廊にある大オルガン>
大聖堂で聴くパイプオルガンの演奏は、広い空間の中で反響が響きあい、幾重にも空気を震わせる、唯一無二の音楽体験です。音楽が体を取り囲み、さらなる音楽が頭上のクーポラから降り注ぐようで、全身が音楽に包まれているような感覚を覚えました。
モーツァルトは手紙で「オルガンは私の情熱だ。オルガンは私の目であり耳だ。全ての楽器の王だ」と書き残していますが、この圧倒的な音楽を体で感じて、この表現にとてもしっくりきました。
演奏のフィナーレは、バッハの「トッカータとフーガ」。今まで6つのオルガンの音色を聴き比べてきた後で、最後に後方の巨大なオルガンで演奏されるこの曲は、あまりの迫力で、大聖堂の空気がびりびりと震え、周りから押し寄せる空気の振動を肌で感じました。
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<楽廊から大聖堂を見下ろして>
この大聖堂では、この正午のコンサート以外にも、夕方に本格的なパイプオルガンコンサートが数多く開催されています。全てのオルガンが同時に演奏されるコンサートや、コーラスやミサ曲など、パイプオルガン好きにはたまらないプログラムとなっています。
1つずつのパイプオルガンの音色がそれぞれ個性的で、大オルガンだけでもその迫力に驚かされましたが、このオルガン全てが一気に演奏されると、どれほどの迫力なのか、想像するだけで楽しみです。
ザルツブルク大聖堂の巨大パイプオルガンに大接近
ザルツブルク大聖堂をもっと近くから楽しみたい人は、お隣にある大司教の住居「レジデンツ」を見学してみてください。順路を辿っていくと、途中からレジデンツと大聖堂をつなぐテラスを横切り、大聖堂の二階部分を見学することができます。
この高さから間近に見る、大聖堂の天井画や彫刻は圧巻です。楽廊には、コーラス席や大オルガンの演奏台があり、他の教会ではここまでパイプオルガンに近づくことができる場所はあまりないので、貴重な体験ができます。また、ここから見下ろす大聖堂の眺めは素晴らしく、一見の価値があります。
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<大オルガンの演奏台>
まとめ
ザルツブルクの大聖堂とパイプオルガンのコンサート、いかがだったでしょうか。せっかくモーツァルトゆかりの地ザルツブルクに来たのだから、観光の合間に気軽にコンサートを楽しんでみたい方には、とてもおすすめのコンサートです。
当日券で軽い気持ちで入っても、オルガンの大迫力の音色に圧倒され、教会音楽の荘厳さを肌で感じることができると思います。ぜひ、ザルツブルクの街並みだけでなく、その音楽の世界ものぞいてみてくださいね。
ザルツブルク大聖堂
- 住所:Domplatz 1a, 5020 Salzburg
- 営業時間:9:00~17:00(日祝日は13:00~、3~7月と9~10月、12月は~18:00、8月は~19:00。ただし、11:40~12:30はオルガンコンサートの観客のみ入場可)
- パイプオルガンコンサート:日曜・祝日を除く12:00~12:30
- 定休日:なし
- 公式サイト:ザルツブルク大聖堂
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ひょろ
- オーストリア、ウィーン在住。ふらっと街歩きしては、隠れた歴史や文化を発掘するのが楽しい毎日です。15年以上住んでもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事、現地調査、輸出入業などを通じてお届けしています。3児のバイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。「御影実」のペンネームでも執筆しています。































