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【北海道】レンガ造りの建物に鉄道の歴史がギッシリ詰まる「北海道鉄道技術館」
北海道鉄道技術館は、北海道の鉄道技術の歴史と文化を後世に伝えると共に、地域に密着した鉄道工場の役割を一般に公開する目的で1987年に開設されました。
毎月第2・第4土曜日の13:30~16:00のみの開館で入館無料。鉄道ファンや家族連れがたくさん訪れています。
目次
- たくさんの鉄道車両が生まれ、役割を終えた苗穂工場
- 100年以上前の建物に貴重な資料が展示される
- マニア心をくすぐるレアな展示がいっぱい
- 4つのエリアに分かれる2階は頭上注意
- 世界初の本格運行になり損ねたDMV
- ここは鉄道パラダイス
たくさんの鉄道車両が生まれ、役割を終えた苗穂工場
北海道鉄道技術館は、JR苗穂駅から徒歩約15分の苗穂工場内にあります。予約の必要はなく、正門警備室で受付を行ってから工場内に入ります。苗穂工場は1909年に、鉄道院北海道管理局札幌工場として設立されました。国鉄時代から各種車両の製造、改造、整備、廃車解体を行っており、多くの車両がここで生まれ、生涯を終えました。
敷地内にD51型蒸気機関車が展示されていました。この車両は1938(昭和13)年に苗穂工場で製造され、1974(昭和49)年に引退しました。D51は発展著しい苗穂の街をどのような気持ちで見つめているのでしょうか。
C62型蒸気機関車は、日立製作所笠戸工場(山口県下松市)で製造され、東海道本線・山陽本線を中心に使用されたのちに、北海道にやってきました。道内各地で活躍したのちに現役を引退し、生態保存(動かない状態で保存)されていました。その後、動態復元されて1988〜1995年まで臨時快速「C62ニセコ号」として小樽〜倶知安間を運行したこともありました。
100年以上前の建物に貴重な資料が展示される
北海道鉄道技術館は、1910年に建設された苗穂工場の用品倉庫が転用され、1階と2階に貴重な鉄道資料が展示されています。エントランスに入ると、1985年に苗穂工場が改造制作したリゾート列車第1弾の「アルファコンチネンタルエクスプレス(通称アルコン)」、北海道初の特急気動車「おおぞら」に使用されたキハ82の運転台が迎えてくれました。
「おおぞら」は、札幌〜釧路を結んでおり、これまでも車両を変更しながら運行されています。現在はおもにキハ261系1000代という車両が使用されており、紫色のラインが入った車体のデザインは、「伸びやかなイメージ」「雄大な大地」を表現しています。
キハ82側には、「ジョイフルトレイン」と呼ばれたリゾート列車に関する資料が展示されています。アルファコンチネンタルエクスプレスから始まり、トマムサホロエクスプレス、クリスタルエクスプレス、フラノエクスプレス、ノースレインボーエクスプレスなど、多数の車両が苗穂工場で改造制作されました。
HOゲージやNゲージのジオラマが4つもあります。鉄道模型の視点でモニタリングできる運転室もあり、その迫力に子どもはもちろん、大人も大喜びです。
マニア心をくすぐるレアな展示がいっぱい
アルコン側には、苗穂工場の有志が制作し、イベントなどで人を乗せて走ったミニSLや、さまざまなヘッドマークを展示しています。かつての青函トンネルには、ドラえもんをキャラクターにした「快速・海峡号」や、札幌と上野を結ぶ寝台特急・北斗星、札幌と大阪を結ぶトワイライトエクスプレスなど、個性豊かな列車が運行されていました。
こちらは北海道の電化路線の主役であった711系の運転室を再現したブースです。そのほか回転幕式の行先票や、パンタグラフの仕組みが分かるブースや、動力系統などをカットしたユニットを展示。かなりマニアックですが、鉄道のしくみを知りたい人には最高です。
4つのエリアに分かれる2階は頭上注意
2階は4つのエリアに分かれており、蒸気機関車や観光列車、青函連絡船や苗穂工場の歴史などが展示されています。古い倉庫を改装しているため、天井が低く、ところどころに頭上注意と掲示されています。
JR北海道では、C11型蒸気機関車が引率する観光列車「SL冬の湿原号」を冬季間限定で運行しています。動態復元されたときの様子が紹介されており、かなり骨が折れる作業だったことが伝わってきます。
青函連絡船は、1908(明治41)年に航路が開かれ、本州と北海道を結んでいました。1954(昭和29)年9月26日 に発生した台風15号の影響を受けて、洞爺丸など連絡船5隻が沈没。この事故を契機に青函トンネル計画が具体化されることになりました。
世界初の本格運行になり損ねたDMV
JR北海道が試作したDMV(Dual Mode Vehicle)も屋外展示されています。レールと道路の両方を走行できるよう、鉄道車両として改造されたバス車両で、ローカル線に投入するために試験的営業運行も行われていました。
しかし特急車両事故が多発したため、JR北海道は安全対策と北海道新幹線に経営資源を注力する方針を打ち出して開発を断念。その技術は阿佐海岸鉄道に活かされ、2021年12月から世界初であるDMVの本格運用が始まりました。
ここは鉄道パラダイス
北海道鉄道技術館は、鉄道の歴史が詰まった「夢の空間」です。また毎年9月初旬には苗穂工場が一般公開されます。年齢や性別を問わず楽しめますので、鉄道の魅力に触れてみてください。
北海道鉄道技術館
- 住所:札幌市東区北5条東13丁目 JR北海道苗穂工場内
- 開館日:毎月第2・第4土曜日 ※都合により臨時休館する場合があります
- 開館時間:13:30~16:00
- 公式サイト:北海道鉄道技術館(JR北海道文化財団)
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吉田匡和
- 札幌市在住のよろずライターです。美味しい食べ物から温泉、穴場スポットや定番スポットの知られざる楽しみ方など、地元ライターらしい視点でワクワクを紹介します。