【秋田県大仙市】人の温もりにふれる田舎旅|地域とつながる小さな出会い

秋田県大仙市

にぎやかな観光地ではないけれど、ふと立ち寄った先であたたかな出会いが待っている。秋田県大仙市には、そんな「ただいま」と言いたくなるような場所が広がっています。

田舎ならではの小さな温もりにふれるひととき。旅の途中で立ち寄ったなら、きっと心がふっとほどける瞬間に出会えるはず。そんな大仙の魅力を、小さな旅の目線でお届けします。

目次

秋田県大仙市ってどんなところ?

初夏の奥羽山脈と田園風景
<初夏の奥羽山脈と田園風景>

秋田県大仙市は、四季折々の自然が息づく静かな街です。雄大な山々に囲まれ、田園風景が広がるこの土地は、都会の喧騒から離れて心が落ちつく場所。

観光地としての華やかさはありませんが、どこか温かみのある風景や人々の素朴な笑顔が、訪れる人の心をほっこりと包み込みます。

大仙市の人口は約7万人。東京からは、秋田新幹線こまちで約3時間とアクセスも良好。大曲駅前にはビジネスホテルが多く、温泉宿や移住者が営むゲストハウスも増えており、宿泊の選択肢が豊富で安心です。

また、大仙市は「大曲の花火」をはじめとする花火大会が一年を通して行われる地域でもあります。特に8月の花火大会は全国的に有名で、約1万8千発以上の花火が打ち上げられる壮大なイベントです。

毎年、約75万人以上の来場者が集まり、夜空に色とりどりの光が広がる様子は、訪れる人々の心に深く残ります。

生活の中にしっかりと根付いた文化や伝統に触れられるのが、この町の大きな魅力。まるで、地元の人々の暮らしがそのまま時間を超えて受け継がれているような、そんな懐かしさを感じることができます。

大曲駅 Ōmagari Station

ふと出会った、商店のおばあちゃん

会話が弾む南外さいかい市
<会話が弾む南外さいかい市>

大仙市南外(なんがい)地域にある「南外さいかい市」

ここは2019年にスタートした地域密着型のミニスーパーで、移動販売車も展開しています。

このスーパーの名前には、地域の人々が「再会」できる場所であってほしいという願いが込められているそうです。地元の新鮮な野菜や手づくりのクッキー、生活雑貨などが並ぶ店内には、日々多くの地元の方々が集まります。

店頭には地域で大切に育てた野菜が並ぶ
<店頭には地域で大切に育てた野菜が並ぶ>

私が訪れた際にも、店内では数人の高齢のスタッフが楽しそうに話しながら働いていました。おばあちゃんが一生懸命に野菜を並べている姿に引き寄せられ、自然と会話が生まれました。

「ここの野菜、ほんとに美味しいんだよ」と嬉しそうに話す、その笑顔が印象的で、私もつい手に取ってみたくなりました。

クッキーや大福などは手づくりして販売
<クッキーや大福などは手づくりして販売>

「これ、昨日みんなで作ったクッキーだよ」と、誇らしげに話すそのおばあちゃん。実はこのお店のスタッフはほとんどが地域の60代以上のお父さん・お母さんで、多くはボランティアのように働いているそう。

お給料は、4時間で500円。時給に換算すると125円と少ないですが、それでもみんながこの場所に集まりたくなる理由は、どこか温かい空気と、誰かと話したり、笑ったりすることで感じられる「生きがい」にあるのだろうと思います。

おたがいさまスーパーとして地域に根付いている
<おたがいさまスーパーとして地域に根付いている>

「家に一人でいるよりも、みんなで集まると楽しいから」と語るおばあちゃん。お店のスタッフにとって、ここは単なる仕事の場ではなく、心の交流の場でもあります。

地域の人々の心のつながりが感じられるこの場所に立ち寄ると、何だか心が温かくなる瞬間が必ず訪れるのです。

南外さいかい市

  • 住所:秋田県大仙市南外松木田44−2
  • 電話:080-5189-8293
  • 営業時間:10:00〜18:00
  • 定休日:火曜
  • Facebook:南外さいかい市

