フランドルの山たち|フランス

<TOP画像:フランドルの夕陽 ©Kanmuri Yuki〉>

フランス北部からベルギー西部とオランダ南部にかけて広がるフランドル地方は、日本では英語読みのフランダースの名で知られています。

フランドル地方は基本的に平坦な土地で、ぽつぽつとある集落と集落をつなぐのは、広い草原や畑。村や町には教会らしき建物や鐘楼が建ち、そのほか、たまに風車が見られる以外はこれといって高い建物も目にしません。

ところが、そんなフランドルにも、「山」と呼ばれる連なりが存在します。

目次

フランドルの「山々」

場所をざっくり言えば、フランドル西部のフランスはワッテンからベルギーのケメルにかけての一帯です。

思い返せば、私が初めて「フランドルの山」の存在を知ったのはフランス北部で暮らし始めて1年ほど経った時でした。当時の大家さん夫妻に誘われて、週末のドライブに「モン・デ・カ」へ連れて行ってもらったのです。

ちなみに「モン」はフランス語で山を意味する「モンターニュ」から来ています。日本でもよく知られる「モン・ブラン」もブラン山の「モン(山)」ですね。なので、フランス人は富士山のことを「モン・フジ」と呼びます。

モン・デ・カは、リルからは40km弱、車で30分ちょっとの距離です。リル市内は東西南北どちらを見ても、山など見えないまっ平らな環境なので、山へ行けると聞いてわくわくしたのを覚えています。

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<モン・デ・カ遠景 ©Kanmuri Yuki>

そのため、上の景色を指さして、「あそこがモン・デ・カよ!」と言われた時は、「え、どこ?」と目が泳いでしまいました。大家さんご夫婦が「山といっても、アルプスじゃないからね!」と笑っていらしたのも納得です。

僧院が建つモン・デ・カ(164m)

モン・デ・カの標高は164m。見た通り、「山」と呼ぶにはあまりにささやかな隆起ですが、これでもフランドルの「山」の中では二番目に高い場所なのです。

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<フランドルの田園地帯 ©Kanmuri Yuki>

モン・デ・カの周辺はのんびりとした田園地帯で、天候が良ければ、散策にぴったりの場所。また、モン・デ・カには、200年前から続く僧院があります。

僧院の見学はできませんが、売店では、僧侶たちが生産しているチーズやビール、また近隣の特産物などを販売しています。

モン・デ・カ 僧院(Abbaye Sainte Marie du Mont des Cats)

  • 所在地:2470 Route du Mont des Cats, 59270 Godewaersvelde, France
  • 電話:+33 (0)3 28 43 83 60
  • 開院時間:【夏期】月~土曜 10:00~12:00、14:15~18:00、日曜 14:30~18:30【冬期】月~土曜10:00~12:00、14:15~17:00、日曜 14:30~17:30
  • 公式サイト:Abbaye Sainte Marie du Mont des Cats 

なお、フランス人は「カ」と「キャ」の音の区別をしないので、モン・デ・カは、モン・デ・キャとも発音されますが、同じ場所のことです。

最も標高の高いカッセル山(176m)

フランドル 山 フランス 観光  カッセル<カッセルからの眺め ©Kanmuri Yuki>

フランドルの山の中で最高峰は、モン・デ・カよりも西に位置するカッセル。

標高は176mです。カッセルはフランドル地方が一望できる場所として、古くからさまざまな民族に占領されてきました。

交通網の要でもあったようで、古代ローマ街道の跡も多く残っています。

現代のカッセルは人口約2,200人という小さな町ですが、古く美しい建築物が取り囲むグランプラスや教会に風車、16世紀の邸宅を利用したフランドル美術館など観光スポットも複数備えています。

2018年には、『フランス人の好む村』を取り上げるテレビ番組で見事優勝しています。

カッセルの町

フランドル フランス 観光 美術館  
<カッセルのフランドル美術館 ©Kanmuri Yuki>

フランドル美術館

  • 所在地:26 Grand'Place, 59670, Cassel, France
  • 電話:+33(0)3 59 73 45 59
  • 開館時間:10:00~12:30、14:00~18:00、土・日曜 10:00~18:00
  • 休館日:月曜、1月1日、5月1日、12月25日
  • 入館料:大人 8ユーロ、18歳未満 無料、第一日曜 無料
  • 公式サイト:フランドル美術館

文学者ユルスナールを育んだモン・ノワール(152m)

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<マルグリット・ユルスナール自然公園の地図 ©Kanmuri Yuki>

モン・デ・カの東側、ベルギーとの国境にまたがってあるのがモン・ノワールです。モン・ノワールには、広大な自然保護地区があり、著名な文学者、故マルグリット・ユルスナールが幼少期を過ごした邸宅を囲む40ヘクタールは、ユルスナールの名を冠した自然公園に指定されています。

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<自然公園内の標識 ©Kanmuri Yuki>

ユルスナールの旧邸宅は見学できませんが、広大で緑豊かな庭は自由に出入りでき、入場料などもありません。遊歩道も整備されていて、休みの日にはピクニックがてら半日過ごすのにぴったりな場所です。

旧マルグリット・ユルスナール邸宅

※邸宅は見学不可、周りの自然公園は出入り自由

モン・ノワール

ベルギー側の最高峰モン・ケメル(156m)

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<モン・ケメル遠景 ©Kanmuri Yuki>

モン・ノワールの更に東、国境を越えたベルギー側にはベルギーで一番高いフランドルの「山」モン・ケメルがあります。モンケメルの標高は152m。小高い丘はやはり古くから交易や攻防における要所と見られてきました。

ハイキングコースが整備された緑豊かな今の姿からは想像がつきませんが、第一次世界大戦中にはドイツ軍が毒ガス弾を用いてこの地を占領。

英仏軍はこれを4ヶ月半近くかけて1918年9月に奪還しましたが、その時はすっかり木々が消え失せた禿山状態になっていました。

不発弾と地雷が残る危険な地帯であったため、数ヶ月かけて除去したのちやっと植樹を開始できたそうです。

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<モン・ケメル近くにあるニュージーランド兵士の墓 ©Kanmuri Yuki>

後にモン・ケメルに建てられた納骨堂には5,000人以上の身元不明の兵士が埋葬されています。この地方には、他にもフランスをはじめ英国やニュージーランドの兵士の墓が複数あります。

デ・ワランデ城
<デ・ワランデ城 ©Kanmuri Yuki>

なお、モン・ケメルからいちばん近い街フーフランドには1925年に建てられたデ・ワランデ城があります。建物内部の見学はできませんが、城館を取り巻く広い庭園は出入り自由です。

デ・ワランデ城

  • 所在地:Bergstraat 24, 8956 Heuvelland, Belgium

※城は通常見学不可、庭園は出入り自由

モン・ケメル

しっかり目を凝らさないと気付かず通り過ぎてしまうような「山」たちですが、気候の良い時期に、もしフランドルをドライブする機会があれば、ぜひハイキングに立ち寄ってみてください。

(冠ゆき)

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冠ゆき

山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。

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