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ペルー秘湯巡り/その4 ペルーの草津温泉『チュリン』
リマ州オジョン郡パチャンガラ地区にあるアンデスの村「Churín(チュリン)」は、ワウラ川の左岸に位置する標高約2,250mの温暖な村。村の内外には28度の低温泉から45度の高温泉までさまざまな泉質の温泉がいくつもあり、年間を通じて多くの旅行者が訪れます。
ここ数年で道路整備が進んだことから、リマを早朝に出発すれば日帰り入浴も可能になりました。リマ市民にとってのその身近さは、日本の首都圏在住者にしてみればまさに草津温泉!?今回は外湯巡りが楽しめる温泉郷、チュリンをご紹介します。
目次
- チュリンへのアクセス
- 解放感抜群!「ママワルミ」
- 成長期の若者のための湯「フベントゥ」
- 薬効豊かな温泉が5種類も!「ラ・メセタ」
- 泥風呂とサウナ、個室風呂も楽しめる「ティンゴ」
- 熱々の湯が嬉しい「フィエロ」
- 日帰りツアーで「ワンカワシ」と「ピコイ」へ!
チュリンへのアクセス
リマ市の北東約203kmに位置するチュリンへは、車で4時間ほど。バスはリマ市北部のTerminal Terrestre Plaza Lima Norte(プラサ・リマ・ノルテ・バスターミナル)から出発しています。料金は20~30ソレスで、往復割引を適用している会社もあります。
村の東をアンデス山脈に、西をワウラ川に挟まれたチュリンは、南北わずか1km足らずのコンパクトな村で、アルマス広場を中心に手頃なホテルや民宿が軒を連ねています。村内にはレストランや食堂、雑貨店や土産物店のほか、メルカド(伝統的市場)もあるので自炊も可能。思い立った時にさくっと行けるところも、チュリンの人気の秘密です。
村の中心アルマス広場には、有名な"Mama Huarmi(ママ・ワルミ=母なる女)"伝説の主人公である母子の像があります。
個室を除き、ペルーの温泉は水着着用がお約束。チュリンにはタオルや水着を売る店もたくさんあるので、手ぶらで来ても安心です。
解放感抜群!「ママワルミ」
アルマス広場から南へ約850mにある「El Complejo Turístico Ecológico MamaHuarmi(ママワルミ・エコロジカル・ツーリズム・リゾート=ママワルミ温泉)」は、『ママ・ワルミ伝説』発祥の地。
ここには4つの露天風呂と、ママワルミが赤ん坊とともに隠れ住んだとされる洞窟があります。泉温はいずれも30度前後と低めで、温泉というより青空プールといった感じ。自然豊かでユーカリやモジェが生い茂るママワルミ温泉は、ペルー人に一番人気の施設です。
開放感あふれる「Pozo de los novios(恋人たちの湯)」。ママワルミ温泉の中では比較的温かく、皮膚病予防などに効果があるといわれています。
天然の打たせ湯が人気の「Velo de la Novia(花嫁のベール)」は、リラックス効果抜群!