散歩中に出会った、田植えをしているお父さん

田植え中のお父さん
<田植え中のお父さん>

春のやわらかな風に誘われ、カゴを手にのんびりと散歩に出かけた昼下がり。道端には、こごみやタラの芽が顔を出し、土の匂いと一緒に、春の息吹がふんわりと漂っています。

しゃがみこんで夢中で山菜を摘んでいると、すぐそばの田んぼから、小さなエンジン音が聞こえてきました。顔を上げると、田植え機に乗ったお父さんが、にこやかに手を振っています。「山菜、とれたか?」と声をかけられ、こちらも自然と笑顔に。

田んぼでは、お父さんがひとりで田植えをしていました。かつては家族みんなで並び、手植えをしていた時代もあったそうです。

「昔は田植えの日って、にぎやかだったんだよ」と、泥のついた手で田植え機を止め、少し遠くを見るように語ってくれました。

今ではどの家も、機械に頼りながら一人でこなすのが当たり前になったと言います。「ちょっとさみしいけどな」と笑うお父さん。

根曲がり竹
<根曲がり竹>

「川沿いに行ってみな。いい山菜が採れるよ」と、お父さんが教えてくれた道を、言葉に背中を押されるように歩いてみることに。田んぼから流れ出た水が、小さな川となってさらさらと音を立てています。

足元には、ふき、ウド、こごみ、タラの芽、根曲がり竹・・目を凝らせば、春の恵みがあちこちに顔を出していて、胸が弾みます。

カゴはあっという間に山菜でいっぱいに。遠くに見える田んぼには、まだ小さな苗がまっすぐ並び、静かに季節の営みを続けていました。

田植えの後の風景
<田植えの後の風景>

都会ではお米が足りないなんて話も聞くけれど、ここには変わらずに手をかけて田んぼに向き合う人たちがいる。お父さんがぽつりと「今年もいい米ができるといいな」とつぶやいた声が印象的です。

小さな出会いが教えてくれた大仙の魅力

鑓見内駅(やりみない)
<鑓見内駅(やりみない)>

大仙市での何気ない出会いは、観光ガイドブックには載っていない、この土地の本当の魅力を教えてくれました。

商店街のおばあちゃんの笑顔も、田んぼのお父さんのかっこいい背中も、この地域に息づく「人とのつながり」そのものが宝物なのだと感じます。訪れる人は、それぞれの出会いを通して、この土地の奥深さを感じることでしょう。

旅の終わりに駅へ向かう道すがら、田んぼの畦道を歩く地元のおじいさんと目が合えば、「また来なさいよ」と気軽に声をかけられるかもしれません。

初めて訪れた場所なのに、何だか懐かしさを感じる不思議な感覚。それは、ここに生きる人々が持つ素朴な温かさに触れたからこそでしょう。

賑やかな観光地ではなくても、静かに息づく暮らしの中に確かな魅力がある。再び訪れたとき、「ただいま」と言いたくなるような場所が、この大仙市にはあります。

地元の人々の日常が、旅人の心に小さな灯をともす。そんな穏やかな出会いを求めて、ぜひ大仙市を訪れてみてください。

鑓見内駅 Yariminai Station

まとめ

旅は、時に目的地だけでなく、その途中で出会う人々や風景が心に残るものです。大仙市での小さな旅は、観光名所というよりも、人々の暮らしの中に溶け込んだ温かさに触れる体験になるでしょう。それぞれの出会いが、この土地ならではの豊かさを伝えてくれます。

新緑が美しい真木渓谷
<新緑が美しい真木渓谷>

旅の終わりに「また来てね」と背中を押される言葉が、きっと耳に残ることでしょう。地元の人々の何気ない日常が、旅人にとっては特別な時間となり、心に深く刻まれます。

大仙市は、再び訪れたくなる、そして「ただいま」と言いたくなるような、そんな懐かしさを感じさせてくれる場所です。日々の喧騒から少し離れて、小さな温もりを求める旅に、ぜひ出かけてみてください。

真木渓谷(真木真昼県立自然公園)

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秋田県在住のフリーライター。田舎のくらしや人とのつながり、土地のごはんや文化を、やわらかな視点で切り取った記事を執筆しています。“人に会いに行きたくなる”、そんな旅のきっかけを届けられたらうれしいです。

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