宝石箱のような国立図書館とそのミュージアム|フランス

<TOP画像:国立図書館ミュージアム ©Kanmuri Yuki>

フランスの首都パリには、ルーヴルをはじめ世界的に有名な美術館や博物館があり、一生に一度は訪れたいと世界中から観光客が集まってきます。

けれどもパリの文化的魅力は、そうしたメジャーな美術館やモニュメントだけに留まりません。今回、私が最近発見した宝石箱のようなスポットをご紹介します。

目次

フランス国立図書館

パリ初のミュージアム

必見の図書ルーム!

国立図書館ミュージアムは2階!

ガラスの回廊の先にある「ロトンド」

息をのむ美しさ「ギャラリー・マザラン」

「ギャラリー・マザラン」に並ぶ珠玉のコレクション

まとめ:国立図書館ミュージアムの基本情報

フランス国立図書館

その名は、ずばり国立図書館です。フランス国立図書館に所属する主要施設は2か所あります。

フランソワ・ミッテラン国立図書館の外観
<フランソワ・ミッテラン国立図書館 ©Kanmuri Yuki>

ひとつはパリ中心部の2区にあるリシュリュー館(旧館)、もうひとつは1980~90年代にミッテラン大統領が進めたパリ改造計画の中で誕生したフランソワ・ミッテラン館(新館)です。

中庭から見たフランス美術館 リシュリュー館の外観
<中庭から見たリシュリュー館 ©Kanmuri Yuki>

1994年に竣工した新館は規模も大きく目立つため、「国立図書館」と聞くと新館を思い浮かべる人が多いほどですが、今回取り上げるのは、旧館であるリシュリュー館です。

パリ初のミュージアム

リシュリュー館は、ルーヴル美術館の北にあるパレ・ロワイヤルのさらに北に位置します。ここはもともと17世紀にマザラン枢機卿の館があった場所です。

1720年以降、ルーヴル宮から王宮図書室の書籍や版画、地図などが運ばれ、1741年には知識人向けにコレクションが公開されました。いわばパリで最初の「ミュージアム」です。その後、フランス革命時には教会や僧院から徴収された宝物類も加わりました。

リシュリュー館と中庭
<リシュリュー館中庭 ©Kanmuri Yuki>

現在のリシュリュー館は、12年のリニューアルを経て2022年に再オープンしたものです。入り口はリシュリュー通り側とヴィヴィアンヌ通り側の2か所。ヴィヴィアンヌ通り側は庭園に面しています。

1階には庭園、図書ルーム、喫茶店などがあり、二階がミュージアムスペースとして使われています。1階のみの利用なら入館は無料です。

必見の図書ルーム!

リシュリュー館にはミュージアム以外にも必ず見てほしい場所があります。それが1階にある2つの図書ルームです。

1. 天井には9つのクーポール「サル・ラブルースト」

フランス、ミュージアムの図書ルームの広い天井
<アンリ・ラブルーストの傑作「サル・ラブルースト」©Kanmuri Yuki>

ひとつは研究者専用の図書室「サル・ラブルースト」。19世紀後半に建てられたアンリ・ラブルーストの代表作で、1983年に歴史的建造物に指定されています。

残念ながら、研究者以外は入室できませんが、入り口のカードチェックポイントまでは誰でも出入りでき、写真撮影も可能です。おしゃべりは禁止、長居は無用。利用者のために静かに鑑賞しましょう。

2. 毎日通いたくなる!「サル・オヴァル」

図書ルーム、閲覧室サル・オヴァルの閲覧する人たち広いガラス窓
<誰でも入れる「サル・オヴァル」 ©Kanmuri Yuki>

もうひとつの閲覧室が「サル・オヴァル」。長径43.7m×短径32.8mの楕円形で、天井中央には楕円形のガラス窓、その周囲を16の丸窓が囲みます。1897~1932年に建設され、2022年のリニューアル以降は誰でも利用できる閲覧室となりました。

「サル・オヴァル」には2万部の書籍、雑誌、漫画などが並び、自由に閲覧できます。こんな美しい図書室が近所にあれば毎日通いたくなるほどです。もちろん図書ルームの利用は無料です。

国立図書館ミュージアムは2階!

横からみた金属製のらせん階段
<らせん階段 ©Kanmuri Yuki>

ミュージアムへは「サル・オヴァル」前の受付でチケットを購入し、金属製のらせん階段を上って向かいます。

階段上には三方向に展示室が並び、見学の順路は自由です。私はまず地中海沿岸の古代文明を紹介する「サル・デ・コロンヌ」から見学しました。

「サル・デ・コロンヌ」は、そのまま他の4つの展示室へと繋がっています。

繊細な細工が牛と女性の描かれた美しいカメオ
<繊細な細工が美しいカメオ ©Kanmuri Yuki>

「サル・デ・コロンヌ」の次にあるのは古いメダルやコイン、宝石などが並ぶ「キャビネ・プレシユー」。ひとつひとつの細工は息をのむ美しさです。

古代ギリシア陶器に人物が描かれている
<「サル・ド・リュイヌ」の展示物 ©Kanmuri Yuki>

「サル・ド・リュイヌ」には19世紀のメセナであった「リュイヌ公爵寄贈」のコレクションが展示され、古代ギリシアの彫刻や陶器が目を引きます。

サル・バルテレミのコインコレクション貯蔵所
<「サル・バルテレミ」©Kanmuri Yuki>

4つ目の「サル・バルテレミ」は、20世紀初めに60万点のメダルやコインの保管・研究のために作られた部屋。マホガニー材をふんだんに使った内装で、華やかさはありませんが非常に落ち着く空間です。