ターコイズブルーが美しい「Pozo de la MamaHarmi(ママワルミの湯)」は底が浅いので、岸辺に頭を置いてのんびり寝転がるととても気持ちがいいですよ。奥の洞窟の入り口には、幼な子を抱いたママワルミの銅像が置かれています。
迫力満点の「Geiser(ガイザー/間欠泉)」。ママワルミ温泉の中で最も泉温が低く、アンデスの日差しに火照った肌をクールダウンするにはもってこいです。
ママワルミ温泉
- 料金:10ソレス
成長期の若者のための湯「フベントゥ」
屋内外に複数の温泉プールを持つ「Baños de La Juventud(フベントゥ温泉)」。泉温32度でマグネシウムやカルシウム、マンガン、重炭酸塩、硫酸塩、鉄分などを含んでおり、神経系の病気や白内障、貧血、急性・慢性消化不良に良いといわれています。
また、骨の成長促進や女性の生殖器系の病気治療、疲労回復や細胞の活性化なども期待できることから、特に成長期の子供によいのだとか。だから"Juventud(フベントゥ)=青年"の湯なんですね。
建物の内部では形の異なる3つのプールが組み合わされ、温水を噴射して筋肉をリラックスさせてくれる強力マッサージャーもあります。
屋外の露天風呂は大小合わせて9か所もあり、近年整備が進んでとてもきれいになりました。川沿いの階段を降りていくと、「Lengua de Diablo(悪魔の舌)」と呼ばれる小さな鍾乳洞もあります。
青年の湯(フベントゥ)温泉
- 料金:10ソレス
薬効豊かな温泉が5種類も!「ラ・メセタ」
チュリンの中心部から山側の坂を南へ400mほど登ったところに、「Baños termales La Meseta(ラ・メセタ温泉)」があります。ここの最大の特徴は、1,200平方メートルというさほど広くない敷地にいくつもの異なる泉質の温泉が湧いていること。ママワルミ温泉やフベントゥ温泉はどちらかというと観光客向きですが、このラ・メセタ温泉は地元の人が多く、湯治や健康のために訪れる人でにぎわいます。
湯船がギターの形をしている「Piscina La Guitarra(ギタープール/34度)」。
「La Esperanza(ラ・エスペランサ)」はリチウムを始め、硫酸塩、硫黄、アルミニウムなどを含んでいます。ここは湧出量がかなり多いのでしょう、温泉プールは2つあり、その地下にも大きなプールがありました。
その他、消化器系や糖尿病、泌尿器系の病気治療に役立つとされる「Don Bosco(ドン・ボスコ/32度)」や、慢性リウマチや関節炎、喘息によい「Santa Rosa(サンタ・ロサ/34度)」、同じくリウマチや関節炎に加え坐骨神経痛にも効くとされる「Ñahuin(ニャウイン/35度)」など、5種類の温泉があります。
ラ・メセタ温泉
- 料金:10ソレス
泥風呂とサウナ、個室風呂も楽しめる「ティンゴ」
チュリンの中心部からモトタクシーで南へ15分ほどの場所にある「Baños Termo Medicinales Tingo(ティンゴ温熱薬湯温泉)」は、3か所の温泉に加え泥風呂やサウナなど、これまでご紹介してきた温泉にはないサービスが自慢。鉄分、リチウム、硫黄、コバルト、アルミニウムを含み、リウマチや関節炎、肥満、痛風、脳溢血、麻痺などさまざまな症状に効果があるとされています。
温泉は室内2か所と屋外に1か所あり、それぞれ32~38度になっています。
ミネラル成分たっぷりの泥風呂「Pozo de lodo(barro)」。湯船の底に沈んでいる美肌効果抜群の泥を自分ですくって自分で塗るという、シンプルなシステムです。ロビーにはお土産用の泥も売られていますよ。
自分でお湯の温度を調節できる個室風呂は、日本人には嬉しいですね。鉄分や硫黄分が多いためちょっと汚れているように見えますが、お客さんが出るたびにスタッフがきちんと掃除してくれているので、どうぞご安心ください。
また、ティンゴに来たらぜひサウナもご利用ください。個室サウナで、床には喉の不調や気管支炎に良いとされるユーカリの枝が置かれています。ユーカリ成分たっぷりの湯気は、リラックス効果も抜群です。
ティンゴ温泉
- 料金:3か所の温泉のみ 10ソレス、3か所の温泉+泥風呂+サウナ 15ソレス、個室風呂 10ソレス
熱々の湯が嬉しい「フィエロ」
ワウラ川右岸、チュリン村とティンゴのちょうど中間地点にあるのが、「Baños de Fierro(フィエロ温泉)」。ここはアンダヘス地区の管轄で、薬効成分豊かな熱々の湯が自慢です。鉄分、塩化物、重炭酸塩、アルカリ、マグネシウム、ナトリウム、硫酸塩、リチウム、カルシウム、硫黄を含み、関節炎、関節症、関節炎、けいれん、麻痺、筋肉性、喘息、気管支炎、ニキビ、乾癬や湿疹に効果があるといわれています。
フィエロの湯は38~42度もあるため、年齢にかかわらず高血圧の人と56歳以上の人は入場前に無料の血圧検査を受けなければいけません。ちょっと面倒くさいですが、温泉で気分が悪くなっては元も子もないのでしっかりチェックしてもらいましょう。
フィエロには温泉プールと個室があります。個室は38~42度で、熱々の湯が大好きな日本人には最高!しかしながらペルー人には熱湯以外の何ものでもないらしく、外の注意書きには「5分入浴したら10分休憩しましょう。個室利用は最大30分まで」と書かれていました。標高が2,000m以上あるので、確かにあまり熱いお湯に浸かると高山病を発症するリスクがありますが、もう少しゆっくり入浴したいですね。
フィエロ温泉
- 料金:10ソレス
日帰りツアーで「ワンカワシ」と「ピコイ」へ!
