地下200メートルで舟にのる!ポーランド最古ボフニャ岩塩坑

ポーランド ボフニャ岩塩坑

ポーランドを訪れた際、クラクフから世界遺産のヴェリチカ岩塩坑を訪れる方は多いのですが、実はポーランド最古の岩塩坑はボフニャにあり、ヴェリチカと共に世界遺産に登録されています。

ヴェリチカは1978年の世界遺産登録第一号のひとつですが、ボフニャは2013年にヴェリチカと共に"ヴェリチカ・ボフニャ王立岩塩坑"として文化遺産登録されました。今回は、まだあまり知られていないボフニャ岩塩坑をご紹介します!

目次

ボフニャ岩塩坑はどこにあるの?

ボフニャ岩塩坑

ボフニャ岩塩坑は、クラクフから東へ約40キロのBochnia(ボフニャ)という街にあります。車で1時間弱、バスや電車で訪れることも可能です。クラクフ~ヴェリチカの倍の距離があることも、まだ知名度が上がらない理由かもしれませんが、ボフニャ岩塩坑ならではの楽しい体験がいくつもできるので、ぜひ足をのばしていただきたいところです。

ボフニャの街の中心にある広場

ボフニャの街の中心にある広場。ここにも岩塩坑で使われていたトロッコなどがあります。中新世は海だったそうで、ボフニャ周辺では、新石器時代(紀元前3500年頃)には井戸から塩水を汲み、蒸発させ塩を得ていたとされています。1248年に鉱山が設立され、莫大な利益をもたらし、街は中世のポーランドで最も重要な経済の中心の一つになりました。

ボフニャ街の広場

  • 住所:Rynek 16, 32-700 Bochnia, ポーランド

この広場から、ボフニャ岩塩坑の入り口まで約1キロの距離がありますが、この広場の下にも岩塩坑が広がっているのです。

ストリス立坑はボフニャ岩塩坑最古の立坑

広場のすぐそばにあるSzyb Sutoris(ストリス立坑/たてこう)はボフニャ岩塩坑最古の立坑で、14~15世紀にかけて主要な採掘坑の一つでした。地下468メートルで採掘はストップされていますが、今後は、1キロ先の岩塩坑出入口と、こちらのストリス立坑を繋げた新たな観光ルートがオープン予定です!

聖キンガの伝説(塩をみつけ国を栄えさせた)のモニュメント

ストリス立坑の前には、ハンガリーからポーランドに嫁いだ聖キンガの伝説(塩をみつけ国を栄えさせた)のモニュメント。

Szyb Sutoris(ストリス立坑)

  • 住所:32-700 Bochnia, ポーランド

注意事項

ボフニャ岩塩坑

1. ガイドツアー予約

ボフニャ岩塩坑は、地下約200メートルの深さのルートを3~4時間かけて歩くため、観光はグループでのガイドツアーのみです。ポーランド語と英語のガイドが選べますが、時間と人数に限りがありますので、事前予約(オンライン)を強くおすすめします。(当日空きがあれば予約なしでも入れます)

ガイドツアーのルートも豊富で、年齢制限(7歳以上など)があるものもあります。18歳未満は大人の同伴が必要です。

2. 服装と健康について

地下約200メートルにある岩塩坑内は、年間を通して温度が15~17度と一定で肌寒いため、夏でも暖かい服装(ライトダウンなどの上着)が必要です。階段やでこぼこした道も多いので、スカートは避け、歩きやすい靴を用意しましょう。

薄暗く狭い道も多いので閉所恐怖症の方、循環器系に疾患のある方にはおすすめできません。車いすなどをご利用の方は専用のルート(要予約)があります。

3. 禁止事項

タバコの所有・喫煙は禁止されています。火気厳禁。アルコールを摂取している方も入ることはできません。

ガイドツアーの楽しみ1:地下鉱山列車

地下鉱山列車

今回、筆者が参加したのは、対象年齢7歳以上、4時間のツアーです。料金は97~110PLN(時期によって価格変動)、英語ツアー121PLN、学生割引やファミリー割引などもあります。(PLN=ポーランド・ズロチ)

地上から、地下約200メートルの深さまでは、鉱山用エレベーターで向かいます。8人程入るカゴが連結されていて、ぎゅうぎゅう詰めで一気に下降。真っ暗で何も見えずアトラクション感があります。

地下に着くと、次に待っているのは地下鉱山鉄道。

地下鉱山鉄道

鉱山鉄道は1キロで、カンピ、キンガ、ストリスの3つの駅があります。

地下鉱山鉄道

ベンチの様に座るのではなく、進行方向を向き、またいで座ります。時速は2.5m/秒。これもまたアトラクション感たっぷり。

地下鉱山鉄道

鉱山内とは思えない宿泊施設

岩塩坑内宿泊施設

ツアーが始まったばかりですが、食事・お土産休憩になりました。岩塩坑内には宿泊施設もあるんです!こちらは食事スペース。広々としています。地下250メートルの深さにある2,500平方メートルのエリアはパーティーや会議、スポーツイベントも開催可能。

岩塩坑内宿泊施設バスケットコート

バスケットコートや、卓球台、キッズコーナーなどもあり、

岩塩坑内宿泊施設

マラソン、バレーボール、柔道や、柔術などの大会も開催されているようです。

宿泊ベッドはこちら。夕方から翌日の朝まで約15時間の滞在となるそうです。

岩塩坑内宿泊施設

岩塩坑内の空気はヨウ素が含まれ、アレルギー、喘息などの呼吸器疾患に効果があるとされています。

bo17.jpg

トイレやシャワー施設も完備されており、夕食後はダンスホールで踊ったり。

ちなみに、ダンスホールの一角にはお土産屋さんがあります。おすすめは、ボフニャのバスソルト!