バルテレミの名称は、フランス革命期に命を賭して王家のコレクションを守った考古学者ジャン=ジャック・バルテレミに由来します。

ルイ15世のサロンの書斎、絵画や家具が並ぶ
<「ルイ15世のサロン」©Kanmuri Yuki>

5つ目の「ルイ15世のサロン」は、王の書斎を20世紀に復元したもので、主に18世紀の絵画や家具が置かれています。

ガラスの回廊の先にある「ロトンド」

大きく広いガラスの回廊
<ガラスの回廊 ©Kanmuri Yuki>

らせん階段から見て「サル・デ・コロンヌ」と反対側にあるのが「ロトンド」と呼ばれる部屋です。アンリ・ラブルーストが1870~1875年に手がけた内装がそのまま修復されています。

木を基調としたロトンドの展示 内観
<「ロトンド」の展示 ©Kanmuri Yuki>

「ロトンド」は1998年まではグーテンベルグ聖書など稀少で貴重書の保存場所でしたが、現在は特別展などの展示室としても使われています。

息をのむ美しさ「ギャラリー・マザラン」

バロック式のギャラリー・マザランが天井に美しく描かれている
<バロック式のギャラリー・マザラン ©Kanmuri Yuki>

らせん階段を上った場所から、「サル・デ・コロンヌ」を左手に、「ロトンド」を右手に見ながら真正面に進むと、「ギャラリー・マザラン」があります。幅8.2m、長さ45.55m、高さ9.2mの広い回廊は、それ自体がすでにひとつの芸術品と言える空間です。

もとはマザラン枢機卿の依頼を受け、フランソワ・マンサールが1644~1646年にかけて建設したもので、現在もフランスに残る貴重なバロック式回廊のひとつとして歴史的建造物に指定されています。

280平方メートルにおよぶヴォールト天井には、ローマ出身の画家ロマネッリによるフレスコ画が描かれています。マザランの死後、18世紀から19世紀にかけて荒廃した時期もありましたが、19世紀以降に複数回行われた大規模な修繕工事によって、現在のような輝きを取り戻しました。

「ギャラリー・マザラン」に並ぶ珠玉のコレクション

ギャラリーのエントランスには、サン・ドニ大聖堂の宝物庫から選りすぐられた品々が並び、館内全体には中世から現代にいたる興味深いコレクションが展示されています。

宝飾品やカメオ、象牙細工、絵画など、目を楽しませるものだけでなく、歴史的な意味や興味深い由来をもつ品々も多く、私もひとつひとつ宝物を発見するような気分で見学しました。

モーツァルト手書きの楽譜
<モーツァルト手書きのドン・ジョヴァンニ譜 ©Kanmuri Yuki>

モーツァルト手書きの「ドン・ジョヴァンニ」の譜、ベートーヴェンの所持品だったピストルと交響曲第九番の草稿、ピカソの絵、エディット・ピアフの黒いワンピースなども展示されています。

1785年の太平洋海図
<1785年の太平洋海図の一部 ©Kanmuri Yuki>

個人的にしげしげと見入ったのは、1785年に王命を受けてジャン=ニコラ・ビュアッシュがまとめた太平洋の地図です。興味深いことに、日本は『Nipon』と『Japon』の両方で表記され、京都は『Meaco(都)』、東京は『Iedo(江戸)』と書かれていました。

航路図だけあって、私も聞いたことのないような小さな島々の名前まで細かく記されており、とても興味深いものでした。

まとめ:国立図書館ミュージアムの基本情報

見学するだけでとても豊かな気持ちになれる、素敵な国立図書館リシュリュー館。次のパリ旅行では、ぜひ立ち寄ってみてください。メジャーな美術館と比べると人も少なく、ゆったりと見学できるはずです。

(冠ゆき)

フランス国立図書館(リシュリュー館)

  • 所在地:5 Rue Vivienne, 75002 Paris, フランス
  • 電話:+33153794949
  • 図書館 開館時間:火曜 9:00~20:00、水~金曜 ~19:30、土曜 ~18:30、日祝 10:00~18:00、月曜 14:00~19:30、
  • ミュージアム 開館時間:10:00~18:00、火曜 ~20:00
  • 閉館日:公式サイトを要確認
  • 利用料:図書館入館 無料、ミュージアムは常設展10ユーロ、特別展込み13ユーロ(26歳未満、35歳未満の学生無料)
  • 公式サイト:フランス国立図書館(リシュリュー館)

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冠ゆき

山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。

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