チュリンやその近郊の温泉を堪能したら、日帰り温泉ツアーに参加してみませんか?朝8時頃にチュリンを出発し、温泉と食事を楽しんで夕方16時頃戻ってくるフルデイツアー(出発時間や到着時間はツアー会社によって多少異なります)が、たったの20ソレスで楽しめます。※ツアー代には温泉利用料や食事代は含まれません
ツアーで向かうのはチュリンから車で約32km、片道約1時間半の距離にある「Baños Termales de Huancahuasi(ワンカワシ温泉)」と、その川向かいにある「Baños Termales de Picoy(ピコイ温泉)」。どちらも泉温が高く、日本人好みのお湯になっています。
ワンカワシ温泉の泉温は45度で、室内と半屋外温泉、個室風呂があります。泉質は素晴らしく、塩化物や重炭酸ナトリウム、マグネシウム、硫酸塩などあらゆる鉱物を含みます。
ワンカワシ温泉はフジモリ元大統領が愛した湯として知られており、別名「Piscina Presidencial(大統領の湯)」とも呼ばれています。堅牢な建物の入り口には、フジモリ元大統領の名前と1997年7月の日付が入ったプレートが掲げられています。
ワンカワシの標高は3,350m。外気温が低いせいでしょうか、45度というお湯もそれほど熱くは感じません。とはいえ高山病を発症しないよう、かけ湯を十分してからゆっくり浸かるようにしましょう。
ワンカワシ温泉
- 入場料:10ソレス
ワンカワシ温泉の川を挟んだ向こう岸にあるのが、ピコイ温泉です。ピコイ温泉があるのはリマ州ワウラ郡サンタ・レオノール地区で、こちらは在任中の父を補佐した娘ケイコの称号を取って、「Piscina de la Primera Dama/ファーストレディーの湯」と呼ばれています。
ピコイ温泉は鉄分やコバルトを豊富に含んでいるため、リウマチや関節炎、皮膚病、肝臓病などの病気に悩む患者さんにおすすめです。2か所の室内温泉と露天風呂、個室風呂もあります。
ピコイ温泉
- 料金:10ソレス
2つの温泉を楽しんだ後は、ピコイ村で休憩です。17世紀に建てられたコロニアル建築が美しい「Iglesia Picoy(ピコイ教会)」を見学したり、フルーツのシロップ漬けなどのお土産も購入できます。
ほとんどのツアーでは、「Chiuchin(チウチン)」という村で遅めのランチを取ることになります。このチウチンのすぐ近くにも「Baños Termales de Huancachin(ワンカチン温泉)」があるので、ツアーグループがチウチンで食事をしている間にワンカチン温泉を楽しむのもいいですね。ただしその場合は、置いてきぼりにされないようツアーバスの運転手に事前に声をかけておくといいでしょう。
温泉三昧の1日を過ごしたら、あとはチュリンへ戻るだけ。うまくすれば、夕方発のリマ行きのバスやミニバンに乗ってそのままリマへ戻ることもできますよ。
ペルーの草津温泉チュリン。2泊3日もあればほとんどの温泉を制覇できるので、スタンプラリー的な軽い感覚で外湯巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか?
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。