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モンテビデオっ子も絶賛!『メルカド・デル・プエルト』と『エル・パレンケ』
こんにちは。原田慶子です。
ウルグアイは隣国アルゼンチンと肩を並べる牛肉消費大国。人口350万人にも満たない国ながら、肉用牛の飼育頭数はなんと1,100~1,200万頭!1人当たりの牛肉消費量は年間60kg前後で、日本人の約8~9倍となっています。ウルグアイの肉牛は国土の大半を占める肥沃な平原「パンパ」で放牧されるため、余分な脂肪がなく、肉そのもののうま味を味わうことができます。
そんなウルグアイ牛を最高の状態で味わうなら、なんといっても「parrilla(パリーシャ=炭火焼き)」が一番!モンテビデオ市内でパリーシャが食べられる店はそれこそ星の数ほどありますが、迷ったらまずは旧市街にある「Mercado del Puerto(メルカド・デル・プエルト/プエルト市場)」を目指しましょう。ここには人気のパリーシャの店がたくさん集まっています。
目次
メルカド・デル・プエルト
1868年10月10日開業の「Mercado del Puerto(メルカド・デル・プエルト)」は、モンテビデオ湾に入港する船や、港周辺に暮らしていた富裕層に新鮮な肉や野菜を供給するために建てられました。puertoは"港"という意味なので、そのものずばり「港市場」ということですね。
その完成には3年もの月日を費やしたという建物は、当時建築素材としてはまだ珍しかった鉄骨をふんだんに使った贅沢な構造。155年もの歴史を持つこの市場はモンテビデオのシンボルであり、ウルグアイの美食を余すところなく楽しめるグルメ観光地にもなっています。
中は意外に広く、レストランの間取りも思った以上に余裕があります。それにしても、市場のあちこちから漂ってくる美味しそうな炭火焼きの煙がたまりません!
メルカド・デル・プエルトの人気店のひとつ「Cabaña Veronica(カバーニャ・ベロニカ)」。この日のランチをここにするかどうか随分悩んだのですが・・・
行き先はやはりここ、「El Palenque(エル・パレンケ)」に決定!ホテルのオーナーもイチオシの、名店中の名店です。
1958年創業のエル・パレンケ
メルカド・デル・プエルトを代表するレストランのひとつ、「エル・パレンケ」。1958年の創業で、現在のオーナーはスペイン人移民のエミリオ・ポルテラ氏です。17歳でウルグアイに移住し、エル・パレンケの給仕として働き始めたポルテラ氏は、数年かけて貯めた資金でこの店を買い取りました。ポルテラ氏がスペイン人ということもあり、現在のエル・パレンケではウルグアイ名物のパリーシャだけでなく、パエリア(パエーシャ)など本格的なスペイン料理も頂くことができます。
豪快なエル・パレンケのパリーシャ!
カジュアルな雰囲気のカウンター席なら、1人でふらっとやってきても気後れすることはありませんし、なによりいかにも牛肉の国ウルグアイらしい風景を眺めながら食事ができる特等席でもあります。日本ではお目にかかれない珍しい部位がじわじわと焼かれていく様子は、見ていて飽きることがありません。
市場の外壁側に位置するエル・パレンケには、1984年にモンテビデオで初めて誕生したというテラス席もあります。明るく開放的なこともあって満席のことが多いようですが、運よく一席空いていたので今回はこちらで食事をすることにしました。
「テラス席やカウンター席もいいけれど、もう少し落ち着いた雰囲気で食べたい」という方もご安心を。エル・パレンケには店内にテーブル席のほか、2階席もあります。
超肉厚のウルグアイビーフを堪能!
