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戦うチョリータさん!ルチャ・リブレ観戦記
Lucha(ルチャ)はスペイン語で"戦い"、libre(リブレ)は"自由な"という意味。Lucha libre(ルチャ・リブレ=プロレス)とは、そのものずばり、自らの手で自由を勝ち取るための戦いです。
世界各地で行われるプロレスの中でも、ストーリー性が高くオリジナリティにあふれているのが、ボリビアのルチャ・リブレ。アイマラなどの先住民に所縁のある若い女性「Cholita(チョリータ)」たちが色鮮やかなスカートを翻し、女性同士のみならず、時には男性を相手に激しい戦いを繰り広げます。
「Cholita Wrestling(チョリータ・レスリング)」または「Fighting Cholitas(ファイティング・チョリータス)」とも呼ばれるボリビアのルチャ・リブレは、ラ・パスのナイトライフの代名詞。ベビーフェイス(善玉)とヒール(悪玉)が一目でわかる勧善懲悪的なショーとして人気があり、ラ・パスでイチオシのアクティビティとなっています。
目次
- 女性解放から生まれたボリビアのルチャ・リブレ
- ルチャ・リブレの会場は標高4,000m超のエル・アルト
- 男性同士、女性同士、混合試合と盛りだくさん!
- 主役はやはりチョリータvs.チョリータ!
- ルチャドーラvs.ルチャドール、か弱いのはどっち?
- 最後は全員で踊って終わり
女性解放から生まれたボリビアのルチャ・リブレ
1950年代から盛んになったというボリビアのルチャ・リブレですが、女性が参加するようになったのは比較的最近のことだそう。アイマラ族の女性たちは、男女の格差に加え、先住民という理由だけで長い間差別を受けてきました。人生の不条理にじっと耐えてきた彼女たちは、人種や性差に捕らわれない真の平等をつかむためリングに上がりました。
ポジェラと呼ばれるふっくらとしたスカートや山高帽、華奢でフラットなパンプス、長いお下げ髪は、チョリータさんたちの誇りであり、強く強かな女性の象徴となっています。
ルチャ・リブレの会場は標高4,000m超のエル・アルト
ルチャ・リブレは毎週木曜と日曜の週2回、ラ・パス市を見下ろすエル・アルトで開催。ラ・パス市内の旅行代理店が催行する観戦ツアーの料金は、2022年5月時点で1人当たり90ボリビアーノ(約1,920円)。往復の送迎と英語・スペイン語のバイリンガルガイド、会場でのドリンク1本とスナック、キーホルダーのお土産付きでした。
夕方16時ごろの出発で全所要時間は約4時間、そのうちショータイムは2時間ほど。エル・アルト市は治安があまりよくないので自力で行こうとはせず、ツアーに参加しましょう。
会場の「Coliseo 12 de Octubre(10月12日コロシアム)」は空港のすぐそば。このチケットには「毎週日曜日」とありますが、木曜日にも開催されています。
男性同士、女性同士、混合試合と盛りだくさん!
大勢の観光客をピックアップしていくため、会場への到着が遅れてしまいましたが、リング側面の一番前に座ることができてほっと一安心。コーラとポップコーンを受け取って着席したところで、周囲の観光客たちから歓声が上がりました。さあ、第一戦の開幕です!
まずは男性同士のルチャ・リブレからスタート。
大技も次々と!
最初は「なんだ、チョリータさんの試合じゃないんだ」とちょっとシラケた雰囲気だった会場もだんだん盛り上がってきました。
主役はやはりチョリータvs.チョリータ!
さぁ、お次はお待ちかねのファイティング・チョリータスの開催です!軽快な音楽が会場に鳴り響き、場内アナウンスが今夜のヒロインの登場を告げました。最初に入場してきたのは本日のベビーフェイス(善玉)、鮮やかなグリーンのポジェラが素敵です。観客の手を取って一緒に踊るなど、サービス満点でした。
対してヒール(悪役)はブルー系のポジェラが目印。二の腕や腰回りがなんとも逞しい・・・これは手ごわそうです。
2人の女性の激しい戦いが始まりました!どちらもまったく譲ることなく、互いに強烈な一撃を加えていきます。
ふわっとしたポジェラのすそを翻しながらぶつかり合い、時にはコーナーポストの上からとびかかる、まさに「空飛ぶチョリータさん」の名にふさわしい戦いに会場は湧き、熱気に包まれていきました。
なんとレフェリーはヒールとグル!
ベビーフェイスを後ろから羽交い絞めにし、身動きが取れないようにしてしまいました。もがくベビーフェイスに向かって、ヒールが今まさに飛び掛かろうとしています。会場からはブーイングの嵐、ますます試合は盛り上がっていきます。
雄叫びをあげるヒールとニンマリ顔のレフェリー。いやはや、演技とは思えない悪役ぶりですね。
でも、最後にはやっぱり正義が勝つのがお約束。ベビーフェイスがヒールに対しコーナーポストからフライングボディアタックを決め、正義の鉄槌を下しました。会場もヤンヤヤンヤの大喝采、この分かりやすさがルチャ・リブレの魅力です。
ルチャドーラvs.ルチャドール、か弱いのはどっち?
チョリータvs.チョリータの試合がもう一度行われた後、ルチャドーラ(女性レスラー)vs.ルチャドール(男性レスラー)の試合が始まりました。男性がヒール、女性がベビーフェイスだと思っていたら、意外にも悪役は女性のほうでした。
序盤からやられっぱなしの若いルチャドール。黄色いポジェラのチョリータさんが、苦しむ男性をあざ笑います。
このレフェリーは本当に意地悪!ブーイングをする観光客に対し、「何が悪いの?これは真剣勝負なの、だから私は何も悪くないわ!」と開き直る悪役チョリータさん。その後ろでリングに倒れるルチャドールの顔をレフェリーが踏み、痛めつけています。
形勢逆転!
最後はルチャドールがチョリータさんを抑え込み、レフェリーのカウントで辛くも勝利を収めました。勧善懲悪のルチャ・リブレ、神様はやっぱり正義の味方なんですね。
最後は全員で踊って終わり
男性vs.男性×1回、女性vs.女性×2回、女性vs.男性×1回の合計4試合が行われた今夜のルチャ・リブレは迫力満点、見応え十分の楽しいひと時でした。リングで挨拶をするファイターたちに、会場からは惜しみない拍手が送られました。
最後はチョリータさんたちと一緒に踊ったり、記念撮影を楽しむ時間も設けられていました。私も力強いチョリータさんにグルグル振り回されて、足元がふらふら。さすがに標高4,000mだけあって、ちょっと踊っただけで息切れします。
楽しいけれど、ほどほどにしておいたほうが良さそうです。
本日の主役の皆さん、お疲れ様でした!
夜のとばりが下り始めたエル・アルト。外気は冷たく、会場の熱気が嘘のようです。
女性解放から生まれたボリビアのルチャ・リブレ。ラ・パスで必見のとても楽しいイベントでした。
Lucha libre/Fighting Cholitas(ルチャ・リブレ、ファイティング・チョリータ)
- 会場:Coliseo 12 de Octubre, El Alto
- 開催日:毎週木曜・日曜の夕方~4時間ほど
- 料金:Bs.90
※開催場所や時間、料金は変更される可能性があります。
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。