【ウルグアイ】巨大サンドイッチ「チビート」

ウルグアイが世界に誇るご当地サンドイッチ「Chivito（チビート）」。チビートとは、スペイン語で"仔ヤギ"を意味するchivo（チボ）という単語に縮小辞が付いたもので、日本語に訳すと"仔ヤギちゃん"といったところところです。

そう聞くと、「え？仔ヤギのサンドイッチ？」と思うかもしれませんが、さにあらず。チビートはグリルした薄いビーフステーキを始め、ハムやチーズ、トマト、レタスなどの野菜をたっぷり挟んだボリューム満点のサンドイッチで、見た目は豪華なハンバーガーといった感じ。とはいえ、ファーストフードというにはあまりにも贅沢な具材にきっと驚くはず！

ウルグアイ国民が愛してやまないこの名物料理の誕生秘話と、世界遺産の街コロニア・デル・サクラメント（以下：コロニア）で見つけたチビートの人気店をご紹介しましょう。

仔ヤギちゃん誕生秘話

チビートが生まれたのは1940年代、ウルグアイ東端のリゾート地プンタ・デル・エステにあったレストランバー、「El Mejillón Bar（エル・メヒション・バー」が舞台です。

ある日一人の女性観光客が店にやってきて、仔ヤギの肉をオーダーしました。チリ人、またはアルゼンチン北部出身と思われるこの女性は、アルゼンチン北部のコルドバで食べた仔ヤギの炭火焼きが忘れられなかったのだそう。そしてどういうわけか、ウルグアイのプンタ・デル・エステでもきっと仔ヤギが食べられるに違いないと思い込んでいたのでした。

＜アルゼンチン全域で食べられているヤギの炭火焼き＞

女性のオーダーに対し、オーナーのアントニオ・カルボナロ氏は「仔ヤギの肉はありませんが、あなたに何もサービスしないままお帰り頂くわけにはまいりません」といって、パンを軽く炙ってバターを塗り、さっと焼いた牛肉のステーキやハム、野菜を挟んで出しました。女性はその美味しさと心意気に感動し、とても喜んでくれたのだそう。

旅行者のちょっと意外な注文から誕生したこの料理は「チビート」と名付けられ、1日に1,000個も売れるというエル・メヒション・バーの看板メニューになりました。その後多くの店が薄切りステーキを挟んだサンドイッチを作るようになり、今ではいつでもどこでも食べられるようになったのです。

コロニアで人気のチビテリア「ミ・カリート」

サンドイッチとして誕生したチビートですが、現在は2つのスタイルがあります。1つはエル・メヒション・バーが提供したようなサンドイッチスタイル、もう1つはパンに挟まず、チビートの具材をお皿に直接盛り付けたスタイルです。一般に前者はカジュアルでファーストフードっぽく、後者はナイフとフォークを使って食べるレストランメニューとして提供されます。またチビート専門店は、「chivitería（チビテリア）」と呼ばれています。

コロニアで人気のチビテリア「Mi Carrito（ミ・カリート）」。carro（車）の名の通り、キッチンカーを利用した半露店のレストランです。

半露店といっても厨房はとても清潔で、食材を保管するガラスケースもピカピカ。店の奥に鉄板があり、注文を受けてからバンズやパテを焼いていきます。

さまざまなチビートの具材。多種多様なピクルスと器いっぱいのタルタルソースやマヨネーズ、奥にはハムやベーコン、チーズなどがきれいに並べられていました。

冷えたビールを片手に、チビートができるのを待ちます。

ご覧ください、このボリューム！ミ・カリートの名物チビートは、カリカリに焼いたベーコンと目玉焼き、チーズ、ハム、薄切りステーキ、トマト、レタス、そしてピリッと辛いピクルス入り。ピクルスは好きなものを選んで挟んでもらうことができます。特製タルタルソースがたっぷり塗られたバンズはふわふわで、押しつぶして食べるのにちょうどいい柔らかさ。食べやすいよう半分にカットしてくれましたが、こぼさず頂くのは至難の業でした。

ミ・カリートではチビートのほか、薄切りの鶏肉や牛肉にパン粉をつけて揚げたミラネサを挟んだサンドイッチや、ハンバーガーもありました。

公式サイトはおろか、SNSの発信すら行っていないにも関わらず、世界的な旅行口コミサイトで「コロニア一のチビチェリア」と絶賛されるミ・カリート。コロニアを訪れたらぜひ立ち寄ってくださいね。

Mi Carrito／ミ・カリート

住所：Rivadavia y Lavalleja, Colonia del Sacramento（Plaza 25 de Agostoのすぐ近く）
TEL：（598）4523-0366
営業時間：月・水・木 11:00～16:00、20:00～24:00/火 11:00～16:00/金 11:00～16:00、20:00～翌1:30/土 11:30～15:30、20:00～翌2:00
定休日：日曜日