まずはメルカド・デル・プエルト名物の「Medio y Medio(メディオ・イ・メディオ)」を食前酒に。メディオ・イ・メディオは白の甘口スパークリングワインと辛口の白ワインをブレンドしたお酒で、メルカド・デル・プエルト内にある1886年創業のバー、「Roldós(ロルドス)」で考案されたものです。今ではロルドスのみならず、メルカド・デル・プエルトの名物酒として定着しており、ほとんどの店で注文することができます。
ちなみにロルドスは今も健在。パリーシャも頂けますが、口コミを見る限りここはバーとして利用するほうがよさそう・・・。ロルドスで元祖メディオ・イ・メディオをさくっと飲んで、その後お目当ての店に移るのがいいかもしれませんね。
ウルグアイで赤ワインを頂くなら、ここは絶対「tannat(タナ)」で!フランス南西地方原産の赤ワイン用の品種タナは、フランスのみならず、ウルグアイでの栽培が盛ん。タンニンの力強い酸味と豊かな味わいが特徴で、まさにパリーシャのためのワインといえるでしょう。
ルッコラとカボチャ、パルメザンチーズのサラダ。ルッコラのほろ苦さとカボチャの甘味、チーズの塩味がバランスよくまとまった一品。もう一品注文しようかと思ったのですが、これから300~400gの超厚切り肉を頂くので、ここはセーブしておきましょう。
来ました!約350gのSuper Baby Beef(スーペル・ベイビィ・ビーフ/リブ・アイ)!
肉汁をたっぷりたたえた赤身肉、いいですね。外側に薄っすら残る炭火の焦げ目も香ばしく、完璧な焼き加減です。
自然豊かな環境下で、牧草のみを食べて育つウルグアイの牛は、「グラスフェッドビーフ」と呼ばれています。グラスフェッドビーフは赤身が多く高タンパク・低カロリー、肉本来の味を楽しみたい人には打ってつけ。さっぱりしているので、女性でも300~400gくらいはぺろりと平らげることができますよ。
パリーシャの焼き方は大きく分けて「Jugoso(フゴッソ)」、「A punto(ア・プント)、またはTermino medio(テルミノ・メディオ)」、「Cocido(コシード)」の3パターン。フゴッソは"ジューシー"という意味でレア、ア・プントはミディアムレア、コシードはウェルダンをさします。実際にはもう少し細かく分かれており、地元の人は部位によって焼き加減を変えて注文したりもするそうですが、これだけ分厚い赤身肉の場合、フゴッソにすると肉が柔らかすぎてちょっと噛み切りにくいかもしれません。好みの問題ですが、悩んだらとりあえずア・プントにしてみてはいかがでしょうか?
約300gのpicana(ピカーニャ/picanhaとも書く)、もちろんア・プントで注文しました。日本で"いちぼ"と呼ばれるピカーニャは、赤身と脂身の美味しさを一度に味わえる人気の部位。肉汁たっぷり、もう言葉はいりませんね。
メルカド・デル・プエルトのある辺りは、旧市街におけるグルメと観光の中心地。ウルグアイ名物のパレード「ジャマーダス」を模したミニ楽団が、観光客の目と耳を楽しませてくれました。
物価の高いウルグアイのこと、人口より牛のほうが多い国ですがパリーシャも決して安くはありません。たとえばこの時、ピカーニャは$890(USD23.14)、スーペル・ベイビィ・ビーフは$1150(USD29.9)でした。ここに前菜やワインを加えると、2人で軽く15,000円は超えてしまいます。ウルグアイの税金(IVA)は22%と高額なので、どうしても高くなってしまうんですよね。
でも外国人旅行者には朗報が!
ウルグアイでは外国人観光客に対して付加価値税の還付を行っており、ウルグアイ以外の国で発行されたクレジットカードでの支払いの場合、IVA22%が還付(免除)されます。還付を受けられるサービスは外食とケータリング、レンタカーのみで、ショッピングなどは対象外。還付手続きなどは不要で、支払い時に22%の税金分を差し引いた額が請求されます。これは嬉しい制度ですね!
なので今回は、最終的に12,000円強の支払いで済みました。ただしウエイターに対するチップは別なので、どうかお忘れなく。最低でも10%は置くようにしましょうね。
地元の人も絶賛の人気パリーシャの店「エル・パレンケ」のご紹介でした。
El Palenque/エル・パレンケ
- 住所:Pérez Castellano 1579, Montevideo
- 電話:(598)2917-0190
- 公式SNS:Facebook
- 当日のレート:$1=約USD0.026、約3.54円
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。