ガイドツアーの楽しみ2:鉱山歩き

鉱山歩き

ガイドさんについて、岩塩坑内をひたすら歩きます。ここはルート内でも明るくかなり歩きやすい道。換気用にベンチレーターはありますが、さらにルート各所にドアを設置することで、通気をよくしているそうです。

岩塩で覆われています

ルートのほとんどは、このように岩塩で覆われています。塩の結晶も至る所で見ることができます。

雲のような塩の結晶

もこもこと雲のような塩の結晶。

岩塩のつらら

つららの様になっているところも!

岩塩坑内岩塩で作られた彫刻

岩塩坑内は静かで、ひんやりとして不思議な空気感。アレルギー物質などもないので安心です。が、方向感覚が全くわからず、ここで迷子になったらと思うと恐ろしい。

ガイドさんが"この上は街の広場ですよ"と、先ほどの広場まで地下散歩してきたようです。ボフニャの街の下には膨大な地下道が張り巡らされているのです。

採掘ツール

岩塩で作られた彫刻で、昔の様子が再現されています。

採掘ツール

採掘ツールも展示されています。中世は手作業で常に酸欠、水害や、メタン爆発の危険が伴っていました。天井付近に溜まるメタンを少しずつ燃焼するのは経験豊富な労働者に任されていたそうです。

約700段の階段

ミルは、換気・採掘したしたものの運搬などに使われ、それまでの手作業から効率化がはかられました。ミルは人力だけでなく、馬も活躍していました!

鉱山ルート

岩塩坑内では約700段の階段を上り下りします。今回参加したコースは、少し荒めの鉱山ルートも進みました。

人が一列で通れるギリギリの幅、高さの道を進みます。地上に出て気が付いたのですが、足元は砂だらけになっていました。もっと体力に自信がある!という方には、さらにチャレンジングなルートも用意されています。真っ暗な中、防護服とヘルメット、ヘッドライトを着用して進むという肉体的、精神的にもタフさが必要とされるコースだそうです。冒険好きな方はぜひ!

鉱夫の道具

鉱夫の道具と一緒に展示されていたメモ書きのようなもの。これは、当時、足の保温のために靴の中に干し草を入れていたそうなのですが、誰かが代わりに子供の宿題をつめこんでいたのでは?とされるもの。

機械で採掘技術

手作業から、ミルそして馬力から電力、機械で採掘技術は進化してきましたが、1990年には採算が取れないということで工業用採掘は終了し、観光にシフトしました。現在もバスソルトの製造は続いています。

ガイドツアーの楽しみ3:ボート

ボフニャ岩塩坑のボート

ボフニャ岩塩坑の最大の魅力はボート!塩水で満たされた120メートルの距離をボートで進みます。

ボフニャ岩塩坑のボート

船頭さんのお話を聞きながら、ゆっくりと穏やかに進む不思議な空間。ここは地下ですが、塩水なので舟は海を航海するものと同じ船級登録がされているそうです!

ボフニャ岩塩坑のボート

ヘルメット着用のみでライフジャケットは着用しませんが、短い距離なのであっという間に到着です。以前、ふざけて塩水に落ちた人もいるそうなので、乗船の際はくれぐれもお気を付けください。

ガイドツアーの楽しみ:マルチメディア展示

マルチメディア展示

近年、観光客を取り込むために力を入れているマルチメディア展示。塩を見つけた聖キンガ伝説や、中世の時代の様子を見ることができます。

岩塩坑内

岩塩坑内の壁や、ルート内各所に設置されたドアを利用して映像が映し出されるのですが、メタン爆発の様子や、洪水のシーンは怖さがあります。

地上搬出の様子

地上搬出の様子など、リアルに再現されています。音やセンサーで反応するので、ガイドさんが参加者の子どもたちを集めてストーリーの重要な役を任せたりと、こどもも楽しむことができるようになっていました。

馬が当時生活していた様子

重要な働き手であった馬も、マルチメディアで。馬が当時生活していた様子は写真でも紹介されています。

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さいごに

聖キンガチャペル

最後に訪れたのはチャペルです。カトリック信者の多いポーランド、ボフニャ岩塩坑内には30の礼拝堂があったそうです、現在残されているのは7つ、礼拝堂を巡るツアーに参加すると、その内6つを訪れることができるそうです。

こちらは、ツアー参加者全てが訪れる聖キンガチャペル。坑内最大の礼拝堂で、祭壇の向かいには大きな塩のシャンデリア。

礼拝堂

お気づきでしょうか?礼拝堂の真ん中を線路が横切っています。ツアー参加者は、地下鉱山列車でここを通過するんです。私たちが訪れた日は、ここでミサも行われていました。

これで4時間のツアーが終了です。地下から地上までは、最初と同じ鉱山用エレベーターであっという間。結構な距離を歩きました。階段の上り下りもあったので、翌日はしっかり筋肉痛!驚いたことに、ガイドさんは1日に2~3ルートをガイドするそうです。私は1ルートでもへとへとだったというのに...。

ヴェリチカ岩塩坑にはない列車やボートにのることもできるボフニャ岩塩坑。こちらの世界遺産にもぜひ足を運んでみてください。

ボフニャ岩塩坑(Kopalnia Soli Bochnia)

※オンラインチケットは、訪問予定日の1日前~7日前まで購入できます >>チケット詳細・購入はこちらから

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EliilE

結婚を機に2010年よりポーランド、クラクフ在住。文化の違いや言葉の壁にぶつかりながらも子育奮闘中!
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