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ギリシャのイースターに食べる伝統スープを、気軽に作れるモダンアレンジでご紹介します!
近年は日本でもよく耳にするようになったキリスト教の行事、イースター(復活祭)。実は教派によって日付けが違ったり、国や地方によってお祝いの仕方が違ったりするんですよ。
今回の記事では、ギリシャのイースターについての簡単な説明と、イースターに食べるスープのレシピをご紹介します。
<市場で売られるイースターエッグ。ギリシャの伝統的なイースターエッグは赤く染めた茹で卵>
目次
ギリシャのイースターっていつ?どんな風にお祝いするの?
毎年日付けが変わる移動祭日であるイースター(復活祭、ギリシャ語ではパスハ)。
日本では2023年のイースターは4月9日と紹介されていますが、それはカトリックなど西方教会の日付です。ギリシャ正教が属する東方教会では暦の数え方が違うので、今年は4月16日。
キリスト教の行事ではクリスマスが世界的によく知られますね。ギリシャではキリストの復活を祝うイースターが最も重要視され、盛大にお祝いをします。
ヒオス島のロケット花火合戦やコルフ島(ケルキラ島)の壷投げなど地方によって独特な風習があったりしますが、基本的には家族で集まって賑やかに過ごす楽しいホリデーです。学校はイースターサンデーをはさんで2週間休みになるので、春休みのような感覚ですね。このため、旅行に行ったり田舎へ帰省したりする人も多いです。
<イースターエッグを入れる皿や教会へ持って行く飾りつきのキャンドルなど、可愛いイースターグッズがいっぱい並ぶ雑貨屋>
長い節食期間が終わり最初に食べるスープ「マギリッツァ」
キリスト教では年間通して食事の節制をする日が多くありますが、特に重要な行事であるイースターの前には40日以上の長い断食期間があります。敬虔なギリシャ正教信徒はこの期間中動物性の食品を断ち、キリストの受難に思いを馳せながらつつましく過ごします。
この断食が破られるのが、復活祭の日曜。多くの人は聖大土曜日深夜のミサに行きますが、日付けが変わりキリストの復活を祝うと(この瞬間はあちこちで花火が揚がり爆竹が鳴り響きます)、聖なる炎をろうそくやランタンにもらって大切に持ち帰ります。
<イースターエッグは、ぶつけ合って勝者を競う卵割りゲームをしてから食べる>
聖なる炎で家に祝福を与えたあと、家族でテーブルを囲む時に食べるのが「マギリッツァ」というスープです。
ギリシャのイースターの料理は仔羊や仔山羊の肉で、豪快な丸焼きも定番。モツを使った料理もよく食べるのですが、内臓や頭を使って作るスープがマギリッツァです。マギリッツァは断食開けの夜中に食べるのが伝統。これだけでも結構食べごたえがあるのですが、ギリシャ人家庭にお呼ばれすると、真夜中にもかかわらずマギリッツァに加え肉料理が山のように出てきてびっくりすることもよくあります。
特別な材料を使わずできる簡単マギリッツァのレシピ
伝統的なマギリッツァは材料となる羊モツの入手が日本では難しく、下処理もなかなか大変。そこで、鶏レバーを使った簡易版のレシピをご紹介します。レバーはできればハツも一緒になったものを使うのが、味と食感に変化が出てそれっぽくなるのでおすすめです!
<レバー以外の材料。日本人にはちょっと味の想像がつきにくいかもしれません>
鶏レバーで作る簡単マギリッツァ
【材料:(2人分)】
- 鶏レバー(ハツが付いているもの).....150g
- 万能ねぎ.....1本
- ロメインレタス.....大きい葉2枚
- ディル.....3~5本
- オリーブオイル.....大さじ2
- 水.....500ml
- 鶏ガラスープの素.....小さじ1強
- 米.....大さじ2
- 塩、胡椒.....適量
- 卵.....S~M サイズ1個
- レモン汁.....大さじ1+好みで適量
- バター.....ひとかけら
【作り方】
1. レバーとハツの下処理をする。ハツは周りの膜と脂を取り除いて縦半分に切り血を取り除く。レバーは小さな一口大くらいに切り、血や筋は取り除く。洗ってボウルに入れ、塩小さじ1程度を加え混ぜ、かぶるくらいの水を加え30分ほど冷蔵庫に入れておく
2. 鍋にお湯を適量沸かす。血抜きをしたレバーとハツの水気を切り、鍋に加え色が変わるまで軽く茹でる。ざるにあけて水気を切っておく
3. 万能ねぎは小口切り、ロメインレタスは縦半分に切ってからざく切りにする。ディルは粗く刻む
4. 鍋にオリーブオイルを加え熱し、(2)のレバーとハツを加え少し色づくまで炒める。ねぎ、レタスを加え、しんなりするまで炒める
5. 水とガラスープの素、軽く洗った米を加える。数センチ隙間をあけてふたをし、米がやわらかくなるまで15~20分弱火で煮る
6. スープを煮ている間に卵レモンソースの準備をする。卵を小さなボウルに割り入れ、白身と黄身が完全に混ざり合うまで泡立て器でしっかり溶く。レモン汁大さじ1を加え混ぜる
7. (6)のボウルに熱いスープを少し加えてのばしてから鍋に加える。この時、絶えずかき混ぜて卵がかき玉状態にならないよう注意。ごく弱火で少し加熱し、とろみがついてクリーミーな状態になったらできあがり。仕上げにバターをひとかけら加え、塩こしょうで味をととのえる
器に盛り、熱々をどうぞ!酸味は弱めに仕上げてますので、食べる時に好みでもっとレモンを絞って加えてください。
【レバーなしのバリエーション】
ギリシャ人と言えどみんなが伝統的なマギリッツァを好きなわけではなく、内臓が苦手な人やベジタリアンの人はモツ抜きのマギリッツァを作る場合もあります。代用としてマッシュルームがよく使われるので、レバーが苦手な人は代わりにマッシュルームで作ってみてください。その場合は、(1)(2)の手順を省き、(4)でスライスしたマッシュルームを先に炒めます。
※ベジタリアンの方はガラスープの代わりに野菜ストックを使い、卵も駄目な方は小麦粉かコーンスターチまたは片栗粉を水で溶いたものを加え適度にとろみをつけてください
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アナグノストゥ直子
- アテネ在住。主婦業の傍ら、ライター、リサーチャー、コーディネーターとしても活動する。ブログ「ギリシャのごはん」にてギリシャ料理レシピやおいしい話題を発信中。