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ペルー秘湯巡り/その5 コンドルの聖地で楽しむ渓流沿いの露天風呂

長らくお付き合いいただいたペルー秘湯巡り、最後の舞台はコンドル見学で有名なアレキパ州カイリョーマ郡に位置するコルカ渓谷です。世界でも特に深い峡谷のひとつであるコルカには希少なアンデスコンドルが生息しており、大空の覇者の雄姿をひとめ眺めようと、大勢の観光客がこの谷を訪れます。
コルカ渓谷を有名たらしめているもうひとつの要素が、火山性の温泉が各地に湧いていること。コルカ渓谷付近にはたくさんの火山があり、中でも「コルカとアンダグア火山群」は国際的に価値のある地質遺産として、ユネスコ世界ジオパークに指定されています。
最高85度という熱湯が湧きあがるコルカには、おすすめの温泉がたくさん!コルカ渓谷沿いにある「Distrito de Chivay(チバイ村)」と「Distrito de Yanque(ヤンケ村)」が今回の舞台です。水着とタオルを準備して、さっそく行ってみましょう!
目次
コンドルの谷、コルカ渓谷へ
まずはチバイ村やヤンケ村のあるコルカ渓谷へ向かいましょう。アレキパ市内南部、アルトゥーロ・イバニェス通り130番地にあるTerminal Terrestre de Arequipa(アレキパ・バスターミナル)からローカルバスが出ています。アレキパからチバイまではバスで3時間30分~4時間ほど、チバイからヤンケへはタクシーかコレクティーボ(乗り合いバス)で15分です。
また、アレキパ市内発のコンドル見学ツアーに参加する方法もあります。ツアーの中にはチバイ、またはヤンケの温泉へ立ち寄るものも少なくありませんし、たとえスケジュールに"温泉"という項目がなくても、1泊以上するツアーなら自分で行くことも可能でしょう。せっかくコルカまで足を運ぶなら、薬効豊かなお湯を楽しまない手はありません。希望に沿ったツアーを探してみましょう。
チバイの温泉「ラ・カレラ」
チバイ村の中心アルマス広場から北東に3.5kmのところにある「Baños Termales La Calera(ラ・カレラ温泉)」。火山性温泉で源泉の温度は80度以上もありますが、施設内の泉温は38度前後に調整されています。
ラ・カレラ温泉には5つの温泉プールがあり、それぞれにナンバーが振られています。まずは外国人に一番人気の「Piscina/Pool 1」、コルカ川に最も近い位置にある温泉プールへ行ってみましょう。
カルシウム、亜鉛、鉄分を多く含み、筋肉や骨、皮膚の病に効くというラ・カレラ温泉。ロッカーの扉に描かれたコンドルやの野鳥、ビスカチャ(アンデスウサギ)などの絵がかわいいですね。
ラ・カレラ温泉が欧米人旅行者にウケるもう一つの理由は、温泉の内外でお酒を飲めるから?温泉プールの脇にはビールやカクテル、スナック類を出す小さなバーがあり、なかなかの繁盛ぶり。冷えたビールを片手に温泉タイムを楽しむなんて、なかなかオツですよね。高山病予防の観点からもろ手を挙げておすすめというわけにはいきませんが、ご自身の体調と相談の上お楽しみください。
屋内温泉プールもあるので、雨の日も安心して利用できます。
施設の奥にはコルカ川を渡るつり橋もあります。散歩がてら、温泉で火照った身体を冷やすのも悪くないですね。
ラ・カレラ温泉にはカフェや食堂のほか、ミネラルウォーターから水着まで扱う雑貨店もあり設備は充実。コルカ渓谷近郊で発掘されたアンデス文明の遺物を展示するミニ博物館もあるので、ぜひお立ち寄りくださいね。早朝4時から19時まで年中無休で営業していますが、夕方16時を過ぎるとコンドル見学から戻ってきた観光客で込み合ってくるので、少し早めに行くことをおすすめします。
ラ・カレラ温泉(Aguas Termales la Caler)
- 住所:9CP7+58J, Chivay 04145 ペルー
- 料金:15ソレス
人気急上昇の「チャカピ温泉」
チバイの西8kmの地点にあるヤンケ村の目玉は、なんといっても「Baños Termales de Chacapi(チャカピ温泉)」でしょう。昔から地元の人に愛されてきた古い温泉ですが、近年増設された露天風呂が人気となり、湯船から望むコルカ渓谷のダイナミックな風景がSNSで拡散されたことで、多くの旅行者が訪れるようになりました。
ヤンケ村から西へ延びるチャカピ通りを1.5kmほど進むと、コルカ川を渡る鉄橋が見えてきます。チャカピ温泉はその手前にあります。
チャカピ温泉の泉温は45度。無色透明で、さらさらとした透明感のあるお湯が特徴です。ミネラル成分が多く、関節炎やリウマチに効くほか、美肌の湯としても有名ですよ。
屋内温泉プールと日よけのタープを張った屋外温泉プールに加え、渓流沿いに石造りの露天風呂が6つあります(写真に写っていなくてすみません)。
湯船が小さいため、ツアー客が訪れる夕方や地元の人が通う週末は芋の子を洗うような状態に。それでも訪れる価値は十分あると思います。
チャカピ温泉(Baños Termales de Chacapi)
- 料金:15ソレス
Google mapでは探せない?渓流露天風呂「プジェ温泉」
ペルー秘湯巡り最後の温泉は、筆者イチオシの「Baños Termales de Puye(プジェ温泉)」をご紹介しましょう。先ほどのチャカピ温泉からヤンケ方面へ少し戻り、チャカピ通りと並行して走るコルカ川沿いの未舗装道路を100mほど進むと、コルカ川にかかるつり橋が見えてきます。その橋を渡った先にあるのが、プジェ温泉です。
プジェ温泉のあちこちから高温のお湯が湧いています。アンデスの青空に向かってゆらゆらと白い湯気が立つ様子は、まさに日本人が望む温泉風景ですね。
いくつかある源泉の温度はそれぞれ67~82度と高温で、リチウム、ナトリウム、カリウム、鉄を多く含んでいます。また不思議なことに同じ敷地内で冷泉も湧いているそうで、湯船のお湯はそれらを混ぜることで34~38度に調整しているとか。
コルカ川のせせらぎに耳を傾けながら入る熱々の湯、最高!コルカの大地がもたらした自然の恵みを余すところなく堪能できるプジェ。解放的でリラックス効果抜群です。
プジェ温泉
- 料金:15ソレス
ペルーの秘湯巡り、いかがでしたでしょうか?ナチュラルでダイナミック、さまざまな効能に恵まれたペルーの温泉。温泉地は高地にあることが多く、アクセスも容易でないものが少なくありません。それでもアンデスの大空の下で楽しむ露天風呂の解放感といったら!
ペルー旅行中、もし滞在先で"Baños Termales"や"Aguas Termales"といった文字を見つけたらラッキー!日本では決してお目にかかることのできないペルーの秘湯巡り、ぜひ楽しんでください!
ペルー秘湯巡りシリーズ
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。